- はじめに
- 三重県では、校長、教頭、主幹教諭、指導教諭が、管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職
- 三重県「公立学校職員の給与に関する条例」で管理または監督の地位にある職員に管理職手当を支給することを規定
- 三重県「公立学校職員の給料および手当の支給に関する規則」で管理職手当を支給される職を規定(三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」第6条第1項第1号関係)
- 三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職を規定
- 三重県「公立学校職員の給与に関する条例」の「教育職給料表等級別基準職務表」で「高等学校教育職給料表の職務の級特2級」と「中学校・小学校教育職給料表の職務の級特2級」を規定(三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」第6条第1項第2号関係)
- 第9条第3項で特定管理監督職群に規定された職は「管理監督職勤務上限年齢による降任等及び管理監督職への任用の制限の特例」(特例任用)が適用されることを規定したが、三重県では特定管理監督職群に規定された職はない
- 三重県「職員の定年等に関する規則」で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職として主幹教諭と指導教諭も規定
- まとめ
はじめに
前回の記事「地方公務員法改正案施行で60歳以降の勤務条件はどう変わるのか⑩~校長・副校長・教頭は特定管理監督職群か~」で、「東京都では校長と副校長が60歳以降も降格されない規定ができた」こと、「堺市では校長のみ60歳以降も降格されない規定ができそうだ」ということを書きました。
その後さらに調べたところ、何と三重県では、「職員の定年等に関する規則」で、「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」として、校長、教頭のみならず、「主幹教諭」と「指導教諭」までが規定され、さらに「管理監督職上限年齢制の例外(特例任用)」とされる「特定管理監督職群」の規定がないことから、60歳以前にこのような職だった人はすべて、60歳以降は平教員に戻ることが判明しました。
この記事では、地方公務員法改正により、校長、教頭、主幹教諭、指導教諭が、「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」として規定された三重県の規則の詳細について説明します。
教職員以外の三重県職員の、管理監督職に指定された職階についても分かりますので、教職員以外の地方公務員の方も必見の内容です。
三重県では、校長、教頭、主幹教諭、指導教諭が、管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職
私が調べたところ、「三重県では、校長、教頭、主幹教諭、指導教諭が管理監督職勤務上限年齢制の対象となる管理監督職である」ことが分かりました。
「管理職手当を支給される職」が分からないと「管理監督職」も分からない
そもそも三重県の公立学校職員の管理職とされる職については、「公立学校職員の給与に関する条例」と「公立学校職員の給料および手当の支給に関する規則」で規定されています。
この「公立学校職員の給与に関する条例」によると、管理または監督の地位にある職員に管理職手当を支給することが規定されています。
そして、「公立学校職員の給料および手当の支給に関する規則」では、「管理職手当を支給される職」を規定しています。
つまり、管理職手当を支給される人たちが、給与関係の条例でいうところの、管理または監督の地位にある「管理監督職」ということです。
「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」と「職員の定年等に関する規則」で「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」を規定
三重県では令和5年度からの県職員の定年延長に併せて、「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」が制定され、「職員の定年等に関する規則」が改正されました。
「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」で「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職」を規定し、「職員の定年等に関する規則」の改正で「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」を規定しました。
「管理職手当を支給される職」とされる職と「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」を調べたら、「三重県で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職が校長、教頭、主幹教諭、指導教諭である」と分かった
「管理職手当を支給される職」とされる職と「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」を調べたら、「三重県で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職が校長、教頭、主幹教諭、指導教諭である」と分かりました。
以降、この記事で、関係条例や関係規則を基に詳しく説明します。
三重県「公立学校職員の給与に関する条例」で管理または監督の地位にある職員に管理職手当を支給することを規定
第22条の2第1項で管理又は監督の地位にある職員の職のうち規則で指定する職を占める職員に管理職手当を支給することを規定
管理または監督の地位にある職員の職のうち規則で指定する職を占める職員に対して、その勤務の特殊性に基づき、管理職手当を支給する。
三重県「公立学校職員の給料および手当の支給に関する規則」で管理職手当を支給される職を規定(三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」第6条第1項第1号関係)
第13条の3「管理職手当の支給」
第1項「管理職手当を支給する職として規則で指定する職」は別表6を参照すること
条例第22条の2第1項の規定により規則で指定する職は、別表第6の上欄に掲げる学校の種類の区分に応じ、同表の中欄に掲げる職とし、当該職に係る管理職手当の区分は、同表の中欄に掲げる職の区分に応じ、同表の下欄に掲げる区分とする。
別表第6「管理職手当を支給する職」とは
小学校、中学校及び義務教育学校の職
- 校長
- 教頭(教育長が特に認める場合を除き、学級数5以下の小学校及び学級数2以下の中学校の教頭を除く)
高等学校及び特別支援学校
- 校長
- 教頭
- 事務長
三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職を規定
第6条第1項で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職を規定
第6条第1項
法第28条の2第1項に規定する条例で定める(※下図「管理監督職の範囲と管理監督職勤務上限年齢」参照)は、次の各号に掲げる職(病院、保健所、診療所、子ども心身発達医療センター等において医療業務に従事する医師及び歯科医師が占める職を除く。)とする。
第1号
職員の給与に関する条例(昭和29年三重県条例第67号)第17条第1項、企業庁企業職員の給与の種類及び基準に関する条例(昭和41年三重県条例第62号)第10条、病院事業庁企業職員の給与の種類及び基準に関する条例(昭和10年三重県条例第50号)第14条、公立学校職員の給与に関する条例(昭和30年三重県条例第10号)第22条の2第1項に規定する管理職手当を支給する職
前述のとおり、公立学校職員の給与に関する条例(昭和30年三重県条例第10号)第22条の2第1項に規定する管理職手当を支給する職とは、小学校、中学校及び義務教育学校では、校長と教頭、高等学校及び特別支援学校では、校長と教頭と事務長です。
第2号
前号に掲げる職以外で職務の級が次に掲げる職のうち人事委員会規則で定める職
- イ 行政職給料表の職務の級6級以上
- ロ 研究職給料表の職務の級5級
- ハ 医療職給料表(1)の職務の級3級以上
- ニ 医療職給料表(2)の職務の級6級
- ホ 医療職給料表(3)の職務の級6級
- ヘ 高等学校教育職給料表の職務の級特2級
- ト 中学校・小学校教育職給料表の職務の級特2級
後述しますが、高等学校教育職給料表の職務の級特2級は、主幹教諭、中学校・小学校教育職給料表の職務の級特2級は、主幹教諭と指導教諭です。
第3号
警視または警部の階級にある警察官(第1号に掲げる職を除く。)
第4号
前各号に掲げる職に準ずる職として人事委員会規則で定める職
三重県「公立学校職員の給与に関する条例」の「教育職給料表等級別基準職務表」で「高等学校教育職給料表の職務の級特2級」と「中学校・小学校教育職給料表の職務の級特2級」を規定(三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」第6条第1項第2号関係)
高等学校等教育職給料表等級別基準職務表の職務の級特2級
県立学校の主幹教諭の職務
中学校・小学校教育職給料表等級別基準職務表の職務の級特2級
市町村立学校の主幹教諭又は指導教諭の職務
第9条第3項で特定管理監督職群に規定された職は「管理監督職勤務上限年齢による降任等及び管理監督職への任用の制限の特例」(特例任用)が適用されることを規定したが、三重県では特定管理監督職群に規定された職はない
第9条第3項「管理監督職勤務上限年齢による降任等及び管理監督職への任用の制限の特例」(特例任用)
任命権者は、第1項の規定により異動期間を延長することができる場合を除き、他の職への降任等をすべき特定管理監督職群(職務の内容が相互に類似する複数の管理監督職であって、これらの欠員を容易に補充することができない年齢構成その他の特別の事情がある管理監督職として人事委員会規則で定める管理監督職をいう。以下この項において同じ。)に属する管理監督職を占める職員について、当該管理監督職群に属する管理監督職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力及び当該管理監督職についての適性を有すると認められる職員(当該管理監督職に係る管理監督職勤務上限年齢に達した職員を除く。)の数が当該管理監督職の数に満たない等の事情があるため、当該職員の他の職への降任等により当該管理監督職に生ずる欠員を容易に補充することができず業務の遂行に重大な障害が生ずると認めるときは、当該職員が占める管理監督職に係る異動期日の末日の翌日から起算して1年を超えない期間内で当該異動期間を延長し、引き続き当該管理監督職を占めている職員に当該管理監督職を占めたまま勤務をさせ、又は当該職員を当該管理監督職が属する特定管理監督職群の他の管理監督職に降任し、若しくは転任することができる。
三重県では「管理監督職勤務上限年齢による降任等及び管理監督職への任用の制限の特例」(特例任用)が適用される管理監督職群に関する条例や規則はない
三重県では「管理監督職勤務上限年齢による降任等及び管理監督職への任用の制限の特例」(特例任用)が適用される管理監督職群に関する条例や規則はないため、特定管理監督職群と規定された職は今のところありません。
よって、管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職であった教育職員は、60歳以降は例外なく平教員になります。
三重県「職員の定年等に関する規則」で管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職として主幹教諭と指導教諭も規定
三重県は令和4年8月16日に「職員の定年等に関する規則」の全部を改正して公布しました。
第8条「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」を規定(三重県「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例」第6条第1項第2号、第4号関係)
第8条で「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」を規定しました。
第1項
条例第6条第1項第2号に規定する人事委員会規則で定める職は、別表に掲げる職及び人事異動その他人事管理上の必要により臨時的に置かれる職とする。
第2項
条例第6条第1項第4号に規定する人事委員会規則で定める職は、同項第1号または前項に規定する別表に掲げる職に準ずるものとして人事委員会が認める職とする。
第3項
任命権者は、第1項に規定する別表に掲げる職の新設又は改廃があるときには、速やかにその旨を人事委員会に通知しなければならない。
管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職として人事委員会規則が定める職【別表(第8条関係)】に主幹教諭と指導教諭
三重県では、管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職として、校長、教頭以外に主幹教諭と指導教諭も規定されました。
管理監督職に含まれる職として人事委員会規則が定める職
県立高等学校教育職
- 主幹教諭
市町立中学校、小学校教育職
- 主幹教諭
- 指導教諭
まとめ
三重県では、「職員の定年等に関する規則」で、「管理監督職上限年齢制の対象となる管理監督職に含まれる職」として、校長、教頭のみならず、「主幹教諭」と「指導教諭」までが規定され、さらに「管理監督職上限年齢制の例外(特例任用)」とされる「特定管理監督職群」の規定がないことから、60歳以前にこのような職だった人はすべて、60歳以降は平教員に戻ることが判明しました。
校長や教頭だった人が60歳を超えると、校長や教頭はもちろん、主幹教諭や指導教諭にもなれないということです。
三重県では、令和5年度以降、校長、教頭、主幹教諭、指導教諭が全て60歳以下です。
再任用の校長や教頭が増えてきた自治体も多い中、令和5年度以降、これらの立場だった人たちが平教員に戻るということは、ベテランの力のある人が担任をもつことが増えるということなので、定年が延長され、60歳以上の教員が増えていくとしても、学校現場としてはうれしいことになりそうです。
ただし、校長や教頭として長く勤めていて、長いこと担任の仕事をしていない人にとっては厳しいものになりそうです。
中堅教員が校長、教頭、主幹教諭、指導教諭という責任のある立場を若くして経験することで、三重県では新しい教育施策をいち早く実行することが可能になるでしょう。
私のサイトでは、「地方公務員法改正法施行で60歳以降の勤務条件はどう変わるのか⑦~「再任用に関する国の意向」」などで、令和5年度以降「暫定再任用制度」として令和13年度の定年延長完了まで続く制度について詳しく説明しています。
また、「公立学校教員・公務員の定年延長により2年に1度、教員採用試験と公務員試験の受験倍率が上がる!?(令和3年6月25日修正版)」では、定年延長について詳しく説明しています。
ぜひ御覧ください。
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