- はじめに
- 「消費税率引上げに伴う対応」の概要(2018年12月20日/経済財政諮問会議資料)
- 2019年度(令和元年度)文部科学関係予算(案)のポイント
- 文部科学省2019年度(令和元年度)予算(案)主要事項(平成30年1月)目次
- 2019年度文部科学省 初等中等教育局予算(案)主要事項・総合教育政策局予算(案)の説明・スポーツ庁予算(案)主要事項より関係施策
- 2019年度(令和元年度)予算(案)義務教育費国庫負担金…1兆5,200億3,300万円(概算要求1兆5,200億円、平成30年度予算1兆5,227億8,100万円)
- 新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築(~2026年度までの8ヶ年計画)…予算成立せず
- 学校現場における業務の適正化
- 専門スタッフ・外部人材の拡充…134億7,000万円(平成30年度予算120億1,000万円)
- スクールカウンセラーの配置拡充【後掲】…47億3,800万円(概算要求48億7,300万円、平成30年度予算45億6,900万円)
- スクールソーシャルワーカーの配置拡充【後掲】…17億2,200万円(概算要求19億7,800万円、平成30年度予算14億8,400万円)
- いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究【後掲】…800万円(概算要求1,000万円、平成30年度予算1,000万円)
- 多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業~…55億2,100万円(概算要求61億円、平成30年度予算47億7,600万円)
- 特別支援教育専門家の配置(切れ目ない支援体制整備充実事業の内数)【後掲】…14億8,000万円(概算要求14億8,000万円、平成30年度予算11億7,200万円)
- 関連施策
- いじめ・不登校対応等の推進…69億3,100万円(概算要求75億2,400万円、平成30年度予算63億9,700万円)
- 要旨
- いじめ・不登校支援等総合推進事業…68億8,500万円(概算要求74億5,800万円、平成30年度予算63億6,000万円)
- 外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等…66億9,000万円(概算要求72億4,000万円、平成30年度予算61億4,400万円)
- いじめ対策・不登校支援推進事業…1億6,700万円(概算要求1億9,000万円、平成30年度予算1億9,000万円)
- 自殺予防に対する効果的な取組に関する調査研究(2箇所)
- 脳科学・精神医学・心理学等に関する研究と学校教育の連携による調査研究(1箇所)
- 学校教育における長期宿泊体験活動の導入促進に関する調査研究(1箇所)
- いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究(3箇所)…800万円(概算要求1,000万円、平成30年度予算1,000万円)
- スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究(1箇所)
- 学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究(24箇所)…1億2,800万円(概算要求1億5,500万円、平成30年度予算1億5,500万円)
- SNS等を活用した相談体制の在り方に関する調査研究【新規】(1箇所)
- 夜間中学における就学機会の提供推進…4,600万円(概算要求6,600万円、平成30年度予算3,600万円)
- 切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実…25億8,600万円(概算要求27億7,700万円、平成30年度予算23億9,800万円)
- 切れ目ない支援体制整備充実事業…17億9,600万円(概算要求19億1,000万円、平成30年度予算16億円)
- 学校における医療的ケア実施体制構築事業…5,900万円(概算要求6,100万円、平成30年度予算5,900万円)、20地域
- 発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援事業…2億1,300万円(概算要求2億3,300万円、平成30年度予算2億8,000万円)
- 学校と福祉機関の連携支援事業…1,000万円【新規】、4箇所
- 発達障害に係る教員・支援人材専門性向上に係る検討会議の設置等【国立特別支援教育総合研究所運営費交付金の内数】(概算要求なし)【新規】
- 特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業…4,500万円(概算要求5,200万円、平成30年度予算5,000万円)
- 学習指導要領の趣旨徹底及び学習・指導方法の改善・充実…1億3,900万円(概算要求1億4,600万円、平成30年度予算1億400万円)
- 学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業…5,100万円(概算要求6,900万円、平成30年度予算8,600万円)
- 高等学校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業…2,600万円(概算要求なし)【新規】
- 教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等普及促進プロジェクト…2億1,000万円(概算要求2億1,900万円、平成30年度予算1億4,600万円) 等
- キャリア教育・職業教育の充実…3億6,700万円(概算要求5億3,800万円、平成30年度予算1億8,400万円)
- 教育分野におけるEBPMの推進
- 情報教育・外国語教育の充実…20億9,300万円(概算要求38億800万円、平成30年度予算22億4,700万円)
- 次世代の教育情報化推進事業…9,800万円(概算要求1億2,800万円、平成30年度予算1億800万円)
- 情報モラル教育推進事業…3,100万円(概算要求6,300万円、平成30年度予算2,000万円)
- ICTを活用した教育自治体応援事業…6,000万円(平成30年度概算要求7,800万円、予算2,900万円)
- 統合型校務支援システム導入実証研究事業【再掲】…1億3,500万円(概算要求3億1,10万円、平成30年度予算3億1,100万円)
- 遠隔教育システム導入実証研究事業…4,700万円(概算要求4,700万円、平成30年度予算5,200万円)
- 次世代学校支援モデル構築事業…廃止(概算要求1億1,900万円、平成30年度予算1億1,900万円)⇒「新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業」へ継承
- 教育用コンテンツ奨励事業…1,300万円(概算要求同、平成30年度予算同)
- 新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業(概算要求時「学校における未来型テクノロジーの効果的な活用に向けた開発・実証推進事業」【後掲】…2億5,700万円(概算要求7億円)【新規】
- 先端技術を活用した幼児教育分野の実証研究【後掲】…2,200万円(概算要求5,000万円)【新規】
- デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究…1,554万5,000円(概算要求3,600万円、平成30年度予算1,407万7,000円)
- 小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業等…6億2,700万円(概算要求11億8,500万円、平成30年度予算7億3,700万円)
- スーパーグローバル・ハイスクール…4億2,400万円(概算要求5億600万円、平成30年度予算8億4,300万円)(指定校数:継続校67校)
- WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業【後掲】…1億1,300万円(概算要求1億6,700万円)【新規】
- 地域との協働による高等学校教育改革推進事業【後掲】…2億5,100万円(概算要求4億円)【新規】
- グローバル社会における児童生徒の学びの機会の確保と充実
- Society5.0に向けた人材育成…28億3,500万円(平成30年度予算16億7,000万円)
- 共生社会の実現及び学校安全の推進
- 女性の活躍推進等のための環境整備
- 学びを通じた地域づくりと学校・家庭・地域の連携・協働
- 学校を核とした地域力強化プラン…63億9,500万円(概算要求83億200万円、平成30年度予算64億7,500万円)
- 地域学校協働活動推進事業…59億2,400万円(概算要求77億4,900万円、平成30年度予算60億1,200万円)
- コミュニティ・スクール推進体制構築事業…8,500万円(概算要求8,500万円、平成30年度予算9,800万円)
- 地域における家庭教育基盤構築事業~家庭教育支援チーム強化促進プラン~…7,300万円(概算要求9,100万円、平成30年度予算7,300万円)
- 地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業…800万円(概算要求1,700万円、平成30年度予算800万円)
- 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業…1億1,900万円(概算要求1億1,900万円、平成30年度予算1億600万円)
- 地域と連携した学校保健推進事業…800万円(概算要求800万円、平成30年度予算800万円)
- 健全育成のための体験活動推進事業…9,900万円(概算要求1億5,000万円、平成30年度予算9,900万円)
- 子供の読書活動の推進…2,500万円(概算要求4,500万円、平成30年度予算2,400万円)
- 学びを通じた社会参画の推進に関する実証研究事業…900万円(概算要求4,500万円)【新規】
- 学校を核とした地域力強化プラン…63億9,500万円(概算要求83億200万円、平成30年度予算64億7,500万円)
- 少子化に対応した活力ある学校教育の推進…24億3,400万円(概算要求24億2,500万円、平成30年度予算24億2,100万円)
- 学校健康教育の推進…1億8,100万円(概算要求2億3,500万円、平成30年度予算2億2,300万円)
- 教育課程の充実…24億7,800万円(概算要求29億1,100万円、平成30年度予算24億6,100万円)
- 学習指導要領等の趣旨徹底等及び新学習指導要領の円滑な実施に向けた取組の推進…2億円(概算要求2億300万円、平成30年度予算2億5,800万円)
- 基礎学力に問題を抱える児童生徒への支援の充実…2,400万円(概算要求3,000万円)【新規】
- 次代を見据えた教育課程・指導方法等に関する先導的研究開発…7,000万円(概算要求8,400万円、平成30年度予算6,900万円)
- 理数教育の充実のための総合的な支援等…19億7,100万円(概算要求22億9,100万円、平成30年度予算18億9,100万円)
- 現代的課題に対応した教育の充実等…1億500万円(概算要求1億3,000万円、平成30年度予算1億1,300万円)
- 特別支援学校学習指導要領等の趣旨徹底等及び学習・指導方法の改善・充実【後掲】…1億3,900万円(概算要求1億4,600万円、平成30年度予算1億400万円)
- 幼稚園教育課程の理解の推進【後掲】…2,300万円(概算要求2,600万円、平成30年度予算2,600万円)
- 子供の体験活動の推進…1億200万円(概算要求1億5,200万円、平成30年度予算1億100万円)
- 道徳教育の抜本的改善・充実…42億700万円(概算要求42億1,800万円、平成30年度予算35億2,400万円)
- 幼児教育の振興…762億円※内閣府計上予算含む(概算要求541億700万円※事項要求含む、平成30年度予算324億円)
- 2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2019年ラグビーW杯等に向けた準備
- スポーツ施策の総合的な推進~経済・地域の活性化~
- スポーツ産業の成長促進事業…2億359万円(概算要求3億1,151万1,000円、平成30年度予算1億8,324万2,000円)
- 大学スポーツ振興の推進事業…1億6,175万円(概算要求2億50万円(平成30年度予算1億5,524万6,000円)
- スポーツツーリズム・ムーヴメント創出事業…2,570万7,000円(概算要求3,800万円、平成30年度予算2,603万円)
- 体育・スポーツ施設整備(学校施設環境改善交付金)…46億2,892万5,000円(概算要求54億円、平成30年度予算44億9,000万円)
- ストック適正化による持続可能な地域スポーツ環境の確保…3,000万円(概算要求7,000万円)【新規】
- スポーツ施策の総合的な推進~スポーツ参画人口の拡大、障害者スポーツの推進~
- スポーツ施策の総合的な推進~学校体育・持続可能な運動部活動の推進~
- まとめ
はじめに
2019年度(平成元年度)の文部科学省の政策を予算から分析すると、小学校英語専科教員の1,000人の増員と部活動指導員の4,500人から9,000人への増員がありましたが、全体としては、学校における働き方改革を進めるための政策に大きな変動はありませんでした。
幼児教育では、2019年10月から幼児教育無償化を実施するとともに幼児教育の質の向上及び環境整備を促進するため、2019年度予算が大幅に増額しました。
高等学校では、新学習指導要領を踏まえ、自治体、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進するとして、「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」が新設されました。
さらに、高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、海外連携校等とも連携したテーマを通じた高校生国際会議の開催等を目指す「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」も新設されました。
義務教育費国家負担金は概算要求額とほぼ同じ(平成30年度予算よりは2,000億円近く減額)となりました。
教職員定数の改善は少しずつされましたが、トータルでいうと自然減以上にはなりませんでした。
また、教職員定数改善の8ヶ年計画の予算化はありませんでした。
スクール・サポート・スタッフや中学校における部活動指導員などの専門スタッフや外部人材も少しずつ増員されました。
また、第3期教育振興基本計画で教育政策に関するEBPM(証拠に基づく政策立案)を推進することが示されたため、新たに「EBPMをはじめとした統計改革を推進するための調査研究」事業が新規で予算化されました。
全国的な学力調査では、中学校第3学年の英語の「話すこと」の音声録音方式による調査を初めて行うための予算が盛り込まれました。
新規の「新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業」では、
- 教師支援のツールとしてビッグデータの活用などによる児童生徒の学習状況に応じた指導の充実
- 指導力の分析・共有、研修への活用などによる授業改善など教師の資質能力の向上。
などが図られることになりました。
スポーツ施策関係では大きな変化はありませんでしたが、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、「ドーピング防止教育」なるものを行うための予算も盛り込まれました。
このシリーズの直近の関連記事「学校における働き方改革は可能か㊲~「学校給食費徴収・管理業務の改善・充実」事業はどうなった?2019年度(令和元年度)概算要求~」では、2019年度(平成元年度)文部科学省概算要求の内容について紹介しました。
今回の記事では、まずは、2019年度文部科学省予算にも大いに関係のある、2019年10月1日からの消費税率10%への引上げに対する政府の対応について説明します。
その後、成立した2019年度(平成元年度)文部科学省の予算のうち、学校における働き方改革に関連のある政策を中心にお伝えします。
「消費税率引上げに伴う対応」の概要(2018年12月20日/経済財政諮問会議資料)
基本的考え方
- 消費税率については、法律で定められたとおり、2019年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる予定
- 前回の3%引上げ時の経験を活かし、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう、全力で対応
- 臨時・特別の措置を講ずる2019・2020年度予算を通じて、各措置の規模・実施時期をバランスよく組み合わせ、全体としての財政規律を堅持
- 各措置の目的を明確化
- 未来及び経済構造改革に資する観点も十分踏まえて対応
- 消費税率引上げの必要性やその影響を緩和する措置などについて、国民にわかりやすい広報の実施
消費税率引上げによる影響と対応
今回の消費税率引上げによる経済への影響は、幼児教育無償化等の措置により2兆円程度に抑えられる。
これに対し、新たな対策として2.3兆円程度を措置。
経済への影響を十二分に乗り越えられる対策とする。
消費税率引上げによる経済への影響…▲2兆円程度
①、②により経済への影響を2兆円程度に抑制
①消費税率の引上げの影響…5.2兆円程度の負担増
消費税率引上げの影響 | 負担増 | 負担軽減 |
---|---|---|
消費税率の引上げによる負担増が国・地方で+5.7兆円程度(1%辺り2.87兆円程度) | 5.7兆円程度 | |
軽減税率制度の実施 | 1.1兆円程度 | |
昨年度実施したたばこ税や所得税の見直しなどによる財源確保 | 0.6兆円程度 |
②幼児教育の無償化、社会保障の充実による支援…3.2兆円程度の受益増
幼児教育の無償化、社会保障の充実による支援 | 受益増 |
---|---|
幼児教育無償化の10月1日実施、年金生活者支援給付金の支給等 | 2.8兆円程度 |
消費税負担増に対する診療報酬等による補てん等 | 0.4兆円程度 |
消費税引上げに対応した新たな対策による措置…+2.3兆円程度
消費税率引上げに対応した新たな措置 | 予算規模等 |
---|---|
臨時・特別の予算措置…ポイント還元、プレミアム付商品券、すまい給付金、次世代住宅ポイント制度、防災・減災、国土強靱化等 | 2兆円程度(国費) |
税制上の支援…住宅ローン減税の拡充、自動車の取得税及び保有時の税負担の軽減 | 0.3兆円程度(減税) |
※臨時・特別の予算措置のうち、「防災・減災、国土強靱化等」には学校施設等の耐震化等も含まれます。
2019年度(令和元年度)文部科学関係予算(案)のポイント
- 2019年度(令和元年度)文部科学関係予算(案)…5兆5,287億円(※2)
- 平成30年度予算…5兆2,938億円(※1)
- 比較増減率4.4%増
※1 幼児教育無償化等に伴う予算組替後の数字
※2 「臨時・特別の措置」として2,084億円を計上
「人生100年時代」や「Society5.0」の到来を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興により、「人づくり革命」を断行し、「生産性革命」を実現する。
2019年度文部科学関係予算(案)の概要
歳出予算
一般会計
- 前年度予算額…5兆2,937億9,100万円
- 2019年度予算額(案)…5兆5,286億8,900万円
- 比較増△減額…2,348億9,800万円(対前年度 4.4%増)
文教関係予算(案)のポイント
- 2019年度予算(案)…4兆2,348億円(2,093億円増)※「臨時・特別の措置」として1,974億円を計上
教育政策推進のための基盤の整備
新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導運営体制を構築し、「チームとしての学校」を実現
大学等の基盤的経費を充実しつつ、アウトカム指標も含めた客観的指標を活用したメリハリある配分により教育研究の質の向上を促進するとともに、高専の高度化・国際化を推進
児童生徒等の安全と健康を守るため、学校施設の耐震化や、非構造部材の耐震対策、教育研究環境の整備等を推進
夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成
地域と学校の連携・協働を推進し地域力を強化するとともに、地域全体で学校安全体制を構築
英語教育やプログラミング教育、道徳教育など、新しい時代に求められる資質・能力を育成するための支援を充実
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充やSNS等を活用した相談への支援など、いじめ・不登校対応等を推進
変化の激しい時代において、子供たちが新たな価値を創造する力を育成するため、高大接続改革を推進
社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成
グローバル社会における児童生徒の教育機会を確保・充実
卓越した博士人材を養成するためのプログラムを拡充
生涯学び、活躍できる環境の整備
人生100年時代を見据えて、リカレント教育等社会人が学び直す機会を拡充
就学前から卒業後まで、特別支援教育の生涯学習化を推進
誰もが社会の担い手になるためのセーフティネットの構築
幼児教育の無償化、高校生等への修学支援、大学等奨学金事業の充実など、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットを構築
外国人受入れ拡大に対応した日本語教育・外国人児童生徒等への教育を充実
Society5.0に向けた人材育成
公正に最適化された学びの実現や、文理分断からの脱却など、Society5.0に向けた人材を育成
スポーツ関係予算のポイント
競技力向上事業の充実や、ナショナルトレーニングセンターの拡充整備など、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2019年ラグビーW杯等に向けた準備を推進
大学スポーツの振興や、スポーツの成長産業化、障害者スポーツの振興、スポーツ・インテグリティの体制整備など、スポーツ施策を総合的に推進
文化芸術関係予算のポイント
文化芸術立国の実現に向けて、文化・芸術創造活動への効果的な支援や、新たな時代に対応した文化芸術人材の育成等を推進
文化芸術立国の実現に向けて、文化芸術活動への効果的な支援や、新たな時代に対応した文化芸術人材の育成等を推進
適切な周期による修理や防犯・防災対策、文化財を支える技の伝承基盤強化、日本遺産など地域の文化財の総合的な活用に資する取組を推進し、文化財を確実に次世代へ継承
文部科学省2019年度(令和元年度)予算(案)主要事項(平成30年1月)目次
2019年度文部科学省 初等中等教育局予算(案)主要事項・総合教育政策局予算(案)の説明・スポーツ庁予算(案)主要事項より関係施策
2019年度(令和元年度)予算(案)義務教育費国庫負担金…1兆5,200億3,300万円(概算要求1兆5,200億円、平成30年度予算1兆5,227億8,100万円)
義務教育費国庫負担金の予算額は、「人事院勧告の反映による給与改定」により増額された代わりに、「教職員定数の改善」、「教職員定数の自然減等」、「教職員の若返り等による給与減」、「教員給与の見直し」の予算は概算要求額から減額され、予算総額は、概算要求額とほぼ同じとなりました。
- 教職員定数の改善…+32億円(+1,456人)(概算要求+56億円、+2,615人)
- 教職員定数の自然減等…▲94億円(▲4,326人)(概算要求▲62億円、▲2,872人)
- 教職員の若返り等による給与減…▲29億円(概算要求▲28億円)
- 人事院勧告の反映による給与改定…+76億円(概算要求なし)
- 教員給与の見直し…▲14億円(概算要求+1億円)
教職員定数の改善…+1,456人(概算要求+2,615人)
学校における働き方改革…+1,110人(概算要求+2,000人)
教員の持ちコマ数軽減による教育の質の向上
- 小学校専科指導の充実(小学校英語教育の早期化・教科化に伴う、一定の英語力を有し、質の高い英語教育を行う専科指導教員の充実)…+1,000人(概算要求+1,000人、平成30年度予算+1,000人)
- 中学校生徒指導体制の強化…+50人(概算要求+500人、平成30年度予算+50人)
学校運営体制の強化
- 学校総務・税務業務の軽減のための共同学校事務体制強化(事務職員)…+30人(概算要求+400人、平成30年度予算+40人)
- 主幹教諭の配置充実による学校マネジメント機能強化…+30人(概算要求+100人、平成30年度予算+0人)
複雑化・困難化する教育課題への対応【再掲を除く】…+346人(概算要求+1,115人【再掲含む】)
教育課題への対応のための基礎定数化関連…+246人(平成29年3月義務標準法改正による基礎定数化に伴う定数の増減)(概算要求同、平成30年度予算+385人)
- 通級による指導…+348人(概算要求同、平成30年度予算+505人)
- 日本語指導…+68人(概算要求同、平成30年度予算+58人)
- 初任者研修…+72人(概算要求同、平成30年度予算+63人)
- 自然減等…▲242人(概算要求同、平成30年度予算▲241人)
いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化…+50人【再掲】(概算要求+500人、平成30年度予算+50人)
貧困等に起因する学力課題の解消…+50人(概算要求+500人、平成30年度予算+50人)
「チーム学校」の実現に向けた学校の指導体制の基盤整備(養護教諭、栄養教諭等)…+20人(概算要求+40人、平成30年度予算+20人)
統合校・小規模校への支援…+30人(概算要求+75人、平成30年度予算+50人)
教員給与の見直し
- 部活動ガイドラインを踏まえた部活動手当の見直し(土日3時間程度2,700円)
- 管理職手当の改善はなし
関連施策
教育政策に関する実証研究…2,800万円(概算要求2,800万円、平成30年度予算3,100万円)
有識者や意欲ある自治体の協力を得つつ、時代の変化に対応した新しい教育への取組、いじめ・不登校、子供の貧困等の学校の課題に関する状況や、それらの課題に対応するための指導体制の在り方など、教育政策の効果を評価する実証研究を実施。
新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築(~2026年度までの8ヶ年計画)…予算成立せず
学校現場における業務の適正化
学校現場における業務改善加速事業…1億300万円(概算要求1億2,100万円、平成30年度予算1億400万円)
教員の長時間勤務を見直すことで、教員自らが意欲と能力を最大限発揮できる環境を整備し、ひいては学校教育の質を向上させるため、国・教育委員会(都道府県・市町村)・学校が有機的に連携し、一体的・総合的に業務改善を推進する取組を実施する。
- 業務改善加速のための実践研究(業務改善に集中的に取り組むモデル自治体等において、各学校における勤務時間管理の徹底をはじめ、教員の業務の見直し、意識改革のための研修等、業務改善の取組を強力に推進)
- 業務改善アドバイザーの派遣
- 長時間勤務是正にむけた普及・啓発 等
専門スタッフ・外部人材の拡充…134億7,000万円(平成30年度予算120億1,000万円)
スクールカウンセラーの配置拡充【後掲】…47億3,800万円(概算要求48億7,300万円、平成30年度予算45億6,900万円)
スクールソーシャルワーカーの配置拡充【後掲】…17億2,200万円(概算要求19億7,800万円、平成30年度予算14億8,400万円)
いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究【後掲】…800万円(概算要求1,000万円、平成30年度予算1,000万円)
多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業~…55億2,100万円(概算要求61億円、平成30年度予算47億7,600万円)
多彩な人材がサポートスタッフとして学校の教育活動に参画する取組を支援するものでした。
学力向上を目的とした学校教育活動支援…30億7,300万円(概算要求31億円、平成30年度予算30億7,200万円)
児童生徒一人一人にあったきめ細やかな対応を実現するため、教員に加えて学校教育活動を支援する人材の配置を支援<当該分野に知見のある人材(退職教職員や教員志望の大学生など)>…7,700人
児童生徒の学習サポート
- 補習や発展的な学習への対応
- 外国人児童生徒等の学力向上への取り組み
学校生活適応への支援
- 不登校・中途退学への対応
- いじめへの対応
進路指導・キャリア教育
- キャリア教育支援
- 就職支援
その他(教師の指導力向上等)
- 校長経験者による若手教員への授業指導
- 子供の体験活動の実施への支援
スクール・サポート・スタッフの配置…14億4,400万円(概算要求17億円、平成30年度予算12億円)
教師が児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備し、教師の負担軽減を図るため、学習プリント等の印刷などを教師に代わって行うサポートスタッフの配置を支援。<地域の人材(卒業生の保護者など)>(3,000人→3,600人)
※教師の負担減を図るための事業として実施。各自治体において明確な成果目標を設定し、効果の検証も含めて実施するものに対し、補助を行う。
中学校における部活動指導員の配置…10億800万円(概算要求13億円、平成30年度予算5億400万円)
適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化を進めている教育委員会を対象に、部活動指導員※の配置を支援。<指導する部活動に係る専門的な知識・技能を有する人材>(4,500人→9,000人)
※学校教育法施行規則第78条の2に該当する者
※スポーツ庁の運動部活動に係るガイドライン及び文化庁の文化部活動に係るガイドラインを遵守するとともに、教師の負担軽減の状況を適切に把握するなど、一定の要件を満たす学校設置者に対して支援を行う。
※支援に際しては、上記のガイドラインを遵守した上で、ガイドラインを上回る休養日の設定を行うなど、学校の働き方改革の取組を推進している学校設置者へ優先的に配分する。
特別支援教育専門家の配置(切れ目ない支援体制整備充実事業の内数)【後掲】…14億8,000万円(概算要求14億8,000万円、平成30年度予算11億7,200万円)
- 医療的ケアが必要な児童生徒のための看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の外部専門家の配置(2,148人)
関連施策
いじめ問題等の解決に向けた外部専門家活用事業
スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究
学校司書養成講習会
いじめ・不登校対応等の推進…69億3,100万円(概算要求75億2,400万円、平成30年度予算63億9,700万円)
要旨
- 「ニッポン一億総活躍プラン」や教育再生実行会議、「いじめ防止対策推進法」、「いじめの防止等のための基本的な方針」を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応や相談体制の整備及びインターネットやSNSを通じて行われるいじめへの対応など、地方公共団体等にいじめ問題をはじめとする生徒指導上の諸課題への対応等のための支援体制を整備するほか、専門スタッフの配置充実を図る。
- また、平成28年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」及び同法に基づき策定した基本指針を踏まえ、不登校児童生徒等に対する教育機会の確保の推進のため、教育委員会・学校・関係機関の連携による不登校児童生徒へのきめ細かな支援体制を整備するとともに、夜間中学の設置促進等を図る。
いじめ・不登校支援等総合推進事業…68億8,500万円(概算要求74億5,800万円、平成30年度予算63億6,000万円)
外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等…66億9,000万円(概算要求72億4,000万円、平成30年度予算61億4,400万円)
スクールカウンセラーの配置拡充
- スクールカウンセラーの配置の増:全公立小中学校への配置(26,700校→27,500校)
- 全公立中学校の通常配置(6,200校)に加え、週5日相談体制(生徒指導上、大きな課題を抱える学校等200校)を実施、公立中学校の小中連携配置(3,600校)(全公立中学校10,000校へ配置)
- 全公立小学校の通常配置(10,300校)に加え、小中連携型配置(7,200校)による公立中学校の相談体制の連携促進(全公立小学校1,7500校へ配置)
- 貧困対策・虐待対策のための重点加配(1,000校→1,400校)
- 教育支援センター(適応指導教室)の機能強化等、不登校支援のための配置(250箇所)
- 連絡協議会の開催等を通じた質向上の取組の支援
※支援が必要な学校に弾力的に派遣できるよう、地域の実情に応じ、教育委員会への配置も推進
スクールソーシャルワーカーの配置拡充
- スクールソーシャルワーカー配置の増:全中学校区への配置(7,500人→10,000人)
- 高等学校のための配置(47人)
- 貧困対策・虐待対策のための重点加配(1,000人→1,400人)
- スーパーバイザー(47人)の配置
- 連絡協議会の開催等を通じた質向上の取組の支援
24時間子供SOSダイヤル
幅広い専門家を活用していじめ問題等の解決に向けて調整、支援する取組の促進等
- 第三者的立場から調整・解決する取組…67地域(概算要求、平成30年度予算同)
- 外部専門家を活用して学校を支援する取組…67地域(概算要求、平成30年度予算同)
- インターネットを通じたいじめ問題等に対応するための学校ネットパトロール等への支援
SNS等を活用した相談事業…2億1,000万円(概算要求3億5,000万円、平成30年度予算5,000万円)
いじめを含め、様々な悩みを抱える児童生徒に対するSNS等を活用した相談体制の構築を図る。
- SNS等を活用した相談体制構築事業…30地域(概算要求同)
(参考:委託事業)
- SNS等を活用した相談体制の在り方に関する調査研究【新規】(1箇所)【後掲】
いじめ対策・不登校支援推進事業…1億6,700万円(概算要求1億9,000万円、平成30年度予算1億9,000万円)
自殺予防に対する効果的な取組に関する調査研究(2箇所)
脳科学・精神医学・心理学等に関する研究と学校教育の連携による調査研究(1箇所)
学校教育における長期宿泊体験活動の導入促進に関する調査研究(1箇所)
いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究(3箇所)…800万円(概算要求1,000万円、平成30年度予算1,000万円)
スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究(1箇所)
学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究(24箇所)…1億2,800万円(概算要求1億5,500万円、平成30年度予算1億5,500万円)
SNS等を活用した相談体制の在り方に関する調査研究【新規】(1箇所)
夜間中学における就学機会の提供推進…4,600万円(概算要求6,600万円、平成30年度予算3,600万円)
平成28年12月に成立した教育機会確保法及び同法に基づく基本指針等を踏まえ、①夜間中学の設置促進、②既設の夜間中学における教育活動の充実、③夜間中学における多様な生徒の受け入れ拡大を図ること等により、夜間中学における就学機会の提供を推進する事業に対して4,600万円の予算がつきました。
切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実…25億8,600万円(概算要求27億7,700万円、平成30年度予算23億9,800万円)
切れ目ない支援体制整備充実事業…17億9,600万円(概算要求19億1,000万円、平成30年度予算16億円)
平成28年度の障害者差別解消法の施行、発達障害者支援法の改正等を踏まえ、自治体の切れ目ない支援体制整備に向けた取組に対して経費の一部を補助する事業です。
特別な支援を必要とする子供の就学前から学齢期、社会参加まで切れ目ない支援体制整備
- 各発達段階を通じ、円滑な情報の共有、引継ぎがなされるよう、就学前から進学・就労段階にわたり、各学校等で個別の支援情報に関する「個別の支援計画」等を作成し、就学、進級、進学、就学の際に、記載情報の取扱いについて十分配慮した上で、その内容が適切に引き継がれる仕組の整備
- 関係機関との連携を支援するコーディネーター等の配置(早期支援・就労支援・発達障害支援・合理的配慮コーディネーター)
- 教育・医療機関との連携による入院児童生徒(義務教育段階)の教育支援体制の整備
- 上記取組における普及啓発
特別支援教育専門家配置
- 医療的ケアのための看護師…1,500人→1,800人
- 外部専門家(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等)…348人
学校における医療的ケア実施体制構築事業…5,900万円(概算要求6,100万円、平成30年度予算5,900万円)、20地域
発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援事業…2億1,300万円(概算要求2億3,300万円、平成30年度予算2億8,000万円)
発達障害に関する通級による指導担当教員等専門性充実事業…18箇所(概算要求20箇所、平成30年度予算17箇所)
小・中・高等学校等における発達障害を含む障害のある児童生徒等に対する特別支援教育の体制充実のための通級による指導の担当教員に対する研修体制を構築するとともに、必要な指導方法について調査研究等を行う事業でした。
学校と福祉機関の連携支援事業…1,000万円【新規】、4箇所
障害のある子供に対する、一貫した支援の提供に資するため、学校と障害児通所支援事業所の効率的かつ効果的な連携の在り方について調査研究を行う事業に新規で1,000万円予算がつきました。
発達障害に係る教員・支援人材専門性向上に係る検討会議の設置等【国立特別支援教育総合研究所運営費交付金の内数】(概算要求なし)【新規】
特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業…4,500万円(概算要求5,200万円、平成30年度予算5,000万円)
学習指導要領の趣旨徹底及び学習・指導方法の改善・充実…1億3,900万円(概算要求1億4,600万円、平成30年度予算1億400万円)
学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業…5,100万円(概算要求6,900万円、平成30年度予算8,600万円)
高等学校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業…2,600万円(概算要求なし)【新規】
教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等普及促進プロジェクト…2億1,000万円(概算要求2億1,900万円、平成30年度予算1億4,600万円) 等
キャリア教育・職業教育の充実…3億6,700万円(概算要求5億3,800万円、平成30年度予算1億8,400万円)
将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業…2,300万円(概算要求2,400万円、平成30年度予算2,700万円)
小学校における進路指導の在り方に関する調査研究…2地域
新学習指導要領において小学校段階からのキャリア教育(進路指導を含む)が明確に位置付けられるとともに、中学校の入学者選抜が広がりを見せるなどの状況を踏まえ、小学校での進路指導の在り方等について調査研究を実施する。
小・中学校等における起業体験推進事業…11地域
キャリア教育推進事業シンポジウムの開催
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業…800万円(概算要求1,700万円、平成30年度800万円)(学校を核とした地域力強化プランの一部)【総合教育政策局に計上】
「キャリアプランニングスーパーバイザー」を都道府県等に配置し、地元企業等と連携した職場体験やインターンシップ及び地元への愛着を深めるキャリア教育の推進等を通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する。(30人)
スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール…8,500万円(概算要求9,700万円、平成30年度予算1億4,900万円)
高度な知識・技能を身に付けた専門的職業人を育成するため、専攻科を含めた5年一貫のカリキュラムの研究や大学・研究機関等との連携など先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定した実践研究を実施し、成果の普及を図るとともに、専門高校の魅力発信に関する調査研究を行う。
地域との協働による高等学校教育改革推進事業【再掲】…2億5,100万円【新規】(概算要求4億円)
新高等学校学習指導要領を踏まえ、Society5.0を地域から分厚く支える人材の育成に向けた教育改革を推進するため、「経済財政運営と改革の基本方針2018」や「まち・ひと・仕事創生基本方針2018」に基づき、高等学校が自治体、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等の探究的学びを実現する取組を推進することで、地域振興の核としての高等学校の機能強化を図る事業に新規で4億円の予算がつきました。
教育分野におけるEBPMの推進
EBPMをはじめとした統計改革を推進するための調査研究…5,700万円【新規】(概算要求1億2,200万円)
背景
- 「第3期教育振興基本計画」(平成30年6月15日閣議決定)において、教育政策に関するEBPMを推進する体制を文部科学省に構築する旨を記載。
- 文部科学省では、平成30年10月に、生涯学習政策局を改組した上で、教育分野等のEBPMの推進を担当する課として調査企画課を新たに設置した。
- 「統計改革推進会議最終とりまとめ」(平成29年5月)において、政府全体に対してEBPM(証拠に基づく政策立案)推進体制の構築や統計改革の推進に資する対応を求めている。
目的
- 文部科学省・地方公共団体における教育政策立案や学校におけるマネジメント改革が客観的な証拠(エビデンス)に基づき実施されるための取組を促すことにより、我が国全体の教育行政の変革及びEBPMの推進に資する。
- このため、国、地方公共団体、学校などが活用可能な教育分野のエビデンス開発を進めるとともに、当該エビデンスの一層の活用に資するため、現行調査の改善・充実に向けた基盤を整備する。
全国的な学力調査の実施…【文科省分46億4,800万円(平成30年度予算46億100万円】【国研分5億1,800万円(平成30年度予算6億1,500万円】
中3での英語4技能調査、「話すこと」の音声録音方式は初めての試みでした。
- 2019年度調査として、小6・中3を対象に、国語、算数・数学、英語(中学校)の悉皆調査を行う。
- 英語については、「聞くこと」、「読むこと」、「書くこと」、「話すこと」の調査を実施。「話すこと」は、音声録音方式により一学級が一斉に実施。
- 2020年度調査として、国語、算数・数学を対象教科とした悉皆調査、保護者に対する調査(抽出)及び経年変化分析調査(抽出)を実施するための準備を行う。
情報教育・外国語教育の充実…20億9,300万円(概算要求38億800万円、平成30年度予算22億4,700万円)
次世代の教育情報化推進事業…9,800万円(概算要求1億2,800万円、平成30年度予算1億800万円)
新学習指導要領の趣旨の実現に向けた情報教育及びICT活用の推進に関する調査研究…1,600万円(平成30年度予算2,400万円)
小学校プログラミング教育支援推進事業…6,900万円(平成30年度予算7,000万円)
新学習指導要領に対応した高等学校情報科担当教員の指導力向上…1,300万円(平成30年度予算1,400万円)
情報モラル教育推進事業…3,100万円(概算要求6,300万円、平成30年度予算2,000万円)
情報モラル教育の推進に係る指導資料の改善…1,400万円(概算要求2,400万円、平成30年度予算1,100万円)
児童生徒向け啓発資料の作成・配布…1,400万円(概算要求3,000万円、平成30年度予算600万円)
情報モラル教育指導者セミナーの開催…300万円(概算要求900万円、平成30年度予算300万円)
ICTを活用した教育自治体応援事業…6,000万円(平成30年度概算要求7,800万円、予算2,900万円)
教育の情報化の推進に関する調査研究
ICT活用教育アドバイザー派遣事業…30地域(概算要求30地域、平成30年度33地域)
統合型校務支援システム導入実証研究事業【再掲】…1億3,500万円(概算要求3億1,10万円、平成30年度予算3億1,100万円)
遠隔教育システム導入実証研究事業…4,700万円(概算要求4,700万円、平成30年度予算5,200万円)
次世代学校支援モデル構築事業…廃止(概算要求1億1,900万円、平成30年度予算1億1,900万円)⇒「新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業」へ継承
教育用コンテンツ奨励事業…1,300万円(概算要求同、平成30年度予算同)
新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業(概算要求時「学校における未来型テクノロジーの効果的な活用に向けた開発・実証推進事業」【後掲】…2億5,700万円(概算要求7億円)【新規】
- 平成30年6月:Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」を取りまとめ。⇒Society5.0の時代において、人間としての強みを発揮していくためには、全ての子供たちが、基礎的読解力や数学的思考力など基盤的な力を確実に習得することが重要。その際、学校においてAI等の先端技術(いわゆる「EdTech」を含む)を効果的に活用することにより、全ての子供たちに対し、一人一人の進度や能力、関心に応じて最適化された学び(「公正に個別最適化された学び」)を提供できる可能性。
- 平成30年11月:「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」を公表。⇒学びの質を高め、すべての児童生徒にこれからの時代に求められる資質・能力を育成するためには、新学習指導要領の着実な実施やチームとしての学校運営の推進が不可欠。その中核を担う教師を支え、その質を高めるツールとして先端技術には大きな可能性。
これらを踏まえ、新時代の学びにおける先端技術の導入について実証的取組を実施。
事業概要
- 教師支援のツールとしてビッグデータの活用などによる児童生徒の学習状況に応じた指導の充実
- 指導力の分析・共有、研修への活用などによる授業改善など教師の資質能力の向上。
- 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等を対象とし、これまで実施していた「次世代学校支援モデル構築事業」の取組も活用しつつ、学校現場と企業等との協働により、学校教育において効果的に活用できる先端技術の導入について実証。その際、提案者(学校設置者)の創意工夫の幅を保ちつつ、広く現場のニーズ・課題を反映した開発・実証となるよう、文部科学省が「戦略的開発・実証領域」を設定。
- 事業成果を全国へ普及・展開することにより、学校教育の質の向上を図る。
「戦略的開発・実証領域」の例
- 一人一人の能力や適性、学習状況(スタディ・ログ)に応じた学びの個別最適化及び教師の指導の充実に向けた先端技術の活用。
- エビデンスに基づいた学校改善及び域内の教育施設の改善等に資するデータや先端技術の活用。
先端技術を活用した幼児教育分野の実証研究【後掲】…2,200万円(概算要求5,000万円)【新規】
デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究…1,554万5,000円(概算要求3,600万円、平成30年度予算1,407万7,000円)
小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業等…6億2,700万円(概算要求11億8,500万円、平成30年度予算7億3,700万円)
小学校外国語教科化に対応した外部人材活用促進等のための講習の実施…1億100万円(平成30年度予算7,000万円)
特別免許状等を利用した学部人材の活用促進のため、外部人材による質の高い指導が可能となる講習の実施を大学等に委託。小学校教員の中学校英語免許状取得を促進。
民間機関を活用した小学校英語の効果的な指導方法等の開発及び成果普及事業…2,800万円(平成30年度予算3,000万円)
新学習指導要領への円滑な実施に向けて、民間機関を活用し、国が作成した新教材及びICT教材を使用した効果的な指導法等の開発を行い、その成果を全国に普及する。
新たな外国語教育に対応した条件整備事業
小学校教材整備…1億1,100万円(平成30年度予算1億1,000万円)
中学校補助教材整備…1億8,100万円【新規】
※その他、小・中・高等学校の指導法等の映像資料の作成及びポータルサイトを設置。
生徒の発信力強化のための英語指導力向上事業
英語教育改革プラン推進事業…1億2,400万円(平成30年度予算1億2,300万円)
オンライン・オフライン研修実証事業…3,000万円【新規】
- 中・高等学校の生徒の英語の発信力向上のため、民間機関に委託し英語科教師対象のオンライン研修プログラムを作成。
- 特定の地域、学校等においてオンラインとオフラインを融合した研修における英語指導力向上効果を検証。全国へ普及を図る。
中学校・高等学校における英語教育の抜本的改善のための指導方法等に関する実証研究…3,200万円(平成30年度3,500万円)
グローバル化に対応した外国語教育推進事業…700万円(平成30年度800万円)
英語以外の外国語について、新学習指導要領に基づいたカリキュラムや教材の開発等を実施。(英語以外の外国語:中、韓・朝、仏、独、西、露 等)
スーパーグローバル・ハイスクール…4億2,400万円(概算要求5億600万円、平成30年度予算8億4,300万円)(指定校数:継続校67校)
グローバルな社会課題を発見・解決し、国際的に活躍できる人材の育成に取り組む指定校の質の高いカリキュラム開発・実践を支援するとともに事業検証を実施し、事業の成果の普及を図るものです。
WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業【後掲】…1億1,300万円(概算要求1億6,700万円)【新規】
これまでのスーパーグローバルハイスクール(SGH)などの取組の実績を活用し、高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、海外連携校等とも連携したテーマを通じた高校生国際会議の開催等、高校生へより高度な学びを提供する仕組み(アドバンスト・ラーニングネットワーク)の形成により、WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソ-シアムにおける拠点校を目指す新規の事業に予算がつきました。(拠点校数:10校程度)。
地域との協働による高等学校教育改革推進事業【後掲】…2億5,100万円(概算要求4億円)【新規】
新高等学校学習指導要領を踏まえ、Society5.0を地域から分厚く支える人材の育成に向けた教育改革を推進するため、「経済財政運営と改革の基本方針2018」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」に基づき、高等学校が自治体、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進することで、地域振興の核としての高等学校の機能強化を図る事業に新規で予算措置がされました。(50校程度)
グローバル社会における児童生徒の学びの機会の確保と充実
在外教育施設教員派遣事業等及び海外子女教育の推進…176億3,000万円(概算要求 182億円、平成30年度予算179億3,300万円)
社会総がかりで行う高校生国際交流促進事業…1億2,800万円(概算要求1億4,000万円、平成30年度予算1億4,000万円)
アジア高校生架け橋プロジェクト…4億1,700万円(概算要求4億9,000万円、平成30年度予算2億100万円)
アジア諸国で日本語を学ぶ優秀な高校生を日本全国の高校に招聘し、日本の高校生徒とともに学び合い、国際交流を深めるための予算が増額されました。(5年間で計1,000人)
- 招聘人数:100人⇒200人
- 招聘期間:6カ月⇒8カ月程度
Society5.0に向けた人材育成…28億3,500万円(平成30年度予算16億7,000万円)
新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業…2億5,700万円【新規】
先端技術を活用した幼児教育分野の実証研究…2,200万円(概算要求5,000万円)【新規】
WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業…1億1,300万円(概算要求1億6,700万円)【新規】
地域との協働による高等学校教育推進事業…2億5,100万円(概算要求4億円)【新規】
共生社会の実現及び学校安全の推進
共生社会の実現に向けた帰国・外国人児童生徒等教育の推進支援…5億4,900万円(概算要求6億3,500万円、平成30年度予算2億6,500万円)
帰国・外国人児童生徒等教育支援体制の整備…2億8,900万円(平成30年度予算1億6,800万円)
- 日本語指導補助者や母語支援員の活用による指導体制の構築など、自治体が公立学校で行う外国人児童生徒当への支援体制の整備に対する支援を行うための予算が増額しました。
定住外国人の子供の就学促進事業…8,000万円(平成30年度予算4,300万円)
多言語翻訳システム等ICTを活用した帰国・外国人児童生徒等のための支援事業…2,000万円【新規】
外国人児童生徒や保護者とのスムーズな意思疎通を図り、きめ細かな就学相談や充実した日本語指導を実施するため、多言語翻訳システム等ICTを活用した取組に対する支援を行うための事業が新規で立ち上がりました。
外国人高校生等に対する包括支援環境整備事業…1億円【新規】
高校等が、企業やボランティアなどの地域の関係団体等と連携して、外国人高校生等に対してキャリア教育をはじめとした包括的な支援を行う事業に新規で予算措置がされました。
外国人児童生徒等教育を担う教員の養成・研修モデルプログラム開発事業…1,200万円(平成30年度予算同)
帰国・外国人児童生徒等教育に係る研究協議会等…1,000万円(平成30年度予算500万円)
学校安全総合支援事業…2億200万円(概算要求2億1,000万円、平成30年度予算1億9,300万円)
学校種・地域の特性に応じた地域全体での学校安全推進体制の構築を図るため、セーフティプロモーションスクール等の先進事例を参考とするなどして、学校安全の組織的取組と外部専門家の活用を進めるとともに、各自治体内での国立・私立を含む学校間の連携を促進する取組を支援する。
合わせて、各都道府県・政令市の取組を検証し、先進的な取組を共有するなどして支援することで、取組の質の向上を図る。
また、全ての教職員がキャリアステージに応じて身に付けておくべき資質・能力を整理・明確化するとともに、効果的な研修方策を開発する。
合わせて、教師を志す学生が身に付けておくべき資質・能力を整理・明確化する。
学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業…1億500万円(概算要求1億2,700万円、平成30年度予算1億600万円)
若年者の消費者教育の推進に関する集中強化プラン(連携・協働による消費者教育推進事業から名称変更)…2,300万円(概算要求6,500万円、平成30年度予算1,000万円)
女性の活躍推進等のための環境整備
男女共同参画推進のための学び・キャリア形成支援事業…3,200万円(概算要求 6,200万円、平成30年度予算3,700万円)
次世代のライフプランニング教育推進事業…3,400万円(概算要求9,800万円)【新規】
背景・課題
- 諸外国と比べて政治参画や経済参画全般、教育分野でも男女間格差が大きく、ジェンダーギャップ指数は過去最低を更新
- 就労の場等のみならず、学校現場においても、無意識に男女の役割に対する固定的な価値観を与えることがあるとの指摘
- 次世代の若者、学校教育段階の子供たちへの働きかけやこれを担う教員の意識改革は国全体で取り組む喫緊の課題
取組の必要性
- 次世代の若者が、各人の生き方、能力、適性を考え固定的な性別役割分担等にとらわれずに、主体的に進路や職業を選択する能力・態度等を身に付けるような指導を行うことができるよう促すとともに、情報提供及び基盤整備の充実が必要
事業概要
ライフプランニング教育プログラムの開発(4か所程度)
高校生・大学生の若者が各人の能力や適性、学びや職業、ライフイベント等を総合的に考え、主体的に将来を選択する能力・態度を身に付ける教育機会を充実するため、学校現場において活用できる教育プログラムの開発・試行を行う。※2020年度:プログラムの実証・分析
男女共同参画の推進に向けた教員研修プログラムの開発(1団体)
児童生徒等が自身のライフキャリアを固定的な性別役割分担にとらわれず考えられるようにするため、これに資する教員研修プログラムを検討する。2019年度においては、国内外・異業種等を含む先進的な研修事例等の収集・分析をし、全国の中学校、高等学校の実態調査を行う。※2020年度:学校の実態や先進的な研修事例等を踏まえ、教員研修のモデルプログラムを開発
学びを通じた地域づくりと学校・家庭・地域の連携・協働
学校を核とした地域力強化プラン…63億9,500万円(概算要求83億200万円、平成30年度予算64億7,500万円)
地域学校協働活動推進事業…59億2,400万円(概算要求77億4,900万円、平成30年度予算60億1,200万円)
コミュニティ・スクール推進体制構築事業…8,500万円(概算要求8,500万円、平成30年度予算9,800万円)
地域における家庭教育基盤構築事業~家庭教育支援チーム強化促進プラン~…7,300万円(概算要求9,100万円、平成30年度予算7,300万円)
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業…800万円(概算要求1,700万円、平成30年度予算800万円)
地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業…1億1,900万円(概算要求1億1,900万円、平成30年度予算1億600万円)
地域と連携した学校保健推進事業…800万円(概算要求800万円、平成30年度予算800万円)
健全育成のための体験活動推進事業…9,900万円(概算要求1億5,000万円、平成30年度予算9,900万円)
子供の読書活動の推進…2,500万円(概算要求4,500万円、平成30年度予算2,400万円)
学びを通じた社会参画の推進に関する実証研究事業…900万円(概算要求4,500万円)【新規】
少子化に対応した活力ある学校教育の推進…24億3,400万円(概算要求24億2,500万円、平成30年度予算24億2,100万円)
少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業…3,640万1,000円(概算要求3,900万円、平成30年度予算3,500万円)
へき地児童生徒援助費等補助金…23億3,200万円(概算要求23億1,300万円、平成30年度予算23億1,300万円)
高等学校における次世代の学習ニーズを踏まえた指導の充実支援…6,500万円(概算要求7,300万円、平成30年度予算7,400万円)
概要
高等学校において、地理的要因等にとらわれず多様かつ高度な教育を可能とする遠隔教育の導入をはじめとした教育改革の優良事例の普及を図るとともに、新高等学校学習指導要領の実施を見据えつつ、定時制・通信制課程の特性を活かした効果的な学習プログラムのモデルを構築し、普及を図る。
また、定時制・通信制課程において、特別な支援を要する生徒、外国人生徒、経済的な困難を抱える生徒や非行・犯罪歴を有する生徒等の学習ニーズに応じた指導方法等を確立し、普及を図る。
学校健康教育の推進…1億8,100万円(概算要求2億3,500万円、平成30年度予算2億2,300万円)
学校保健推進事業…7,400万円(概算要求1億400万円、平成30年度予算9,900万円)
がん教育総合支援事業…3,300万円(概算要求3,900万円、平成30年度予算3,300万円)
背景
- 平成28年12月に改正されたがん対策基本法第23条では、「国及び地方公共団体は、国民が、がんに関する知識及びがん患者に関する理解を深めることができるよう、学校教育及び社会教育におけるがんに関する教育の推進のために必要な施策を講ずるものとする。」というように、がん教育の文言が新たに記載された。
- 平成29年度から平成34年度までの6年間を対象とした第三期がん対策推進基本計画では、がん教育について、「国は、全国の実施状況を把握した上で、地域の実情に応じた外部講師の活用体制を整備し、がん教育の充実に努める。」ことが目標とされている。
- 平成29年3月に小学校及び中学校、平成30年3月に高等学校の学習指導要領がそれぞれ改訂され、中学校及び高等学校においては、がんについても取り扱うことを新たに明記され、移行期間中に新学習指導要領の対応を検討する必要がある。
課題
- 教員のがんについての知識・理解が不十分…健康については、子供の頃から教育することが重要であり、学校でも健康の保持増進と疾病の予防という観点からがん教育に取り組んでいるが、教員のがんに関する知識が不十分であることや外部講師が学校で指導する際の留意点等の認識が不十分である。
- がん教育の全国への普及・啓発が必要…がん教育に対して地域により温度差があるため、全国で実施する新学習指導要領に対応したがん教育の指導内容を充実させ、全国への普及・啓発を図る必要がある。
- 外部講師の活用体制の一層の充実が必要…がん教育における外部講師の活用状況が十分とは言えず、学校が外部講師を活用するための体制を充実させる必要がある。
課題解決のための事業概要
- 新学習指導要領に対応したがん教育の普及・啓発…8箇所
- 地域の実情に応じたがん教育の実施…都道府県等で外部講師名簿作成等、活用体制の整備【新規・12箇所】
学校給食・食育総合推進事業…1億700万円(概算要求1億3,100万円、平成30年度予算1億2,400万円)
つながる食育推進事業…5,100万円(概算要求6,600万円、平成30年度予算5,100万円)
教育課程の充実…24億7,800万円(概算要求29億1,100万円、平成30年度予算24億6,100万円)
学習指導要領等の趣旨徹底等及び新学習指導要領の円滑な実施に向けた取組の推進…2億円(概算要求2億300万円、平成30年度予算2億5,800万円)
教科等の本質的な学びを踏まえた主体的・対話的で深い学びの視点からの学習・指導方法の改善の推進
高等学校における総合的な探求の時間の抜本的改善・充実
基礎学力に問題を抱える児童生徒への支援の充実…2,400万円(概算要求3,000万円)【新規】
読解力をはじめとする基礎学力をすべての児童生徒が確実に習得できるよう、義務教育段階の早い時期から適切な支援を行うなど、基礎学力に課題を抱える児童生徒に対する効果的な取組等について調査研究を実施するための事業に新規で予算がつきました。
次代を見据えた教育課程・指導方法等に関する先導的研究開発…7,000万円(概算要求8,400万円、平成30年度予算6,900万円)
理数教育の充実のための総合的な支援等…19億7,100万円(概算要求22億9,100万円、平成30年度予算18億9,100万円)
現代的課題に対応した教育の充実等…1億500万円(概算要求1億3,000万円、平成30年度予算1億1,300万円)
特別支援学校学習指導要領等の趣旨徹底等及び学習・指導方法の改善・充実【後掲】…1億3,900万円(概算要求1億4,600万円、平成30年度予算1億400万円)
幼稚園教育課程の理解の推進【後掲】…2,300万円(概算要求2,600万円、平成30年度予算2,600万円)
子供の体験活動の推進…1億200万円(概算要求1億5,200万円、平成30年度予算1億100万円)
健全育成のための体験活動推進事業(学校を核とした地域力強化プランの一部)…9,900万円(概算要求1億5,000万円、平成30年度予算9,900万円)【総合教育政策局に計上】
学校教育における長期宿泊体験活動の導入促進に関する調査研究…200万円(概算要求300万円、平成30年度予算300万円)
道徳教育の抜本的改善・充実…42億700万円(概算要求42億1,800万円、平成30年度予算35億2,400万円)
背景
- 2013年2月…教育再生実行会議「いじめ問題等への対応について(第一次提言)」→いじめ問題の根本的な解決に向けた道徳教育の抜本的な充実を提言
- 2013年12月…「道徳教育の充実に関する懇談会」報告→「特別の教科 道徳」(仮称)の設置等について提言
- 2014年2月…中央教育審議会に「道徳に係る教育課程の改善等について」諮問
- 2014年10月…中央委教育審議会から「道徳に係る教育課程の改善等について」答申→「特別の教科 道徳」(仮称)に係る学習指導要領の具体的な在り方等について提言
- 2015年3月…学習指導要領の一部改正等(2015年度から内容の一部または全部を専攻実施することが可能。)
- 2018年3月…新高等学校学習指導要領公示
- 2018年4月…小学校において「特別の教科 道徳」が全面実施※教科書の無給給与開始
- 2019年4月…中学校において「特別の教科 道徳」が全面実施※教科書の無給給与開始
- 2019年4月…高等学校において新学習指導要領(道徳教育関係)が実施
道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援
特色ある道徳教育の取組の支援
小・中学校における「特別の教科 道徳」(道徳科)及び高等学校における道徳教育の効果的な指導方法や、道徳科の評価及び推進体制等に係る指導主事・教員等の研究協議会を開催するとともに、地域教材等の活用による地域の特色を活かした道徳教育の実践・普及、「親子道徳の日」といった家庭・地域との連携を強化する取組などを支援する。
道徳教育アーカイブの整備
道徳科の趣旨やねらいを踏まえた効果的な指導方法や評価方法について、現在、各学校等で取り組まれている好事例や優れた教材を収集・集約・発信する機能を有した「道徳教育アーカイブ」の充実を図る。
社会全体の機運の醸成
社会全体に対して「考え、議論する道徳」の趣旨や内容の理解を深め、学校・家庭・地域が連携して社会全体で子供たちの道徳性を育む機運を醸成するため、シンポジウム等の取組を実施する。
道徳科の教科書の無償配布(小・中学校分)
2018年度から使用する小学校及び2019年度から使用する中学校の道徳科の教科書を無償給与する。
幼児教育の振興…762億円※内閣府計上予算含む(概算要求541億700万円※事項要求含む、平成30年度予算324億円)
幼児教育幼児期の教育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることに鑑み、2019年10月から幼児教育無償化を実施するとともに、幼児教育の質の向上及び環境整備を促進することにより幼児教育の振興を図るため、2019年度予算が大幅に増加されました。
幼児教育無償化の実施…701億円(概算要求300億円+事項要求、平成30年度予算2億5,000万円)
幼児教育の質の向上…3億4,200万円(概算要求4億8,000万円、平成30年度予算2億7,900万円)
幼児教育の環境整備の充実…58億円(概算要求236億円、平成30年度予算39億円)
2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2019年ラグビーW杯等に向けた準備
競技力向上事業【拡充】…100億4,700万円(概算要求110億円、平成30年度予算96億円)
スポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラム…11億7,137万円(概算要求12億4,195万7,000円、平成30年度予算11億7,137万円)
- スポーツ・アカデミー形成支援事業
- 戦略的二国間スポーツ国際貢献事業
- 国際アンチ・ドーピング強化支援事業
- オリンピック・パラリンピック・ムーヴメント全国展開事業
- オリンピック・パラリンピック・ムーヴメントを全国に波及させ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に資するため、オリパラ教育を全国へ展開する。また、事業実施に当たっては、先行して取組を行っている東京都や、東京2020大会組織委員会が行う教育プログラム(ようい!ドン)との連携を密に行う。
- 全国的なコンソーシアムの形成、オリンピアン・パラリンピアンの派遣調整、オリパラ教育全国セミナーの開催等を行う「オリパラ教育全国中核拠点」を設置する。
- 道府県等教育委員会に委託し、オリパラ教育推進校の指定や地域セミナーの開催により、各地域で特色あるオリパラ教育を実施する。また、2019年度から、より多くの生徒が2020年のパラリンピックを競技会場で観戦するよう、パラリンピック競技の観戦・体験事業を重点的に実施する。
- スポーツ・デジタル・アーカイブ・ネットワーク構想事業
ドーピング防止活動推進事業…3億517万9,000円(概算要求3億617万9,000円、平成30年度予算2億9,591万3,000円)
ドーピング防止教育事業
何と、オリンピックに向けて「ドーピング教育」なるものに予算がつけられました。
アスリート・サポートスタッフ等への教育・啓発
ユース世代への教育強化、スクールプロジェクトの実施
- アスリートのみならず、保護者等への教育強化
- 初等中等教育から高等教育まで、学校教育課程におけるスポーツの価値教育を促進するため、教材・指導マニュアル開発、モデル校の設定や認定制度の展開等
医療従事者に対する情報提供・研修機会の確保
ドーピング防止研修事業
ドーピング検査技術研究開発事業
2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業…2,400万円(概算要求2,808万9,000円、平成30年度予算2,808万9,000円)
2019年に日本で行われる「ラグビーワールドカップ」を盛り上げるため、小・中学生が体育の授業で「タグラグビー」を経験すること、放課後の学外クラブの創設により中学生がラグビー競技を行うこと、高校生がラグビーを通じた国際交流を行うことに対して、引き続き予算がつけられました。
- タグラグビーによるラグビー競技の普及
- 放課後ラグビーによる競技者の拡大
- ラグビーを通じた国際交流
スポーツ施策の総合的な推進~経済・地域の活性化~
スポーツ産業の成長促進事業…2億359万円(概算要求3億1,151万1,000円、平成30年度予算1億8,324万2,000円)
大学スポーツ振興の推進事業…1億6,175万円(概算要求2億50万円(平成30年度予算1億5,524万6,000円)
スポーツツーリズム・ムーヴメント創出事業…2,570万7,000円(概算要求3,800万円、平成30年度予算2,603万円)
体育・スポーツ施設整備(学校施設環境改善交付金)…46億2,892万5,000円(概算要求54億円、平成30年度予算44億9,000万円)
ストック適正化による持続可能な地域スポーツ環境の確保…3,000万円(概算要求7,000万円)【新規】
スポーツ施設の個別施設計画策定を通じた集約・複合化等推進事業
「スポーツ施設のストック適正化ガイドライン」を踏まえた個別施設計画策定において、施設の集約・複合化や広域連携等の先進事例を全国に展開するため、地方公共団体向けの講習会の開催等を行う。
学校体育施設の有効活用に関する手引き検討調査
我が国のスポーツ施設の6割を占める学校体育施設について、一般開放や社会体育施設への転用等により、その有効活用を推進するため、地方公共団体向けの実務的な手引きを策定する。
スポーツ施策の総合的な推進~スポーツ参画人口の拡大、障害者スポーツの推進~
スポーツ参画人口拡大プロジェクト【拡充】…3億5,980万6,000円(概算要求 円、平成30年度予算3億3,666万5,000円)
スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト【拡充】…1億1,062万5,000円(概算要求1億3,500万円、平成30年度予算9,628万6,000円)
運動・スポーツ習慣化促進事業…1億8,000万円(概算要求同、平成30年度予算同)
子供の運動習慣アップ支援事業…1,082万8,000円(概算要求6,400万円、平成30年度予算615万2,000円)
障害者スポーツ推進プロジェクト…6,242万9,000円(概算要求9,300万円、平成30年度予算4,804万8,000円)
障害者スポーツ用具エコシステム構築推進事業【新規】
概算要求で新規で要求した「障害者スポーツ用具エコシステム構築推進事業」は、上記の「障害者スポーツ推進プロジェクト」に組み込まれて予算化されました。
特別支援学校におけるスポーツ・文化・教育活動支援事業委託(Specialプロジェクト2020)…3,850万6,000円(概算要求5,600万円、平成30年度予算4,800万円)
スポーツSDGs活動推進事業
新規で予算要求していた「スポーツSDGs活動推進事業」は予算化されませんでした。
スポーツ施策の総合的な推進~学校体育・持続可能な運動部活動の推進~
運動部活動改革プラン…7,850万円(概算要求1億600万円、平成30年度予算8,004万8,000円)
「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(平成30年3月)を踏まえた運動部活動に関する実践・調査研究を行い、各学校において持続可能な運動部活動が行われるよう、研究結果を周知・普及させる事業でした。
- 地方公共団体や法人格を有する団体に委託…15地域
武道等指導充実・資質向上支援事業…1億9,552万6,000円(概算要求2億1,300万円、平成30年度予算1億9,052万1,000円)
- 多様な武道等指導の充実【名称変更】
- 支援体制の強化
- 指導制下の検証
まとめ
2019年度(令和元年度)文部科学省予算に盛り込まれた高等学校教育の施策では、高等学校と地域や企業との連携や高校生と海外の高校・大学などとの交流に関する施策が新規で成立しました。
意義のある事業だとは思いますが、「高校生国際会議」等の大きなプロジェクトを任される高校の教師の負担を考えると、産業界の発展や地域の振興のために高校の生徒や教師を利用しているのではないかと疑ってしまうのは私だけでしょうか。
そして、幼児教育については、無償化を進めるとともに、「幼児教育の質の向上」として予算が増額されたことから、2019年度は文部科学省が幼児教育の教育成果を上げる取組を本格的に始めた年度だということが分かります。
次回のこのシリーズの記事ではコロナ禍に影響されずに当初予算を編成することができた最後の年度になった令和2年度概算要求について調べていく中で、学校における働き方改革に関する政策についてお伝えしていきます。
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