教員免許更新制廃止で失効した教員免許が復活します!②~手続きなしで教員免許が復活する人~

教員免許更新制廃止 説明図 旧免許状 教員免許更新制
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はじめに~手続きなしで教員免許が復活する人~

5月13日に「教員免許更新制廃止で失効した教員免許が復活します!」の記事を公開しました。

現職教師以外にも、かつて教員免許状を保有されていた方や、現在も保有されている方が数多くいらっしゃるため、相当関心が高いようで、多くの方々に読んでいただいています。

その中で、教員免許更新制廃止により、

かつて教員免許を取得したものの、教員免許更新講習を受けなかったために免許が失効してしまった方も、7月1日以降は、何の手続きもなく教員免許が復活します!

と書きました。

そして、ほぼ同時に文部科学省から、「改正教育職員免許法施行後の教員免許状の取扱いについて(周知)」という事務連絡が発出されました。

それを読むと、”何の手続きもなく教員免許が復活する人”はどんな人なのか、私の書き方では正しく伝えられていないことが分かりました。

そのため、この記事で皆さんに正確にお伝えします。

先に結論を言ってしまうと、前回の記事の内容は、正確に言えば、

平成21年3月31日以前に教員免許を取得したものの、教員免許状の有効期限のとき、現職教師でなく教員免許更新講習を受けなかったために免許が「休眠状態」になってしまった方は、7月1日以降は、何の手続きもなく教員免許が復活します!

と書くべきでした。

なお、私が読んだり観たりした他の報道の中にも、やはり、内容を正確に理解できておらず、誤った情報を伝えているものがありましたので、ご注意ください。

「改正教育職員免許法施行後の教員免許状の扱いについて(周知)」文部科学省 教員免許更新制廃止 教員免許復活
「改正教育職員免許法施行後の教員免許状の取扱いについて(周知)」(令和4年5月13日文部科学省事務連絡)から抜粋
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「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて(周知)※改正教育職員免許法施行時」(令和4年5月13日/文部科学省事務連絡)

施行日時点で有効な教員免許状の扱い

施行日時点で有効な教員免許状休眠状態のものを含む)は、手続きなく、有効期限のない免許状となる。

施行日前に有効期限を超過した教員免許状の扱い

施行日前に有効期限を超過した教員免許状の扱いは次のとおり。

※「現職」「非現職」の判定時点は、有効期限の日現在。

※「現職教師」には、産休・育休中の者等も含む。

新免許状(更新制導入後〈平成21年4月1日以降〉に初めて免許状の授与を受けた者が保有する免許状)

  • 現職教師…失効
  • 非現職教師(ペーパーティーチャー等)…失効

旧免許状(更新制導入前〈平成21年3月31日以前〉に初めて免許状の授与を受けた者が保有する免許状)

  • 現職教師…失効
  • 非現職教師…休眠

旧免許状保有者が更新制導入後に新たに他の免許状の授与を受けた場合

旧免許状保有者が更新制導入後に新たに他の免許状の授与を受けた場合、新たに授与されたものも含め、「旧免許状」として、取り扱われる。

このため、同一の者が新・旧免許状を両方保有することはない。

(例:平成21年3月31日以前に中学校教諭免許状を取得し、平成21年4月1日以降に小学校教諭免許状を取得した場合など)

失効した免許状の再授与申請手続き

  • 失効した免許状については、都道府県教育委員会に再授与申請手続きを行うことで、有効期限のない免許状の授与を受けることが可能。
  • 極めて例外的なケース(平成12年の教育職員免許法改正に伴う経過措置により授与された免許状)については、免許状が再授与されない場合がある。
  • 再授与申請手続に必要な書類等については、各都道府県教育委員会が定めている。
令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて※改正教育職員免許法施行時 教員免許更新制廃止 教員免許復活
「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて」(令和4年5月13日文部科学省事務連絡)より抜粋

新免許状の扱いの図解

令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて 新免許状の扱いの図解 失効 手続き 有効期限のない免許状 教員免許更新制廃止 教員免許復活
「新免許状の扱いの図解」(「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて」(令和4年5月13日文部科学省事務連絡)を参考に筆者〈Ukachi05524587〉作成)

旧免許状の扱いの図解

令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて 旧新免許状の扱いの図解 失効 休眠 手続き 有効期限のない免許状 教員免許更新制廃止 教員免許復活
「旧免許状の扱いの図解」(「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて」(令和4年5月13日文部科学省事務連絡)を参考に筆者〈Ukachi05524587〉作成)
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「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて(周知)※改正教育職員免許法施行時」(令和4年5月13日/文部科学省事務連絡)(補足説明)

(注1)の補足

新免許状には有効期間があり、旧免許状には有効期間はありませんが生年月日に従って割り振られた修了確認期限が設定されています。

本表ではこれらを併せて「有効期限」と表記しています。

「有効期限」の自己確認方法については文部科学省HPの以下のページを参考にしてください。

トップ>教育>教員の免許、採用、人事、研修等>教員免許更新制>〈ケース別〉更新手続きの流れ>新免許状所持者(平成21年4月以降に初めて免許状を授与された方)

トップ>教育>教員の免許、採用、人事、研修等>教員免許更新制>修了確認期限をチェック

(注2)の補足

「現職」「非現職」の判定時点は、有効期限の日現在です。

「現職教師」には、産前・産後休暇、育児休業、介護休業、病気休職等、休暇、休業、休職中の者も含みます。

有効期限の日に退職した教員について、定年退職者は「現職教師」、自己都合退職、勧奨退職者は、「非現職教師」の扱いとなります。

本表でいう「現職教師」とは「更新講習の受講義務者」を指します。

具体的には以下のとおりです。

  1. 校長、副校長、教頭、及び教員(ただし、指導改善研修受講中の者を除く。)
  2. 教育庁、指導主事、社会教育主事、その他教育委員会において学校教育又は社会教育に関する指導等を行う者
  3. 2に準ずる者として免許管理者が定める者

(注3)の補足

再授与申請手続きに必要な書類等については、各都道府県教育委員会が定めています。

必要書類の例

  • 申請書
  • 学力に関する証明書(学位と単位の取得・修得状況確認)
  • 介護等体験証明書(小中学校教員に必要な体験実施状況)
  • 戸籍抄本・謄本(原簿に登録するための氏名・本籍地の確認用)
  • 宣誓書(免許授与の欠格要件に該当しないことの確認)

(注4)の補足

平成12年改正教育職員免許法(平成12年法律第29条)附則第2項各号及び第3項の経過措置により授与された免許状は、失効した場合再授与されません。

令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて(補足説明)文部科学省 事務連絡 改正教育職員免許状施行時 有効期限の自己確認方法 教員免許更新制廃止 教員免許復活
「令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて」(令和4年5月13日文部科学省事務連絡)より抜粋
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まとめ~手続きなしで教員免許が復活する人~

調べた結果、「教員免許更新制廃止で失効した教員免許が何の手続きもなく復活する人は、以下の3つの条件をすべて満たす人です。

  • 旧免許状保持者
  • 免許状の有効期限の日現在、非現職教師
  • 有効期限までに免許状講習を受講しなかったために免許状を更新できずに『失効した人(※)※文部科学省は「失効」という言葉は使っていません。【休眠】だそうです!?

「休眠」という新しいワードが使われています。

ですから、

かつて教員免許を取得したものの、教員免許更新講習を受けなかったために免許が失効してしまった方も、7月1日以降は、何の手続きもなく教員免許が復活します!

という前回の記事の内容は、正確に言えば、

平成21年3月31日以前に教員免許を取得したものの、教員免許状の有効期限のとき、現職教師でなく教員免許更新講習を受けなかったために免許が「休眠状態」になってしまった方は、7月1日以降は、何の手続きもなく教員免許が復活します!

と書くべきでした。

申し訳ありませんでした。

「休眠」の条件に当てはまる人たちは、どういう人かを一言でいうと、

「教員免許状更新制が始まる前に、教員免許状は取得したけど、自分の免許状の有効期限の時点では現職の教師ではなかったし、教師の仕事を今後するつもりがなかった人」

ということになりますね。

つまり、教員免許状更新制や有効期限のことを知らなかった人(又は知らなかったとみなされた人)ということです。

教員免許更新制が始まった後に免許を取得した人は、教員免許の有効期限の情報を知ることのできる立場であったので、失効した免許状を復活させるためには手続きが必要なのです。

また、教員免許の有効期限の時点で現職教師だった人も、教員免許の有効期限の情報を知ることのできる立場であったので、失効した免許状を復活させるためには手続きが必要なのです。

気の毒なのは、産休・育休・介護休暇・病気療養中のいずれかだった人ですね。

いくら「現職教師」といえども、きちんと教員免許の有効期限の情報を知ることができていたのか不明ですし、その時点ではもう教師の仕事をするつもりはなかったのかもしれません。

しかし、今回、手続きをすれば免許状が復活するようなので、良かったですね。

そして、今回の教員免許更新制の廃止の一番のねらいは、なんと言ってもやはり教員不足解消でしょう。

やや強引なやり方にもみえますが、この政策で、失効した教員免許状や休眠状態であった教員免許状が復活して、教員不足が一刻も早く回復することを祈っています!

コメント

  1. @Atrash より:

    教員免許更新制が教員不足をもたらしたと思っています。
    この制度が「発展的に解消」という言葉で実質廃止されてよかったです。
    しかし、文科省は新たな研修制度を作って再び「教師の質の向上」とか「不適格教員の排除」などと言っています。
    そして、研修の結果をテストや記録で判断する仕組みのようです。
    どこまで教員を苦しめるのか。
    このような施策を行うのは、ただ単に「世間に対して示しがつかない。」という理由からだと思います。
    納得いきません。
    教員免許更新制のような明らかに間違った制度を作ったことを政府は謝ってほしい。

  2. Ukachi05524587 Ukachi05524587 より:

    Atrashさん、コメントありがとうございました。
    おっしゃるとおり、教員免許更新制は世紀の愚策だと思います。
    新しい研修制度も、文科省は「負担を減らす。」と言っていますが、教員や管理職、教育委員会にとって以前にも増して負担がかかる制度のようで、心配です。

  3. Emma より:

    現在教員になろうかと考えています。
    平成21年以前に教員免許を取得したものの、教員以外の職に就き、免許が失効した状態です。
    免許の復活には30時間の講習が必要だと思っていましたが、ご説明を拝見すると講習も必要ないように見えるのですが、この理解であっていますでしょうか?
    その場合、必要な教員免許を取得した都道府県の教育委員会に申請手続きをするだけで済むことになるかと。
    どこに問い合わせれば良いのかもわからず、お伺いさせて頂けると大変ありがたいです。

    • Ukachi05524587 Ukachi05524587 より:

      コメントありがとうございます。
      Emmaさんの場合、平成21年以前に教員免許を取得されたということで、旧免許状保持者ということになります。旧免許状保持者は、免許状の最初の終了確認期限の経過時に現職教諭だった場合は、現在免許状が失効した状態として扱われます。Emmaさんの免許状の最初の終了確認期限がいつかということは、生年月日で分かります。(参考:三重県のホームページより「最初の終了確認期限の表」https://ehime-c.esnet.ed.jp/gimu/src/04menkyo/01kousin/menkyokosin/shuryokakuninkigen.html)
      この時期に現職教諭ではなかった場合は、免許状が休眠状態であったと判断されるため、何の手続きもなく教員免許状が復活します。つまり、旧免許状をそのまま保管していて、現在原本がある状態ならばOKということです。
      最初の終了確認期限の経過時に、現職教諭で更新講習を受けなかったために免許状が失効している場合であっても、教員に戻る際に、必要な手続きをすれば、期限のない有効な教員免許状となります。
      どちらにしても、免許状更新講習は必要ありません。
      emmaさんが教員として活躍されることを期待しております。

  4. 匿名 より:

    2010年に免許を取得しましたが、有効期限が切れてそのままになっています。
    再度更新できますか?

    • Ukachi05524587 Ukachi05524587 より:

      匿名様、コメントありがとうございます。2010年(平成22年)に取得したのであれば新免許状です。以前の制度では、取得した新免許状を更新しなかった場合は、更新時期に免許状更新をしなければ失効となっていたのですが、令和4年7月1日の教員免許更新制廃止により、更新しなかったために失効した免許状であっても、手続きをすれば有効期限のない免許状として復活することになりました。正確な情報は、免許状を取得した都道府県の教育委員会に問い合わせてみてください。教員不足のおり、貴重な人材ですので、やる気がある方が免許状を復活され教員となることを応援しております。

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