- はじめに
- 日本経済再生に向けた緊急経済対策について
- 経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~
- 日本再興戦略-JAPAN is BACK-
- 当面の財政健全化に向けた取組等についてー中期財政計画ー
- 平成26年度概算要求に当たっての基本方針
- 平成23年度から平成25年度までの少人数学級の拡充の経緯
- 「全国学力・学習状況調査を活用した少人数教育の効果検証について(速報)」
- 平成26年度概算要求
- 平成26年度文部科学省 概算要求のポイント
- 「新しい日本のための優先課題推進枠」における文部科学省の取組み
- 義務教育費国庫負担金
- 世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学校力向上7か年戦略
- 補習等のための指導員等派遣事業~学校いきいきサポート人材の活用~
- いじめ対策の推進
- 特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速に向けた特別支援教育の充実~
- キャリア教育・職業教育の充実
- 全国的な学力調査の実施
- 土曜日の教育活動の推進(新規)
- 地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)
- 学校・家庭・地域の連携協力推進事業
- 多様な主体の参画による家庭教育の充実(新規)
- 情報通信技術を活用した学びの推進
- スポーツ立国の実現
- 子供安心プロジェクトの充実
- まとめ
はじめに
前回「学校における働き方改革は可能か⑱~政権交代で第2次安倍政権誕生と平成25年度予算成立~」の記事では、平成25年度予算が、政権交代により、新政府の意向を重視したものに変化した結果、少人数学級については、5ヵ年計画が予算措置されなかっただけでなく、平成25年度単年での措置もされなかったことをお伝えしました。
しかし、「いじめ問題への対応など学校運営の改善充実」や「通級指導など特別支援教育の充実」等に必要な教職員定数の改善(800人)のための予算は措置されました。
また、「補習等のための指導員等派遣事業」として、約7,000人(常勤教員ベースで2,100人相当)の人員措置がありました。
さらに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、理科の観察実験の補助員、看護師、学校支援地域本部、地域キャリア教育支援協議会、コミュニティー・スクール、運動部活動等推進委員会、通学路安全対策アドバイザーなど、「学校における働き方改革」に関連する政策も少しずつ進められました。
今回は、平成26年度の文部科学省の「学校における働き方改革」に関連する方策がどのように予算に反映されていったのかについて、当時の政府の経済・財政施策にも関連させながら、書きたいと思います。
日本経済再生に向けた緊急経済対策について
平成25年1月11日に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が閣議決定されました。
平成24年12月に、自民党・公明党の連立政権の下、第2次安倍内閣が発足したのを受け、決定されたものでした。
日本経済再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」で、長引く円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指すための対策でした。
15ヶ月予算の考え方で、大型補正予算と平成25年度予算を合わせ、平成26年度の景気の下支えを行いつつ、切れ目のない経済対策を実行することを表明しました。
経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~
平成25年6月14日「経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~」が、閣議決定されました。
これは、1990年代初頭のバブル崩壊後、デフレから脱却できない状態が長期化してしまう中、「脱デフレ・経済再生」を目指す方針を示したものでした。
「三つの矢(アベノミクス)」の効果を最大限に発揮するために、「持続的経済成長」、「マクロ経済(景気)とミクロ面(構造問題)の好循環」、「経済再生と財政健全化の好循環」の「三つの好循環」を起動する必要があることが提示されました。
そして、予算編制においては、「民間需要や民間のイノベーションの誘発効果が高いもの」、「緊急性が高いもの」、「規制改革と一体として講じるもの」を重視する旨が明記されました。
日本再興戦略-JAPAN is BACK-
平成25年6月14日「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が閣議決定されました。
これは、成長戦略の内容を示したもので、「日本産業再興プラン」、「戦略市場創造プラン」、「国際展開戦略」という3つのプランについて詳しく書かれています。
当面の財政健全化に向けた取組等についてー中期財政計画ー
平成25年8月8日に「当面の財政健全化に向けた取組等についてー中期財政計画ー」が閣議決定されました。
これは、10年間(2013年度から2022年度)の平均で、各目国内総生産(名目GDP)成長率3%程度、実質国内総生産(実質GDP)成長率2%程度の成長を目指すための方策を示したものです。
そのために、
平成27年度(2015年度)までにおいて、平成25年度に引き続き、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指し、要求時点から施策の優先順位を洗い直した上で、ムダを最大限縮減しつつ、税収等の動向も踏まえ、優先度の高い施策について重点化を図る。
としています。
平成26年度概算要求に当たっての基本方針
平成25年8月8日に「平成26年概算要求に当たっての基本的な方針について」が閣議了解されました。
平成26年4月1日に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(税制抜本改革法)」により、消費税率が8%に引き上げられることが決定されていること等も考慮して基本方針が立てられました。
「緊急経済対策(平成25年1月)」及び平成25年度予算の「重点」である、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」のほか、「日本再興戦略」及び「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~)」等を踏まえた諸課題について、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設けることを了解しました。
そして、予算の中身を大胆に重点化する方針を明らかにしました。
平成23年度から平成25年度までの少人数学級の拡充の経緯
平成23年度に20年ぶりに「改正義務標準法」が制定され、教員の基礎定数配置による、小学校1年生での35人以下学級が実現しました。
そして、平成24年度には、36人以上学級の解消のための加配定数措置により、小学校2年生での35人以下学級も実現しました。
そして、平成25年度、文部科学省は、9月の概算要求で「少人数学級の推進など計画的な教職員定数の改善について~子どもと正面から向き合う教職員体制の整備~」という計画を発表しました。
しかしながら、少人数学級の教育効果について検討会議で話し合われた結果、
学習指導面で効果があったという事実を示すデータが数多くある。一方で、学力に影響を与える要因は、家庭・地域の状況等を含め、様々であり、学級規模と教育効果への相関を的確に捉える分析手法の検討も必要との意見もある。
との報告も出されました。
このことや、政権交代による予算の重点の変更などにより、平成25年度は、少人数学級のための新たな措置はされませんでした。
「全国学力・学習状況調査を活用した少人数教育の効果検証について(速報)」
平成26年度に、少人数学級のための新たな措置を要求するために、文部科学省では、「全国学力・学習状況調査を活用した少人数教育の効果検証について(速報)」を発表しました。
これは、
児童生徒の学力・学習意欲等の改善状況について、追加的な人的措置を講じて少人数学級やティームティーチング・習熟度別指導に取り組む学校と、追加的な人的措置を講じていない学校の比較分析を、平成22年度及び平成25年度の全国学力・学習状況調査の結果を用いて実施
したものです。
それによると、
小学校においては、学習集団を分けずに複数の教師が協力して指導するティームティーチングに取り組んだ学校の平均正答率が向上(国語A、算数A)
中学校においては習熟度別に学習集団を分けた指導に取り組んだ学校の平均正答率が向上(国語A,数学A)
少人数学級に取り組んだ学校では、小・中すべての教科を通じて平均無回答数の少なさなど学習への積極的な姿勢が見られる。特に学力下位層でその傾向が著しく、小学校では授業中の落ち着きや規律の正しさ、中学校では家庭での学習習慣の確立に関する質問項目で肯定的な回答が多くなっている。
とあります。
簡単に言うと、「少人数学級は、生活面で優位、少人数指導は、学力面で優位」という結果が出た、ということになると思います。
そして、「学力については、小学校では、ティームティーチングが優位、中学校では習熟度別指導が優位」という結果が出たと言えると思います。
平成26年度概算要求
平成26年度文部科学省 概算要求のポイント
平成26年度の概算要求は、文部科学関係全体で、対前年度比5,477億円(10.2%)の増でした。
その内訳の内、文教関係予算が、7.9%の増に対して、スポーツ関係では、101.5%の増と大幅に要求額がアップしました。
これは、2020年オリンピック・パラリンピック東京招致等に向けて、国立競技場改築や国際競技力の向上に向けた人材の養成などを推進するための予算要求でした。
「新しい日本のための優先課題推進枠」における文部科学省の取組み
「新しい日本のための優先課題推進枠」における文部科学省の取組みとして、「世界に勝てるグローバル人材の育成」に1,888億円、「安心して子供を産み育てられるセーフティネットの構築」に2,997億円と、他の施策より予算配分を多くしました。
小・中学校義務教育に関連の深い、「世界トップレベルの学力の実現」に対する予算は、138億円で、前述の二つに対して、かなり少なくなっています。
義務教育費国庫負担金
教職員定数の改善
教職員配置の合理化
その他
※この他、部活動手当等の増額等により、メリハリのある教員給与を推進(前年同)
世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学校力向上7か年戦略
教職員指導体制の整備(7か年の改善総数33,500人 7か年の自然減等34,900人)
少人数教育(少人数学級・少人数指導)の推進‥7か年かけて14,700人の定数措置
7か年かけて14,700人の定数措置をすることで、少人数教育を推進する施策を打ち出しました。
少人数学級(36人以上学級の解消※1)の実施とティームティーチングや習熟度別指導(※2)の実施(市町村の裁量で選択することができる)を行うこととしました。
※1 1学級が20人以下になる場合を除く。
※2 小学校の国・算・理でT・T、中学校の数・理・英で習熟度別指導
このような選択制にしたのは、前述したように、「全国学力・学習状況調査を活用した少人数教育の効果検証について(速報)」で、「少人数学級は、生活面で優位、少人数指導は、学力面で優位」、「学力については、小学校では、ティームティーチングが優位、中学校では習熟度別指導が優位」という結果が出たことによるものと思われます。
個別の教育課題への対応‥7か年かけて18,800人の定数措置
小学校の理科・英語や道徳の指導体制強化
いじめ問題への対応
特別支援教育の充実
通級指導に係る各県からの加配要請等に対応‥改善数3,500人 H26 →500人
食育の充実
栄養教諭を先導的な食育に取り組む実践校に加配‥改善数200人 H26→100人
学校の組織運営の改善
主幹教諭の配置促進
全校での主幹教諭の計画的配置を推進(※一定規模(15学級)以上の学校には加配定数による支援)、主任制度の在り方についても検討‥改善数1,000人 H26→200人
学校統合の支援
学校統合に対して教職員定数の激変緩和措置‥改善数900人 H26 →300人
初任者研修の抜本的改革
指導教諭の配置などによる校内研修の充実‥改善数3,600人 H26 →100人
複式学級の解消等
小学校の複式学級の改善、中学校の全複式学級を解消(加配措置)‥改善数500人 H26→100人
免許外教科担任の解消
中学校の国・数・英・理・社の免許外教科担任を解消‥改善数900人 H26 →100人
事務機能の強化
事務職員を先導的な学校運営を行う学校に加配‥改善数200人 H26 →100人
退職者等の外部人材の活用の促進
教職員配置の合理化等(合理化減7か年で9,500人、自然減7か年で25,400人 合計34,900人)(合理化減H26→800人、自然減H26→3,800人 合計 4,600人)
指導方法工夫改善加配の合理化(少子化反映)
平成26~32年度までの7か年の児童生徒数の減少率を反映‥影響数▲3,100人 H26 →▲400人
研修等定数の見直し
教員研修・調査研究内容等の見直し・重点化‥影響数▲3,800人 H26 →▲100人
学校統合促進による合理化
学校統合の促進による定数合理化効果を反映‥影響数▲2,600人 H26→▲300人
少子化による自然減
影響数▲25,400人 H26→▲3,800人
メリハリのある教員給与
管理職手当の改善
指導的役割を担う校長への支給率を改善‥給料の20%
部活動手当等の増額
部活動指導手当(4年間で倍増)‥2,400円/4h→4,800円/4h
対外運動競技等引率指導手当(4年間で倍増)‥3,400円→6,800円
給料の調整額の引き下げ(特別支援関係)
今後の特別支援教育に対する教職員体制の在り方や自治体の取組み状況を踏まえ、特別支援担当教員にのみ支給される給料の調整額を20%減
休職者への教職調整額の支給
休職者等に係る教職調整額の支給の在り方について検討
教員評価結果の処遇への反映促進
評価結果の処遇への適切な反映を通じて真に頑張る者が報われ、教職員の資質向上に資するよう教員評価の改善・充実の促進
補習等のための指導員等派遣事業~学校いきいきサポート人材の活用~
補充学習や発展的な学習など学力向上方策として、約6,000人の地域人材による指導員等を活用することを要求しました。
いじめ対策の推進
自治体の取組に対する支援
幅広い外部専門家を活用していじめ問題の解決に向けて調整、支援する取組の促進
学校の取組に対する支援
スクールカウンセラーの配置拡充
スクールソーシャルワーカーの配置拡充
生徒指導推進協力員・学校相談員の配置拡充
24時間いじめ相談ダイヤル
特別支援教育の充実~障害のある児童生徒等の自立・社会参加の加速に向けた特別支援教育の充実~
発達障害の可能性のある児童生徒に対する早期支援・教職員の専門性向上事業
キャリア教育・職業教育の充実
地域キャリア教育支援協議会設置促進事業
全国的な学力調査の実施
対象学年(小6・中3)の全児童生徒を対象に、国語、算数、数学を対象教科とした悉皆調査を行うための予算を要求しました。
また、平成27年度において、対象教科に理科を追加して、悉皆方式で調査を実施するための準備の予算も要求しました。
土曜日の教育活動の推進(新規)
土曜授業推進事業
質の高い土曜授業を推進するため、土曜ならではのメリットを生かした効果的なカリキュラムの開発、特別非常勤講師や外部人材、民間事業者等の活用を支援すると共に、その成果の普及を図るための予算を新規で要求しました。
学校の教育課程として、総合的な学習の時間や英語教育等を行うこととしました。
地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業
地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の豊かな社会資源を活用して体系的・継続的なプログラムを企画・実施する取組を支援することにより、土曜日の教育支援体制等の構築を図るための予算を新規で要求しました。
「コーディネーター」と「土曜教育推進員」を配置し、地域と連携した土曜授業の補助や、多様な学習プログラムの実施を支援する役割でした。
地域とともにある学校づくりの推進(コミュニティ・スクール等)
コミュニティ・スクールの充実・拡大
コミュニティ・スクールの導入拡大や取組充実に向け、制度運用の実践研究やマイスターの派遣等を行うための予算を要求しました。
自律的・組織的な学校運営の体制の整備に向けた調査研究
校長がリーダーシップを発揮するための学校裁量予算や事務体制の整備・充実、学校評価に関する調査研究を行うための予算措置を新規で求めました。
学校・家庭・地域の連携協力推進事業
学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業(補助事業)
社会全体で子供を支えていくため、地域住民等、豊富な社会体験を持つ外部の人材等を活用し、「学校支援地域本部」「放課後子供教室」「家庭教育支援」「地域ぐるみの学校安全体制の整備」「スクールヘルスリーダー派遣」などの学校・家庭・地域の連携協力による様々な教育支援活動を支援するための予算を要求しました。
多様な主体の参画による家庭教育の充実(新規)
この要求は、
都市化、核家族化、少子化等による地域のつながりの希薄化など、家庭教育を支える環境が大きく変化するとともに、児童虐待等の急速な増加など家庭をめぐる問題が複雑化しており、社会全体での支援の必要性が高まっている
という理由から出されました。
- 子供の発達段階に応じた学習プログラムの開発・普及促進
- 父親やシニア世代などの多様な主体の参画
- 企業等における家庭教育支援の充実
の3つの事業のための予算を要求しました。
情報通信技術を活用した学びの推進
情報通信技術を活用した新たな学びの推進事業(新規)
先導的な教育体制構築事業
「先導的な教育体制構築事業」では、総務省との連携の下、各地域において、学校間、学校・家庭が連携した新しい学びを推進するため、教員のICTを活用した指導方法の開発や研修体制構築など、先進的な教育体制の構築に取り組むための研究を実施するための予算を要求しました。
10地域での実施を計画しました。
確かな学力の育成に資する授業革新促進事業
「確かな学力の育成に資する授業革新促進事業」として、子供たちにとって分かりやすい授業を実現し主体的な学びを推進するため、ICTを活用した授業の促進を図るための拠点づくりを支援するための予算を要求しました。
平成26年度は40地域、3か年計画で100地域での実施を計画しました。
教育用コンテンツ奨励事業
教育的価値が高く、学校教育又は社会教育に利用されることが適当と認められる教育映像等審査に、新たにデジタルコンテンツ部門を設置し、デジタルコンテンツ作品の普及、利用促進を図る事業でした。
ICTを活用した課題解決型教育の推進事業
初等中等段階からのプログラミング教育等に対応した教員向け指導手引き書を作成するとともに、多様な端末においてデジタル教材等の活用を可能とするために、デジタル教材等の制作・流通基盤の構築を推進する事業です。
スポーツ立国の実現
地域スポーツの持続可能な推進に向けた調査研究
コミュニティの核として持続可能な地域スポーツの推進策の検討を行うため、調査研究を民間団体に委託するものです。
スポーツを通じた地域コミュニティ活性化促進事業
地元の大学や企業などが有するスポーツ資源(人材・資源)を効果的に活用した取組みと若者のスポーツ参加促進策を実施することにより、地域住民のスポーツへの参加意欲を高め、スポーツによる健康増進を図るとともに、スポーツを通じた地域コミュニティの活性化を促進する施策でした。
地方公共団体や民間団体等に委託する計画でした。
地域スポーツとトップスポーツの好循環推進プロジェクト
トップアスリートを活用した地域のジュニアアスリート等への指導や学校への「小学校体育活動コーディネーター」の派遣等を通じて、地域スポーツとトップスポーツの好循環を推進するとともに、拠点クラブを核とした地域スポーツクラブのエリアネットワーク構築の実践を通じて、自立・継続して取り組む体制を整備するプロジェクトでした。
総合型地域スポーツクラブ等へ委託する計画でした。
運動部活動指導の工夫・改善支援事業(新規)
「運動部活動指導の工夫・改善支援事業」は、運動部活動の現場から体罰を根絶し、適切な指導方法・内容の運動部活動を推進するため、指導者の資質向上を図るとともに、地域のスポーツ指導者の活用など地域との連携を推進する新しい計画でした。
武道等指導推進事業
武道等の指導の充実を図るため、地域の指導者の活用に当たって、地域の指導者の技術及び安全に関する専門的な指導力の活用方策や、派遣する競技団体の支援体制の強化に関する実践研究を行う、という内容です。
また、教員を対象とした安全指導の充実を図るための取組を推進するとともに、中学校保健体育における武道等の指導の成果等の検証を行う事業です。
都道府県・指定都市教育委員会・民間団体・大学等へ委託する計画でした。
体育活動における課題対策推進事業
体育活動中の事故防止やスポーツ医・科学を活用した体育授業の効果的な実施などの様々な課題に対応し、安全でより効果的な体育活動を実施するための取組を推進する事業です。
大学等に委託する計画でした。
子供安心プロジェクトの充実
通学路安全推進事業
通学路の安全を確保するため、通学路安全対策アドバイザーを派遣し、専門的な見地からの必要な指導・助言の下、学校、教育委員会、関係機関等の連携による通学路の合同点検や安全対策の検討を行う事業でした。
また、新たに、通学路安全対策アドバイザーの協力の下、交通安全教育を行うモデル事業を実施する、とあります。
まとめ
平成26年度概算要求に関しては、「脱デフレ」「経済再生」「日本再興」「財政の健全化」「三本の矢」「民需主導」「東日本大震災からの復興の加速化」「社会保障の充実」「消費税率の引上げ」など、第2次安倍政権下での政府の経済・財政に対する施策が大いに影響しました。
その中で、文部科学省は、東京への誘致を進めていた2020年のオリンピック・パラリンピック関連の予算に対応する必要もありました。
しかしながら、文部科学省は、36人以上学級の解消と少人数学習のため、加配定数を2,100人改善するための予算を要求しました。
また、個別の教育課題への対応として1,600人、学校力の向上として900人の教職員加配措置の予算も要求しました。
さらに、「世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学校力向上7か年戦略」という、「教職員指導体制を7か年かけて33,500人改善する」という、教員や保護者や子どもたちにとって、かなりうれしい計画まで打ち立てました。
しかも、その計画は、何と、7か年の自然減等34,900人と合算すると、7か年で教職員数▲1,400人という人的配置で達成できるものでした。
もちろん、学校の働き方改革に関連する「土曜授業推進事業」「コミュニティ・スクールの充実・拡大」「学校支援地域本部」「地域ぐるみの学校安全体制の整備」「情報通信技術を活用した新たな学び推進事業」「運動部活動の工夫・改善支援事業」「通学路安全推進事業」等の事業も拡充されたり、新設されたりして、予算が要求されました。
次回は、このような経過を経て、平成26年度予算がどのような形で成立したのかについて書いていきます。
果たして、7か年計画は,実現したのでしょうか?
(言わなくても、日本人なら多くの方は結果は分かっていますよね!)
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