- はじめに
- 教育再生実行会議 第五次提言
- 科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造へ向けたイノベーションの懸け橋~
- 平成27年度概算要求に当たっての基本的な方針について
- 平成27年度文部科学省概算要求
- 文部科学省「新しい日本のための優先課題推薦枠」
- 平成27年度概算要求における「地域の未来」創生に向けた取組〔文部科学省〕~人工流出ストップ・地域の持続的発展に向けて~
- 平成27年度文部科学関係概算要求の概要
- 平成27年度文部科学関係概算要求のポイント
- 平成27年度概算要求 義務教育費国庫負担金「アクティブ・ラーニングとチーム学校」
- 新たな教職員定数改善計画(案)(10ヵ年〔H26~H36〕)
- 補習等のための指導員等派遣事業~多彩な人材の積極的参加による地域ぐるみの教育再生~
- いじめ対策等の推進
- 特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実~
- キャリア教育・職業教育の充実
- 全国的な学力調査の実施
- 初等中等教育の英語教育の推進に係る取組
- 地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)(2億4,300万円)(別に、「学校を核とした地域力強化プラン」分3億400万円)
- 学校を核とした地域力強化プラン(新規 83億7,400万円)
- 子供の生活習慣づくり支援事業
- 情報通信技術を活用した学びの推進‥8億1,000万円(平成26年度4億4,200万円)
- スポーツ立国の実現
- 子供安心プロジェクトの充実(3億6,000万円)
- まとめ
はじめに
前回の記事「学校における働き方改革は可能か⑳~加配定数での少人数学級への移行のデメリットと平成26年度予算~」では、平成26年度の予算では、平成25年度に引き続き少人数学級や少人数教育に対する改善がなされなかったこと、計画的な定数改善計画もなかったことを書きました。
いじめ問題等の個別課題に対応するための定数は、平成25年度は+1400人、平成26年度は、+703人でした。
しかしながら、合理化減と合わせると、平成25年度は、+800人、平成26年度は▲10人でした。
また、学校における働き方改革に通じる事業については、新設されたもの、少しずつ増額されているものもある一方、要求しても、予算措置されなかったり、減額されたものもありました。
今回は、平成27年度文部科学省概算要求の内容で、学校における働き方改革に関連するものについて詳しく説明していきます。
教育再生実行会議 第五次提言
平成26年7月4日、教育再生実行会議第五次提言「今後の学制等の在り方について」が閣議報告されました。
少子化・高齢化が進行し、生産年齢人口の加速度的な減少が見込まれる危機的な状況の中、個人の可能性を最大限引き出すとともに、少子化を克服し、国力の源である人材の質と量を充実・確保していく必要があることから、この提言がなされました。
1.子供の発達に応じた教育の充実、様々な挑戦を可能にする制度の柔軟化など、新しい時代にふさわしい学制を構築する。
- 全ての子供に質の高い幼児教育を保障するため、無償教育、義務教育の期間を見直す。
- 小中一貫教育を制度化するなど学校段階間の連携、一貫教育を推進する。
- 実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化する。また、高等教育機関における編入学等の柔軟化を図る。
1.全ての子供に質の高い幼児教育を保障するため、無償教育、義務教育の期間を見直す。
幼児教育の機会均等と質の向上、段階的無償化を進めた上で、国は、次の段階の課題として、全ての子供に質の高い幼児教育を無償で保障する観点から、幼稚園、保育所及び認定こども園における5歳児の就学前教育について、設置主体等の多様性も踏まえ、より柔軟な新たな枠組みによる義務教育化を検討する。
という記載があり、ゆくゆくは5歳児の教育を義務教育とする考えであることが分かります。
また、
国は、小学校及び中学校における不登校の児童生徒が学んでいるフリースクールや、国際化に対応した教育を行うインターナショナルスクールなどの学校外の教育機会の現状を踏まえ、その位置付けについて、就学義務や公費負担の在り方を含め検討する。
とあります。
2.小中一貫教育を制度化するなど学校段階間の連携、一貫教育を推進する。
公立の小中一貫校の「義務教育学校」が設置される基となる考えが「2.小中一貫教育を制度化するなど学校段階間の連携、一貫教育を推進する。」の中で表されています。
学校段階間の移行を円滑にする観点から、幼稚園と小学校、小学校と中学校などの学校間の連携が一層推進されるよう、国は、教育内容を見直すとともに、地方公共団体及び学校は、教職員交流や相互乗り入れ授業等を推進する。
国は、小学校段階から中学校段階までの教育を一貫して行うことができる小中一貫教育学校(仮称)を制度化し、9年間の中で教育課程の区分を4-3-2や5-4のように弾力的に設定するなど柔軟かつ効果的な教育を行うことができるようにする。
特に、今後、拡充が予定されている英語のほか、理科等の指導の推進の充実のため、小学校における専科指導の推進を図る。
また、コニュニティ・スクールの導入の促進により、保護者や地域住民の参画の下、より効果的な学校間連携を推進する。
3.実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化する。また、高等教育機関における編入学の柔軟化を図る。
2.教員免許制度を改革するとともに、社会から尊敬され学び続ける質の高い教師を確保するため、養成や採用、研修等の在り方を見直す。
質の高い教育の実現のために教職員配置の充実を図ること、教師の勤務時間や授業以外の業務を減らすために、管理職や事務職員、多様な専門職員を増やすこと、人材確保法に基づき教師の処遇を確保すること等、まさに、「学校における働き方改革」の必要性について述べられています。
国、及び地方公共団体は、課題解決・双方向型授業等にも対応した質の高い教育を実現するため、教職員配置の充実を図る。
また、教師の勤務時間や授業以外の活動時間が世界的に見て格段に長いことを踏まえ、教師が子供と向き合う時間を確保し、教育活動に専念できるようにする観点から、学校経営を支える管理・事務体制の充実、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの多様な専門職の配置や活用が進むよう、制度面・財政面の整備を行う。
国及び地方公共団体は、教師に対する社会からの信頼感や尊敬の念が醸成され、優秀な人材を教育現場に引き付けるため、いわゆる人材確保法の初心に立ち返り教師の処遇を確保する。
真に頑張っている教師に報いることができるよう、優れた教師に対する顕彰を行い、人事評価の結果を処遇等に反映するとともに、諸手当の在り方を見直し、メリハリのある給与体系とするなどの改善を図る。
3.一人一人の豊かな人生と将来にわたって成長し続ける社会を実現するため、教育を「未来への投資」として重視し、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支える。
新しい時代にふさわしい学制を構築し、将来を見据えた改革を断行していくための財源として、今まで高齢者世代に多く支出されてきた予算を、子供・若者世代への「未来への投資」としてより多く支出する配分にする必要があることを説いています。
家庭の経済状況や発達の状況等にかかわらず、意欲と能力のある全ての子供・若者・社会人が質の高い教育を受けることができ、一人一人の能力や可能性を最大限伸ばし、将来にわたって成長し続ける社会の実現を目指し、国は、子供・若者の未来のため、幼児教育の段階的な無償化をはじめ、教育の質の向上や教育費負担の軽減などの教育政策について、「未来への投資」と位置付けて重視する。
教育財源の確保に当たり、資源配分の重点を高齢者から子供・若者へ大胆な移行を図る。
社会全体で教育への投資を重視する意識改革を一体的に行うことが重要。
科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造へ向けたイノベーションの懸け橋~
「科学技術イノベーション総合戦略」と「科学技術基本計画」の位置づけ
科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造へ向けたイノベーションの懸け橋~(平成26年6月24日 閣議決定)
平成26年6月24日「世界で最もイノベーションに適した国」を目指し、更なる科学技術イノベーション政策の推進と着実な実行に向け、「科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造へ向けたイノベーションの懸け橋~」が策定されました。
これは、
科学技術イノベーションの成果を具体的にどのような経済社会の実現につなげていくのかという、出口志向の課題解決型政策運営を目指す
ものです。
「科学技術イノベーション総合戦略」と「科学技術基本計画」の位置づけ
「科学技術イノベーション総合戦略」と「科学技術基本計画」の位置づけについて、
第4期科学技術基本計画を指針とする科学技術イノベーション政策の大きな方向性の下、短期の工程表を具備する科学技術イノベーション総合戦略を毎年策定する枠組みを構築した。
この総合戦略により、科学技術イノベーション政策全体を体系的に提示するとともに、政策の重点化を図り、効果的・効率的な政策推進を実行する。
総合戦略はいわば科学技術イノベーション政策の‘骨太方針’と位置付け
とあります。
最近の政府文書等における「イノベーション」に関する記述
最近の政府文書等における「イノベーション」に関する記述の傾向
最近の政府文書における「イノベーション」に関する記述について、
多くの文書で、イノベーションは経済的価値だけでなく社会的価値や知的・文化的価値の創造・革新を含むものと定義されてきた。
とあります。
しかし、
最近では、その中でイノベーションによる経済的価値の創造の側面が特に強調される傾向にある。
ということです。
第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日 閣議決定)で定義された「イノベーション」の意味
科学的な発見や技術的発明を洞察力と融合し発展させ、新たな社会的価値や経済的価値を生み出す革新
日本再興戦略(平成25年6月14日 閣議決定)での「イノベーション」に関する記述
イノベーション(技術力)ランキング(世界経済フォーラムのランキングでは、日本は現状第5位)を今後5年以内に世界第1位にするとの目標を掲げつつ、「技術でもビジネスでも勝ち続ける国」を目指す。
このため、「総合科学技術会議」の司令塔機能を強化し、省庁縦割りを廃し、戦略分野に政策資源を集中投入する。
「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日 閣議決定)での「イノベーション」に関する記述
我が国から常にイノベーションが生まれ続ける環境作りが必要不可欠である。
平成27年度概算要求に当たっての基本的な方針について
平成26年7月25日に、「平成27年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」が閣議了解されました。
そこには、
「中期財政計画」に沿って、平成26年度予算に続き、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指し、メリハリのついた予算とする。
そのため、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する。
と記載があります。
そして、
予算の重点化を進めるため、「骨太の方針 2014」及び『日本再興戦略』改訂2014」等を踏まえた諸課題について、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設け、各省は上記要望基礎額の100分の30の範囲内で要望。
とあります。
さらに、
要求・要望について、施策・制度の抜本的見直しや各経費間の優先順位の厳しい選択を行うことにより、真に必要なニーズにこたえるための精査を行い、前年度を上回る効率化を行う。
その際、民間需要や民間のイノベーションの誘発効果が高いもの、緊急性の高いもの、規制改革と一体として講じるものを重視する。
また、既存のあらゆる予算措置について、従来の計上方法にとらわれずに、ゼロべースで見直しを行う。
ということです。
これらは、平成26年度のものと基本的にほとんど同じ内容です。
平成27年度文部科学省概算要求
文部科学省「新しい日本のための優先課題推薦枠」
平成27年度概算要求で、文部科学省は「新しい日本のための優先課題推進枠」として、8,446億円を要求しました。
「学校における働き方改革」関連としては、「社会を生き抜く力の養成」内で、新しく「学校を核とした地域力強化プラン」に84億円を要望しました。
平成27年度概算要求における「地域の未来」創生に向けた取組〔文部科学省〕~人工流出ストップ・地域の持続的発展に向けて~
都心への人口集中が拡大するに伴って、地方財政がますます悪化していくことを防ぐため、文部科学省は、地域の産業や雇用を創出することを目指して「『地域の未来』創出」に向けた施策を打ち出しました。
その中で、「科学技術イノベーション総合戦略2014~未来創造へ向けたイノベーションの懸け橋~(平成26年6月24日 閣議決定)」を受け、「地域発イノベーション創出プラン」が策定されました。
さらに、「学校を核にした地域活性化プラン」も、計画されました。
平成27年度文部科学関係概算要求の概要
平成27年度文部科学関係概算要求の歳出予算では、平成26年度予算との比較で、一般会計が10.1%の増、復興特別会計が88.6%の増、エネルギー対策特別会計が24.2%の増でした。
復興特別会計が大幅増でした。
平成27年度文部科学関係概算要求のポイント
平成27年度文部科学関係全体の概算要求額は、対平成26年度比で、10.1%増でした。
2020年までに、『家庭の経済状況や発達の状況などにかかわらず、学ぶ意欲と能力のある子供・若者・社会人が質の高い教育を受けることができる社会』を実現することを目指し、その取組を軌道に乗せる
とあります。
また、文教関係要求額は、対平成26年度比8.1%増でした。
特に、若者や女性に光を当て、教育の再生のための取組を強力に推し進めることが必要
と記述されています。
科学技術予算は、対平成26年度費で、18.1%の増でした。
この中には、「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プラン」の実現に係る費用として新規に設定された81億円が含まれていました。
スポーツ関係予算は、対平成26年度比111.6%で、2倍以上の伸びとなりました。
これは、2020年オリンピック・パラリンピックに向け、選手強化費や国立霞ヶ関競技場の改築への費用が大幅に増えたことによるものでした。
平成27年度概算要求 義務教育費国庫負担金「アクティブ・ラーニングとチーム学校」
教職員定数の改善(2,760人・+59億円)
授業革新等による教育の質の向上‥580人
チーム学校の推進‥1,010人
個別の教育課題への対応‥700人
学校規模の適正化への支援‥470人
教職員給与
新たな教職員定数改善計画(案)(10ヵ年〔H26~H36〕)
計画(案)策定の主旨・概要
文部科学省は、平成27年度から平成36年度の10年間をかけて31,800人の教職員定数の改善を行う計画を策定しました。
小中学校における授業革新等(アクティブ・ラーニング等)の教育の質の向上を実現するため、これまでの少人数教育や指導力向上への取組を踏まえ、きめ細かな指導体制の整備を図っていくことが重要。
また、学校を取り巻く環境が複雑化・困難化するとともに、様々な教育課題への対応を迫られる中、教員が授業など子供への指導により専念できるようにするためにも、教員に加えて多様な専門性を持つスタッフを配置し、1つのチームとして学校の教育力を最大化(チーム学校)。
併せて文部科学省において、校務及び教職員の業務分担を抜本的に見直すとともに、教育委員会など学校関係者にも積極的な対応を促していく。
これらを踏まえ、10年後の学校の姿を見据えた新たな教職員定数改善計画(案)(10年間)を策定し、教育の質と量の一体的な強化を進める。
今後、10年間で、教育の質の向上やチーム学校の推進等に必要な31,800人の定数改善を実施。(義務標準法の改正を予定)
10年間での教職員定数改善数(合計31,800人)
授業革新等による教育の質の向上‥15,500人
チーム学校の推進‥6,950人
個別の教育課題への対応‥7,000人
学校規模の適正化への支援‥2,350人
自然減‥▲40,700人
教職員定数改善計画の進め方
教職員定数改善数が31,800人に対して、少子化による自然減数が、▲40,700人なので、合計すると10年間で▲8,900人なので、追加的な財政負担を要することなく必要な定数改善を実施する計画でした。
補習等のための指導員等派遣事業~多彩な人材の積極的参加による地域ぐるみの教育再生~
補充学習や発展的な学習など学力向上方策として、サポートスタッフ(地域のシルバー人材、教員志望の大学生等)を配置(8000人→10,000人)するための予算を要求しました。
いじめ対策等の推進
自治体の取組に対する支援
幅広い外部専門家を活用していじめ問題の解決に向けて調整、支援する取組の促進
学校の取組に対する支援
スクールカウンセラーの配置拡充
スクールソーシャルワーカーの配置拡充
スクールソーシャルワーカー配置の増(1,466人→4,141人)
福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを必要な全ての学校で活用できるよう今後段階的に配置を拡充
貧困対策のための重点加配(700人)新規
生徒指導推進協力員・学校相談員の配置拡充
24時間いじめ相談ダイヤル
特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実~
発達障害の可能性のある児童生徒等の系統性のある支援研究事業(新規)
発達障害の可能性のある児童生徒に対する支援に向けた取組の1つとして、教育委員会が主体となり、新たに各学校段階の移行期における円滑かつ適切な引き継ぎ手法・時期等に関する調査研究事業を20箇所で行うことで、特別支援教育の充実等を図るための予算を要求しました。
発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期支援研究事業
45箇所に発達障害支援アドバイザーを約80人を配置するための予算を要求しました。
キャリア教育・職業教育の充実
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業
「地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業」(学校を核とした地域力強化プランの一部)は、地元就職につなげるキャリアプランニングを推進する「キャリアプランニングスーパーバイザー」を226人配置し、地域を担う人材育成・就労支援により、地域の活性化につなげる施策でした。
地域キャリア教育支援協議会設置促進事業
「地域キャリア教育支援協議会設置促進事業」は、地域において学校等の教育機関・産業界・NPO・地方自治体が参画する「地域キャリア支援協議会」の設置を促進する事業です。
平成26年度は、7ブロック・2地域(計14地域)で実施されました。
平成27年度は、7ブロック14地域を要求しました。
全国的な学力調査の実施
平成27年度概算要求では、小学校第6学年、中学校第3学年の全児童生徒対象に、全国的な学力調査の実施をするための予算を要求しました。
教科は、平成27年度は理科が加わり、国語、算数,、数学、理科となりました。
初等中等教育の英語教育の推進に係る取組
外部専門機関と連携した英語指導力向上事業
「外部専門機関と連携した英語指導力向上事業」には、平成26年度は2億6,100万円の予算だったのに対し、平成27年度は、2億7,100万円を要求しました。
国では、外部専門機関と連携して、新たな英語教育に対応した指導力向上事業を実施。
都道府県・政令市の教育委員会が、外部専門機関と連携して指導力向上事業を実施。地域の「英語教育改善プラン」を策定し、明確な目標設定・管理を設定。
指導体制の強化
教員定数の配置改善
小学校英語の教科化等に向けた教員定数の加配措置(平成26年度は、94人)
外部専門人材の活用(新規)
小学校英語の教科化等に向けた外部専門人材の活用(2,220人)
地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)(2億4,300万円)(別に、「学校を核とした地域力強化プラン」分3億400万円)
保護者や地域住民の力を学校運営に生かす「地域とともにある学校づくり」の推進等により、社会総掛かりで教育再生を実行し、子供や地域等が抱える課題を地域ぐるみで解決する仕組みづくり等を推進するとともに、地域コミュニティの活性化を図る事業でした。
コミュニティ・スクール導入等促進事業(2億300万円)
学校運営協議会の機能と、学校支援や学校関係者評価等の機能を一体的に推進することで、学校運営の改善を果たすPDCAサイクルを確立するための事業でした。
コミュニティ・スクール導入後における運営体制づくりとして、CSディレクター(コミュニティ・スクールの運営や学校機関の調整、分野横断的な活動の総合調整など総括的な立場で調整等を行う地域人材)を150市町村に配置する計画でした。
学校運営協議会の協議内容
コミュニティ・スクール推進員(CSマイスター)の派遣等による普及・啓発(4,000万円)
自立的・組織的な学校運営体制の構築に向けた調査研究等(8,800万円)
地域とともにある学校づくりの効果的な推進のために、校長がリーダーシップを発揮するための学校裁量権の拡大、校長や教職員等のマネジメント力向上、実効性のある学校評価システムの構築に関する調査研究を実施するものでした。(21市区町村、2大学等研究機関)
学校評価システム構築に当たっては、「スクールアナリスト」が学力や問題行動等のデータ等も含め、専門的な見地から分析し助言することも計画していました。
学校を核とした地域力強化プラン(新規 83億7,400万円)
文部科学省は、学校を核として地域住民等の参画や地域の特色を生かした事業を展開することで、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに、地域コミュニティの活性化を図るためのプランを立てました。
地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業(新規改組 21億2,600万円)
全ての子供たちの土曜日の教育活動を充実するため、地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の協力を得て、土曜日に体系的・継続的な教育プログラムを企画・実施する学校・市町村の取組を支援することにより、教育支援に取り組む体制を構築し、地域の活性化を図る事業のための予算を要求しました。
平成26年度は4,850か所分が予算措置されましたが、平成27年度は12,000か所分の予算を要求しました。
市町村が「土曜授業運営委員会」を設置し、「土曜教育コーディネーター」が「学校」と「土曜教育推進員」を結んで、各学校区で土曜日の授業を行うための事業でした。
「教育課程に位置付けることも可能」とされました。
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業(新規 1億100万円)
これまでの事業では実現できなかったような地域提案による創意工夫ある多様な取組を支援し、学校を核とした地域の魅力を創造する取組の実現を図る内容です。
50市区町村分を補助するものでした。
学校・家庭・地域の連携協力推進事業(56億5,900万円 新規改組)
地域住民や豊富な社会経験を持つ外部人材等の協力を得て、学校支援地域本部、放課後子供教室、家庭教育支援、地域ぐるみの学校安全指導体制の整備、スクールヘルスリーダー派遣などの学校・家庭・地域の連携協力による様々な取組を推進し、社会全体の教育力の向上及び地域の活性化を図るための事業でした。
特に、学校支援地域本部を活用し、中学生を対象に大学生や教員OBなど地域住民の強力による原則無料の学習支援(地域未来塾)を実施する計画が、新規で立てられました。
また、女性の活躍推進を阻む「小1の壁」を打破するとともに、時代を担う人材を育成するため、厚生労働省と連携した総合的な放課後対策をより一層充実させることも目指していました。
学校支援地域本部(5,000箇所)
学習が遅れがちな中学生を対象にした学習支援~地域住民の協力を得て、地域未来塾を新たに開講~(新規 2億6,600万円)
放課後子供教室(14,000箇所)
家庭教育支援員の配置(1,000箇所)
スクールガードリーダーによる学校安全体制の整備等(1,800箇所)
子供の生活習慣づくり支援事業
ライフスタイルの多様化などにより、家庭や社会の影響を受けやすい子供達の生活習慣の乱れが、学習意欲や体力・気力の低下の要因の1つとして指摘されており、府省や地域、団体、企業等との連携を図り、子供から大人までの生活習慣づくりを推進する事業です。
「子供の生活習慣づくり支援事業」に対し、平成26年度は1,900万円の予算でしたが、平成27年度は6,500万円を要求しました。
中高生を中心とした生活習慣マネジメントサポート事業(新規 5,000万円)
教育委員会、医療・保健機関、地域住民、民間団体、家庭教育支援チーム、学校(研究協力校)等で構成される「地域協議会」が、中高生を中心とした生活習慣改善マネジメントの支援を行う等の内容です。
情報通信技術を活用した学びの推進‥8億1,000万円(平成26年度4億4,200万円)
ICTを活用した教育推進自治体応援事業(新規 3億円)
ICTを活用した学びの推進プロジェクト
ICT活用教育アドバイザー派遣事業(30地域)
文部科学省にICT活用教育アドバイザリーボードを設置して、ICT環境の整備を図ろうとする自治体のニーズに応じてアドバイザーを派遣し、ICTを活用した教育の推進計画やICT機器整備計画(機器購入の調達方法を含む)の作成に当たっての留意事項等の助言を行う事業でした。
調査研究事業
ICTを活用した教育を推進する上での望ましい環境構成、ICT活用指導力自己評価の継続的な実施のための調査研究を行うための予算を要求しました。
人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業(新規 2億100万円)
過疎化・少子高齢化が進む人口過少地域において、ICTの活用により、遠隔地間における児童生徒の協働学習の充実や、社会教育施設等による遠隔講座の実施など、学校教育及び社会教育における教育の質の維持向上を図るための実証研究等を実施する内容でした。
スポーツ立国の実現
運動部活動指導の工夫・改善支援事業‥5億3,900万円(平成26年度予算3億200万円)
平成26年当時の部活動の状況
運動部活動指導の工夫・改善支援事業の内容
スポーツ医科学等を活用した運動部活動指導体制の構築や、中学校女子のおよそ4分の1が運動をしていない現状に鑑み、女子生徒の参加しやすい運動部活動づくり等の多様な指導内容・方法の工夫改善を推進する事業のための予算です。
さらに、体系的な資質向上のための研究協議や研修等の場の整備を行うこと等により、体罰根絶や指導体制の充実を図り指導者の資質向上を推進することを目指していました。【都道府県・指定都市教育委員会・市町村教育委員会・民間団体へ委託】
武道等指導充実・資質向上支援事業(新規 3億1,500万円)
武道等や課題がみられる領域の指導を担う教員の資質向上、中学校武道の指導の充実、武道指導での安全管理、事故防止、武道等を必修化したことによる成果と課題の検証を図るため、体育教員資質向上プログラム開発・実践等や地域や学校の実態に応じ、複数種目を実施するなど特徴的な取組、関係団体における武道指導に関する支援体制の強化等の取組を支援する事業でした。【都道府県・指定都市教育委員会・市町村教育委員会・民間団体・大学等へ委託】
子供安心プロジェクトの充実(3億6,000万円)
防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業(新規 2億8,200万円)
地域や学校の抱える学校安全上の課題に対して、「自らの命を守り抜こうとする主体的に行動する態度」や「安全で安心な社会づくりに貢献する意義」等を育成する教育手法を開発するとともに、学校の安全管理体制や地域住民・保護者・関係機関との連携体制の構築に積極的に取り組む地域や学校を支援する事業でした。【都道府県へ委託】
まとめ
平成27年度予算の文部科学省の概算要求では、学校における働き方改革の観点から、「チーム学校」が提唱されました。
教員に加えて、事務職員や主幹教諭、ICT専門職員等の多様な専門性をもつスタッフを充実させて、教員の負担軽減を図り、教員が授業など子供への指導により専念できるようにするための政策でした。
併せて、子供が主体的・協同的に学ぶ課題解決型の授業(アクティブ・ラーニング)等の授業革新に対応するために、少人数指導によるきめ細かな指導が必要、という観点等から、教職員定数を引き上げることも要求に盛り込みました。
そして、これらの教職員定数の改善を10年かけて行い、31,800人の定数改善を行う計画も策定しました。
また、文部科学省は、地域の産業や雇用を創出することを目指して「『地域の未来』創出」に向けた施策を打ち出しました。
それに伴い、「地域発イノベーション創出プラン」や「学校を核にした地域活性化プラン」が策定され、「コミュニティ・スクール導入等促進事業」や「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」など、地域の人材が学校を支援する政策のための予算も要求しました。
次回は、このような文部科学省の要求に対し、政府が、どのように平成27年度の予算措置をしたのかについて述べていきます。
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