- はじめに
- 義務標準法について
- 基礎定数の改善(義務標準法に基づく標準定数の改善)ではなく加配定数で、少人数学級への移行を行うデメリット
- 義務教育費国庫負担金制度とは
- 平成25年度補正予算案(好循環実現のための経済対策)
- 平成26年度予算
- 平成26年度文部科学省予算
- 平成26年度文部科学関係予算(案)のポイント
- 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の概要(平成24年法律第2号)
- 平成26年度文部科学省予算義務教育費国庫負担金
- 補習等のための指導員等派遣事業~学校いきいきサポート人材の活用~
- いじめ対策の推進
- 特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実~
- キャリア教育・職業教育の充実
- 全国的な学力調査の実施
- 土曜日の教育活動の推進(新規)
- 地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)
- 学校・家庭・地域の連携協力推進事業
- 多様な主体の参画による家庭教育の充実(新規)
- 情報通信技術を活用した学びの推進
- スポーツ立国の実現
- 子供安心プロジェクトの充実
- まとめ
はじめに
前回の記事「学校における働き方改革は可能か⑲~7か年で33,500人の教職員配置の改善を要求した平成26年度概算要求~」では、文部科学省が平成26年度概算要求で、36人以上学級の解消と少人数学習のため、加配定数を2,100人改善するための予算を要求したことを書きました。
また、個別の教育課題への対応として1,600人、学校力の向上として900人の教職員加配措置の予算も要求したこともお伝えしました。
さらに、「世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学校力向上7か年戦略」という、「教職員指導体制を7か年かけて33,500人改善する」という、教員や保護者や子どもたちにとって、かなりうれしい計画まで打ち立てたことについても触れました。
そして、学校の働き方改革に関連する「土曜授業推進事業」「コミュニティ・スクールの充実・拡大」「学校支援地域本部」「地域ぐるみの学校安全体制の整備」「情報通信技術を活用した新たな学び推進事業」「運動部活動の工夫・改善支援事業」「通学路安全推進事業」等の事業も拡充されたり、新設されたりして、予算が要求されたことを述べました。
しかし、この概算要求で、一見とてもよいものに見える36人以上学級解消のための教職員定数の改善が、実は、問題を含んでいたんです。
それは、法改正によるものではないことです。
今回の記事では、まず、法律に基づく教職員定数の決め方の仕組みをお伝えした上で、その点について考えていきたいと思います。
そして、その後、平成26年度の文部科学省の概算要求が、財務省との折衝・査定や国会審議を経て、どのような形で平成26年度予算として成立したかについて書いていきます。
義務標準法について
義務標準法の目的
教職員定数は、「義務標準法」という法律に基づいて決められます。
その目的は、
義務教育の維持向上のため、学級規模と教職員配置の適正化を図ることを目指して、学級編制と教職員定数の標準について必要な事項を定めるもの
とあります。
義務標準法の内容
学級編制
基礎定数
加配定数
教職員定数の算定について(義務)
標準定数
学級数の算定の仕方
「各学年の児童生徒数を、学級編制の標準の人数で除して得た数(1未満の端数切り上げ)が当該学年の学級数」という算定方法に従い、学級数を計算する。
小・中学校における標準定数の各教職員数の内訳
教諭等(副校長・教頭・主幹教諭・指導教諭を含む)
学校規模ごとの「学級総数に乗ずる率」の例(小学校)
学校規模の分類(小学校) | 学級総数に乗ずる率 |
---|---|
1学級及び2学級の学校の学級総数 | ×1.000 |
3学級及び4学級の学校の学級総数 | ×1.250 |
5学級の学校の学級総数 | ×1.200 |
学校規模ごとの「学級総数に乗ずる率」の例(中学校)
学校規模の分類(中学校) | 学級総数に乗ずる率 |
---|---|
1学級の学校の学級総数 | ×4.000 |
2学級の学校の学級総数 | ×3.000 |
3学級の学校の学級総数 | ×2.667 |
校長
教頭(副校長)の複数配置
生徒指導担当
養護教諭
栄養教諭・学校栄養職員
事務職員
基礎定数の改善(義務標準法に基づく標準定数の改善)ではなく加配定数で、少人数学級への移行を行うデメリット
義務教育費国庫負担金制度とは
義務教育費国庫負担金制度の基本的役割
「義務教育費国庫負担金制度」とは、
憲法の要請に基づき、義務教育の根幹(機会均等、水準確保、無償制)を国が責任をもって支える制度
です。
義務教育費国庫負担金制度の概要
平成18年度から、それまで1/2だった国庫負担率が1/3に引き下げられました。
その結果、財源不足の県では、国庫負担金の最高限度額まで、職員給与費を確保できないケースが増えました。
平成25年度補正予算案(好循環実現のための経済対策)
好循環実現のための経済対策(閣議決定)
平成26年4月1日から消費税率(国・地方)を5%から8%に引き上げることに伴い、駆け込み需要とその反動減が予想されることから、これを緩和し、景気の下振れに対応するリスクに対応するため、「好循環実現のための経済対策」が閣議決定されました。
平成25年度補正予算案
「好循環のための経済対策」に基づき、平成25年12月5日に、平成25年度補正予算案が閣議決定されました。
平成26年4月1日から消費税率(国・地方)を5%から8%に引き上げることの低所得者層への影響の緩和や、駆け込み需要と反動減の緩和策が、施策として予算化されました。
平成25年度文部科学省補正予算
平成25年度文部科学省補正予算では、「国公私立学校施設の耐震化・老朽化対策等の推進」として、2007億円(うち復興特別会計676億円)が計上されました。
また、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に向けたスポーツ施設整備」に208億円、「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」に550億円などにも多くの予算が配分されました。
平成26年度予算
平成26年度予算フレーム
平成26年予算フレームは、消費税率の引上げに伴い、歳入の税収が対平成25年度比、6兆9,050億円の大幅増です。
そして、歳出は、政府の政策により、社会保障費が対平成25年度比1兆3,951億円の増です。
平成26年度一般会計歳入歳出概算
平成26年度一般会計歳出概算所轄別内訳の中で、厚生労働省や国土交通省が対平成25年度比で大幅に増加しています。
平成26年度一般会計歳出概算主要経費悦内訳の中では、社会保障関係費や公共事業関係費、エネルギー対策費が大幅に増えています。
平成26年度予算のポイント
平成26年度予算は、「経済再生・デフレ脱却と財政健全化をあわせて目指す予算」、「社会保障・税一体改革を実現する最初の予算」でした。
各分野別の平成26年度予算の特徴
社会保障
地方財政
平成26年度各予算における重点施策について
教育・医療分野では、「大学等奨学金事業の充実」等に重点が置かれました。
平成26年度予算 歳出分野における効率化
平成26年度予算の歳出分野における効率化で、「義務教育費国庫負担金、奨学金の見直し」がなされました。
公立小中学校の教職員数について、既存定数を合理化・縮減(▲713人)する一方、いじめ問題等個別課題へ対応するための定数増(703人)を措置し、定数の配置改善を推進
とあります。
平成26年度文部科学省予算
平成26年度文部科学関係予算(案)のポイント
平成26年度文部科学関係予算は、対平成25年度比で0.1%の増でした。
「文教関係予算」は、0.7%の増、「スポーツ関係予算」は、「2020スポーツ戦略プラン」等の2020東京オリンピック関係の新設事業の影響で、対平成25年度比4.9%の増でした。
国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の概要(平成24年法律第2号)
平成24年2月29日「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号)(給与臨時特例法)」が策定されました。
これは、
平成23年9月30日付けの人事院勧告に鑑み、給与の改定について定めると共に、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、一層の歳出削減が不可欠であることから、国家公務員の人件費を削減するため、国家公務員の給与に関する特例を定めるもの
です。
平成23年4月から平成26年3月末日まで、国家公務員の給与を減額措置する法律です。
この法律により、地方公務員の給与も減額されました。
平成26年度文部科学省予算義務教育費国庫負担金
教職員定数の改善
平成26年度は、少人数教育の推進のための定数の改善は、2,100人を要求していたのに対して、何と「0人」でした。
そして、いじめ問題等の個別課題に対応するための定数増は、+2,500人を要求していたのに対して、+703人でした。
教職員定数は、両方を合わせると、概算要求より▲3,897人でした。
そして、既存定数の合理化減が▲713人でした。
したがって定数改善は、▲10人となってしまいました。
そして、「世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学校力向上7か年戦略」は、採用されず、計画的に教職員定数を改善することは、叶いませんでした。
概算要求 | 予算 | 差 | |
---|---|---|---|
少人数教育の推進 | 2,100人 | 0人 | ▲2,100人 |
小学校理科教育の充実(専科指導) | 300人 | 0人 | ▲300人 |
小学校英語の教科化への対応 | 100人 | 94人 | ▲6人 |
道徳の新たな枠組みによる教科化への対応 | 200人 | 235人 | ▲365人 |
いじめ問題への対応 | 400人 | ↓ | ↓ |
特別支援教育の充実 | 500人 | 235人 | ▲265人 |
食育の充実 | 100人 | 0人 | ▲100人 |
学校運営の改善(養護教諭、栄養教諭、事務職員) | 0人 | 39人 | +39人 |
事務機能の充実 | 100人 | 0人 | ▲100人 |
主幹教諭の配置促進 | 200人 | 0人 | ▲200人 |
初任者研修の抜本的改革 | 100人 | 0人 | ▲100人 |
学校統合の支援 | 300人 | 100人 | ▲200人 |
複式学級の解消 | 100人 | 0人 | ▲100人 |
免許外教科担任の解消 | 100人 | 0人 | ▲100人 |
合計 | 4,600人 | 703人 | ▲3,897人 |
概算要求 | 予算 | 差 | |
教職員定数の統合減(学校統合の支援による政策減) | ▲300人 | ▲313人 | ▲13人 |
教職員定数の合理化減(指導方法工夫改善加配の合理化) | ▲400人 | ▲400人 | +-0人 |
合計 | ▲700人 | ▲713人 | ▲13人 |
概算要求 | 予算 | 差 | |
教職員定数の自然減 | ▲3,800人 | ▲3,800人 | +-0人 |
教職員給与
補習等のための指導員等派遣事業~学校いきいきサポート人材の活用~
「補習等のための指導員等派遣事業~学校いきいきサポート人材の活用~」に対し、概算要求では、6,000人を要求しましたが、予算では、2,000人増の8,000人が措置されました。
いじめ対策の推進
自治体の取組に対する支援
幅広い外部専門家を活用していじめ問題の解決に向けて調整、支援する取組の促進
学校の取組に対する支援
スクールカウンセラーの配置拡充
スクールソーシャルワーカーの配置拡充
生徒指導推進協力員・学校相談員の配置拡充
24時間いじめ相談ダイヤル
特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実~
発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期支援・教職員の専門性向上事業(新規)
概算要求 | 予算 |
47地域・10大学・発達障害支援アドバイザー(約100人) | 40地域・5大学・発達障害支援アドバイザー(約80人) |
キャリア教育・職業教育の充実
地域キャリア教育支援協議会設置促進事業
全国的な学力調査の実施
対象学年(小6・中3)の全児童生徒を対象に、国語、算数、数学を対象教科とした悉皆調査を行うための予算が措置されました。
また、平成27年度において、対象教科に理科を追加して、悉皆方式で調査を実施するための準備の予算も措置されました。
予算措置された事業の内容は、概算要求どおりです。
金額は、概算要求では、合計で61億8,800万円を要求していましたが、予算額は、61億2,400万円でした。
土曜日の教育活動の推進(新規)
土曜授業推進事業
質の高い土曜授業を推進するため、土曜ならではのメリットを生かした効果的なカリキュラムの開発、特別非常勤講師や外部人材、民間事業者等の活用を支援すると共に、その成果の普及を図るための予算が新規で措置されました。
学校の教育課程として、総合的な学習の時間や英語教育等を行うこととしました。
概算要求では、70地域、約50校程度で20億500万円を要求していましたが、措置された予算は、約35地域の約175校程度で月1回程度、1億円でした。
地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業
地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の豊かな社会資源を活用して体系的・継続的なプログラムを企画・実施できる「コーディネーター」と多様な経験や技能を持つ「土曜教育推進員」を配置し、地域と連携した年間10日程度の土曜日の教育活動などを支援することにより、土曜日の教育支援体制等の構築を図るための予算が新しく措置されました。
概算要求では、小学校4,000校区、中学校2,000校区、高等学校等700校区を要求していましたが、予算措置されたのは、小学校3,000校区、中学校1,500校区、高等学校等350校区のみでした。
予算金額は、概算要求では、18億円を要求していましたが、措置されたのは、13億3,300万円でした。
地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)
コミュニティ・スクールの充実・拡大
コミュニティ・スクールの導入拡大や取組充実に向け、制度運用の実践研究やマイスターの派遣等を行うための予算です。
1億3,200万円の要求に対して、1億300万円が措置されました。
自律的・組織的な学校運営の体制の整備に向けた調査研究
校長がリーダーシップを発揮するための学校裁量の拡大、教職員や学校運営協議会委員等のマネジメント力の向上、実効性のある学校評価に関する調査研究を行うための予算です。
概算要求では、研究費として、200万円×17市区町村、1,000万円×2団体を要求していましたが、予算案では、研究費として、200万円×17市区町村、830万円×2団体、500万円×2団体となりました。
また、予算案では、「地域と共にある学校づくりのためのマネジメント力強化研修」と、「学校運営の充実方策等を検討するための有識者会議」の予算も措置されました。
学校・家庭・地域の連携協力推進事業
学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業(補助事業)
社会全体で子供を支えていくため、地域住民等、豊富な社会体験を持つ外部の人材等を活用し、「学校支援地域本部」「放課後子供教室」「家庭教育支援」「地域ぐるみの学校安全体制の整備」「スクールヘルスリーダー派遣」などの学校・家庭・地域の連携協力による様々な教育支援活動を支援するための予算です。
概算要求では、41億2,400万円を要求しましたが、措置された予算金額は、38億1,400万円でした。
学校支援地域本部・放課後子供教室等が1万2,000学校区、コーディネーターが6,000人、家庭教育支援員の配置が1,000か所予算措置されました。
多様な主体の参画による家庭教育の充実(新規)
以下の4つの事業を推進するための予算が措置されました。
- 子供の発達段階に応じた学習プログラムの開発・普及促進
- 家庭が抱える個別課題への効果的な支援方法の検討・分析
- 父親やシニア世代などの多様な主体の参画を促進する研究協議の開催
- 企業との連携による学習機会の充実
2.の「家庭が抱える個別課題への効果的な支援方法の検討・分析」は、概算要求時にはなかった事業ですが、予算案で付け加えられました。
要求した予算が3,200万円だったのに対し、措置されたのは、2,600万円でした。
情報通信技術を活用した学びの推進
情報通信技術を活用した新たな学びの推進事業(新規)
先導的な教育体制構築事業
「先導的な教育体制構築事業」では、総務省との連携の下、各地域においてICTを活用し、学校間、学校・家庭が連携した新しい学びを推進するための指導方法の開発、教材や指導事例等の共有など、先進的な教育体制の構築に資する研究を実施する事業です。
概算要求では、10地域で3億8,200万円の要求をしましたが、成立した予算は、1億2,200万円でした。
情報通信技術を活用した教育振興事業
「確かな学力の育成に資する授業革新促進事業」の替わりに「情報通信技術を活用した教育振興事業」が予算措置されました。
(1)ICTを活用した教育の推進に資する実証事業
ICTを活用した教育の推進に当たっての課題に対応するため、以下の実証研究を行う。
(2)ICTを活用した課題解決型教育の推進事業
① 情報教育指導力向上支援
問題を解決する手順を論理的に示すアルゴリズムや、ICT機器・ネットワークを利用して課題を解決するためのよりよい手順を考え出すプログラムの作成に関して学ぶことは、今後の社会を生きる児童生徒にとって必要となる論理的な思考力と課題解決能力の育成につながることが期待できる。
そのため、プログラムの作成に関する指導の実態把握や指導事例の収集等を通じて、授業で活用できる教員向けの指導手引書を作成する。
② デジタル教材等の標準化支援
デジタル教材を多様な情報端末において利用可能とするとともに、デジタル教材等による学習の過程や成果を記録し、それらを活用した学習活動ができるように、デジタル教材等に求められる機能の整理、ルールの策定などを行い、デジタル教材等の制作・流通を促進する。
情報教育の推進等に関する調査研究
① 企画評価委員会の設置
② 情報教育の推進等に関する調査研究
- 調査結果分析委員会の開催
- 高等学校段階における情報活用能力の実態調査
教育用コンテンツ奨励事業
「教育用コンテンツ奨励事業」は、教育的価値が高く、学校教育又は社会教育に利用されることが適当と認められる教育映像等審査に、新たにデジタルコンテンツ部門を設置し、デジタルコンテンツ作品の普及、利用促進を図る事業です。
概算要求では、3,300万円を要求しましたが、措置されたのは、3,200万円でした。
スポーツ立国の実現
地域スポーツの持続可能な推進に向けた調査研究
「地域スポーツの持続可能な推進に向けた調査研究」に対する予算は付きませんでした。
スポーツを通じた地域コミュニティ活性化促進事業
「スポーツを通じた地域コミュニティ活性化促進事業」に対する予算は7,300万円が措置されました。
地域スポーツとトップスポーツの好循環推進プロジェクト
「地域スポーツとトップスポーツの好循環推進プロジェクト」は、トップアスリートを活用した地域のジュニアアスリート等への指導や学校への「小学校体育活動コーディネーター」の派遣等を通じて、地域スポーツとトップスポーツの好循環を推進するとともに、拠点クラブを核とした地域スポーツクラブのエリアネットワーク構築の実践を通じて、自立・継続して取り組む体制を整備するプロジェクトです。
総合型地域スポーツクラブ等へ委託する計画です。
概算要求額は、6億4,400万円でしたが、予算措置は、2億6,500万円でした。
運動部活動指導の工夫・改善支援事業(新規)
「運動部活動指導の工夫・改善支援事業」は、運動部活動の現場から体罰を根絶し、適切な指導方法・内容の運動部活動を推進するため、指導者の資質向上を図るとともに、地域のスポーツ指導者の活用など地域との連携を推進する新しい計画でした。
概算要求では、6億3,000万円を要求しましたが、予算額は、3億200万円でした。
武道等指導推進事業
「武道等指導推進事業」には、予算が付きませんでした。
体育活動における課題対策推進事業
体育活動中の事故防止やスポーツ医・科学を活用した体育授業の効果的な実施などの様々な課題に対応し、安全でより効果的な体育活動を実施するための取組を推進する事業です。
大学等に委託する計画でした。
1億2,200万円を要求しましたが、措置されたのは、8,100万円でした。
子供安心プロジェクトの充実
「学校安全推進事業」として、1億200万円が予算措置されました。
この中に「防犯教室」や「交通安全教室」の講師謝金や、「通学路安全推進事業」の全国連絡競技会の講師謝金等が含まれました。
まとめ
平成26年度予算の概算要求では、基礎定数の改善(義務標準法に基づく標準定数の改善)ではなく加配定数で、少人数学級への移行を行うことを計画していました。
今回の記事では、その方法のデメリットについても書きました。
加配定数で、少人数学級への移行を行うデメリットは、
- 計画的な教職員配置、新卒採用がしにくい。
- 臨時的任用職員が増える。
- 加配定数によって少人数学級を実施し、学級数が増えたとしても、義務標準法に基づく標準定数は変わらないため、本来学級数に応じて増えるはずの専科教員や教頭(副校長)などが増えない。
ということでした。
しかし、平成26年度予算では、少人数学級はもちろん、少人数教育についても、定数の改善がされませんでした。
いじめ問題等の個別課題に対応するための定数増は、703人でしたが、既存定数の合理化減が713人ですので、合わせると、定数改善は、▲10人となってしまいました。
そして、7か年計画も採用されませんでした。
「学校における働き方改革」に通じる事業に対する予算は、減額されたり事業自体が削られてしまったものもありましたが、スクールカウンセラーのように少しずつ増員されている人的支援もありました。
しかしながら、このシリーズの記事を書いていて毎回思うのは、文部科学省の概算要求の内容が満足できるものでないとはいえ、その内容がそのまま実現していたら、今ごろはもっと学校の環境が整っていてただろうなあ、教師も子どもも保護者も笑顔が増えていただろうなあ、ということです。
次回は、「学校における働き方改革は可能か㉑~平成27年度概算要求~アクティブ・ラーニングと働き方改革のためのチーム学校と10年間で31,800人の定数改善計画~」で、平成27年度文部科学省予算の概算要求について書きます。
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