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はじめに
前回の記事「学校における働き方改革は可能か②~改正労働基準法~」で、平成31年4月1日の「改正労働基準法施行」について、述べました。
ほとんど全ての業種での働き方改革のための法律の改正でした。
今まで、残業が当たり前のように行われてきた学校現場でも、労働基準法の改正に伴い、超過勤務時間の上限が定められました。
そして、「学校での働き方を大きく変えていくための方策を考える」という課題が、一人一人の教職員にも与えられました。
しかし、実は、ずっと以前から、学校現場での業務削減についての取り組みは、されてきていました。
そして、それは、政府の方針に沿ったもので、教職員の人件費と大きな関わりがありました。
そのあたりの歴史について、今回から、数回に分けて詳しくお話していきます。
平成12年12月1日閣議決定「行政改革大綱」
平成12年12月1日、政府の閣議決定として、「行政改革大綱」が公表されました。
その中で、今後の行政改革の重要課題として、
(1)新たな時代にふさわしい行政組織・制度への転換を目指す観点からの特殊法人等の改革、公務員制度改革、行政評価システムの導入、公会計の見直し・改善、公益法人に対する行政の関与の在り方の改革
が挙げられています。また、
(4)その他、電子政府の実現を初め、省庁再編に伴う運営・施策の融合化、行政の組織・事務の減量・効率化等を推進する。
とあります。
平成17年12月24日閣議決定「行政改革の重要方針~小さくて効率的な政府~」
平成17年になり、12月24日の閣議決定では、「行政改革の重要方針」が発表されました。
その中で、
「小さくて効率的な政府」を実現し、財政の健全化を図るとともに、行政に対する信頼性の確保を図ることは、政府にとって喫緊かつ最重要課題の1つである。
と述べられています。そして、
行政のスリム化、効率化を一層徹底することが必要である。
ことが強調されています。
簡単に言うと、政府の財政の健全化のために、無駄を省き、効率化を図って支出を抑えよう、というものです。
平成18年6月2日公布・施行「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(行政改革推進法)
平成18年6月2日には、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」が、公布・施行されました。
この中の「地方公務員の職員数の純減」第55条の3で、
政府及び地方公共団体は、公立学校の教職員(中略)その他の職員の総数について、児童生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるための必要な措置を講ずるものとする。
とあります。また、
「地方公務員の給与制度の見直し」第56条の3では、
政府は、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法の廃止を含めた見直しその他の公立学校の教職員の給与の在り方に関する検討を行い、平成18年度中に結論を得て、平成20年4月を目途に必要な措置を講ずるものとする。
と書かれています。
※学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法
この法律は、学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ、義務教育諸学校の教育職員の給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的とする。
昭和四十九年法律第二号「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」電子政府の総合窓口EーGovより
つまり、財政の支出を抑えるために、
ということです。
まとめ
財政政策として、人件費を削減するために、公立諸学校の「教職員の数を減らす」、「教職員の給与を削減する」という方針を定めた平成18年6月2日公布・施行「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(行政改革推進法)という政府の政策に対して、文部科学省も次の一手に出ることになります。
それは、平成18年7月~12月に文部科学省が行った40年ぶりの全国的な教員勤務実態調査「教員勤務実態調査」と、その結果を受けて平成19年3月29日に中央教育審議会より発出された「今後の教員給与の在り方について(答申)」で示されました。
次回「学校における働き方改革は可能か④~平成18年度「教員勤務実態調査」/平成19年3月「今後の教員給与の在り方について(答申)」~」では、そのことについて詳しく書きます。
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