あなたが考えるいじめや暴力行為対策として有効だった施策は?いじめ認知率を上げること?!

いじめっこから子どもを守る男 いじめ・問題行動
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  1. はじめに
  2. 令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査/調査の概要
  3. 学校内のいじめや暴力行為対策として効果的だったと思われる政府や文部科学省の施策
    1. 少年法改正
      1. 平成12年改正
      2. 平成19年改正
      3. 平成20年改正
      4. 平成26年改正
    2. 平成18年 教育基本法の改正
      1. 教育基本法の改正の経緯
      2. 教育基本法の改正の内容
        1. 前文
        2. 教育の目的・目標と理念を明らかにする
        3. 教育の実施に関する基本的な事項を見直す
        4. 教育行政のあり方や教育振興基計画の策定について定める
    3. 平成18年教育基本法の改正により始まった教育改革
      1. 教育改革のための重点行動計画(平成18年1月17日)
    4. いじめの問題への取組みの徹底について(通知/平成18年10月19日)
    5. 問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日)
      1. 1 生徒指導の充実について
      2. 2 出席停止制度の活用について
      3. 3 懲戒・体罰について
      4. 別添 学校教育法11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方
        1. 1 体罰について 
        2. 2  児童生徒を教室外に退去させる等の措置について
    6. 国家公務員法等改正法(平成19年7月公布)
    7. 児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(平成19年7月 報告)
      1. 心理テストの実施
    8. 暴力行為のない学校づくりについて(報告書/平成23年7月/暴力行為のない学校づくり研究会)
      1. 暴力行為の増加の要因
      2. 暴力行為の増加の背景
      3. 研究会での協議内容
    9. 体罰の禁止及び児童生徒の理解に基づく指導の徹底について(通知/平成25年3月13日)
    10. 地方自治体の体罰防止に対する取組み
      1. 神奈川県の体罰防止ガイドライン(平成25年7月)
      2. 東京都の体罰防止ガイドライン(平成26年1月)
    11. いじめ防止対策推進法(平成25年9月28日施行)
      1. いじめの定義
      2. いじめの防止基本方針等
      3. 基本的施策・いじめの防止等に関する措置
        1. 学校の設置者及び学校が講ずべき基本的施策
        2. 学校が講ずべき施策
        3. 個別のいじめに対して学校が講ずべき措置
        4. いじめの防止等に関して学校がすべき措置
    12. 地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律(平成26年5月14日公布)
    13. 国立教育政策研究所 生徒指導リーフ「アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」(平成27年11月)
    14. 平成28年4月教職員人事評価制度の導入
    15. いじめ防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について(平成29年3月16日)
  4. 令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果/学校内の暴力行為といじめ
    1. 学校の管理下における暴力行為発生率の推移
      1. 学校の管理下における小学校の暴力行為発生率の推移の特徴
      2. 学校の管理下における中学校の暴力行為発生率の推移の特徴
      3. 学校の管理下における高等学校の暴力行為発生率の推移の特徴
    2. いじめ認知率の推移
      1. 小学校のいじめ認知率の推移の特徴
      2. 中学校のいじめ認知率の推移の特徴
      3. 高等学校のいじめ認知率の推移の特徴
      4. 小学校・中学校・高等学校のいじめ認知率の比較
    3. 学校の管理下における暴力行為の発生率の推移やいじめの認知率の推移についての私なりの分析
      1. これまで提示した資料と私の教師としての経験を基にした分析
        1. 小学校
        2. 中学校
        3. 高校生
      2. 学校の管理下における暴力行為の発生率の推移やいじめの認知率の推移に関係するその他の資料
        1. 「いじめが背景事情として認められる生徒の自殺事案の発生」のたびに、児童生徒の問題行動をしっかり把握して対応するように文部科学省から求められてきたこと
        2. 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の、いじめの概念を見直すことで、いじめの認知率を上げるように、繰り返し通知されてきたこと
  5. 小学校、中学校、高等学校でいじめや暴力行為対策として有効だったと思う政府や文部科学省の施策
  6. 令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果/不登校・自殺
  7. まとめ

はじめに

先日、「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」が発表されましたね。

文部科学省が毎年行っている調査だよね。児童生徒のいじめや暴力行為などの発生数を調査して公表しているんだ。

今までのいじめや暴力行為に対する政府や文部科学省の政策や、いじめや暴力行為の発生率の変遷も知りたいわ。

令和2年10月22日に、文部科学省より「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」が発表されました。

小学校でいじめや暴力行為が増えている。」という気になる結果が出たようです。

そこで、この記事では、児童生徒の問題行動の中でも、特に学校内の「いじめ」と「暴力行為」に絞って調べていきたいと思います。

まず、元教師である私が、ここ20年ほどの間で、学校内での「いじめ」や「暴力行為」の対策として有効であったと思う政府や文部科学省の施策について、順番に説明します。

その中には、一般的に「えっ?それ、いじめや暴力行為の対策として有効だった?」と思うような施策も入っています。

私は学者ではないので、残念ながそれらの政策の効果については、エビデンスがなく、根拠がはっきりしないものがほとんどです。

しかし、33年間小中学校に勤めた元教師である私が、現場で経験して、「これは、やっぱり(または意外にも)効果があったよね。」と感じたものです。

そして、必ずしも現場の教師にとって歓迎される施策でないけれど、有効だったと認めざるを得ないものも多く入っています。

次に、完全なエビデンスや根拠とはならないかもしれませんが、児童生徒のいじめや暴力行為に関する調査結果の変遷について、その当時行われていた政府や文部科学省の施策と照らし合わせ、施策の効果が調査結果に表れているのかどうか、検証していきたいと思います。

ここで、政府や文部科学省の施策の時期と、いじめや暴力行為に関する調査結果の間に、プラスの相関性があれば、私の考えもまんざら間違いではない、というわけです。

(なお、「学校における働き方改革は可能か」シリーズは、一旦お休みいたします。)

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令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査/調査の概要

まずは、「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」について説明します。

令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 
「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(令和2年10月22日)より一部抜粋」/掲載元/文部科学省ホームページ

令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査の目的は、

生徒指導上の諸課題の現状を把握することにより、今後の施策の推進に資するものとする。

とあります。

調査項目は、

  • 小学校、中学校及び高等学校における暴力行為の現状
  • 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校におけるいじめの状況等
  • 公立の小学校及び中学校における出席停止の措置の状況
  • 小学校及び中学校における長期欠席(不登校等)の状況等
  • 高等学校における長期欠席(不登校等)の状況等
  • 高等学校における中途退学者数等の状況
  • 小学校、中学校及び高等学校における自殺の状況
  • 教育相談の状況

の8項目です。

令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査ー調査の概要 
児童生徒の問題行動
「不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査ー調査の概要(令和2年10月22日)」より一部抜粋/掲載元/文部科学省ホームページ
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学校内のいじめや暴力行為対策として効果的だったと思われる政府や文部科学省の施策

少年法改正

学校内のいじめや暴力行為に関する調査結果に関係がありそうだから、まず、「少年法」の改正について、調べてみます!

学校内のいじめや暴力行為に関する調査結果には、「少年法」の改正が関わっているのではないかと思い、少年法改正の経過について、調べてみました。

平成12年改正

  • 刑事処分可能年齢の引下げ(16歳以上から14歳以上に)
  • 少年院における懲役又は禁錮の執行を可能とすること(16歳未満)
  • 検察官及び弁護士である付添人が関与した審理の導入 
  • いわゆる原則逆送制度の導入(16歳以上の少年が故意に被害者を犯罪行為によって死亡させた場合、家庭裁判所から検察官へ送致すること。)   等

平成19年改正

  • いわゆる触法少年(14再未満で処罰法令に触れる行為をした少年をいう。)に係る事件の調査手続きの整備
  • 14歳未満の少年の少年院送致を可能とすること(少年院送致の下限年齢が「おおむね12歳以上」に引き上げられた。)   等

平成20年改正

  • 被害者等の申出による意見の聴取の対象者の拡大
  • 被害者等による記録の閲覧・謄写の範囲の拡大
  • 一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度の導入

平成26年改正

  • 不定期刑に関する規定の見直し(もともと無期懲役刑はない。有期刑の上限が15年から20年に。)    等

少年に対する刑罰が、だんだん厳しくなってきたんだね。

14歳以上の中学生でも、犯罪行為をすれば刑罰を受けないといけなくなったから、中学生の暴力行為が減ったんじゃないかな。

少年法改正の経過
平成12年改正
平成14年改正
平成19年改正
平成20年完成
「少年法改正の経過(第178回法制審議会配布資料7/法務省/平成29年2月9日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

平成18年 教育基本法の改正

「教育基本法の改正」も、学校内のいじめや暴力行為に関する調査結果に関係ありそう。調べてみよう!

平成18年に60年ぶりに教育基本法の改定が行われたことも、学校内のいじめや暴力行為に関する調査結果に影響していると考え、教育基本法の改正について述べます。

教育基本法の改正の経緯

教育基本法とは

教育基本法は、戦後の日本の教育の基本を確立するために、昭和22年に施行されたものです。

教育の基本理念、義務教育の無償、教育の機会均等などについて定められており、学校教育法や社会教育法などすべての教育法規の根本法となるものです。

平成18年に、昭和22年以来、60年ぶりに教育基本法が改正されました。

教育水準が向上し、生活が豊かになる一方で、都市化や少子高齢化の進展などによって、教育を取り巻く環境が大きく変わり、子どものモラルや学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下などが指摘される中でも、教育基本法はずっと変わりませんでした。

しかし、平成12年12月に「教育改革国民会議」により、教育基本法の見直しが提言されました。

そして、中央教育審議会は、平成15年3月に「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興計画の在り方について」という答申を提出しました。

これらを踏まえ、教育基本法の改正案が平成15年3月から約3年間にわたって検討され、「全部改正案」として閣議決定され、平成18年4月に国会に提出され、12月22日から施行されました。

「教育基本法」60年間も改正されてこなかったなんてびっくり!

教育基本法の改正の内容

前文

日本国民が願う理想として、「民主的で文化的な国家」の発展と「世界の平和と人類の福祉の向上」への貢献を掲げ、その理想を実現するために、改正前の教育基本法に引き続き、「個人の尊重」を重んずることを宣言するとともに、新たに「公共の精神」の尊重、「豊かな人間性と創造性」「伝統の継承」を規定しています。

教育の目的・目標と理念を明らかにする
  • 教育の目的‥「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。」
  • 教育の目標(新設)‥重要と考えられる事柄を5つに整理して規定。
  • 生涯学習の理念(新設)
  • 教育の機会均等(新設)

えっ!平成18年まで、「教育の目標と理念」が明らかにされてこなかったの?これでやっと明確になったんですね。

教育の実施に関する基本的な事項を見直す
  • 義務教育、学校教育、教員、社会教育、政治教育、宗教教育に関する規定を見直す。
  • 新たに、大学、私立学校、家庭教育、幼児期の教育、学校・家庭・地域の連携協力などについて規定。

平成18年までは、大学や家庭教育などに関する規定がなかったんだね。

教育基本法の改正で、家庭教育や学校・家庭・地域の連携協力が重要視されるようになったことは、児童生徒の問題行動の対策としては有効だったんじゃない?

教育行政のあり方や教育振興基計画の策定について定める
  • 教育のあり方について、不当な支配に服することなく、法律の定めるところにより行われるべきことを規定。
  • 国・地方公共団体の役割分担や必要な財政措置について、新たに規定。
  • 教育振興基本計画に関する規定を新設し、国・地方公共団体が総合的かつ計画的に教育施策を推進するための基本計画を定めることについて、規定。

教育に対する地方公共団体の役割が重要視されるようになったんですね。

教育基本法について 説明資料
「教育基本法案について(説明資料)(平成18年5月/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
教育基本法について 説明資料 教育の目的と理念
「教育基本法案について(説明資料)(平成18年5月/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
教育基本法について 説明資料 教育の実施に関する基本的な事項を見直す
「教育基本法案について(説明資料)(平成18年5月/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
教育基本法について 説明資料 教育の実施に関する基本的な事項を見直す
「教育基本法案について(説明資料)(平成18年5月/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
教育基本法について説明資料教育振興基本計画
「教育基本法案について(説明資料)(平成18年5月/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
教育基本法について 説明資料
「教育基本法について(規定の概念)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

平成18年教育基本法の改正により始まった教育改革

教育改革のための重点行動計画(平成18年1月17日)

教育基本法の改正とともに、教育改革も始まったんだね。

平成18年5月に教育基本法改正法案が発表されるのに先立ち、平成18年1月17日に「教育改革のための重点行動計画」が発表されました。

文部科学省は、それを基に、国民向けに「教育改革の例」として、以下のものを示しました。

このとき示した下記のような教育改革は、ほとんどのものが実現されています。

  • 学習指導要領の見直しを進め、基礎・基本の確実な定着と学ぶ意欲の向上を図り、引き続き、「確かな学力」の育成に努めます。
  • 小学校6年生・中学校3年生を対象とした全国的な学力調査を平成19年度に実施します。
  • 教員免許更新制度の検討や研修の充実、教員評価システムの改善に努めます。
  • 学校評価システムの構築を推進します。
  • 現在、都道府県が担っている教職員の人事権の中核市への移譲を検討します。
  • 子どもの基本的生活習慣の育成支援や地域における子どもの居場所づくりを進め、家庭・地域の教育力の向上を図ります。

「全国的な学力調査の実施」や、「教員免許更新制度」「学校評価システム」などが、このとき提案されたんですね。

教員免許更新制度が始まって、今までも自主的に研修をしてきた先生には、ほとんど意味がなかったかもしれないけど、今まであまり熱心に研修をしてこなかった先生にとっては、最新の教育方法や理念などを学ぶ機会になったよね。

教育基本法の改定で何が変わったか
教育改革のための重点行動計画
「教育基本法案について(説明資料)(平成18年5月/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
教育基本法について 説明資料教育の目標を明確にして結果を検証し質を保証する 学習指導要領の見直し
「中央教育審議会初等中等教育分科会(第37回)議事録・配付資料〔資料3〕」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

いじめの問題への取組みの徹底について(通知/平成18年10月19日)

いじめによる児童生徒の自殺が多発している現状を受けて、平成18年10月19日に「いじめの問題への取組みの徹底について」という通知が、文部科学省から出されました。

また、別添として「いじめの問題への取組についてのチェックポイント」という文書も示されました。

  • いじめの早期発見・早期対応について‥(1)スクールカウンセラーの活用などにより、学校等における相談機能を充実し、児童生徒の悩みを積極的に受け止めることができるような体制を整備すること。(5)学校におけるいじめへの対処方針、指導計画等の情報については、日頃より、家庭や地域へ積極的に公表し、保護者や地域住民の理解を得るよう努めること。
  • いじめを許さない学校づくりについて‥(1)いじめる児童生徒に対しては、出席停止等の措置も含め、毅然とした指導が必要であること。
  • 教育委員会による支援について

スクールカウンセラーを活用するように書いてあるわね。

この頃のいじめの定義は今のものと違っているよ。

平成18年当時のいじめの定義

①自分より弱いものに対して一方的に、

②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、

③相手が深刻な苦痛を感じているもの

いじめの問題への取組についてのチェックポイント(学校)

指導体制‥いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留意点などについて職員会議などの場で取り上げ、教職員間の共通理解を図っているか。

早期発見・早期対応‥児童生徒の生活実態について、たとえば聞取り調査や質問紙調査を行うなど、きめ細かく把握に努めているか。

早期発見・早期対応‥いじめの問題解決のため、教育委員会との連絡を密にするとともに、必要に応じ、教育センター、児童相談所、警察等の地域の関係機関と連携協力を行っているか。      等

「いじめに関するアンケート」もこの頃から行われるようになったのね。

学校ごとにいじめへの対処方針や指導計画を作成して、保護者に公表するように書かれているね

いじめに関する通知 いじめの問題への取組の徹底について 平成18年
「平成18年以降のいじめ等に関する主な通知文と関連資料(2)(資料1いじめに関する通知)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめに関する通知 いじめの問題への取組の徹底について 平成18年
いじめへの対処方針 指導計画
いじめは人間として絶対に許されない
「平成18年以降のいじめ等に関する主な通知文と関連資料(2)(資料1いじめに関する通知)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの問題への取組についてのチェックポイント 指導体制
「平成18年以降のいじめ等に関する主な通知文と関連資料(2)(資料1いじめに関する通知)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの問題への取組についてのチェックポイント早期発見・早期対応
「平成18年以降のいじめ等に関する主な通知文と関連資料(2)(資料1いじめに関する通知)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの問題への取組についてのチェックポイント 教員研修 教育相談
「平成18年以降のいじめ等に関する主な通知文と関連資料(2)(資料1いじめに関する通知)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日)

平成19年2月5日に、「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」が出されたことも、学校内のいじめや暴力行為に関する調査結果に影響を及ぼしているはずだよね。

平成19年2月5日「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」が文部科学省から出されました。

1 生徒指導の充実について

  1. (中略)全職員が一体となって、児童生徒の様々な悩みを受け止め、積極的に教育相談やカウンセリングを行う。
  2. (中略)各学校は、いじめや暴力行為等に関するきまりや対応の基準を明確化したものを保護者や地域住民に公表し、理解と協力を得るよう努め、全教職員がこれに基づき一致協力し、一貫した指導を粘り強く行う。
  3. 問題行動の中でも、特に校内での傷害事件をはじめ、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報し、その協力を得て対応する。

全職員が一致協力して一貫した指導を粘り強く行うこと、犯罪行為の可能性がある問題行動については、警察に通報するように、ということが書いてあるわ。

2 出席停止制度の活用について

  1. 学校がこのような指導を継続してもなお改善が見られず、いじめや暴力行為など問題行動を繰り返す児童生徒に対し、正常な教育環境を回復するために必要と認める場合には、市町村教育委員会は、出席停止制度の措置を採ることをためらわずに検討する。
  2. (中略)地域では、警察、児童相談所、保護司、民生・児童委員等の関係機関の協力を得たサポートチームを組織することも有効である。

問題行動を繰り返す場合は、出席停止の措置を検討するように示しているね。

問題行動に対して、警察の介入や出席停止の措置も辞さないという姿勢を示すことは、暴力行為やいじめの軽減に効果があったんじゃない?

3 懲戒・体罰について

  1. 校長及び教員(以下「教員等」という。)は、教育上必要があると認めるときは、児童生徒に懲戒を加えることができ、(中略)日頃から教員等、児童生徒、保護者間での信頼関係を築いておくことが大切である。
  2. (中略)教員等は、児童生徒への指導に当たり、いかなる場合においても、身体に対する侵害(殴る、蹴る等)、肉体的苦痛を与える懲戒(正座・直立等特定の姿勢を長時間保持させる等)である体罰を行ってはならない。(中略)

懲戒にはOKなものもあるけど、体罰は禁止なのね。

「いかなる場合であっても、体罰を行ってはならない。」と、文部科学省がはっきり明記したのは、まだまだ体罰容認の教師が多かった当時の学校現場に大きな影響を与えただろうね。

それまでの教師の指導に対する概念を大きく変えざるを得ない出来事だったはずよ。

別添 学校教育法11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方

1 体罰について 

(5)有形力の行使以外の方法により行われた懲戒については、例えば、以下のような行為は、児童生徒に肉体的苦痛を与えるものでない限り、通常体罰には当たらない。

体罰に当たらないものが具体例で詳しく書いてあるね。

  • 放課後等に教室に残留させる。(用便のためにも室外に出ることを許さない、又は食事時間を過ぎても長く留め置く等肉体的苦痛を与えるものは体罰に当たる。
  • 授業中、教室内に起立させる。
  • 学習課題や清掃活動を課す
  • 学校当番を多く割り当てる。
  • 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。

(6)なお、児童生徒から教員等に対する暴力行為に対して教員等が防衛のためにやむを得ずした有形力の行使は、もとより教育上の措置たる懲戒行為として行われたものではなく、これにより身体への侵害又は肉体的苦痛を与えた場合は体罰には該当しない。また、他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対して、これを制止したり、目前の危険を回避するためにやむを得ずした有形力の行使についても、同様に体罰に当たらない。これらの行為については、正当防衛、正当行為等として刑事上または民事上の攻めを免れうる。

2  児童生徒を教室外に退去させる等の措置について
  1. 他方、授業中、児童生徒を教室内に入れず又は教室から退去させる場合であっても、当該授業の間、その児童生徒のために当該授業に変わる指導が別途行われるのであれば、懲戒の手段としてこれを行うことは差し支えない。
  2. また、児童生徒が学習を怠り、喧騒その他の行為により他の児童生徒の学習を妨げるような場合には、他の児童生徒の学習上の妨害を排除し教室内の秩序を維持するため、必要な間、やむを得ず教室外に退去させることは懲戒に当たらず、教育上必要な措置として差し支えない。
問題を起こす児童生徒に対する指導について(通知)平成19年 校内暴力 いじめ 授業妨害 自殺 施設・整備の毀損・破壊行為
対教師暴力  出席停止 懲戒 毅然とした態度 
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
問題を起こす児童生徒に対する指導について(通知)平成19年 警察に通報 傷害事件 犯罪行為 出席停止 学習の補完 家庭への訪問 個別の指導計画を策定 都道府県教育委員会のバックアップ 
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
問題を起こす児童生徒に対する指導について(通知)平成19年 サポートチーム 懲戒・体罰 
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
問題を起こす児童生徒に対する指導について(通知)平成19年 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
問題を起こす児童生徒に対する指導について(通知)平成19年 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方 児童生徒を教室外に退去させる等の措置について 携帯電話の持ち込み
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

国家公務員法等改正法(平成19年7月公布)

一見関係なさそうな、「国家公務員法等改正法」が、学校内のいじめや暴力行為を減少させる原因となったのでしょうか?調べてみます!

平成19年7月に国家公務員法等改正法が公布されました。

国家公務員に、能力・実績主義の人事管理を徹底させるための内容が明記されています。

職員の人事評価を、「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」と定義し、公正に行わなければならないこととする。

とあります。

この法律の改正により、地方自治体職員や公立学校教職員にも、後に、能力・実績主義の人事管理が取り入れられることになりました。

国家公務員法等改正法の概要 平成19年 能力・実績主義 新たな人事評価制度の構築
分限制度 再就職に関する規制の改正等  
「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会(第1回)配付資料5(平成19年7月24日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(平成19年7月 報告)

平成19年7月に、「児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー」という文書が、「教育相談等に関する調査研究協力者会議」によって報告されました。

この中に、

  • 関係機関とのネットワークを生かしたサポートチームの形成や、教育委員会等が中心となって「学校緊急支援チーム」(仮称)の設置を検討することが必要である。
  • いじめや不登校への早期対応、児童虐待の深刻化や少年非行・犯罪の低年齢化等に適切に対応するため、小学校における教育相談体制の充実を図っていくことが必要である。

と書かれています。

学校だけでは、児童生徒の問題行動を解決できない場合があることを踏まえ、児童相談所や民生・児童委員、警察署などの関係機関が学校を支援する体制づくりを行うことの必要性が書かれています。

また、それまで、小学校では、児童に対する教育相談があまり行われていなかった現状を踏まえ、小学校での教育相談を行うように示しています。

小学校での教育相談の実施は、児童のいじめや暴力行為の軽減に役立っているはずだよ。

児童生徒の教育相談体制の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(報告)平成19年7月 平成18年秋に全国で相次いで起こったいじめ自殺 不登校児童 児童虐待の深刻化 ネット犯罪の急増 スクールカウンセラー 
「児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(報告/平成19年7月/教育相談等に関する調査研究協力者会議)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
児童生徒の教育相談体制の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(報告)早期からの教育相談について 小学校での教育相談体制の充実 小学校での暴力行為  少年非行の低年齢化 いじめの原因の根 小学校生徒指導主事 
「児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(報告/平成19年7月/教育相談等に関する調査研究協力者会議)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
児童生徒の教育相談体制の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(報告)学校を支援する体制の充実 サポートチーム スクールソーシャルワーカー 児童相談所 学校緊急支援チーム 関係機関や専門家とのネットワークの構築
「児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(報告/平成19年7月/教育相談等に関する調査研究協力者会議)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

心理テストの実施

「児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくりー(平成19年7月)」が報告された頃から、児童生徒に対して心理テストを実施し、その結果から、学級内の児童生徒の人間関係や指導上配慮を要する児童生徒を把握する取組みを行う学校が増えてきました。

例えば、図書文化社発行の「hyper-QU(よりよい学校生活と友達づくりのためのアンケート)」(河村茂雄 著)という心理検査は、一人一人にアンケートを実施した後、指定先に送付すると、子ども一人一人の学校生活に対する満足度などをコンピュータで分析し、その分析結果の個票を全員分印刷して学校へ送付してくれます。

また、教師が自分の学級経営の傾向や、学級内の配慮を要する子どもを見付け出すための分析結果も一緒に送付してくれます。

さらに、保護者が、自分の子どもに配られた分析結果を見て、学校生活の満足度や意欲などを知ることもできます。

私の学校でも、毎年やっていて、学級経営の参考になるわ。

暴力行為のない学校づくりについて(報告書/平成23年7月/暴力行為のない学校づくり研究会)

子どもの暴力行為が増えてきたから、暴力行為のない学校づくりをするためにどうしたらいいかについての方策を、平成23年に発表したんだね。これは、重要だね!

平成23年7月に、「暴力行為のない学校づくり研究会」より、「暴力行為のない学校づくりについて」という報告書が提出されました。

暴力行為の増加の要因

  • 児童生徒の生育、生活環境の変化
  • 児童生徒が経験するストレスの増大
  • 感情を抑えられず考えや気持ちを言葉でうまく伝えたり人の話を聞いたりする能力が低下
  • 同じ児童生徒が暴力行為を繰り返す傾向

暴力行為の増加の背景

  • 規範意識や倫理観の低下
  • 人間関係の希薄化
  • 家庭の養育に関わる問題
  • 映像等の暴力場面に接する機会の増加
  • インターネット・携帯電話の急速な普及に伴う多様な問題

研究会での協議内容

  • 教育現場における効果的な対応の在り方
  • 暴力行為に至る児童生徒の抱える問題について
  • 暴力行為の発生した学校が抱える課題について
  • 暴力行為発生後の対応により落ち着いた学習環境を取り戻した事例についてのヒアリングを通した効果的な対応の在り方
  • 学校の指導体制の重点
  • 児童生徒が暴力行為に至る原因
  • 発達上の課題など配慮を要する児童生徒についての理解
  • 学級づくりの観点からの対応

暴力行為に対する実効的な対応を図ることは、学校における児童生徒の学習環境を改善することになり、ひいては不登校やいじめといった暴力行為以外の児童生徒の問題行動等の改善にも資することが確認された。

暴力行為をしてしまう児童生徒の抱える問題や原因に注目して、暴力行為を起こさないような対応の仕方や学級づくりを考えることが、その他の問題行動を減らすことにもなることを伝えているのね。

暴力行為のない学校づくりについて(報告書)平成23年7月 暴力行為の増加の要因 感情を抑えられない 映像等の暴力場面 配慮を要する児童生徒 学級づくりの観点からの対応 
「暴力行為のない学校づくりについて(報告書/暴力行為のない学校づくり研究会/平成23年7月)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

体罰の禁止及び児童生徒の理解に基づく指導の徹底について(通知/平成25年3月13日)

どうして体罰の禁止が児童生徒の問題行動の軽減に役立つの?

平成25年3月13日に「体罰の禁止及び児童生徒の理解に基づく指導の徹底について」という通知が文部科学省から出されました。

「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年2月5日)」でも、体罰の禁止について詳しく記載していましたが、部活動指導での体罰がなくならない実態を踏まえ、平成25年の通知では、新たに「部活動指導について」の項目が設置されました。

ここでは、

部活動は、学校教育の一環であり、体罰が禁止されていることは当然である。

と明記されています。

体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)平成25年3月 部活動中の体罰を背景とした高校生の自殺事案 部活動の意義
「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)/平成25年3月13日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)平成25年3月 学校教育法第11条体罰の禁止 力による解決への志向を助長させ、いじめや暴力行為などの連鎖を生む恐れ 正当防衛 正当行為  懲戒と体罰の区別について 
「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)/平成25年3月13日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)平成25年3月 部活動指導は学校教育の一環 校長、教頭等の管理職は、適宜監督
「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)/平成25年3月13日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例 認められる懲戒 通常、体罰と判断されると考えられる行為  通常、正当防衛、正当行為と判断されること考えられる行為
「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)/別紙/平成25年3月13日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例 認められる懲戒 通常、体罰と判断されると考えられる行為  通常、正当防衛、正当行為と判断されること考えられる行為
「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)/別紙/平成25年3月13日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

地方自治体の体罰防止に対する取組み

平成25年3月に文部科学省から「体罰の禁止及び児童生徒の理解に基づく指導の徹底について」の通知が出された頃から、地方自治体の中には、「体罰防止ガイドライン」を独自に作成するところも増えました。

神奈川県の体罰防止ガイドライン(平成25年7月)

神奈川県では、平成25年7月に「体罰防止ガイドライン~神奈川からすべての体罰を根絶するために~」を通知しました。

この中で、神奈川県は、国により定められた体罰の定義を拡大解釈し、「不適切な指導」という定義を付け加えました。

これには、

  • 人格を否定するような暴言
  • 大きな声や威圧的な態度等の高圧的な指導
  • 不必要な身体接触
  • 無視やいやがらせ      

等の、児童・生徒を深く傷つける行為が指定され、決して許されるものではないことが強調されています。

そして、「管理職チェックリスト」として、19項目を挙げています。

この中には、「体罰の未然防止にむけ、アンケートなどの実施や相談窓口の設置をしているか。」という項目があり、これにより、神奈川県内では、保護者や児童向けに、体罰についてのアンケートが始まったことが分かります。

これらのチェック項目の中で、もし私が管理職だったら、特に大事にしたい項目を下に転記します。

  • 科学的な根拠に基づいた指導方法等の校内研修を実施しているか。
  • 日ごろから児童・生徒の指導に当たる教職員の目線に立ち、積極的にコミュニケーションを図り、指導上の悩みや思いを理解するよう努めているか。
  • 校長自らが、校内を巡回し授業や部活動の状況を把握しているか。
  • 勝利至上主義や根性論が中心となった部活動となっていないか。
体罰防止ガイドライン 神奈川県 平成25年7月
「体罰防止ガイドライン~神奈川県からすべての体罰を根絶するために~(平成25年7月/神奈川県教育委員会)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
体罰防止ガイドライン 神奈川県 平成25年7月 不適切な指導
「体罰防止ガイドライン~神奈川県からすべての体罰を根絶するために~(平成25年7月/神奈川県教育委員会)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
体罰防止ガイドライン 神奈川県 平成25年7月 管理職用チェックリスト 校長校内巡視 体罰アンケート 校長コミュニケーション 部活動の健全な実施 
「体罰防止ガイドライン~神奈川県からすべての体罰を根絶するために~(平成25年7月/神奈川県教育委員会)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

東京都の体罰防止ガイドライン(平成26年1月)

東京都では、平成26年1月に、「体罰根絶に向けた総合的な対策」を通知し、その中で体罰防止のガイドラインを示しました。

そして、神奈川県同様、体罰に加え、「暴言」や「不適切な指導」という定義を定め、教職員に禁止するものとしました。

この中で、

本来、生徒同士のいじめを防止し、迅速適切に対応することが期待されている教員等が、自ら生徒に暴言等を行うことは許されるものではない。

また、暴言等の精神的苦痛・負担を与える行為は、教育指導上、生徒に恐怖感や不信感を抱かせることとなり、負の学習効果しか期待できないため、体罰等の暴力行為と同様に指導方法として用いてはならない。

とあり、教師による児童生徒への暴言や体罰は、児童生徒に負の学習効果を与え、児童生徒による暴言や暴力へとつながっていってしまうことを示唆しています。

言い換えれば、教師の暴言や体罰を禁止することは、児童生徒のいじめや暴力行為を減らす効果がある、ということになります。

さらに、東京都は、実際の指導場面を映像化した視聴覚ビデオを作成し、教員はもとより、児童・生徒、保護者を交えて視覚的に確認し共通認識を深める、という徹底ぶりでした。

そして、教員への聞き取りや児童・生徒への質問紙調査を基本とした「体罰等実態調査」を引き続き実施する、とあります。

神奈川県や東京都のように、この頃から、全国的にも、「体罰実態調査」が、各学校で行われるようになりました。

なるほど!教師の暴言や体罰を禁止すれば、児童生徒のいじめや暴力行為も減るということね。

体罰根絶に向けた総合的な対策 東京都教育委員会 平成26年1月 暴言の例 不適切な指導の例 暴言や不適切な指導はなぜ問題か  
「体罰根絶に向けた総合的な対策について(平成26年1月31日/東京都教育委員会/部活動指導等の在り方検討委員会報告書)」より一部抜粋/掲載元/東京都教育委員会ホームページ
「体罰根絶に向けた総合的な対策について(平成26年1月31日/東京都教育委員会/部活動指導等の在り方検討委員会報告書)」より一部抜粋/掲載元/東京都教育委員会ホームページ
体罰根絶に向けた総合的な対策 東京都教育委員会 平成26年1月 体罰をチェックする機能の強化 公益通報弁護士窓口 体罰実態調査 ガイドライン DVD 制作  
「体罰根絶に向けた総合的な対策について(平成26年1月31日/東京都教育委員会/部活動指導等の在り方検討委員会報告書)」より一部抜粋/掲載元/東京都教育委員会ホームページ

いじめ防止対策推進法(平成25年9月28日施行)

「いじめ防止対策推進法」が制定されたことは、社会的に見ても、大きな出来事だったよね。これは、いじめに対して大きな抑止力になったはず。

「いじめ防止推進法」が、平成25年9月28日に施行されました。

この法律では、いじめの定義や、いじめの防止等のための対策の基本理念、いじめの禁止関係者の責務等を定めました。

いじめの定義

児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校(※)に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの

※小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)

「相手が心身の苦痛を感じているならいじめ」と定義がかわったんですね。

いじめの防止基本方針等

  1. 国、地方公共団体及び学校の各主体による「いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針」の策定※)について定めること。※国及び学校は策定の義務、地方公共団体は策定の努力義務
  2. 地方公共団体は、関係機関等の連携を図るため、学校、教育委員会、児童相談所、法務局、警察その他関係者により構成されるいじめ問題対策連絡協議会を置くことができること。

この法律によって、各学校ごとに、「いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針」が策定されたのね。

ぼくの勤めている中学校でも、いじめ等の問題行動について、毎月会議を開いて報告したり対策を話し合ったりしているよ。

基本的施策・いじめの防止等に関する措置

学校の設置者及び学校が講ずべき基本的施策

私の勤める小学校で、低学年でも教育相談が始まったの。

ぼくの勤務している中学校には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーがいるよ。

  1. 道徳教育の充実
  2. 早期発見のための措置
  3. 相談体制の整備
  4. インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進を定めるとともに、国、地方公共団体が講ずべき基本的施策として
  5. いじめ防止等の対策に従事する人材の確保
  6. 調査研究の推進
  7. 啓発活動について定めること。
学校が講ずべき施策

学校は、いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員、心理、福祉等の専門家その他の関係者により構成される組織を置くこと。

個別のいじめに対して学校が講ずべき措置
  1. いじめの事実確認
  2. いじめを受けた児童生徒又はその保護者に対する支援
  3. いじめを行った児童生徒に対する指導又はその保護者に対する助言について定めるとともに、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときの所轄警察署との連携について定めること。
いじめの防止等に関して学校がすべき措置

学校が、いじめをした児童生徒に対する懲戒や出席停止を含めた措置を定めることになったんですね。これは、いじめに対する抑止力にならなかったのかな?

懲戒、出席停止制度の適切な運用その他いじめの防止等に関する措置を定めること。

いじめ防止対策推進法(概要平成25年6月28日)いじめの定義  基本的施策 
「いじめ防止対策推進法(概要)」(いじめ防止対策推進法の公布について/通知/平成28年6月28日/別添1)より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめ防止対策推進法(概要平成25年6月28日)あらまし いじめ防止基本方針 いじめ問題対策協議会 いじめの定義 
「いじめ防止対策推進法のあらまし」(いじめ防止対策推進法の公布について/通知/別添2/平成25年6月28日付け官報)より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめ防止対策推進法(概要平成25年6月28日)あらまし いじめの防止等の対策のための組織 所轄警察署と連携 重大事態への対応 
「いじめ防止対策推進法のあらまし」(いじめ防止対策推進法の公布について/通知/別添2/平成25年6月28日付け官報)より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律(平成26年5月14日公布)

平成26年5月に、「地方公務員法及び地方独立法人法の一部を改正する法律」が公布されました。

これは、

職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる人事評価制度を導入し、これを任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とする。

ことを規定した法律です。

地方公務員及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の概要 人事評価制度の導入 の能力及び実績に基づく人事管理の徹底 退職管理の徹底 
「地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律(平成26年法律第34号)の概要/総務省/新規制定・改正法令・告示 法律」より一部抜粋/掲載元/総務省ホームページ

国立教育政策研究所 生徒指導リーフ「アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」(平成27年11月)

平成27年11月に、国立教育政策研究所から、「アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」というリーフレットが出されました。

ここには、

  • 記名式アンケートでは、正直に答えない可能性が高いので、無記名式アンケートを実施しましょう。
  • 無記名式アンケートで実態を把握し、その後児童生徒全員を相手に個人面談を実施し、早い段階での相談や報告が増えるような関係を作ることが大切です。
  • 無記名アンケートでいじめの実態を把握した後の手段として、「児童生徒に結果を投げ返す」ことも有効である場合があります。
  • 定期的なアンケートや教育相談は、その時だけで終わりではありません。それ以後の訴えや報告を促すための、パイプづくりや宣伝、抑止の機会と捉えましょう。

という内容が書かれています。

児童生徒の心情に配慮したアンケートの取り方や、その後の教育相談のやり方などが具体的に示してあって、分かりやすいね。

アンケートをすること自体が、いじめの抑止力になるってことね!

生徒指導リーフ アンケート・教育相談をいじめ「発見」につなげる 国立教育政策研究所 
「生徒指導リーフ20:アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」より一部抜粋/掲載元/国立教育政策研究所ホームページ
生徒指導リーフ アンケート・教育相談をいじめ「発見」につなげる 国立教育政策研究所 アンケート 心理調査 無記名式 個人面談
「生徒指導リーフ20:アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」より一部抜粋/掲載元/国立教育政策研究所ホームページ
生徒指導リーフ アンケート・教育相談をいじめ「発見」につなげる 国立教育政策研究所 児童生徒に投げ返してみる パイプづくりや宣伝、抑止の機会
「生徒指導リーフ20:アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」より一部抜粋/掲載元/国立教育政策研究所ホームページ
生徒指導リーフ アンケート・教育相談をいじめ「発見」につなげる 国立教育政策研究所 ワンポイント・アドバイス 
「生徒指導リーフ20:アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる」より一部抜粋/掲載元/国立教育政策研究所ホームページ

平成28年4月教職員人事評価制度の導入

国家公務員から地方公務員、そして、いよいよ教職員にも人事評価制度が導入されるようになったんだね。

教職員人事評価制度が導入されて、教職員も、能力や業績が任用・給与などの処遇に反映されるようになったんです。

今までみたいに、自分の学級の仕事だけやったり、自分のしたいように学級経営や授業をしたりするだけではだめになっちゃったんだよね。

校務分掌の仕事や周りの職員との協調性や、児童生徒・保護者への接し方なんかも評価されて、しかも、昇級や給与にも反映されるようになっちゃったんだよな。

教職員に人事評価制度が導入されて負担だけど、評価されることによって、授業や児童生徒の指導を丁寧にやらざるを得なくなったことは、結果的には児童生徒の問題行動を減らすことにつながったのかな?

平成28年4月に教職員人事評価制度が導入されました。

これまでの勤務評定制度に変えて、能力・業績の両面から評価するのが人事評価制度で、評価規準の明示や自己申告、面談、評価結果の開示等の仕組みにより、客観性等を確保し、人材育成にも活用するものとされました。

そして、改善方策として、

教育委員会は、評価者研修を実施するとともに、地方公務員法の趣旨を踏まえ、人事評価の結果を任用・給与などの処遇や研修に適切に反映させることによって、教職員一人一人の成長を促していく取組を進める。

と書かれています。

チームとしての学校の在り方と今後の改善方針について(答申案骨子)平成27年12月
「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申(案))【骨子】(初等中等教育分科会(第103回/平成27年12月17日/配付資料2-1)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
チームとしての学校の在り方と今後の改善方針について(答申案骨子)平成27年12月 地方公務員法の改正による人事評価制度の導入への対応 教職員表彰制度
「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申(案))(初等中等教育分科会/第103回/平成27年12月17日/配付資料2-2/「チームとしての学校」を実現するための具体的な改善方策(3)教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
人事評価システムの取組状況教諭等に対する評価平成29年4月1日現在
都道府県別実施状況の表
「平成28年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」より一部抜粋/掲載元/文部科学省ホームページ

いじめ防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について(平成29年3月16日)

「いじめ防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定)」が、平成29年3月16日に改定されました。

いじめの概念が広げられ、さらに細かくなっています。

また、あわせて「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」も策定されました。

いじめの防止等のための基本的な方針の改定及びいじめの重大事態の調査に関するガイドラインの策定について(通知) 平成29年
「『いじめの防止等のための基本的な方針』の改定及び『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』の策定について(通知/平成29年3月16日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの防止等のための基本的な方針の改定及びいじめの重大事態の調査に関するガイドラインの策定について(通知) 平成29年 いじめの防止等のための基本的な方針の改定について主な改定事項 けんかやふざけあい軽い言葉で相手を傷つけた
「『いじめの防止等のための基本的な方針』の改定及び『いじめの重大事態の調査に関するガイドライン』の策定についてー別添2『いじめの防止等のための基本的な方針』の改定について【主な改定事項】(通知/平成29年3月16日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
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令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果/学校内の暴力行為といじめ

学校の管理下における暴力行為発生率の推移

小学校・中学校・高等学校の「学校の管理下における暴力行為発生率の推移」のグラフを分析します。

学校の管理下における暴力行為発生率の推移 令和元年度 グラフ
「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」より一部抜粋/令和2年10月22日/掲載元/文部科学省ホームページ

学校の管理下における小学校の暴力行為発生率の推移の特徴

  • 小学校では、平成27年度ぐらいから、学校の管理下における暴力行為の発生率が急激に増えてきています。
  • 小学校では、令和元年度の学校の管理下における暴力行為発生率が、平成9年度と比べて約33倍になっています。
  • 小学校では、1学級の平均が35人だとすると、平成9年度は143学級あたり一人学校の管理下における暴力行為をした児童がいたのに対し、令和元年度は、およそ4.4学級に一人となりました。

学校の管理下における中学校の暴力行為発生率の推移の特徴

  • 中学校では、平成21年度を境に学校の管理下における暴力行為の発生率が低下する傾向にあります。
  • 中学校では、1学級の平均が35人だとすると、平成9年度には、およそ6.6学級に一人、学校の管理下における暴力行為をした生徒がいました。
  • 中学校では、1学級の平均が35人だとすると、平成21年度のピーク時は、およそ2.6学級に一人、学校の管理下における暴力行為をした生徒がいました。

学校の管理下における高等学校の暴力行為発生率の推移の特徴

  • 高等学校では、平成19年度を境に、学校の管理下における暴力行為の発生率が少しずつ減少しています。
  • 高等学校では、1学級の平均が40人だとすると、平成9年度には、およそ19学級に一人、学校の管理下における暴力行為をした生徒がいました。
  • 高等学校では、1学級の平均が40人だとすると、平成19年度のピーク時には、およそ8.9学級に一人、学校の管理下における暴力行為をした生徒がいました。

いじめ認知率の推移

次に、小学校、中学校、高等学校の「いじめ認知(発生)率の推移」のグラフを分析します。

いじめの認知(発生)率の推移 グラフ
「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」より一部抜粋/令和2年10月22日/掲載元/文部科学省ホームページ

小学校のいじめ認知率の推移の特徴

  • 平成18年度から平成23年度までの小学校でのいじめ認知率は、それ以降に比べて少なく徐々に減少傾向
  • 平成24年度に急激に跳ね上がった。
  • 平成23年度のいじめ認知率は、1,000人当たり4.8人だったのが、平成24年度には、一気に1,000人当たり17.4人に増えた。
  • 平成27年からいじめ認知率が急激に上がり続けて令和元年度には、1,000人当たり75.8人まで膨れあがった。
  • 平成23年度と令和元年度を比べると、およそ15.8倍になっている。
  • 平成23年度は、1学級の人数を35人とすると、6学級に一人令和元年度には、1学級に2.7人

中学校のいじめ認知率の推移の特徴

  • 平成18年度から平成23年度までの中学校のいじめ認知率は、それ以降に比べて少なく徐々に減少傾向。
  • 平成24年度に急激に跳ね上がり、その後1度下がった。
  • 平成23年度のいじめ認知率は1,000人当たり8.6人平成24年度には一気に1,000人当たり17.8人に増えた。
  • 中学校では、平成27年度からいじめ認知率が急激に上がり続け令和元年度には、1,000人当たり32.8人になった。
  • 平成23年度と令和元年度を比べると、およそ3.8倍
  • 平成23年度は、1学級の人数を35人とすると、3.3学級に一人令和元年度は、1学級に1.2人

高等学校のいじめ認知率の推移の特徴

  • 平成18年度から平成23年度までの高等学校のいじめ認知率は、それ以降に比べて少なく、徐々に減少傾向。
  • 平成24年度に急激に跳ね上がり、その後1度下がった。
  • 平成21年度1,000人当たり1.7人平成24年度1,000人当たり4.8人に増えた。
  • 平成25年度一旦下がった後少しずつ上がり続け令和元年度には、1,000人当たり5.4人
  • 平成21年度と令和元年度を比べると、3.2倍
  • 平成21年度には、1学級の人数を40人とすると、14.7学級に一人令和元年度には4.6学級に一人

小学校・中学校・高等学校のいじめ認知率の比較

  • 小学校、中学校、高等学校すべて平成23年度から平成24年度にかけて急激にいじめ認知率が増加している。
  • 小学校と中学校では、平成27年度からいじめ認知率が急増し続けている。
  • 小学校の平成27年度からのいじめ認知率の増加割合が特に高い。
  • 令和元年度の小学校のいじめ認知率は、中学校の2.3倍、高等学校の14倍。
  • 平成24年度までは、小学校よりも中学校の方がいじめ認知率が高かったがその後は小学校の方が高い

学校の管理下における暴力行為の発生率の推移やいじめの認知率の推移についての私なりの分析

これまで提示した資料と私の教師としての経験を基にした分析

小学校

平成27年頃から小学校での学校の管理下における暴力行為の発生率やいじめの認知率が急激に増えています。

ちょうど「アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる(国立教育政策所 生徒指導リーフ)」が、平成27年11月に各学校に配布されました。

そしてこの頃、私の勤務していた自治体では、小学校でも、児童一人一人に対する教育相談児童に対するいじめについてのアンケート「hyper-QU」のような学校生活アンケート本格的に始まりました。

これらにより、それまでは教師が気付かなかった児童のいじめや暴力行為が、教育相談やアンケートで分かるようになりました。

また、小学生は自分や友達がいじめられたり暴力を振るわれたりしたことを、隠さずにこまめに教師や保護者に言うことが多いため、細かい出来事も暴力として報告される傾向があります。

そのため、小学校での教育相談やいじめについてのアンケートの実施率が増えるにつれ、いじめや暴力件数が多くなってきているのだと思います。

さらに、平成25年に「いじめ防止対策推進法」が制定されたことによりいじめの定義の内容が変わったことが、暴力行為の定義にも波及して、ほんの小さな怪我でも、児童生徒が心身の苦痛を訴えれば、暴力行為としてカウントするようになった可能性があるということです。

もちろんそのような暴力行為の発生をとらえる手段や暴力行為に対する概念の変化によるものだけではなく、実際に私の体感としても、小学生で、自分の感情を抑えきれずに暴力をふるってしまう児童が増えていると感じています。

そして、その原因は、核家族化や、少子化、外遊びの減少や、それに伴う社会性の発達の遅れ等が影響しているのではないかと思っています。

中学校

中学校では、小学校や高等学校に比べ、全体的に暴力行為の発生率は高いです。

しかし、中学校で、平成21年度を境に暴力行為の発生率が徐々に減っている理由は何でしょうか。

今まで書いてきたように、政府や文部科学省が様々な施策を行い、各自治体、各教育委員会や各学校、教職員がそれに従って様々な対策を施してきたことによる影響が大きいと思っています。

しかし、いじめ認知率は、平成27年度から増え続けています。

これは、「アンケート・教育相談をいじめ『発見』につなげる(国立教育政策所 生徒指導リーフ)」が、平成27年11月に各学校に配布され、アンケートや教育相談の重要性それらをいじめ発見につなげる方策などが示されたことが影響していると思います。

なぜなら、それまでよりも実態を細かく捉えられるようになったからです。

その他に、いじめ認知率の増加に関係していると思う施策は、平成25年に「いじめ防止対策推進法」により「いじめの防止等のための基本的な方針」が策定されたことと、平成29年に「いじめの防止等のための基本的な方針」が改定されたことにより、2度に渡り、いじめの概念が変わったことです。

そして、そのたびに、より些細なことでもいじめとしてカウントされるようになったことで、いじめの認知率が増加してきているのだと考えています。

高校生

高校生にいじめや暴力行為が少ない理由は、

  • 高校は、付属校や一貫校でもなければ、受験で合格しないと入学できないので、小中学校で重大ないじめ行為や暴力行為のあった生徒は入学してこない場合が多い。
  • 自分の学力や好みに合う高校を希望して入学しているため、不満やストレスを感じる生徒が中学生より少ない。
  • 義務教育ではないため重大ないじめ行為や暴力行為があれば、退学もあり得るのが抑止力になっている。
  • 小学生や中学生に比べ、精神面が成熟し、安定してくる。
  • 施策の影響教職員の努力の影響

などが考えられると思います。

学校の管理下における暴力行為の発生率の推移やいじめの認知率の推移に関係するその他の資料

「いじめが背景事情として認められる生徒の自殺事案の発生」のたびに、児童生徒の問題行動をしっかり把握して対応するように文部科学省から求められてきたこと

残念ながら、「いじめが背景事情として認められる生徒の自殺事案の発生」が繰り返し起きており、そのたびに、文部科学省は、「いじめの兆候をいち早く把握し、迅速に対応するように。」という各学校、教育委員会宛ての通知をしてきました。

そして、その直後には、学校や教育委員会は、「いじめの緊急点検」などを行って、いじめをより細かく把握するように努めてきました。

それによって、いじめの認知件数は上がる傾向があります。

特に、平成23年度から平成24年度にかけて小学校・中学校・高等学校で、平成27年度から平成28年度にかけて小学校と中学校で、急激にいじめの認知率が増えていることは、その影響が大きいものと思われます。

文部科学省談話すべての学校・教育委員会関係者の皆様へ 平成24年7月 いじめが背景事情として認められる生徒の自殺案件
「文部科学大臣談話<すべての学校・教育委員会関係者の皆様へ>平成24年7月24日/
掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査を踏まえた取組の徹底について(通知)平成24年 いじめの認知件数が約14万人 
「『いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査』を踏まえた取組の徹底について(通知/文部科学省/平成24年11月27日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査を踏まえた取組の徹底について(通知)平成24年 アンケート調査の確実な実施 個別面談 個人ノートや生活ノート日記等の活用 警察との連携 や指導計画等を公表 学校におけるいじめへの対処方針
「『いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査』を踏まえた取組の徹底について(通知/文部科学省/平成24年11月27日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の、いじめの概念を見直すことで、いじめの認知率を上げるように、繰り返し通知されてきたこと

いじめの認知率を上げるように何度も言われてきたんだね。

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の際の、「いじめの概念」が各都道府県によって違うために、いじめの認知率について、各都道府県の差が、きわめて大きい状態が続いています。

そのため、「どこからをいじめと見なし、いじめ件数にカウントするか。」「どこまでは、いじめ件数にはカウントしないか。」といった、「『いじめの概念』を見直し、認知率を上げる」指示が、毎年のように出されてきました。

そのことによって、小学校と中学校では、平成27年度からいじめの認知率が急激に増え続けています。

平成24年度から小学校でいじめの認知率が中学校を抜き、平成27年度以降ぐんぐん増えているのは、小学生が無邪気さゆえに、隠さずに教師や保護者などにいじめの被害を相談することが大きいと思います。

また、コミュニケーション能力が中・高生比べて低いために、ささいな出来事でも「いじめを受けた」と感じることが多いのも理由だと思います。

実際、小学校低学年を担任していると、毎日のように児童間のトラブルが起こり、「〇〇くんに叩かれた。」とか、「△△さんにバカと言われた。」などの訴えがあります。

そして、担任が話を聞くと、お互いの勘違いやうまく言葉で表せないがゆえに手を出したり悪口を言ってしまったりした、ということがほとんどです。

しかし、いじめの概念を広げると、こういうこともすべて「いじめ」として、カウントしなければいけないということになってきます。

このため、小学校、特に低学年では、この概念で調査をするのは、かなり無理があると思います。

この先もいじめの認知率が際限なく増えていくと思います。

しかし、文部科学省も、

「いじめの芽」や「いじめの兆候」それも「いじめ」

いじめの認知件数が多いことは教職員の目が行き届いていることのあかし

法律上のいじめに該当する事象は、成長過程にある児童生徒が集団で学校生活を送る上でどうしても発生するものであると考えています。

と書いていますので、そのとらえ方でよいのでしょう。

そして、

いじめの認知(発生)率が上がっているから、いじめ対策ができている。

というおかしな結果になって当然、ということです。

「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」のいじめの認知率を上げることが、いじめ対策として有効ってことね。

児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の一部見直しについて依頼 平成27年 岩手県矢巾町で中学2年生が自殺した事案 アンケート調査いじめ記載 いじめの認知件数の都道府県間の差が極めて大きい最大で約83倍の差平成25年度 実態を正確に反映しているとは考え難い 見直し どの学校においても一定数のいじめが認知されるのが自然 徐々に風化していくいじめを初期段階のものも含めて積極的に認知 いじめの認知件数が多い学校について極めて肯定的に評価  いじめの認知が零出会った学校においては、児童生徒や保護者向けに公表 いじめ不登校重大事態
「平成26年度『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』の一部見直しについて(依頼/平成27年8月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の一部見直しについて依頼 平成27年 岩手県矢巾町で中学2年生が自殺した事案 アンケート調査いじめ記載 いじめの認知件数の都道府県間の差が極めて大きい最大で約83倍の差平成25年度 実態を正確に反映しているとは考え難い 見直し どの学校においても一定数のいじめが認知されるのが自然 徐々に風化していくいじめを初期段階のものも含めて積極的に認知 いじめの認知件数が多い学校について極めて肯定的に評価  いじめの認知が零出会った学校においては、児童生徒や保護者向けに公表 いじめ不登校重大事態
「平成26年度『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』の一部見直しについて(依頼/平成27年8月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について(通知)平成28年 別添の資料を周知する
「『いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について』(通知/平成28年3月18日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について(通知)平成28年 別添の資料の活用について 保護者に対しいじめのサイン発見シートや24時間子供SOSダイヤル等の紹介 申し送り 
「『いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について』(通知/平成28年3月18日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について(通知)別添資料 いじめの認知について 捉え方の差 いじめの定義 いじめの認知を正確に行う
「『いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組についてー別添ー』(通知/平成28年3月18日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について(通知)別添資料 いじめの認知について 具体的な事例で各二人 いじめの芽やいじめの兆候それもいじめ 
「『いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組についてー別添ー』(通知/平成28年3月18日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告を踏まえた対応について(通知)平成30年3月26日 いじめの正確な認知の推進
総務省から勧告 
「『いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告を踏まえた対応について』(通知/平成30年3月26日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告を踏まえた対応について(通知)平成30年3月26日 いじめの正確な認知の推進
総務省から勧告 平成28年度都道府県で約19倍の差 重大事態の発生報告 
「『いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告を踏まえた対応について』(通知/平成30年3月26日/文部科学省)ー別添1『いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告書』」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
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小学校、中学校、高等学校でいじめや暴力行為対策として有効だったと思う政府や文部科学省の施策

  • 平成12年~26年の少年法の改正により、12歳で少年院装置が可能、14歳未満の少年事件の調査可能、14歳以上で刑事処分可能等、処分が重くなったため、児童生徒が問題行動を思いとどまるようになった。
  • 平成18年の教育基本法の改正により、教育の目的や理念が新しくなり、家庭教育を重視するなど、今の時代に合うものとなった。
  • 平成18年の教育基本法の改正により、各教育委員会の責任が重くなり、地方の実情に合う教育内容が工夫されるようになった。
  • 全国的な学力調査の始まりにより、児童生徒の学力を高めるために、各教員が今までより自分の授業や指導方法を工夫するようになった。
  • 学校評価や教職員人事評価制度が始まったことにより、教職員が学校経営、学級経営の改善を行ったり、授業実践や児童生徒・保護者との関係づくりにより真剣に取り組んだりするようになった。【「国家公務員等改正案の改正等について(平成19年)、「地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律(平成26年)」、「教職員人事評価制度の導入(平成28年)」】
  • 児童生徒の問題行動をなくすための取組みについて、文部科学省が地方自治体や学校に、通知や報告、リーフレットの配布などで実際の行動を促した。そして、その結果、各学校や教職員が今までの方法を見直し、改めるように努力してきた。【「いじめの問題への取組みの徹底について(通知/平成18年)」、「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知/平成19年)」、「児童生徒の教育相談の充実についてー生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり(平成19年)」、「学校生活アンケートの実施(平成19年頃~)」、「暴力行為のない学校づくりについて(報告書/平成23年)」、「体罰の禁止及び児童生徒の理解に基づく指導の徹底について(通知/平成25年)」、「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例(平成25年)」、「国立教育政策所 生徒指導リーフ『アンケート・教育相談をいじめ【発見】につなげる』(平成27年)」】
  • 平成25年のいじめ防止対策推進法の制定により、いじめの定義を定め、国と地方公共団体、学校が、それぞれ「いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針」を策定、公表し、関係者の責務等を明確にしたことで、国、地方公共団体学校で、確実にいじめ対策が進められることになった。【「いじめ防止対策推進法」施行/平成25年、「『いじめ防止等のための基本的な方針』の改定について」/平成29年】
  • 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で、「いじめの認知率を上げるように。」と、繰り返し指示してきたこといじめの芽を摘むことができている(はず?)
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令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果/不登校・自殺

不登校の要因令和元年度調査 表
「令和元年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(令和2年10月22日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学年別自殺者数 自殺した児童生徒が怒れていた状況(原因)いじめ家庭不和等
「令和元年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(令和2年10月22日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
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まとめ

「いじめや暴力行為対策として有効だったと思う政府や文部科学省の施策は?」の答えを、いじめの認知率や暴力行為の発生率の調査結果と照らし合わせて証明しようと思い、調べましたが、いじめに関しては、どうやら、

「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」のいじめの認知(発生)率を上げることが、いじめ対策として有効

という、一見矛盾しているように見えるちょっと不思議な結果になってしまいました。

しかし、暴力行為に関しては、少し違います。

中学校や高等学校で暴力行為の発生率が下がっていることは、政府や文部科学省が様々な施策を行い、各自治体、各教育委員会や各学校、教職員がそれに従って様々な対策を施してきたことによるプラスの相関性がある」、といえる結果になったと思います。

いじめについては、①どこまでをいじめととらえるかの線引きを全国一律に揃えることが難しいこと②いじめの芽も含めて、もれなく把握しようとすればするほど、数が増えてしまうこと、の2つの理由が、いじめの認知率の数字から、実際にいじめが減っているのかどうかの判断をすることを難しくしています。

しかし、確実に言えることは、政府や文部科学省が様々な施策を行い、各自治体、各教育委員会や各学校、教職員がそれに従って様々な対策を施してきたことに意味がある、ということです。

また、児童生徒のいじめや暴力行為などの問題行動を減らすための有効な施策は、実はまだまだ他にもあり、その中でも、私が有効だと考える方法は、「少人数学級」や、「教職員定数の引き上げ」です。

この、当たり前で、一番必要だと考える施策が、なぜか、なかなか進まないのです。

児童生徒一人当たりの教職員数が上がれば、一人一人に目が届き、一人に対して教職員が向き合う時間が増え、いじめや不登校などの芽を摘むことが簡単になります。

そして、各自治体、各教育委員会や各学校、教職員は、平成18年度の教育基本法改正や平成19年度の少年法改正以降、この15年ほどの間、児童生徒の問題行動を減らすために、もう十分頑張ってきたと思います。

実際、長年教師として現場で働いてきた身として、学校の雰囲気や、先生方の指導法が、よい方向に変わってきたことを肌で感じています。

ですから、政府や文部科学省の皆さんには、

お金をかけさえすれば、速効で効果が表れるこの「少人数学級」や、「教職員定数の引き上げ」を、できるだけ早く行っていただきたいと思います。

なぜなら、そのことで、救える命があり学校に来られるようになる子どもがいるからです。

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