- はじめに
- 政策評価制度について
- 文部科学省の政策評価について
- 行政事業レビューについて
- 「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」関係資料2-2(平成29年6月23日/第112回中央教育審議会)
- 財政制度審議会(平成29年10月)資料
- 平成30年度概算要求に対する財務省建議(平成29年11月29日)
- 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)(平成29年12月22日/中央教育審議会)
- 教育政策と「見える化」の関係
- 改革工程表と「見える化」
- 経済・財政再生計画 改革工程表 2017改訂版(平成29年12月21日/経済・財政諮問会議)について
- 「主要分野のKPI」(経済・財政再生計画 改革工程表2017改定版 参考資料)より文教関連(平成29年12月21日)
- 「主要分野の『見える化』事項」(経済・財政再生計画 改革工程表2017改定版 参考資料)
- 「経済・財政と暮らしの指標『見える化』ポータルサイト」について
- 「主要分野の『見える化』事項」より文教関連/初等中等教育関係抜粋
- 「見える化」事項1:自治体別の児童生徒1人当たりの教職員人件費、学校の運営費、学校の業務改善の取組、学級数別学校数等
- 「見える化」事項2:学校規模の適正化に関する自治体別進捗状況(対策の検討に着手している自治体の割合、統廃合等の件数・経費)
- 「見える化」事項3:校務支援システムの導入率
- 「見える化」事項4:業務改善の方針等を策定している都道府県の割合
- 「見える化」事項5:業務改善状況を定量的に把握している都道府県の割合
- 「見える化」事項6:ICT活用による遠隔授業実施状況
- 「見える化」事項7:義務教育に係る成果と費用、環境要因(実証研究)
- 「見える化」事項8:全国学力・学習状況調査の研究活用(文科省委託研究以外での大学等の研究者によるデータ活用・研究)
- 「見える化」事項9:高等学校のコミュニティ・スクールを導入している都道府県数
- 「見える化」事項10:教職員定数の見通し
- 経済・財政再生計画 改革工程表 2017改訂版(平成29年12月21日/経済財政諮問会議)
- 経済・財政計画の改革工程、KPIの進捗整理表
- 予算執行調査資料 「小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業のうち外国語教育の教材整備(小学校外国語活動)」(平成30年度予算政府案/平成30年1月/財務省主計局)
- まとめ
はじめに
全国の教員の皆さんや学校教育関係者の皆さんは、教育の成果が政府によってどのような形で評価され、予算に反映されているか、ご存じですか。
おそらくご存じない方がほとんどでしょう。
国が教育の成果を測るものは、主に「政策評価」になります。
その評価によって、文部科学省の政策や教育予算が決定されるのです。
ですから、教師や学校教育関係者の方には、「政策評価」の方法や、その評価が財務省による予算査定に活用される方法について、是非知っていただきたいです。
「学校における働き方改革は可能か㉘「『エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立』のために業務が増えます」平成29年度予算1」では、文部科学省が行った「豊かな心の育成(うち、スクールカウンセラー等派遣事業)」に対する「政策評価」の結果を、財務省が平成29年度予算編成で活用し、1億2,400万円予算を減額した例について書きました。
また、「予算執行調査資料反映状況票」や「総括調査票」で、「義務教育費国庫負担金」の「初任者研修加配」の措置について、より効率的・効果的な加配措置の方法を取り入れる必要があるとして、財務省により、予算が削減されたことについても触れました。
今回の記事では、まず最初にこの「政策評価」について、詳しく説明していきます。
次に、3党連立政権下の平成23年度予算編成で「国丸ごと仕分け」という名称で初めて取り入れられ(「学校における働き方改革は可能か⑭~平成23年度概算要求「元気な日本復活特別枠」と予算の組替えから少人数学級実現へ」参照)、現在も形を変えて続いている「行政事業レビュー」という政策評価の一種について書きます。
話があちこち飛びますが、前回の記事(学校における働き方改革は可能か㉛~「学校給食費徴収・管理業務」と「部活動指導員配置」と平成30年度概算要求~)で、平成29年6月9日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」で、「教員の長時間勤務状況を早急に是正、年内に緊急対策を取りまとめる」と謳われたのを受け、平成30年度概算要求に、「統合型校務支援システムの導入促進事業」や「学校給食費徴収・管理業務の改善・充実事業」、「スクール・サポート・スタッフの配置事業」、「部活動指導員配置促進事業」が盛り込まれたことを書きました。
このような「学校における働き方改革」を実行に移す施策を提案したのが、平成29年7月11日に中央教育審議会に設置された「学校における働き方改革特別部会」でした。
この会議を進める中で示された資料で、「『教職調整額』が支給されるようになった経緯」や、「教員以外の専門スタッフの配置状況」など、まだ私の記事で掲載していない有益なものがあります。
ですから、続いて、それらをお見せします。
その後、この中央教育審議会の「学校における働き方改革特別部会」で12月22日に発表された、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」の内容をお知らせします。
こちらの発表には、学校における働き方改革を進める上で、絶対に知っておきたい「これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方」が含まれます。
さらに、平成27年12月の「経済・財政再生アクション・プログラム」(改革工程表2015)から始まった、政策の効果の「見える化」や「KPI」(成果指標)について説明します。
なぜなら、この「改革工程表」、「見える化」、「KPI」は、政策評価同様に、教育政策の決定に密接に関係しているからです。
そして、平成30年度概算要求後の予算折衝を得て12月21日に「経済・財政一体改革推進委員会(内閣府)」により発表された、「改革工程表2017」の内容を詳しくお伝えします。
最後には、財務省が平成30年度の予算政府案の査定に政策評価の結果を活用したことが分かる、「予算執行調査資料(反映状況票・総括調査票)」をお見せします。
これらの記事内容によって、日本中の教師や学校教育関係者が一生懸命働いた結果である、「『教育政策の成果』が、どのような形で評価され、予算に反映されているのか。」という極めて大切な問題について、是非皆さんも詳しく知ってください。
政策評価制度について
政策評価制度の導入
行政改革会議最終報告(平成9年12月3日)において、「従来、わが国の行政においては、法律の制定や予算の獲得等に重点が置かれ、その効果やその後の社会情勢の変化に基づき政策を積極的に見直すといった評価機能は軽視されがちであった」との認識の下に、政策評価制度の導入が提言されました。
これを受けて、13年1月に中央省庁等改革の一つの柱として、政策評価制度がスタートしました。
13年6月には、政策評価制度の実効性を高め、国民の信頼の一層の向上を図るため、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)以下「政策評価法」という。)が制定され、14年4月から施行されています。
政策評価制度の概要
政策評価制度は、政策の評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図ることと政策の評価に関する情報を公表することにより、効果的かつ効率的な行政の推進及び政府の有するその諸活動についての国民への説明責任の徹底を目指しています。
政策評価法の下では、(1)各府省が所掌する政策について自ら評価を実施するとともに、(2)総務省自らも、政策評価の推進、複数省にまたがる政策の評価を実施することとされています。
政策評価法のポイント
政策評価法は、政策評価制度の実効性を高め、これに対する国民の信頼の一層の向上を図るために制定され、政策評価に関する基本的事項を定めたものです。
具体的には、
- 各府省が所管する政策について、適時にその効果を把握して、必要性、効率性、有効性などの観点から自ら評価を実施し、その結果を当該政策に反映すること
- 政府全体の政策評価に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を策定するとともに、各府省が中期的な基本計画と1年毎の実施計画を策定することとし、政策評価の結果について、評価書を作成、公表すること
- 政策評価の統一性、総合性及び一層厳格な客観性を確保する観点から、総務省が各府省の施策について評価を行うこと
などを定めています。
政策評価Q&A(総務省)
政策評価は誰が行っているのですか?
各府省は、政策を企画立案し遂行する立場から、その所掌する政策について、自ら評価を行います。
具体的には、各府省の各部局で評価が行われ、政策評価担当課が取りまとめ、大臣等の府省幹部に報告された後に評価書が公表されます。
その過程で各府省においては、評価の客観性を確保するために外部有識者の意見を聴いたり、広く国民から意見を求めること(パブリック・コメント)もあります。
総務省の役割は何ですか?
総務省(行政評価局)は、政府全体として政策評価制度が十分に機能するように、政策評価制度を推進する役割を担うとともに、各府省が行った政策評価の点検活動を実施します。
国民や国会へは報告されていますか?
各府省の評価書は必ず公表されており、毎年度、政府として一年分の政策評価とその政策への反映状況を国会へ報告しています。
なお、これらは全て総務省のホームページに公表されています。
各府省の年間スケジュールの例を教えてください
多くの府省においては、各年度当初の業務のスタートに合わせて、年度末頃に次年度の政策評価の実施計画が策定され、この実施計画に基づき評価書の作成作業が行われます。
一般分野の政策(※)についての評価書は、予算要求や政策の企画立案に反映するため、概算要求期限までに作成・公表されます。
政策評価の結果は、予算査定等に活用され、年末には翌年度の予算政府案が決定されます。
(※)「一般分野の政策」とは、政策評価法において事前評価が義務付けれている特定分野(研究開発、公共事業、政府開発援助(ODA)、規制及び租税特別措置等)を除く政策をいう。
総務省(行政評価局)の年間スケジュールを教えてください。
総務省においては、年度当初までに行政評価等プログラムを策定します。このプログラムに基づき、複数府省にまたがる政策の評価や各府省が行った政策評価の点検活動を行います。
また、毎年6月頃には、前年度に各府省が実施した政策評価の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する国会報告を行っています。
政策体系とは?
政策評価は、政策を対象とするものですが、この政策の範囲については、一般に、「政策」、「施策」及び「事務事業」といわれる区分で考えると分かりやすいです。
これらは、相互に目的と手段の関係を保ちながら、全体として一つの体系を形成しているものととらえることができるため、政策体系(「政策ー施策ー事務事業」)と呼ばれています。
なお、上記の三つの区分は相対的なものであり、現実の政策の態様は多様であるため、「施策」が複数の階層に分かれる場合や、「事務事業」に相当するものが存在しない場合など、必ずしも三つの区分に明確に分かれない場合もあります。
なぜ、政策体系を考えることが大事なのですか?
政策体系が全体として目的と手段の関係により成り立っていることを考えると、評価の対象となる政策がどのような目的の下に、どのような手段を用いて実施されるかを常に念頭に置くことによって、評価対象の位置付けが明らかになり、的確な評価を行うことが可能となるためです。
政策体系の実例を教えてください
厚生労働省の例を図示すると、以下のようなピラミッド型式になっています。
政策評価はどのようなやり方で行われるのですか?
政策評価は、政策の特性などに応じて、事業評価方式、実績評価方式、総合評価方式やこれらの要素を組み合わせたものなど、適切な方式を用いて行うものとされています。
評価の三方式
代表的な三つの方式については、評価の対象、時点、目的・ねらい、やり方にそれぞれ特徴がみられます。
事業評価
実績評価
総合評価
三方式の関係
三方式は、評価の対象政策のまとまりの大きさ(レベル)や評価実施時点に応じて使い分けられます。
実績評価方式とは
施策を決定する際に、不断の見直しや改善に資する見地から、施策の目的と手段の対応関係を明示しながら、あらかじめ政策効果に着目した達成目標を設定します。
その後、達成目標に対する実績を定期的・継続的に測定します。
目標期間が終了した時点で、目標期間全体における取組や最終的な実績などを総括し、目標の達成度合について評価を行います。
アウトプットとアウトカム
行政活動が投入された資源(「インプット」(例えば、いくら予算を注ぎ込んだか))により行政が算出したサービスを通例「アウトプット」(例えば、道路を何km作ったか)といい、行政活動から算出されたサービスによりもたらされた成果を「アウトカム」(例えば、道路の渋滞がどれだけ減ったか)といいます。
アウトカムには、政策によってもたらされる国民の利便や環境への負荷といったプラス面及びマイナス面の両方が含まれます。
実績評価方式においては、「いつまでに、何について、どのようなことを実現するのか」をわかりやすく示すアウトカムに着目した目標を設定することが基本となります。
実績評価方式は広く採用されている評価方法
実績評価方式を始めとする目標管理型の評価手法は、わが国の多くの府省において採用されているほか、米国のGPRA(政府業績成果法)や英国のPSA(公共サービス合意)など世界各国で広く使われています。
また、民間の経営にも、「目標による管理」や成果主義といった形で広く採用されています。
このように、目標管理型の評価方法は、簡易で汎用性の高い手法として、各府省の様々な施策の評価に活用されています。
政策体系をあらかじめ明らかにするとともに、目標管理型の評価手法を採用することによって、各府省の行政の多くの領域をカバーすることが可能となり、政策評価の体系的かつ合理的な実施に役立っています。
研究開発、公共事業、政府開発援助、規制及び租税特別措置等は、なぜ事前評価が義務付けされているのですか?
多額の費用を投入した政策であっても、その効果が当初予想したようには表れなかったり、途中で見直さざるを得なかったりして、その政策が結果的に非効率なものとなる場合もあります。
このようなことから、国民生活や社会経済に与える影響が大きい政策や多額の費用を要する政策について、将来予測を行うための評価手法が開発されている場合は、事前評価を行うことが必要といえます。
このため、評価手法が開発されている政策分野のうち、現在、一定以上の事業規模を有する個々の研究開発、公共事業、政府開発援助、規制及び租税特別措置等をすることを目的とする政策について、評価法に基づき事前評価が義務付けられています。
評価結果の反映
各府省が行った評価の結果は、予算概算要求などを含めた政策の企画立案作業に利用され、その政策に適切に反映されることが必要です。
また、評価結果については、政府は予算の作成に当たって、その適切な活用を図るよう努めなければならないとされています。
このため、各府省は、毎年8月末の予算概算要求までに政策評価を行い、評価結果は予算編成過程において活用されています。
このほか、評価結果は、毎年度末に関係府省が行う公共事業などの補助事業の実施地区の採択(「箇所付け」と言われます。)などにも反映されています。
このほか、評価の結果は、各府省が行う機構・定員要求などにも反映されています。
文部科学省の政策評価について
文部科学省が行う政策評価
行政事業レビュー
各府省自らが、所管する全事業を対象に、執行実態を明らかにした上で、チェックの過程を公表しつつ、外部の視点を活用しながら点検を行い、その結果を予算(概算要求や執行)に反映させる取組であり、全事業に係る行政事業レビューシートを作成し、毎年8月末~9月中旬頃に公表している。
政策評価と行政事業レビューとの連携
政策評価と行政事業レビューを相互に活用し、政策の見直し・重点化や予算の効率化に資するため、以下の取組を実施している。
- 「政策評価の事前分析表における達成手段(事業)」と「行政事業レビューシート」の事業名と事業番号の共通化
- 役割分担の明確化(行政事業レビューを行う際には、政策評価における政策体系の位置付けや上位レベルの施策との関連性等も参照)
行政事業レビューシート(文部科学省)
平成29年度行政事業レビューシート/文部科学省「部活動指導員配置促進事業」
事業の目的
適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化を進めている教育委員会を対象に、平成29年度から制度化された部活動指導員の配置に係る経費の一部を補助することで、公立の中学校等における部活動指導体制の充実を推進し、部活動を担当する教員の支援を行うとともに、部活動の質的な向上を図る。
事業概要
公立の中学校、義務教育学校後期課程、中等教育学校前期課程及び特別支援学校中学部において、指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能を有する人材を「部活動指導員」として配置する教育委員会に対して、部活動指導員の配置に要する経費(報酬、旅費、保険料等)の3分の1を国が補助する。
なお、教員の負担軽減に資する事業目的に鑑み、県費負担教職員の給与負担者(都道府県・指定都市)が1/3を負担するとともに、学校設置者である市町村が1/3を負担する仕組みとする。(学校設置者が都道府県及び指定都市の場合には2/3を負担。)
予算額
30年度要求…15億400万円
成果目標及び成果実績(アウトカム)
定量的な成果目標
部活動指導員の配置により、教員の負担軽減を図るとともに、持続可能な部活動の運営体制を構築する。
成果指標
各市町村が設置する本事業の活用により教員が部活動に従事する時間数の縮減目標を達成した割合
成果実績・目標値・達成度
目標最終年度100%
活動指標及び活動実績(アウトプット)
活動指標
公立中学校等の部活動指導員配置人数の増加
当初見込み
30年度活動見込7,125人
活動指標及び活動実績(アウトプット)
活動指標
運動部活動の顧問を担当する教員のうち、担当教科が保健体育以外で、かつ、顧問を担当する運動部の競技経験がない公立中学校教諭の割合の減少
当初見込み
30年度活動見込45.4%
政策評価の基本的なポイント(文部科学省)
PDCAサイクルについて
計画(PLAN)→実施(DO)→評価(CHECK)→改善(ACTION)を一連の流れで管理作業を実施し、施策や事業を継続的に高めていく手法であり、政策評価の重要な機能の一つである。
因果関係について
- インプット(投入):施策や事業に投入される達成手段(予算、税制、法改正など)
- アウトプット(活動結果):インプットを用いて文部科学省(独法も含む)が直接実施した実績(成果物・事業量)
- アウトカム(成果):アウトプットによって、文部科学省があらかじめ設定したターゲットに発生する効果
- ロジックモデル:施策や事業がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係をアウトプットやアウトカムを用いて明示したもの
施策の体系図(ロジックモデル)(例)
施策目標11-1「スポーツを「する」「みる」「ささえる」スポーツ参画人口の拡大と、そのための人材育成・場の充実」(抄)
最終アウトカム
施策の概要
ライフステージに応じたスポーツ活動の推進とその環境整備を行う。
中間アウトカム
達成目標
【スポーツ参画人口の拡大】
- 若年期から高齢期までライフステージに応じたスポーツ活動の推進、
- 学校体育をはじめとして子どものスポーツ機会の充実による運動習慣の確立と体力の向上、
- ビジネスパーソン、女性、障害者のスポーツ実施率の向上と、これまでスポーツに関わってこなかった人へのはたらきかけ
を通じてスポーツ参画人口の拡大を図る。
測定指標
直接アウトカム
成果目標
(成果指標)
アウトプット
(活動指標)
インプット
達成手段(事業名)
※赤字は、行政事業レビューシートにおいて作成されたもの。
事後評価:実績評価方式により評価を実施した政策(目標達成型の政策評価)(平成30年度概算要求・平成30年度予算案/文部科学省)
政策の名称:【政策目標1、施策目標1-2】生涯を通じた学習機会の拡大
政策評価の結果
相当程度進展あり
評価結果の反映状況
改善・見直し
政策評価の結果の政策への反映状況
高度で体系的かつ継続的な学習機会を提供する高等教育機関等において、学習者の多様なニーズに対応し、生涯を通じた幅広い学習機会を提供するため、評価結果を踏まえて、以下の措置を行った。
<予算要求>
拡充事業
廃止事業
<事前分析表の変更>
政策の名称:【政策目標2、施策目標2-3】青少年の健全育成
政策評価の結果
相当程度進展あり
評価結果の反映状況
改善・見直し
政策評価の結果の政策への反映状況
青少年が抱える現代的な課題を踏まえ、主体性や規範意識を持った豊かな人間性を育むため、青少年の体験活動や国際交流、青少年を取り巻く有害環境対策、子供の読書活動等を推進するため、評価結果を踏まえて、以下の措置を行った。
<予算要求>
拡充事業
縮小事業
<事前分析表の変更>
文部科学省の政策評価の結果の政策への反映状況(事前評価・事後評価/平成29年度/文部科学省)
事前評価
評価実施件数…12件
租税特別措置等を対象2、研究開発課題を対象6、規制を対象4
政策評価の結果の政策への反映状況(件数)/予算概算要求への反映件数…6件
研究開発課題を対象6
事後評価
評価実施件数…6件
目標管理型の政策評価6
政策評価の結果の政策への反映状況…6件
- これまでの取組を引き続き推進…3件/目標管理型の政策評価
- 評価対象政策の改善見直しを実施…3件/目標管理型の政策評価
予算概算要求への反映件数…6件
目標管理型の政策評価6
事前分析表の変更状況
- 達成すべき目標を変更…1件/目標管理型の政策評価
- 測定指標を変更…4件/目標管理型の政策評価
- 達成手段を変更…2件/目標管理型の政策評価
- 事前分析表の変更なし…1件/目標管理型の政策評価
行政事業レビューについて
行政事業レビューの実施等について(平成25年4月5日 閣議決定)
1 政府は、毎年、行政事業レビュー(次に掲げる取組をいう。以下同じ。)を実施することにより、各府省庁が所掌する事業のより効果的かつ効率的な実施並びに国の行政に関する国民への説明責任及び透明性の確保を図り、もって国民に信頼される質の高い行政の実現を図るものとする。
- 各府省庁自らが、事業に係る予算の執行状況等について、個別の事業ごとに整理した上で、毎会計年度終了後速やかに必要性、効率性及び有効性等の観点から検証して当該事業の見直しを行い、その結果を予算の概算要求及び執行に反映するとともに、それらの結果を公表すること。
- 1.の検証を行うに当たっては、次に掲げる取組を行うこと。
- 事業に係る予算の執行状況等を分かりやすい形で公表すること。
- 外部性が確保され、客観的かつ具体的で、厳格な検証となるよう、事業に係る予算の執行その他行政運営に関して識見を有する者の意見を聴くこと。この場合、効果的かつ効率的に意見聴取を行うとともに、一部の事業については、公開制を確保した上で行うこと。
2 各府省庁は、補助金や出資金等により造成された特定の基金を活用し、事業を実施する場合には、当該基金の執行状況等を分かりやすい形で毎年公表することとする。
3 行政事業レビューの実施等に当たっては、統一的かつ効率的に実施する観点から、内閣官房行政改革推進本部事務局において、各府省庁に共通する手続きの策定等を行い、これを推進することとする。
4 行政事業レビュー(国丸ごと仕分け)の実施について(平成23年6月7日閣議決定)を廃止する。
これでわかる!行政事業レビュー(平成26年度版)~PDCAで国の「仕事」を改善する~(平成27年6月18日/内閣官房行政改革推進本部事務局)
行政事業レビュー
良好な業績を維持し、厳しい競争に打ち勝つため、民間企業においては、時代の状況や変化に即応して、自らの活動を十分に見直し、常に先を見据えた改善を行う必要に迫られています。
国においても、競争と縁遠い分、より強い意識を持って、国民からお預かりした税金を用い、それらに見合うだけの事業を行っているのか絶え間なく自省と改善を行うことが求められます。
国民に対する透明性を確保し、開かれた質の高い行政を目指していくことは次世代に対する私たちの責任であり、その実現のため、政府は、行政改革推進会議(議長:安倍晋三内閣総理大臣)の下で、「行政事業レビュー」の取組を進めています。
PDCAサイクル
「行政事業レビュー」とは、国の約5,000の全ての事業について、Plan(計画の立案)ーDo(事業の実施)-Check(事業の効果の点検)-Action(改善)のサイクル(「PDCAサイクル」)が機能するよう、各府省が点検、見直しを行うもので、いわば「行政事業の総点検」とでもいうべきものです。
政府は、この「PDCAサイクル」の徹底を通じて、国の支出における無駄の削減とともに、より効率的、効果的な行政の実現を目指しています。
行政事業レビューとは
行政事業レビューには、自律性、透明性、外部性、公開性という4つの特徴があります。
各府省は、前年度に実施された約5,000の事業について、執行実績を踏まえて事業の必要性、効率性、有効性の観点から自ら点検を行い(自律性)、その結果を「行政事業レビューシート(事業点検票)」として公表します(透明性)。
個々の点検結果は来年度予算の概算要求(各府省が必要と考える来年度予算の金額)に反映されます。
このような各府省の取組を外部有識者が点検します。
外部有識者は、約5,000事業のうち約1,000事業を重点的に点検し、その結果を「外部有識者の所見」として行政事業レビューシートに記載します(外部性)。
また、6月に1,000事業の一部(約70事業)を各府省が点検する「公開プロセス」、11月中旬に行政改革推進会議の下で各府省の点検自体の妥当性を検討する「秋のプレビュー」を開催し、インターネット中継や議事録などにより、議論の模様を国民に公開しています(公開性)。
「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」関係資料2-2(平成29年6月23日/第112回中央教育審議会)
諸外国における学校の役割
- 33個の学校の業務のうち、日本の学校が担っていないのは、「予算案の作成・執行」、「施設管理・点検・修繕」、「教師の出張に関する書類の作成」の3個のみ。
- 「登下校の時間の指導・見守り」は、8か国中、日本の学校だけが部分的に担っている。
- 「給食・昼食時間の食育」を学校の業務として行っているのは、日本、韓国のみ。
- 「校内清掃指導」を学校の業務として行っているのは、日本、中国、韓国のみ。
- 「教材購入の発注・事務処理」は、8か国中、中国と日本だけが部分的に担っている。
- アメリカの学校は、33個の役割のうち、「担当」、もしくは「部分的に担当」が14個。
- イギリスの学校は、33個の役割のうち、「担当」、もしくは「部分的に担当」が7個。
- 「学校の運営に関わる業務」、「外部対応に関わる業務」は、他の国では、学校の担当でないものが多い。
教員以外の専門スタッフの配置状況
スクールカウンセラー
職務内容等
心理に関する高度な専門的知見を有する者として、児童生徒、保護者、教職員に対してカウンセリング、情報収集・見立て、助言・援助等を実施
資格
- 臨床心理士
- 精神科医 等
配置状況等【H28】
7,542人(H27)(※補助金対象者)
財政措置(国)
予算補助(1/3)
スクールソーシャルワーカー
職務内容等
福祉の専門性を有する者として、児童生徒のニーズの把握及び関係機関との連携を通じた支援、保護者への支援、学校への働き掛け、自治体の体制整備への働き掛けを実施
資格
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士 等
配置状況等【H28】
1,399人(H27)(※補助金対象者)
財政措置(国)
予算補助(1/3)
医療的ケアを行う看護師等
職務内容等
特別支援学校等において、たんの吸引・経管栄養・気管切開部の衛生管理等を実施
資格
- 看護師
- 准看護師
- 保健師
- 助産師
配置状況等【H28】
1,272人(※補助金対象者)
財政措置(国)
予算補助(1/3)
特別支援教育支援員
職務内容等
食事、排泄、教室移動の補助等、学校における日常生活の介助や学習支援等を実施
資格
なし
配置状況等【H28】
約56,000人
財政措置(国)
地方交付税措置
言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)等の外部専門家
職務内容等
特別支援学校等において、医学・心理学等の視点による専門的な知識・技術を用いて、指導の改善や校内研修を実施
資格
- 言語聴覚士
- 作業療法士
- 理学療法士 等
配置状況等【H28】
700人(※補助金対象者)
財政措置(国)
予算補助(1/3)
就職支援コーディネーター
職務内容等
特別支援学校高等部及び高等学校において、ハローワーク等と連携し、就労支援を実施
資格
なし
配置状況等【H28】
全国38地域において、計58人を配置(H28)
財政措置(国)
委託事業を実施
ICT支援員
職務内容等
教員のICT活用(授業、校務支援等)を支援
資格
なし
配置状況等【H28】
1,896人(H28.3月時点)
財政措置(国)
地方交付税措置
学校司書
職務内容等
学校図書館の日常の運営、管理、教育活動等の支援
資格
なし
配置状況等【H28】
22,262人
財政措置(国)
地方交付税措置
部活動外部指導員
職務内容等
部活動における技術指導
資格
なし
配置状況等【H28】
40,513人※運動部活動の外部指導者数(中体連・高体連調査)
財政措置(国)
なし
外国語指導助手(ALT)
職務内容等
小学校の外国語活動や中・高等学校の外国語の授業等の補助
資格
なし
配置状況等【H28】
4,536人※JETのみ(H28.7.1時点)※JET=JETプログラム、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、地方自治体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施。
財政措置(国)
- 地方交付税交付金(JET)
- 予算補助(1/3)(non-JET)
サポートスタッフ
職務内容等
補充学習や発展的な学習など、主として学力向上を目的とした学校教育活動のサポート
資格
なし
配置状況等【H28】
11,500人(※予算積算上人数)
財政措置(国)
予算補助(1/3)
学校におかれる教諭以外の主な職について【出展:公立学校教職員人事行政状況調査(平成27年度)、学校基本調査(平成28年度)】
副校長
校長を助け、校長から命を受けて校務をつかさどる。…3,875名
主幹教諭
校長、副校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育等をつかさどる。…20,782名
指導教諭
児童の教育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う。…2,098名
養護教諭
児童の養護をつかさどる。…40,860名
栄養教諭
児童の栄養の指導及び管理をつかさどる。…5,765名
事務職員
事務をつかさどる。…35,386名
主任等の種類について【文部科学省 平成28年度学校基本調査】
省令上の主任等
小学校
中学校
高等学校
特別支援学校
各教育委員会等により置かれている主任等の例
教職調整額について
給特法の制定によって教職調整額が支給されるようになった経緯
「給特法」【(国立及び)公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与用に関する特別措置法】(昭和46年5月制定)の内容
教員の勤務態様の特殊性
教員は、一般行政職と同じような勤務時間の管理はなじまない。
- 修学旅行や遠足など、学校外の教育活動
- 夏休み等の長期の学校休業期間
→このような教員特有の勤務態様により、勤務時間の管理が困難。
勤務態様の特殊性を踏まえた処遇
本給とは正規の勤務時間の勤務に対する報酬であるが、教員の職務はその勤務の特殊性から、勤務時間の内外を切り分けることが適当ではない。
そのため、勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、
- 時間外勤務手当は支給しない代わりに
- 教職調整額を本給として支給。(給料月額×4%=教職調整額)※昭和41年の勤務実態調査による超過勤務時間相当の割合
①原則、時間外勤務を命じないこととする。仮に、命じる場合でも次の場合に限定。(いわゆる「超勤4項目」)
- 生徒の実習に関する業務
- 学校行事に関する業務
- 教職員会議に関する業務
- 非常災害時のやむを得ない場合の業務
②教職調整額を本給とみなす。
本給とみなすため、本給を基礎として一定割合を乗じて算出する手当等については、その算定の基礎となる。(期末・勤勉手当、退職手当、地域手当、へき地手当、年金、等)
教員に支給される手当等について
※下記のほか、扶養手当、地域手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、期末・勤勉手当等が支給される。
教職調整額
校長、副校長及び教頭を除く教員が対象【本給×4%】
給料の調整額
特別支援教育学級担当教員及び特別支援学校の教員が対象【本給の平均3.0%程度の定額】
義務教育等教員特別手当
義務教育諸学校等の教員が対象【給料の平均1.5%程度の定額】
教員特殊業務手当
- 非常災害時の緊急業務【平日の時間外、土日等の8時間程度の業務で日額7,500円から8,000円】※甚大災害の場合は100/100加算
- 修学旅行等指導業務【平日の時間外、土日等の8時間程度の業務で日額4,250円】
- 対外運動競技等引率指導業務【土日等の8時間程度の業務で日額4,250円】
- 部活動指導業務【土日等の4時間程度の業務で日額3,000円】
- 入学試験業務【土日等の8時間程度の業務で日額900円】
他学年学級担当手当
複式学級の担当教員が対象【日額290円又は350円】
教育業務連絡指導手当
いわゆる主任手当【日額200円】
管理職手当
校長、教頭、部主事が対象【定額:校長15%~20%、副校長15%、教頭12.5%~15%、部主事8%程度相当額】
管理職員特別勤務手当
休日等に勤務した校長・副校長・教頭・部主事が対象【勤務1回につき校長7,000円から8,500円】
へき地手当
級地の別に応じて給料等の25%を超えない範囲内
財政制度審議会(平成29年10月)資料
教員の働き方改革(部活動の実態)
生徒の健全育成の観点から、本来、生徒の自主的・自発的活動である部活動では、週2日以上の休養日を設定することが適切とされているが、中学校の部活動や部活動手当の支給状況を見ると、部活動の休養日が適切に設定されていないほか、教員は、土日のいずれかは部活動指導を行っている。
中学校部活動の活動状況
- 1週間の合計活動時間は、男子が約15.6時間、女子が約15.8時間
- 平日5日間の合計 男子:約9.5時間、女子:約9.6時間
- 土日2日間の合計 男子:約6.1時間、女子:約6.3時間
- 1週間の中で、休養日を設けていない学校の割合は、22.4%
- 1ヶ月間の中で、土日に休養日を設けていない学校の割合は、42.6%
部活動手当の支給状況(土日)
外部指導者の活用状況
スポーツ庁調査
中体連及び高体連調査
平成30年度概算要求に対する財務省建議(平成29年11月29日)
1.総論
財政の現状と課題
財政健全化に向けた基本的考え方
今後の財政運営についての考え方
2.平成30年度予算編成における具体的な取組
文教・科学技術
平成30年度予算の編成等に関する建議(文教・科学技術/平成29年11月29日/財政制度等審議会)
我が国の競争力強化や生産性向上に向けて、教育や科学技術の質を高めていくことは重要である。また、少子化が進展する中で、将来世代に負担を先送ることなく、限られた財政資源を最大限活用し、その目的を達成することが求められる。
そのため、文教・科学技術分野におけるマネジメント機能を強化するとともに、目指すべきアウトカム目標を適切に設定し、その達成に向けた費用対効果を分析した上で、適切な手段を選別することが必要である。
公財政教育支出
経済協力開発機構(OECD)諸国の中で、我が国の公財政教育支出の対GDP 比が低い、あるいは、私費負担が大きいとの指摘がある。
しかしながら、在学者一人当たりで見れば、OECD諸国と比べて、教育支出全体は高い水準にあり、公財政支出に限っても遜色ない水準となっている。今後、少子化が進展する中では、公財政教育支出が現在の水準であっても、在学者一人当たりの支出は増加していく。
また、教育に係る私費負担の多寡を議論するのであれば、国民負担率の多寡も併せて議論する必要があるが、国民負担率の水準は、OECD諸国の中で最低レベルである。
こうした点を考慮すれば、公財政教育支出の対GDP比だけを見て、量的水準の拡大を目的化することは適切ではない。
義務教育
教職員定数
教職員定数
文部科学省からの平成30年度概算要求等では、学校における「働き方改革」や新しい学習指導要領の実施のため、3,415人(平成30~38年の9年間で約2.3万人)の定数改善が必要であるとされている。
児童生徒数の減少に伴う自然減や平成29年度の法改正に基づく基礎定数化を勘案した見通しによれば児童生徒あたりの教職員数は増加する。
これに加えて、更なる教職員数の増加が必要となるか否かは、定量的かつ客観的なエビデンスによる立証やPDCAサイクルの確立を大前提とすべきである。
働き方改革
「働き方改革」については、教育委員会から学校に対する調査・報告依頼などの事務負担の現状を直視する必要がある。
しかしながら、学校において、教職員の勤務時間・内容の管理ができておらず、管理職による業務の適正化が行えているとは言えない。
市町村費事務職員数
市町村費事務職員数を見ると、普通交付税の基準財政需要額への算入額から推計される職員数は、学校基本調査で報告されている職員数を大きく上回っており、地方交付税により措置されているにもかかわらず、十分な配置がなされていない可能性もある。
部活動
部活動に関しては、生徒の健全育成の観点から、週2日以上の休養日を設定することが適切であるとされているにもかかわらず、十分な休養日が設定されていない学校が多い。
教員の業務の見直しのまとめ
このため、まずは教員の業務の見直し、すなわち、
- 教育委員会等からの事務、調査の厳選と合理化、
- 総量規制を含めた部活動の在り方の見直し、
- 市町村費負担事務職員の配置の実態把握と適切な活用、
といったことを通じて、教員がより多くの時間を授業に充てられるよう業務の適正化を行っていくべきである。
また、必要に応じて、学校業務のアウトソーシング化を進めるべきとの指摘もあった。
新学習指導要領への対応:コマ数
次に、新学習指導要領(平成32年度以降)への対応については、小学校の英語の授業コマ数の増加により、現行の学習指導要領の941コマから、新学習指導要領では、964コマに増加する。
一方、文部科学省の平成27年度の調査によれば、小学校において981コマの授業が行われており、総授業時間数の観点から見れば、既に新学習指導要領の必要授業コマ数(964コマ)を上回る授業を行っている現状にある。
新学習指導要領への対応:小学校英語教員
教員の養成・採用の観点から言えば、教職課程において小学校英語教育に対応している大学は一部に過ぎず、採用試験においても英語を課していない都道府県が多く、小学校英語に対応した教員の採用は難しい現状にあろう。
語学指導等を行う外国青年招致事業(JET プログラム)等を通じた外国語指導助手(ALT)の活用ということも考え得るが、その際、ALTが単独で授業を行うことを制限している現状には、効率性の観点から改善が必要であろう。
新学習指導要領への対応 まとめ
このため、今般の学習指導要領改定に伴う英語の授業時数の増加に関しては、
- 必要な授業時数を上回って実施されている授業の英語への振替え、
- 中学校の英語教員も含めた教員配置の見直し、
- ALT等の外部人材の活用やそのための特別免許状制度の積極的な活用を含めた免許制度の見直し、
といったことを通じて、対応していくべきである。
学校の規模
文部科学省によれば、小・中学校ともに12~18学級が適正規模とされているが、公立の小・中学校の半数が適正規模を下回っているのが実態である。
地域の実情を勘案する必要はあるが、児童生徒が、その能力を育み、社会性や規範意識を身に付けられるような教育環境を整備する観点から、人口動態を踏まえ、学校規模の適正化が必要である。
新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)(平成29年12月22日/中央教育審議会)
「学校における働き方改革」の背景・意義
「学校における働き方改革」の基本的な考え方
勤務の長時間化の要因
検討の視点
学校・教師が担う業務の明確化・適正化
基本的な考え方
これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方
授業については、一部の学校で標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画している例が見られる(小5において、週換算で3コマ以上多い学校は20.1%)ことから、各学校における教育課程の編成・実施に当たっては、教師の「働き方改革」に十分配慮すべき。
基本的には学校以外が担うべき業務(その業務の内容に応じて、地方公共団体や教育委員会、保護者、地域学校協働活動推進員や地域ボランティア等が担うべき)
- 登下校に関する対応
- 放課後から夜間などにおける見回り、児童生徒が補導された時の対応
- 学校徴収金の徴収・管理
- 地域ボランティアとの連絡調整
学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務
- 調査・統計等への回答等(事務職員等)
- 児童生徒の休み時間における対応(輪番、地域ボランティア等)
- 校内清掃(輪番、地域ボランティア等)
- 部活動(部活動指導員等)※部活動の設置・運営は法令上の義務ではないが、ほとんどの中学・高校で設置。多くの教師が顧問を担わざるを得ない実態。
教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
- 給食時の対応(学級担任と栄養教諭等との連携等)
- 授業準備(補助的業務へのサポートスタッフの参画等)
- 学習評価や成績処理(補助的業務へのサポートスタッフの参画等)
- 学校行事の準備・運営(事務職員等との連携、一部外部委託等)
- 進路指導(事務職員や外部人材との連携・協力等)
- 支援が必要な児童生徒・家庭への対応(専門スタッフとの連携・協力等)
学校・教師が担う業務の明確化・適正化
業務の役割分担・適正化を着実に実行するための方策
国
教育委員会等
各学校
学校が作成する計画等の見直し(各種指導計画、運営計画等)
学校の組織運営体制の在り方(〇〇委員会、〇〇主任等)
勤務時間に関する意識改革と制度面の検討
勤務時間管理の徹底
適切な勤務時間の設定
教職員全体の働き方に関する意識改革
公立学校の教師の時間外勤務の抑制に向けた制度的措置の検討
「学校における働き方改革」の実現に向けた環境整備
教職員及び専門スタッフ等、学校指導・運営体制の効果的な強化・充実
勤務時間の適正化や業務改善・効率化への支援
教育政策と「見える化」の関係
「経済財政運営と改革の基本方針2015(平成27年6月30日 閣議決定/(骨太2015)」で、「公共サービルの『見える化』」及び、「見える化」された情報を用いた「エビデンスに基づくPDCAの徹底」が強調されました。
それを受け、「経済・財政再生計画 改革工程表2015」(平成27年12月24日)に、「教育効果のエビデンスを重視」と記載されました。
教育政策の効果を「見える化」することが求められた結果、平成28年度から、「教育政策に関する実証研究」事業が始まりました。
そして、「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し」を提示するために、
- 少子化の進展
- 小規模化した学校の規模適正化の動向
- 学校の課題に関する客観的データ等の学校・教育環境に関するデータ
- 教育政策に関する実証研究の推進状況
- 地方自治体の政策ニーズ
等の情報が求められました。
さらに、
- これらのデータ
- 教育政策の成果及び費用
- 背景にある環境要因
を総合的に考慮して予算編成を行って、教育におけるPDCAサイクルを確立することが求められました。
(「教育政策に関する実証研究」と「エビデンス」については、「学校における働き方改革は可能か㉘」を参照してください。)
改革工程表と「見える化」
平成27年の12月に「経済・財政再生アクション・プログラム」(改革工程表2015)が、発表されました。
それ以降、毎年の予算編成で、経済・財政諮問会議により、政策についての重要課題のKPI(成果指標)が掲げられ、改革工程表が作成されるようになりました。
そして、政策の効果の「見える化」が図られました。
「経済・財政一体改革」で「見える化」を取り入れた理由
「改革工程表」の特長
経済・財政再生計画 改革工程表 2017改訂版(平成29年12月21日/経済・財政諮問会議)について
改革工程表について
改革工程表は、「経済財政運営と改革の基本方針2015」に盛り込まれた「経済・財政再生計画」にのっとり改革を着実に推進するため、毎年末に、個別政策ごとに進捗状況及び今後の取組の進め方等を取りまとめているものです。
「改革工程表2017」は2回目の改定版です。
「主要分野のKPI」(経済・財政再生計画 改革工程表2017改定版 参考資料)より文教関連(平成29年12月21日)
改革工程表で、各施策の成果を測るために用いられているのが、KPI(成果指標)です。
文部科学省の施策のうち、主に初等・中等教育に関連するもののKPIについて紹介します。
重要課題:少子化の進展を踏まえた教職員定数の見直しなど予算の効率化、エビデンスに基づくPDCA
施策群:学校規模適正化、学校現場の業務改善、教育のエビデンスの提示、教職員定数の見通し、遠隔授業の拡大、大学間連携・学部等再編統合
KPI:学校の小規模化について対策の検討に着手している自治体の割合
KPIの定義、測定の考え方
学校規模について課題を認識している市区町村のうち、課題解消に向けた検討に着手しているものと既に検討が終了しているものの合計が占める割合
進捗管理、評価・点検の視点
進捗状況について毎年度核自治体に調査・公表するとともに、好事例の全国展開、時限的な教員加配等により、学校の小規模化への対策を促進。2020年度までに全自治体での対策検討着手を目標。
計画開始時の数値(時点)
学校規模適正化の課題解消への検討状況:何らか対策・検討46%(2014年5月現在)
目標数値(達成時期)
2/3(2018年度)、100%(2020年度)
数値の把握頻度
毎年度
数値の把握時期
年度上半期
速報性
年度当初の数値を数ヶ月後に把握
主担当府省庁
文部科学省
KPIの把握手段
文部科学省「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実等に関する実態調査」
KPI:校務支援システムの導入率
KPIの定義、測定の考え方
校務支援システム(校務文書に関する業務、教職員間の情報共有、家庭や地域への情報発信、服務管理上の事務、施設管理等を行うことを目的とし、教職員が一律に利用するシステムをいう)を整備している学校の総数を学校の総数で除して算出した値
進捗管理、評価・点検の視点
校務システムの導入状況を自治体ごとに毎年度調査・公表し、教員の業務効率化・負担軽減、学校現場の業務改善を促進。2020年度までに9割導入を目標。
計画開始時の数値(時点)
82%(2015年3月現在)
目標数値(達成時期)
88%(2018年度)、90%(2020年度)
数値の把握頻度
毎年度
数値の把握時期
8~10月頃
速報性
毎年度末の数値を2~4か月後に把握
主担当府省庁
文部科学省
KPIの把握手段
文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」
KPI:業務改善の方針等を策定している都道府県の割合
KPIの定義、測定の考え方
全都道府県のうち、業務改善の方針等を策定している都道府県の割合
進捗管理、評価・点検の視点
業務改善の方針等の策定状況について、都道府県ごとに毎年度調査・公表し、教員の業務効率化・負担軽減、学校現場の業務改善を促進
計画開始時の数値(時点)
89.4%(2017年度)
目標数値(達成時期)
100%(2018年度)
数値の把握頻度
毎年度
数値の把握時期
夏頃
速報性
毎年度末の数値を調査実施年の夏頃に把握
主担当府省庁
文部科学省
KPIの把握手段
文部科学省「教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査」
KPI:業務改善状況を定量的に把握している都道府県の割合
KPIの定義、測定の考え方
全都道府県のうち、業務改善状況を定量的に把握している都道府県の割合
進捗管理、評価・点検の視点
業務改善状況の定量的な把握状況について、都道府県ごとに毎年度調査・公表し、教員の業務効率化・負担軽減、学校現場の業務改善を促進
計画開始時の数値(時点)
なし
目標数値(達成時期)
100%(2020年度)※2017年度中に調査を行い、初期値を把握し、2018年度目標を設定
数値の把握頻度
毎年度
数値の把握時期
夏頃
速報性
毎年度末の数値を調査。実施年の夏頃に把握。
主担当府省庁
文部科学省
KPIの把握手段
文部科学省「教育委員会における業務改善のための取組状況調査」
KPI:ICT活用による遠隔教育の実施校・開設科目数
KPIの定義、測定の考え方
学校教育法施行規則第88条の3等の規定に基づき実施される遠隔教育
進捗管理、評価・点検の視点
遠隔教育により担当教科の免許保有教員による科目開設を可能とし、教育の質を向上。2020年度までに70校・科目を目標。
計画開始時の数値(時点)
5教委(2015年度文科省事業実施数)
目標数値(達成時期)
42校・科目(2018年度)、70校・科目(2020年度)
数値の把握頻度
2年に1回程度
数値の把握時期
年度当初
速報性
年度当初の数値を1か月程度で把握
主担当府省庁
文部科学省
KPIの把握手段
文部科学省調べ
KPI:高等学校のコミュニティスクール導入している都道府県数(具体的な導入計画がある都道府県も含む)
KPIの定義、測定の考え方
全都道府県のうち、高等学校のコミュニティ・スクールを導入している、あるいは、具体的な導入計画がある都道府県の割合
進捗管理、評価・点検の視点
高等学校のコミュニティ・スクールについて、導入しているかどうか、あるいは、具体的な導入計画があるかどうか、都道府県ごとに毎年度調査・公表し、コミュニティ・スクールの導入を促進する。
計画開始時の数値(時点)
なし
目標数値(達成時期)
100%(2020年度)※2017年度中に調査を行い、初期値を把握し、2018年度目標を設定。導入校数については、増加・進捗検証。
数値の把握頻度
毎年度
数値の把握時期
夏頃
速報性
当該年度の4月1日時点の数値を同年の夏頃に把握
主担当府省庁
文部科学省
KPIの把握手段
文部科学省「コミュニティ・スクール導入・推進状況調査」
「主要分野の『見える化』事項」(経済・財政再生計画 改革工程表2017改定版 参考資料)
「経済・財政と暮らしの指標『見える化』ポータルサイト」について
内閣府では、経済・財政一体改革を着実に進めるために、公共サービスの需要・供給に関係して、
- 関係主体・地域間で比較できて差異が分かる
- 行政の運営改善や成果の有無・程度が分かる
- 改革への課題の所在が分かる
という3つの「分かる」に結びつく「見える化」に取り組んでいます。
この取組は、内閣府による試行的な分析、データベースの開設のほか、「主要分野の『見える化』事項」整理票に則り、関係府省庁の連携体制のもと実施しています。
このポータルサイトではこの様な「見える化」の成果を集約し、閲覧、検索、分析の一元化を図っています。
「主要分野の『見える化』事項」より文教関連/初等中等教育関係抜粋
次に、改革工程表に取り入れられている「見える化」事項のうち、初等中等教育に関係のあるものについて紹介します。
「見える化」事項1:自治体別の児童生徒1人当たりの教職員人件費、学校の運営費、学校の業務改善の取組、学級数別学校数等
①「見える化」事項の内容の詳細
自治体別の児童生徒1人当たりの教職員人件費、学校の運営費、学校の業務改善の取組、学級数別学校数等
②「見える化」のねらい
学校規模の適正化、学校運営の効率化の状況について比較可能な形で明確化し、先進的な自治体の取組の導入を促進し、教育の質を向上
③対象
改革の進捗(インプット、アウトプット)
④実行主体
文部科学省、都道府県、市町村
⑤「見える化」のコンテンツ
自治体別の児童1人当たりの教職員人件費、学校の運営費、学校の業務改善の取組、学級数別学校数等
⑥「見える化」の手順
2015年度から調査・公表、順次取組推進・拡大
「見える化」事項2:学校規模の適正化に関する自治体別進捗状況(対策の検討に着手している自治体の割合、統廃合等の件数・経費)
①「見える化」事項の内容の詳細
学校規模について課題を認識している市区町村のうち課題解消に向けた検討に着手しているものと既に検討が終了しているものの合計が占める割合、過去一定期間の統廃合等の件数・経費
②~④、⑥
事項1に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
学校規模について課題を認識している市区町村のうち課題解消に向けた検討に着手しているものと既に検討が終了している者の合計が占める割合、過去一定期間の統廃合等の件数・経費
「見える化」事項3:校務支援システムの導入率
①「見える化」事項の内容の詳細
全学校数のうち校務支援システムを整備している学校数の割合
②~④、⑥
事項1に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
全国の都道府県の校務支援システムの導入率
「見える化」事項4:業務改善の方針等を策定している都道府県の割合
①「見える化」事項の内容の詳細
都道府県における業務改善の方針等の策定の有無
②~④、⑥
事項1に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
業務改善の方針等を策定している都道府県の割合
「見える化」事項5:業務改善状況を定量的に把握している都道府県の割合
①「見える化」事項の内容の詳細
都道府県における業務改善状況の定量的な把握の有無
②~④、⑥
事項1に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
業務改善状況を定量的に把握している都道府県の割合
「見える化」事項6:ICT活用による遠隔授業実施状況
①「見える化」事項の内容の詳細
ICTを活用した遠隔教育の実施校・開設科目数
②~④、⑥
事項1に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
都道府県別の遠隔教育実施校数・開設科目数
「見える化」事項7:義務教育に係る成果と費用、環境要因(実証研究)
①「見える化」事項の内容の詳細
義務教育に係る成果と費用、環境要因
- 対象とすべき教育政策:各種の加配措置、少人数教育、習熟度別指導等多様な教育政策
- 測定すべき教育成果・アウトカム:知識・技能、思考力・判断力・表現力、学習意欲等/コミュニケーション能力、自尊心・社会性等の非認知能力/児童生徒の行動
②「見える化」のねらい
教育政策について、成果及び費用、背景にある環境要因を総合的に考慮したPDCAサイクルを確立し、教育の質を向上
③④
事項1に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
実証研究の成果の概要
⑥「見える化」の手順
2015年度中に研究の枠組み・体制等について検討、2016年度から着手、計画的に実施・拡大
「見える化」事項8:全国学力・学習状況調査の研究活用(文科省委託研究以外での大学等の研究者によるデータ活用・研究)
①「見える化」事項の内容の詳細
文部科学省からの委託研究等を除く大学等の研究者による全国学力・学習状況調査の個票データ等の活用状況
②「見える化」のねらい
教育政策について、成果及び費用、背景にある環境要因を総合的に考慮したPDCAサイクルを確立し、教育の質を向上
③対象
改革の進捗(インプット・アウトプット)
④実行主体
文部科学省
⑤「見える化」のコンテンツ
委託研究等以外での、大学等の研究者への個票データ等の提供状況等
⑥「見える化」の手順
2016年度中に貸与ルール整備、2017年度から研究活用開始
「見える化」事項9:高等学校のコミュニティ・スクールを導入している都道府県数
①「見える化」事項の内容の詳細
高等学校のコミュニティ・スクールを導入している都道府県数(具体的な導入計画がある都道府県も含む)
②~④
事項9に同じ
⑤「見える化」のコンテンツ
高等学校のコミュニティ・スクールを導入している都道府県数(具体的な導入計画がある都道府県も含む)
⑥「見える化」の手順
2017年度中に調査を行い、2018年度公表
「見える化」事項10:教職員定数の見通し
①「見える化」事項の内容の詳細
義務教育諸学校の教職員定数の中長期的な人数見通し
②④
事項9に同じ
③対象
改革の成果(アウトカム)
⑤「見える化」のコンテンツ
年度ごとの教職員定数の推移
⑥「見える化」の手順
2018年度までに策定、公表、提示
経済・財政再生計画 改革工程表 2017改訂版(平成29年12月21日/経済財政諮問会議)
少子化の影響を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づいたPDCAサイクル
ⅰ学校規模適正化と学校の業務効率化
施策1:学校規模適正化
~2016年度
~2018年度
2019年度、2020年度~
中間検証を踏まえ、取組内容を追加・修正のうえ、推進・拡大
KPI(第一階層)
学校の小規模化について対策の検討に着手している自治体の割合【2018年度2/3】【2020年度100%】
KPI(第二階層)
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
施策2:学校の業務改善
~2016年度
学校現場の業務改善ガイドラインの全国普及
~2017年度
教員の勤務実態調査の実施・調査分析、学校における働き方改革に関する緊急対策をとりまとめ
~2018年度
2019年度、2020年度~
中間検証を踏まえ、取組内容を追加・修正のうえ、推進・拡大
KPI(第一階層)
- 校務支援システムの導入率【2018年度88%】【2020年度90%】
- 業務改善方針等を策定している都道府県の割合【2017年度89.4%】【2018年度100%】
- 業務改善状況を定量的に把握している都道府県の割合【2020年度100%】(今年度中に調査を行い、初期値を把握し、2018年度目標を設定)
KPI(第二階層)
教員の総勤務時間及びそのうちの事務業務の時間(2013年度調査:週53.9時間,5.5時間)【2017年調査においていずれも2013年比減を目標】
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
ⅱエビデンスの提示
施策3:エビデンスの提示①
~2018年度
2019年度、2020年度~
中間検証を踏まえ、取組内容を追加修正のうえ、推進・拡大
KPI(第二階層)
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
施策3:エビデンスの提示②
~2016年度
教育政策に関する実証研究の枠組み・体制等について、研究者・有識者の協力を得つつ検討、実証研究を開始
2016年度~2019年度、2020年度~:教育政策に関する実証研究を計画的に実施
各種の加配措置、少人数教育、習熟度別指導等多様な教育政策に関する費用効果分析を含め、研究者・有識者からなる実効性ある研究推進体制の下で、一定数の意欲ある自治体等の協力を得て実施
中期の継続的な縦断研究及び短期の研究を実施
- 多面的な教育成果・アウトカムの測定
- 知識・技能、思考力・判断力・表現力、学習意欲等
- コミュニケーション能力、自尊心・社会性等の非認知能力
- 児童生徒の行動
- 子供の経時的変化の測定
- 学校以外の影響要因の排除等も考慮
得られた研究成果は成果や費用、政策が実施される背景にある環境要因を「見える化」するとともに、それらを総合的に考慮して教職員定数の中期見通し作成を含む政策形成に漸次活用
具体的には、以下について実証研究を実施
- 学級規模等の影響効果
- 加配教員・専門スタッフ配置の効果分析
- 高い成果を上げている地域・学校の取組・教育環境の分析
- 教員の勤務実態の実証分析
KPI(第二階層)
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
施策3:エビデンスの提示③
2016年
全国学力・学習状況調査の研究への活用について、「全国的な学力調査に関する専門家会議」において、文部科学省からの委託研究等以外でも大学等の研究者が個票データを活用できるよう、提供する個票データの内容やデータの管理方法、研究成果の公表の在り方など、具体的な貸与ルールを検討・整備
~2017年度
個票データ等の貸与に係るガイドラインを策定
~2018年度
貸与・公表対象となる匿名データ等を作成
2018年度
貸与データが整い次第、順次貸与を進める予定
2016年度~2018年度
全国学力・学習状況調査の大学等の研究者による研究の推進・拡大
2019年度、2020年度~
中間検証を踏まえ、取組内容を追加修正の上、推進・拡大
KPI(第二階層)
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
ⅲ教職員定数の見通し
政策4:教職員定数の見通し
2016年度
教職員定数の中期見通しを策定する前提となる事柄について整理
2016年度~2018年度
2019年度、2020年度~
KPI(第二階層)
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
ⅳ ICTを活用した遠隔授業拡大
施策5:ICTを活用した遠隔授業拡大
2016年度~2017年度
モデル事業を通じて高校における遠隔授業実践例を拡大
~2018年度
高校への普及促進
2017年度~2018年度
高校実践例を踏まえた課題整理・中間検証
2019年度、2020年度~
中学校等の授業充実に向けた活用の検討を含め、中間検証を踏まえ、取組内容を追加修正の上、推進・拡大
KPI(第一階層)
ICT活用による遠隔教育の実施校数・開設科目数【2018年度42校・科目】【2020年度70校・科目】
KPI(第二階層)
(ⅰ~ⅴを通じて)知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る。
(参考)PISA2015:科学的リテラシー1位、読解力6位、数学的リテラシー1位(OECD加盟国中)(※注)上記の国際学力調査結果に加え、毎年度実施する全国学力・学習状況調査の結果等の活用を通じて、毎年度の状況を検証・把握
経済・財政計画の改革工程、KPIの進捗整理表
「経済・財政計画の改革工程、KPIの進捗状況整理票」は、「経済・財政再生計画 改革工程表2017改定版」の策定に向けて、「経済・財政再生アクション・プログラム(平成27年12月24日経済財政諮問会議決定)」で定めた改革工程及び、KPIの進捗状況について、各WGで整理したものです。
KPIの進捗状況の区分について
KPIの進捗状況の区分基準
- A:目標達成期間に対する経過期間の割合以上に、KPIが目標達成に向けて進捗している
- B:AほどKPIが進捗していない
- N:今後データが得られるため、現時点では区分困難
- F:定量的な目標値が設定されていない
「A」区分の考え方
KPIの進捗状況(目標数値から初期数値を引いた値に対する、現在数値から初期数値を引いた値の割合)が、目標達成期間に対する経過期間の割合を上回っている場合に「A」とする。
- 初期数値…現在において入手可能な、計画開始直前のKPIの数値
- 現在数値…現在把握できる、直近のKPIの数値
- 目標達成期間…計画開始時点から、KPIごとに定めた目標達成時期までの期間
- 経過期間…初期数値の時点から、現在数値の時点までの期間
目標値を「増加」または「縮小」等としているKPIの区分基準
- A:目標値に向かって進捗している
- B:数値に変更がない、又は目標値に相反して進捗している
- N:今後データが得られるため、現時点で区分困難
重要課題:①少子化の進展を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づいたPDCAサイクルの構築>改革項目:Ⅰ.学校規模適正化と学校の業務効率化>「学校規模適正化」
改革工程の進捗状況
改革工程①:学校規模適正化に関する実態調査
進捗状況
学校規模の適正化に関する自治体の進捗状況について、統廃合等の件数・経費を含め、調査(2016年5月1日時点)・公表。
今後の進展について
2018年度に同調査を実施予定。
改革工程②:モデル創出に向けた委託研究の実施
進捗状況
2015年度から統合による魅力ある学校づくり等のモデル創出に向けた調査研究を実施。【予算額】H29:3,700万円【委託統合】統合:11件 存続:15件
今後の進展について
「統合による魅力ある学校づくり」や「統合困難な地域における教育環境の整備の充実」の取組モデルを創出するための予算を平成30年度概算要求に計上。
改革工程③:学校規模適正化の好事例の全国展開
進捗状況
学校統合の適否やその進め方、小規模校を存続する場合の充実策等について、地方自治体が検討する際の基本的な方向性や考慮すべき要素、留意点等を取りまとめた学校規模適正化等に関する手引を作成(2015年1月27日)・周知。
今後の進展について
上記実態調査の結果も踏まえつつ、モデル創出に向けた調査研究により得られた好事例を分析・発信する。
改革工程④:統合校に対する支援
進捗状況
平成29年度予算において、統合校への支援として400人の教職員定数の加配措置を行うとともに、統合支援として、スクールバス購入費、遠距離通学費支援を拡充。
今後の進展について
平成30年度概算要求において、引き続き統合校への支援を行うため50人の加配定数の改善等を要求。
KPIの状況
第1階層
KPI
学校の小規模化について対策の検討に着手している自治体の割合
目標値
2/3(2018年度)、100%(2020年度)
実績値(時点)
58%(2016年5月)
区分
A
進捗状況・今後の対応
2018年度に調査を実施予定
第2階層
KPI
知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る
目標値(達成時期)
OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持・向上
実績値(時点)
OECD・PISA:読解力6位、科学的リテラシー1位、数学的リテラシー1位(2015年調査,高1,OECD加盟国順位)IEA・TIMSS:小4算数5位、理科3位、中2数学5位、理科2位(2015年調査)
区分
A
進捗状況・今後の対応
OECD・PISA:2018年6月~7月頃実施予定等、IEA・TIMSS:2019年3月頃実施予定等
重要課題:①少子化の進展を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づいたPDCAサイクルの構築>改革項目:Ⅰ.学校規模適正化と学校の業務効率化>「学校の業務改善」
改革工程の進捗状況
改革工程①専門スタッフの学校への配置
進捗状況
平成29年度予算において、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)等の配置による教育相談体制の充実等を支援するための予算を措置(平成29年度:SC:26,000校、SSW:5,047人など)
今後の進展について
平成30年度概算要求において引き続きSCやSSW等の配置による教育相談体制の充実等を支援するために必要な経費を要求(1/3補助、SC:27,500校、SSW:8,047人など)
改革工程②業務改善ガイドラインの全国普及
進捗状況
教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果をとりまとめ、各教育委員会に対して、取組の徹底通知(平成29年6月)
時間外勤務削減等の効果のエビデンスを得て全国発信する実践研究などを進めるとともに、学校現場の業務改善に関する全国フォーラムを3回実施(7月、11月、12月)
今後の進展について
学校の働き方改革について、中央教育審議会での議論を受けて、年内に取りまとめる緊急対策を踏まえ、必要な方策を実施。
改革工程③:教員の勤務実態調査の実施・調査分析
進捗状況
平成29年4月に、教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)について公表。
今後の進展について
年内に、勤務実態及び労働負荷等に関する調査結果の分析。
KPIの状況
第一階層
KPI
校務支援システムの導入率
目標値(達成時期)
88%(2018年度)、90%(2020年度)
実績値(時点)
83.4%(2016年3月)
区分
A
進捗状況・今後の対応
現在の増加率(前年比1.5%増)を維持すれば、目標値を達成する見込み
第二階層
KPI①
教員の総勤務時間及びそのうちの事務業務の時間
目標値(達成時期)
2018年度調査においていずれも2013年比減を目標
実績値(時点)
週53.9時間中5.5時間(TALIS2013)
区分
N
進捗状況・今後の対応
2018年に調査を実施予定(TALIS2018)
第二階層
KPI②
知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る
目標値(達成時期)
OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持・向上
実績値(時点)
OECD・PISA:読解力6位、科学的リテラシー1位、数学的リテラシー1位(2015年調査,高1,OECD加盟国順位)IEA・TIMSS:小4算数5位、理科3位、中2数学5位、理科2位(2015年調査)
区分
A
進捗状況・今後の対応
OECD・PISA:2018年6月~7月頃実施予定等、IEA・TIMSS:2019年3月頃実施予定等
重要課題:①少子化の進展を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づいたPDCAサイクルの構築>改革項目:Ⅱ.エビデンスの提示
改革工程の進捗状況
改革工程①:学校・教育環境に関するデータを比較可能な形で調査・公表
進捗状況
改革工程表にある「児童生徒1人当たりの教職員人件費」や「学校の運営費」等の項目を中心に、学校・教育環境に関する自治体別のデータについて、内閣府の「経済・財政と暮らしの指標『見える化』データベース」に掲載。
今後の進展について
順次データの更新を行うとともに、新たなデータの追加を検討。
改革工程②:教育政策に関する実証研究
進捗状況
平成28年度より、研究テーマごとの実証研究を実施(本年4月に「教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)」について公表)。
研究テーマごとの進捗状況を「教育政策に関する実証研究委員会」においてフォローアップ。
今後の進展について
「教育政策に関する実証研究委員会」において、引き続き研究テーマごとに進捗をフォローアップ。
平成29年度末までの調査結果の分析を行うとともに、新たな課題に対応するための追加調査を検討。
KPIの状況
第二階層
KPI
知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る
目標値(達成時期)
OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持・向上
実績値(時点)
OECD・PISA:読解力6位、科学的リテラシー1位、数学的リテラシー1位(2015年調査,高1,OECD加盟国順位)IEA・TIMSS:小4算数5位、理科3位、中2数学5位、理科2位(2015年調査)
区分
A
進捗状況・今後の対応
OECD・PISA:2018年6月~7月頃実施予定等、IEA・TIMSS2019年3月頃実施予定等
改革工程の進捗状況
改革工程③:全国学力・学習状況調査の研究への活用
進捗状況
全国学力・学習状況調査の個票データ等の貸与に係るガイドラインを策定。(平成29年3月)
平成29年度委託研究において、公表・貸与対象となる匿名データ及び疑似データを作成中。
今後の進展について
貸与データが整い次第、貸与申請の受付を開始する予定。
KPIの状況
第二階層
KPI
知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る
目標値(達成時期)
OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持・向上
実績値(時点)
OECD・PISA:読解力6位、科学的リテラシー1位、数学的リテラシー1位(2015年調査,高1,OECD加盟国順位)IEA・TIMSS:小4算数5位、理科3位、中2数学5位、理科2位(2015年調査)
区分
A
進捗状況・今後の対応
OECD・PISA:2018年6月~7月頃実施予定等、IEA・TIMSS2019年3月頃実施予定等
重要課題:①少子化の進展を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づいたPDCAサイクルの構築>改革項目:Ⅲ.教職員定数の見通し
改革工程の進捗状況
改革工程①:教職員定数の見通し
進捗状況
「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し」に関する基盤となる改正義務標準法や、社人研による直近の将来推計人口、教育政策に関する実証研究の進捗(教員勤務実態調査の速報値等)に基づき、平成30年度概算要求において、「新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築」(2017~2026年度までの10年間で約9,300人の減(国・地方合わせて約600億円の減額))を文部科学省が提示。
今後の進展について
義務標準法の改正や実証研究の進捗等を踏まえ、平成30年度末までに「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し」を策定。
改革工程②:ICTを活用した遠隔授業拡大
進捗状況
- 効果的な遠隔教育の実施に向けた実証研究を全国7県で実施中(平成27年度~)(多様な学習を支援する高等学校推進事業(平成29年度予算額6,794万5,000円の内数))
- 事業最終年度となる本年度は、専門家による事業全体の評価・分析を実施予定。
今後の進展について
遠隔教育の「高校への普及促進」を図るため、全国的な普及に向けた「遠隔教育フォーラム」を全国各地で実施するための経費を平成30年度概算要求に計上。(高等学校における次世代の学習ニーズを踏まえた指導の充実事業(平成30年度概算要求額1億3,057万3,000円の内数))
KPIの状況
第一階層
KPI
ICT活用による遠隔授業の実施校数・開設科目数
目標値(達成時期)
42校・科目(2018年度)、70校・科目(2020年度)
実績値(時点)
ICT活用による遠隔教育の実施校数・開設科目数:24校・67科目(2016年度)
区分
A
進捗状況・今後の対応
平成30年度中に遠隔授業の実施状況を調査予定
第二階層
KPI
知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る
目標値(達成時期)
OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持・向上
実績値(時点)
OECD・PISA:読解力6位、科学的リテラシー1位、数学的リテラシー1位(2015年調査,高1,OECD加盟国順位)IEA・TIMSS:小4算数5位、理科3位、中2数学5位、理科2位(2015年調査)
区分
A
進捗状況・今後の対応
OECD・PISA:2018年6月~7月頃実施予定等、IEA・TIMSS2019年3月頃実施予定等
予算執行調査資料 「小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業のうち外国語教育の教材整備(小学校外国語活動)」(平成30年度予算政府案/平成30年1月/財務省主計局)
反映状況票
事案の概要
以下の取組を通じ、小・中・高等学校における英語教育等の次期学習指導要領の改訂に向け、初等中等教育段階における英語教育全体の強化を図る事業。
- 英語教育強化地域拠点事業
- 外国語活動・外国語教育の教材整備等
- 外部専門機関と連携した英語力向上事業
- 外部試験団体と連携した英語力調査事業
調査結果の概要及び今後の改善点・検討の方向性
教材の活用による教育効果の測定について
事業開始後7年が経過しているにもかかわらず、国作成の教材の活用による効果測定について、市区町村教育委員会及び学校(以下、「教育委員会等」という)の8割が効果測定を行っておらず、全体として不十分と言わざるを得ない状況にある。
文部科学省は、新学習指導要領施行に基づく小学校外国語活動の早期化・教科化に向け、効果測定に基づくPDCAサイクルの構築を通じて、まずは教材を含めた学習効果を測定した上で、どのような教育手法、教材が真に効率的・効果的なのか検証すべき。
教材の使用状況について
国作成の教材については、
- 学校現場におけるICT機器の活用状況とその結果、
- 地方や私立学校における独自の取組等
を十分に把握した上で、紙媒体の教材のあり方・必要性を見直し、効率的な予算執行に努めるべき。
反映の内容等
教材の活用による教育効果の測定について
平成30年度から使用される新教材の活用等による教育効果の測定について、各教育委員会・学校に対する実態調査等を通じて、教材の学習効果や指導法等について検証する。
教材の使用状況について
平成30年度に各学校で使用する新教材については、紙媒体の教材の必要性を確認する必要部数調査を実施し、デジタル教材のみを使用すると回答した学校には配布しないなど、真に必要な冊数への見直しを行う。(反映額:▲1,100万円)
総括調査票
「総括調査票」は、各省が概算要求時に提出した政策評価の結果の適否を、財務省が詳しく調査した内容を示したものです。
そして、この調査結果を予算額に反映した状況を示したものが、前述した「反映状況票」で、財務省が査定した結果の政府予算案額が表記されます。
まとめ
今回の記事では、主に教育の成果がどのような形で政府に評価され、予算に反映されるのかについて書きました。
- 文部科学省自らが行う「政策評価」
- 文部科学省自らが行う「行政事業レビュー」
- 各事業に対する外部有識者の5年に1回の点検
- 「行政改革推進会議」が各府省の点検自体の妥当性を公開の場で検討する「秋のレビュー」
- 「経済・財政諮問会議」によって作成される「改革工程表」と、「KPIの進捗整理票」
- 「政策評価」を基に行われる財務省による予算査定
公表されるものとしては、これらが主に文部科学省の政策、施策、事業が評価され、政策や予算が決定される仕組みとされています。
(もちろん、これら以外にも、政策や予算を評価し、決定する手段は多くあると思われます。)
文部科学省が行う政策評価は、記事内で紹介したとおり、
- 自らの政策についてその効果を把握する
- 必要性・有効性・効率性等の観点から評価を実施する
- その評価を政策の改善につなげる(PDCAサイクル)
- 国民に対する説明責任を果たす
- 施策レベルの事後評価を中心に実施
- 事前分析表において施策目標ごとに複数の達成目標、指標をあらかじめ設定
- 事後評価の実施に際しては、当該目標・指標の達成状況を評価
というものです。
前述したとおり、平成27年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」で、公共サ-ビスの「見える化」及び、「見える化」された情報を用いた「エビデンスに基づくPDCAサイクルの徹底」が強調されました。
そして、「経済・財政再生計画 改革工程表2015」に、「教育効果のエビデンスを重視」と記載されました。
それまでも、政策評価は行われていましたが、この「見える化」や「エビデンスに基づくPDCAサイクルの徹底」、「改革工程表」と「KPIの進捗整理票」などによって、より一層、教育の効果を目に見える形で表すことが求められるようになりました。
本記事の「経済・財政再生計画 改革工程表 2017改定版」の章では、「少子化の影響を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づいたPDCAサイクル」という重要課題に対して、
ⅰ学校規模適正化と学校の業務効率化、
ⅱエビデンスの提示、
ⅲ教職員定数の見通し、
ⅳICTを活用した遠隔授業拡大
の4つの施策すべてのKPIを示しました。
その結果、これらの施策のKPI(第二階層)は、
「知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人を育成し、OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上を目標とするなど、初等中等教育の質の向上を図る」
だということが分かりました。
そして、「ⅱエビデンスの提示」の中に、
「知識・技能、思考力・判断力・表現力、学習意欲等」
「コミュニケーション能力、自尊心・社会性等の非認知能力」
「児童生徒の行動」
という項目がありました。
これらをテストや心理検査で測れたとして、これが、本当に、KPI(第二階層)の
「知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人」
の育成成果の判断の根拠となるのでしょうか。
何より、現代の社会の風潮や文部科学省の施策で、「個を重視」、「多様性を認める」と盛んに言われていることから考えて、このようなマルチな人間の育成を求めること自体が矛盾しているように思います。
KPIから考えると、どうして「学校の規模適正化」や「学校の業務効率化」をしたり、「教職員定数の見通しを提示」したりするのかというと、
「知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・人間性等の資質・能力の調和がとれた個人」を育て、
「OECD・PISA調査等の各種国際調査を通じて世界トップレベルの維持・向上」を達成するため
ということになります。
学校の業務効率化を進めるための予算を増やし続けて欲しければ、例えば、
スクールサポーターや部活動指導員を配置してもらえたら、その分、
児童生徒の人間性を高め、成績を上げないとだめ、
ということです。
でも、実際は、いくら少し人が増えて少し業務が減ったとしても、今まで勤務時間外にしていた業務が減るだけなので、勤務時間内に児童生徒の成績を上げるための教材研究の時間が確保できる訳ではありませんよね。
ましてや、児童生徒の人間性を高めることは、業務の量を減らして授業を工夫しても、短期間で効率的にできることとは思えません。
また、今回の記事では、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」についてもお伝えしました。
前述したとおり、その中で、「これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務のあり方に関する考え方」が示されました。
発表された当時、私は、公立の小学校の教員として勤務していました。
当時加入していた教員組合の機関誌で、その内容を見た私は、驚きと喜びとともに、「このような業務の分担が実現することはないだろうな。」と冷めた気持ちも感じました。
なぜなら、今まで教員が担ってきた膨大な業務を、現状のままの人的配置で、地域の人や学校事務員、サポートスタッフに全て丸投げすることは不可能だと分かっていたからです。
また、必要な人員を雇うために必要な予算を、長年財政改革を進めている政府が捻出してくれるとは到底思えなかったからです。
職場の同僚も同様の思いであったためか、「これまで学校・教師が担ってきた代表的な業務のあり方に関する考え方」について、あまり話題にもなりませんでした。
今回も、皆さんにお伝えしたいことが多すぎて、非常に長い記事になってしまいました。(-_-;)
それでは、文部科学省の「学校における働き方改革を本気で進めよう。」という気概が感じられる平成30年度の概算要求が、このような政策評価システムをとおして、評価され、予算査定を受けて成立した、「平成30年度予算政府案」はどのようなものになったのでしょうか。
今回はそこまでたどり着けませんでしたが、「学校における働き方改革は可能か㉝~『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』と平成30年度予算~」で、是非見ていきたいと思います。
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