- はじめに
- チーム学校関連資料‥平成25年TALIS日本版報告書「教員環境の国際比較」
- 「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料
- 平成27年度予算
- 新たな教職員定数改善計画(案)(10ヵ年〔H26~H36〕)
- 補習等のための指導員等派遣事業~多彩な人材の積極的参加による地域ぐるみの教育再生~
- いじめ対策等の推進
- 特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実~
- キャリア教育・職業教育の充実
- 全国的な学力調査の実施
- 初等中等教育の英語教育の推進に係る取組
- 地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)
- 学校を核とした地域力強化プラン
- 子供の生活習慣づくり支援事業
- 情報通信技術を活用した学びの推進
- スポーツ立国の実現
- 子供安心プロジェクトの充実‥2億7,400万円(概算要求2億8,200万円)
はじめに
始めに申し上げると、結論は、「平成27年度予算で文教関係予算は増額されることはなかった」です。
縦割り行政を廃止する方向だとは言え、やはり、文部科学省予算に、原子力関連予算や、オリンピック・パラリンピック関連予算が含まれる以上、平成27年度予算で、文教関係予算が増額される見込みは元々少なかったのでしょう。
さて、前回の記事「学校における働き方改革は可能か㉑~平成27年度概算要求~アクティブ・ラーニングと働き方改革のためのチーム学校と10年間で31,800人の定数改善計画~」では、文部科学省が平成27年度の概算要求で、「チーム学校」の考えの下、多様な専門性をもつスタッフを充実させて、教員の負担軽減を図り、教員が授業など子供への指導により専念できるように要求を行ったことについて述べました。
そして、少人数指導によるきめ細かな指導が必要、という観点等から、教職員定数を引き上げることを要求に盛り込み、10年間かけて教職員定数を31,800人改善するという計画を立てたことも書きました。
また、学校における働き方改革に関連するその他の多く事業も予算要求されたことにも触れました。
一方、少人数学級を進めるための教職員配置や定数改善については、概算要求でも、一切触れることはありませんでした。
その理由は、財務省から、「教師の数、クラスの定員といった『数』よりも、教師の『質』を重視するべき」という提言がされたからです。
平成27年度予算折衝での少人数学級に対する財務省の意見については、私のこのサイト内の別の記事「コロナ禍で少人数学級への移行は可能か~文部科学省はずっと提案し続けている!④~平成26年度予算成立から平成27年度予算成立まで~」で詳しく書いていますので、参考にして下さい。
今回は、平成27年度概算要求が、どの程度予算に取り入れられたのかについて、いつものように、学校における働き方改革の観点から探っていきたいと思います。
チーム学校関連資料‥平成25年TALIS日本版報告書「教員環境の国際比較」
まず、文部科学省が提唱する「チーム学校」の考え方の発出につながったであろう報告書を紹介します。
それが、平成26年に発行された「教員環境の国際比較ーOECD国際教員指導環境調査(TALIS)2013調査結果報告書(国際教育政策研究所編)」です。
これにより、平成25年度時点の日本の教員の授業実態、勤務環境の、他のOECD加盟国との違いが明らかにされました。
「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料
平成26年11月21日の文部科学省内の「チーム学校作業部会」では、関連する答申・報告等の資料が提示され、それらに基づいて、「チーム学校」の体制づくりに関する話し合いがなされました。
「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料①‥平成18年度の教員勤務実態調査
「平成18年度の教員勤務実態調査」によると、昭和41年には約8時間(平日・休日)だった日本の公立小・中学校教員の一か月当たりの残業時間(成績処理や授業準備などの持ち帰りの業務は含んでいない。)は、平成18年度には、約42時間(平日・休日)に増えていることが分かります。
「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料②‥平成25年TALIS調査
前述したTALISの調査結果からは、「我が国の教員の現状と課題」として、「教員は、主体的な学びを引き出すことに対しての自信が低く、ICTの活用の実施割合も低い。」、「教員の勤務時間は参加国中で断トツに長い!人員不足感も大きい」等が挙げられています。
「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料③‥学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくための学校運営の在り方等についての資料
学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくための学校運営の在り方等についての資料A‥平成19年3月29日 中央教育審議会「今後の教職員給与の在り方について(答申)」
学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくための学校運営の在り方等についての資料B‥平成20年9月8日「学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議『審議のまとめ』」
「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料④‥「教員と事務職員、様々な人材との役割分担や連携の在り方について」の資料
「教員と事務職員、様々な人材との役割分担や連携の在り方について」の資料A‥平成20年9月8日「学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議『審議のまとめ』」
「教員と事務職員、様々な人材との役割分担や連携の在り方について」の資料B‥平成26年7月3日 教育再生会議「今後の学制等の在り方について(第五次提言)」
「チーム学校作業部会」での話し合いの基となった資料⑤‥「学校と地域等との連携の在り方について」の資料
「学校と地域等との連携の在り方について」の資料A‥平成17年10月6日中央教育審議会「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」
「学校と地域等との連携の在り方について」の資料B‥平成19年3月29日 中央教育審議会「今後の教職員給与の在り方について(答申)」
平成27年度予算
平成27年度予算フレーム
平成26年度4月からの消費税率8%への引上げに伴い、対平成26年度比で、税収が増加しました。
反面、社会保障の充実・公経済負担の増のため、対平成26年度比で、社会保障関係費の歳出が増えました。
経済指標
平成27年度経済指標は、
名目GDP成長率の見通しは+2.7%程度となっており、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる。
と書かれています。
主要経費別内訳
平成27年度主要経費別内訳では、社会保障関係費が+3.3%、防衛関係費が+2.0%、文教及び科学振興費が▲1.3%、エネルギー対策費が▲6.8%などとなっています。
各分野別の平成27年度予算の特徴
地方創生
教育・科技・スポーツ
消費税増税分を活用した社会保障の充実・安定化について
消費税率引き上げによる税収分は、全ての社会保障の充実・安定化に向ける。
とあります。
「新しい日本のための優先課題推進枠」を活用して措置される予算の例
「『新しい日本のための優先課題推進枠』」を活用して措置される予算の例」の中で、文部科学関係の施策は、「学校を核とした地域力強化」や、「大学等奨学金事業の充実」などがあります。
歳出各分野における効率化等(地方交付税、義務教育費国庫負担金、大学改革、基金)
地方交付税
義務教育費国庫負担金、大学改革
平成27年度予算のポイント
平成27年度文部科学関係予算(案)のポイント
平成27年度概算要求では、文部科学関係予算一般会計全体で、対平成26年度比10.1%の増を要求しましたが、成立した予算では、一般会計で対平成26年度比▲0.3%、復興特別会計で対平成26年度比+51.4%、両方合わせると、対平成26年度比1.1%の増でした。
金額は、文部科学関係予算一般会計全体で5兆3,378億円、復興特別会計で2,196億円となりました。
内訳は、文教関係対平成26年度比▲0.3%(復興特別会計対平成26年度比+69.1%)、科学技術関係対平成26年度比▲0.3%、スポーツ関係対平成26年度比13.5%増でした。
スポーツ関係予算の13.5%増は、平成25年9月7日に2020オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定され、5年後に開催が迫る中、平成27年度予算は、「競技力向上プログラム」に116億円(平成26年度比33億円増)を予算措置したことなどによるものでした。
科学技術関係予算の中で、「『日本再興戦略』及び『科学技術イノベーション総合戦略』における重点事項」として、「『東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プラン』の実現」に38億円を新規で予算措置しました。
「福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プラン」を新規で予算措置したのには、2020オリンピック・パラリンピックの東京誘致の最終プレゼンテーションで、当時の安倍総理大臣が「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメートルの中で完全にブロックされている。」と述べたことにより、福島第一原子力発電所の廃止措置を急ぐ必要に迫られたことが影響していたのではないか、と推察されます。
平成27年度文部科学省予算 義務教育費国庫負担金
平成27年度加配定数が、約64,200人に改善されました。
そのうち新たに定数措置されたのは、900人でした。
授業革新等による教育の質の向上‥200人(概算要求 580人)
チーム学校の推進‥230人(概算要求 1,010人)
個別の教育課題への対応‥250人(概算要求700人)
学校規模の適正化への支援‥220人(概算要求470人)
教職員給与
新たな教職員定数改善計画(案)(10ヵ年〔H26~H36〕)
新たな教職員定数改善計画(案)(10ヵ年〔H26~H36〕)は採用されませんでした。
補習等のための指導員等派遣事業~多彩な人材の積極的参加による地域ぐるみの教育再生~
補充学習や発展的な学習など学力向上方策として、サポートスタッフ(地域のシルバー人材、教員志望の大学生等)を配置(8000人→10,000人)するための予算を要求し、要求額どおりに予算が措置されました。
いじめ対策等の推進
自治体の取組に対する支援
幅広い外部専門家を活用していじめ問題の解決に向けて調整、支援する取組の促進
学校の取組に対する支援
スクールカウンセラーの配置拡充
スクールソーシャルワーカーの配置拡充
スクールソーシャルワーカー配置の増‥2,247人(概算要求4,141人、前年比+781人)
福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを必要な全ての学校で活用できるよう今後段階的に配置を拡充
貧困対策のための重点加配(600人)【新規、概算要求700人】
24時間いじめ相談ダイヤル
特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実~
発達障害の可能性のある児童生徒等の系統性のある支援研究事業(新規)
発達障害の可能性のある児童生徒に対する支援に向けた取組の1つとして、教育委員会が主体となり、新たに各学校段階の移行期における円滑かつ適切な引き継ぎのために必要な発達障害の可能性のある児童生徒に対する継続支援研究事業を20箇所で行うことで、特別支援教育の充実等を図るための予算を要求しました。
その結果、事業を15箇所で行い、学校間連携コーディネーター約45人を活用するための予算措置がされました。
発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期支援研究事業
45箇所に発達障害支援アドバイザーを約80人を配置するための予算を要求し、要求通り予算措置されました
キャリア教育・職業教育の充実
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業
「地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業」(学校を核とした地域力強化プランの一部)は、地元就職につなげるキャリアプランニングを推進する「キャリアプランニングスーパーバイザー」を226人配置し、地域を担う人材育成・就労支援により、地域の活性化につなげる施策でした。
予算措置されたのは、21人のみでした。
地域キャリア教育支援協議会設置促進事業
「地域キャリア教育支援協議会設置促進事業」は、概算要求では、7ブロック14地域で行うための予算を要求し、要求どおり予算が措置されました。
全国的な学力調査の実施
小学校第6学年、中学校第3学年の全児童生徒対象に、全国的な学力調査の実施をするための予算が、要求どおり配分されました。
教科は、平成27年度は理科が加わり、国語、算数,、数学、理科となりました。
以降、理科は3年に1度行われることとなりました。
初等中等教育の英語教育の推進に係る取組
外部専門機関と連携した英語指導力向上事業
「外部専門機関と連携した英語指導力向上事業」には、平成26年度は2億6,100万円の予算だったのに対し、平成27年度は、2億7,100万円を要求しました。
予算措置された金額は、要求を上回る3億300万円でした。
国では、外部専門機関と連携して、新たな英語教育に対応した指導力向上事業を実施。
都道府県・政令市の教育委員会が、外部専門機関と連携して指導力向上事業を実施。地域の「英語教育改善プラン」を策定し、明確な目標設定・管理を設定。
指導体制の強化
教員定数の配置改善
小学校英語の教科化に向けた教員定数の加配措置がなされました。
地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)
地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)の予算は、平成26年度は、1億7,400万円でした。
そして、平成27年度概算要求は2億4,300万円でした。ただし、「学校を核とした地域力強化プラン」にも含まれる、「コミュニティ・スクール導入等促進事業(2億300万円)」と「地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業(1億100万円)」分は、別で予算要求をしていました。
ですから、合計で5億4,700万円を要求していたことになります。
それに対し、平成27年度予算(案)では、2億8,900万円が措置されました。
コミュニティ・スクール導入等促進事業(1億5,700万円)
コミュニティ・スクール導入後における運営体制づくりとして、CSディレクター(コミュニティ・スクールの運営や学校機関の調整、分野横断的な活動の総合調整など総括的な立場で調整等を行う地域人材)を150市町村に配置する計画でした。
要望より金額は減りましたが、CSディレクターを150市町村に配置するための予算が措置されました。
コミュニティ・スクール推進員(CSマイスター)の派遣等による普及・啓発‥2,200万円(概算要求4,000万円)
自律的・組織的な学校運営体制の構築に向けた調査研究等‥5,900万円(概算要求8,800万円)
自律的・組織的な学校運営体制の構築に向けた調査研究等‥5,900万円(概算要求8,800万円)は、地域とともにある学校づくりの効果的な推進のために、校長がリーダーシップを発揮するための学校裁量権の拡大、校長や教職員等のマネジメント力向上、実効性のある学校評価システムの構築に関する調査研究を実施するものでした。‥14市区町村・2大学等研究機関(概算要求:21市区町村・2大学等研究機関)、スクールアナリストの配置:7市区町村
学校を核とした地域力強化プラン
学校を核として地域住民等の参画や地域の特色を生かした事業を展開することで、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに、地域コミュニティの活性化を図るためのプラン「学校を核とした地域力強化プラン」に、新規で83億7,400万円を要求しましたが、予算措置されたのは、67億円でした。
前年度比15億円の増でした。
地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業
「地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業」は、平成26年度は4,850か所分、13億3,300万円が予算措置されました。
平成27年度は12,000か所分で21億2,600万円予算を要求し、12,000か所分で14億5,800万円分が予算配分されました。
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業
「地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業」に対して新規で1億100万円を要求しましたが、1,300万円の予算配分でした。
学校・家庭・地域の連携協力推進事業
「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」は、平成26年度予算額は、38億1,400万円(新規改組)でしたが、平成27年度は、概算要求額が56億5,900万円に対して、予算措置された金額は、48億8,200万円でした。
要望どおり、「学校支援地域本部」が5,000か所分、「放課後子供教室」が14,000か所分、「家庭教育支援員」が1,000か所分、 「スクールガードリーダー」が1,800か所分予算措置されました。
学習が遅れがちな中学生を対象にした学習支援~地域住民の協力を得て、地域未来塾を新たに開講~
学習が遅れがちな中学生を対象にした学習支援「地域未来塾」を新規で2000箇所設置するための費用として、2億6,600万円を要求していましたが、措置された予算は、2億700万円で、2000箇所分でした。
放課後子供教室
平成27年度概算要求では、「放課後子供教室」を14,000箇所設置する費用を要求していましたが、要求どおり、14,000箇所分の予算が措置されました。
家庭教育支援員の配置
家庭教育支援員の配置のために、1000箇所分を予算要求していました。
要求どおりに予算措置されました。
スクールガードリーダーによる学校安全体制の整備等
スクールガードリーダーによる学校安全体制の整備等のための予算は、要求どおり1,800箇所分が措置されました。
子供の生活習慣づくり支援事業
「子供の生活習慣づくり支援事業」に対し、平成26年度は1,900万円の予算でしたが、平成27年度は6,500万円を要求し3,000万円が予算措置されました。
中高生を中心とした生活習慣マネジメントサポート事業
「中高生を中心とした生活習慣マネジメントサポート事業」のための予算を新規で5,000万円要求していましたが、措置されたのは6箇所分の1,500万円でした。
情報通信技術を活用した学びの推進
「情報通信技術を活用した学びの推進」事業に対して平成26年度は4億4,200万円の予算でした。
平成27年度は8億1,000万円要求し、配分された予算額は、6億7,100万円で、対前年度+2億2,900万円でした。
ICTを活用した教育推進自治体応援事業‥新規 2億4,500万円(要求額3億円)
ICTを活用した学びの推進プロジェクト
ICT活用教育アドバイザー派遣事業
「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」には、要求どおり30地域分の予算措置がされました。
調査研究事業
ICTを活用した教育を推進する上での望ましい環境構成、ICT活用指導力自己評価の継続的な実施のための調査研究を行うための予算を要求し、予算措置されました。
人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業
「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業」には、新規で2億100万円を要求し、予算額は1億4,200万円でした。
スポーツ立国の実現
運動部活動指導の工夫・改善支援事業
「運動部活動指導の工夫・改善支援事業」に、新規で3億1,500万円を要求し、3億200万円が予算措置されました。
武道等指導充実・資質向上支援事業
「武道等指導充実・資質向上支援事業」に、新規で3億1,500万円を要求して、1億9,500万円の予算が付きました。
子供安心プロジェクトの充実‥2億7,400万円(概算要求2億8,200万円)
防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業
「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」に新規で2億8,200万円を要求し、2億100万円が予算措置されました。
まとめ
文部科学省は平成27年度の概算要求で、「チーム学校」の考えの下、多様な専門性をもつスタッフを充実させて、教員の負担軽減を図り、教員が授業など子供への指導により専念できるように要求を行いました。
その結果、平成27年度予算では、小学校における専科指導の推進、主幹教諭、事務職員の拡充、いじめ等の問題行動への対応等のために、措置された新たな予算は、900人分でした。
しかし、要求していた人数2,760人に対しては、3分の1にとどまりました。
そして、加配定数は、約64,200人に改善されました。
また、補習や授業準備等のためのサポートスタッフのための予算は、要求どおり平成26年度の8,000人分から10,000人分に増えました。
しかし、教育の質の向上やチーム学校の推進、個別の教育課題への対応等のため、10年間をかけて教職員定数を31,800人改善する教職員定数改善案は、採用されませんでした。
一方、「学校における働き方改革」に通じる多くの施策は、要求どおりの予算措置ではなく、それを下回る物がほとんどでした。
それらの結果は、以下のとおりです。
「スクールカウンセラーの週5日相談体制」200校、「スクールソーシャルワーカー」2,247人、「学校間連携コーディネーター」約45人、「発達障害支援アドバイザー」約80人、「キャリアプランニングアドバイザー」21人、「CS(コミュニティ・スクール)ディレクター」150市町村、「学校支援地域本部」5,000か所、「家庭教育支援員」1,000か所、「スクールガードリーダー」1,800か所、「地球未来塾」2,000箇所、「中高生を中心とした生活習慣マネジメントサポート事業」1,500万円、「ICT活用教育アドバイサー」30地域、「運動部活動指導の工夫改善事業」3億200万円、「武道等指導充実・資質向上支援事業」1億9,500万円、「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」2億100万円など。
文部科学省予算の中で、復興特別会計が対平成26年度比+51.4%の2,196億円、「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プラン」が新規で38億円、「2020オリンピック・パラリンピック東京大会等に向けた準備」中、「競技力向上プログラム」が116億3,900万円(対平成26年度33億円増)等が、大きな割合を占めています。
縦割り行政を廃止する方向だとは言え、やはり、文部科学省予算に、原子力関連予算や、オリンピック・パラリンピック関連予算が含まれる以上、平成27年度予算で、文教関係予算が増額される見込みは元々少なかったのでしょう。
次回は、「学校における働き方改革は可能か㉓~平成28年度概算要求~働き方関連事業の増えすぎで逆に学校の仕事が増える?」で、平成28年度概算要求での学校における働き方改革の実現に向けた施策についてお伝えします。
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