- はじめに~1年目に「公立学校共済組合の任意継続」、2年目に「国民健康保険に加入」と、1年ごとに健康保険を切り替えるのが、最もお得
- 私と主人の経歴
- 公的医療保険制度について
- 医療費の一部負担(自己負担)割合について
- 高額療養費制度の概要
- 高齢者医療制度の仕組み
- 公的医療保険制度の体系(令和元年度ベース)
- 公的医療保険制度の財源構成(医療給付費・令和元年度予算ベース)
- 被用者保険者の概要
- 教員の退職後の健康保険(医療保険)①「国民健康保険制度」の概要
- 国民健康保険(国保)のしくみ
- 国保に加入する人
- 国保の加入の手続き
- 国民健康保険料について(令和2年度東京都練馬区の例)
- 国民健康保険料の計算例(東京都練馬区)
- ※国民健康保険料の減額制度があります
- 教員の退職後の健康保険(医療保険)②「公立学校共済組合の任意継続組合員制度」の概要
- 公的年金制度の概要
- 退職した教職員はどの健康保険(医療保険)に入るのか
- 定年後の雇用保険制度について
- 介護保険制度について
- 教員が退職後再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合の健康保険(医療保険)の選び方~おすすめ度ランキング~
- 教員が退職後再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合の健康保険(医療保険)の選び方まとめ(家族の扶養に入らない場合)
- まとめ
はじめに~1年目に「公立学校共済組合の任意継続」、2年目に「国民健康保険に加入」と、1年ごとに健康保険を切り替えるのが、最もお得
まず結論を先に言うと
1年目に「公立学校共済組合の任意継続」、2年目に「国民健康保険に加入」と、1年ごとに健康保険を切り替えるのが、最もお得
です。
今回の記事も、「いつ退職するのがお得か?公立学校教員の退職(定年前早期退職・定年退職等)の種類と手続きの仕方①」、「いつ退職するのがお得か?公立学校教員の退職(定年前早期退職・定年退職等)の種類と手続きの仕方②」~「退教互」の「退職会員」はお得か?~に続き、退職後の教員にとって、お得な情報です。
退職後の健康保険(医療保険)の選び方については、様々なWEBサイトがあります。
それらのサイトや公立学校共済組合の説明の多くで、
退職後、再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合は、国民健康保険に加入するよりも、在職中に加入していた健康保険(医療保険)を任意継続した方が保険料は安くなる。
となっています。
この記事では、この説明が正しいのか、退職者の収入等の条件を任意で設定して計算式に当てはめて検証しました。
そして、私の出した結論は、何と、真逆で、
退職後、再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合は、在職中に加入していた健康保険(医療保険)を任意継続するよりも、国民健康保険に加入した方が保険料は安くなる。
でした。
教職員の皆さんの中には、退職が決まり、「再任用でフルタイムの教職員」を続ける予定の方もみえるでしょう。
その方たちは、そのまま退職前と同様の条件で「公立学校共済組合」に加入することができます。
でも、それ以外の方の中には、退職後、どの健康保険(医療保険)に入ったらいいのか分からなくて困っている方もみえると思います。
※令和4年10月1日より、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の一部の施行に伴い、国・地方公共団体等の事業所に勤務する短時間勤務職員も共済組合制度の組合員となることになりました。
これに伴い、地方公務員は一定の条件を満たせば、短時間勤務であっても共済組合員になることになりました。
詳しくは、お住まいの自治体の公立学校共済組合や地方公務員共済組合のホームページで確認してください。
そういう方たちのために、今回の記事では、教職員の退職後の公的医療保険制度の仕組みについて、私たち夫婦の経験も参考にしながら説明します。
そして、「退職後、再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合は、在職中に加入していた健康保険(医療保険)を任意継続するよりも、国民健康保険に加入した方が保険料は安くなる。」という結論の根拠についても詳しくお伝えします。
そして、何と、退職後の健康保険の任意継続の期限である2年間で考えたとき、
「国民健康保険に2年間加入する」よりも、もっとお得な裏技がある
ことが分かりました。
それは、
1年目に「公立学校共済組合の任意継続」、2年目に「国民健康保険に加入」と、1年ごとに健康保険を切り替えるのが、最もお得、
です。
そのことについて説明します。
さらに、退職後の働き方次第で支払い方が変わる「公的年金」、「雇用保険」、「介護保険」の保険料についても、説明します。
私と主人の経歴
私は、教員を退職後、「公立学校共済組合の任意継続」はせず、主人の再就職先の「全国健康保険協会」(協会けんぽ)の家族(被扶養者)会員になりました。
私は55歳でそれまで33年間勤めた公立小中学校を定年前早期退職し、もうすぐ1年になります。
現在は毎日ブログを書いていて、無職です。
主人は37年間公立小中学校に勤めてきて、最後は校長として定年退職し、現在は短時間勤務の再任用で教育関連施設に勤務しています。
公的医療保険制度について
医療費の一部負担(自己負担)割合について
公的医療保険の医療費の一部負担(自己負担)割合は、現職であろうが、退職後であろうが、どの公的医療保険に入っていようが「同じ」です。
年齢と年収に左右されます。
それぞれの年齢層における一部負担(自己負担)割合は、以下のとおりです。
高額療養費制度の概要
高額療養費制度について
高額療養費制度も、どの公的医療保険に入っていようが、現職だろうが、退職後であろうが「同じ」です。
年齢と年収に左右されます。
高額療養費制度は、
医療機関や薬局の窓口で支払った額(入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度
です。
高額療養費の実際の例
70歳以上で年収約370万円から約770万円、医療費100万円の場合
窓口自己負担額
- 公的医療保険…70万円
- 窓口自己負担…30万円
窓口負担額30万円の中で高額療養費として支給される額
- 自己負担限度額…80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%=87,430円
- 高額療養費として支給される額…30万円ー87,430円=212,570円
同一医療機関における自己負担額が限度額を超えない場合であっても、高額療養費が支給される場合
同一医療機関における一部負担金では限度額を超えない場合であっても、同じ月の複数の医療機関における一部負担金を合算することができます。
この合算額が高額療養費限度額を超えれば、高額医療費の支給対象となります。
ただし、70歳未満の場合は、一部負担金が2万1千円以上である必要があります。
高齢者医療制度の仕組み
制度の概要
後期高齢者医療制度の仕組み
対象者数
75歳以上の高齢者 約1,610万人
後期高齢者医療費
16.0兆円(平成27年度予算ベース)
保険料額(平成26・27年度見込み)
全国平均 約5,670円/月
※基礎年金のみを受給している人は約370円/月
仕組み
後期高齢者医療制度の仕組みについては、下図参照して下さい。
前期高齢者に係る財政調整の仕組み
対象者数
65~74歳の高齢者 約1,630万人
前期高齢者給付費
6.7兆円(平成27年度予算ベース)
財政調整の仕組み
前期高齢者に係る財政調整の仕組みについては、下図を参照にして下さい。
公的医療保険制度の体系(令和元年度ベース)
後期高齢者医療制度
前期高齢者財政調整制度
国民健康保険(都道府県・市町村国保+国保組合)
協会けんぽ(旧政管健保)
健康保険組合
共済組合
法第3条第2項被保険者
船員保険
経過措置(退職者医療)
公的医療保険制度の財源構成(医療給付費・令和元年度予算ベース)
後期高齢者(75歳以上)…16.3兆円
前期高齢者(65歳~74歳)…6.9兆円
国民健康保険…9.3兆円
被用者保険…10.6兆円
被用者保険者の概要
加入者は、適用事業所に使用される者及びその被扶養者等
- 適用事業所…国・地方公共団体、法人事業所、又は土木・建築、医療等の強制適用業種である従業員5人以上の個人事業所
- 使用される者…所定労働時間、所定労働日数が当該事業所で同種の業務に従事する通常の就業者と比べて、概ね3/4以上の者
健保組合が解散すると、当該健保組合の被保険者等は協会けんぽに加入することとなり、協会けんぽは被用者保険のセーフティネットとしての役割を果たしている。
健康保険組合
健康保険法に基づき、健康保険事業を行う公法人(平成30年3月末:1,394組合)
それぞれの組合で保険料水準は異なる。(平成28年度平均:9.1%)
加入者数:2,948万人(平成30年3月末)(被保険者1,649万人、被扶養者1,299万人)
協会けんぽ(全国健康保険協会)
健康保険法に基づき、自らは健康保険組合の設立が困難である中小・零細企業の労働者とその家族が加入できるよう、設立された保険者
都道府県支部ごとに保険料率を設定(平成30年度平均:10.0%)
加入者数:3,893万人(平成30年3月末)(被保険者2,320万人、被扶養者1,573万人)
共済組合
共済各法に基づき、国家公務員や地方公務員、私立学校教職員等を対象として設立された保険者(平成30年末現在:85組合)
それぞれの組合で保険料率は異なる(平成25年度平均:国共済8.2%、地共済9.4%、私学共済7.4%)
加入者数:865万人(平成30年3月末)(被保険者453万人、被扶養者411万人)
教員の退職後の健康保険(医療保険)①「国民健康保険制度」の概要
国民健康保険(国保)のしくみ
国民健康保険(国保)とは、病気やケガをした場合に安心して医療をうけることができるよう、加入者が普段から保険料(税)を納め医療費の負担を支えあう、助け合いの制度です。
国保は、すべての人が何らかの医療保険に加入することとなっている我が国の「国民皆保険制度」の中核として、地域住民の医療の確保と健康の保持増進に大きく貢献しています。
なお、国保は、市区町村や国保組合(保険者といいます)により、加入者(被保険者)が納める保険料(税)によって運営されています。
国保に加入する人
会社の健康保険(健康保険組合・共済組合・船員保険など)に加入している人や、生活保護を受けている人以外は、国保に加入することになります。(以下を参照して下さい。)
- 自営業
- 農業・林業
- パート・アルバイトなどで職場の健康保険(医療保険)に加入していない人
- 退職して職場の健康保険(医療保険)をやめた人
- 3ヶ月を超える在留資格が決定された住所を有する外国籍の人
国保の加入の手続き
退職後14日以内に居住市町村役場の国民保険担当課で手続きをします。
国民健康保険料について(令和2年度東京都練馬区の例)
国民健康保険料については、自治体によって計算方法が大きく異なります。
正確な情報はお住まいの自治体のホームページ等で確認して下さい。
以下は、令和2年度東京都練馬区の例になります。
国民健康保険料計算方法(東京都練馬区令和2年度の例)
国民健康保険料は、国保加入者数、介護保険第2号被保険者(40~64歳)の該当人数、そして所得をもとに世帯単位で計算されます。
国民健康保険料=(1)基礎(医療)分保険料+(2)後期高齢者支援金保険料+(3)介護分保険料
- 39歳までの人の保険料 (1)+(2)
- 40~64歳までの人の保険料 (1)+(2)+(3)
- 65~74歳の人の保険料 (1)+(2) ※65歳以上の人の「介護保険料」は、国保の保険料とは別に支払います。
(1)基礎(医療)分保険料
所得割額※+均等割額※=基礎(医療)分保険料年額(最高限度額63万円)
※所得割額=旧ただし書き所得に比例してかかる金額
※均等割額=国保加入者全員に定額でかかる金額
国民健康保険税の「所得割額」は、前年の総所得額をもと計算します。
令和2年度は、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの総所得等をもとに計算します。
そのため、現在は収入がない場合も所得割額が課税されます。
※「旧ただし書き所得」については、後述
(2)後期高齢者支援金分保険料
所得割額+均等割額=後期高齢者支援金分保険料年額(最高限度額19万円)
(3)介護分保険料
所得割額+均等割額=介護分保険料年額(最高限度額17万円)
※旧ただし書き所得の計算式
「旧ただし書き所得」は、国保加入者ごとに計算します。
「旧ただし書き所得」=総所得金額等※ー住民税基礎控除額(33万円)
※総所得金額等=前年の総所得金額および山林所得金額、株式・長期(短期)譲渡所得金額などの合計です。ただし、退職所得は含まず、雑損失の繰越控除は控除しません。
国民健康保険料の計算例(東京都練馬区)
40歳~64歳の人を含む世帯で給与収入の場合①(夫のみ40歳以上、子ども2人の4人家族)
家族構成と所得の設定
- 夫 40歳代 給与収入450万円…給与所得306万円
- 妻 30歳代 給与収入80万円…給与所得15万円 非課税
- 子ども2人 17歳、13歳
旧ただし書き所得額
- 夫 給与所得 306万円ー住民税基礎控除額33万円=273万円
- 妻 給与所得 15万円ー住民税基礎控除33万円=0円
保険料(基礎(医療)分保険料+支援金分保険料+介護分保険料)
年間保険料合計=528,293円
- 基礎(医療)分所得割額 273万円×7.14%=194,922円
- 基礎(医療)分均等割額 39,900円×4名=159,600円
- 支援金分所得割額 273万円×2.29%=62,517円
- 支援金分均等割額 12,900円×4名=51,600円
- 介護分所得割額 273万円×1.98%=54,054円
- 介護分均等割額 15,600円×1名=15,600円
40歳から64歳の人を含む世帯で給与収入の場合②(夫婦2人とも高収入、子どもなし)※退職後1年目を想定
家族構成と所得の設定
- 夫 61歳 給与収入1,040万円…給与所得820万円
- 妻 56歳 給与収入840万円…給与所得640万円
旧ただし書き所得額
- 夫 給与所得 820万円ー住民税基礎控除額33万円=787万円
- 妻 給与所得 640万円ー住民税基礎控除額33万円=607万円
保険料(基礎(医療)分保険料+支援金分保険料+介護分保険料)
年間保険料合計=630,000+79,800+190,000+25,800+170,000+31,200=112万6,800円
- 基礎(医療)分所得割額 787万円+607万円=1,394万円 1,394万円×7.14%=99万5,316円 最高限度額63万円を超えているので、63万円
- 基礎(医療)分均等割額 39,900円×2名=79,800円
- 支援金分所得割額 787万円×607万円=1,394万円 1,394万円×2.29%=31万9,226円 最高限度額19万円を超えているので、19万円
- 支援金分均等割額 12,900円×2名=25.800円
- 介護分所得割額 787万円+607万円=1,394万円 1,394万円×1.98%=27万6,012円 最高限度額17万円を超えているので、17万円
- 介護分均等割額 15,600円×2名=31,200円
40歳~64歳の人を含む世帯で給与収入の場合③(夫婦2人とも低収入、子どもなし)※退職後2年目を想定
家族構成と所得の設定
- 夫 62歳 給与所得180万円
- 妻 57歳 給与所得130万円
旧ただし書き所得額
- 夫 給与所得 180万円ー住民税基礎控除額33万円=147万円
- 妻 給与所得 130万円ー住民税基礎控除額33万円=97万円
保険料(基礎(医療)分保険料+支援金分保険料+介護分保険料)
年間保険料合計=174,216+79,800+55,876+25,800+48,312+31,200=41万5,204円
- 基礎(医療)分所得割額 147万円+97万円=244万円 244万円×7.14%=174,216円
- 基礎(医療)分均等割額 39,900円×2名=79,800円
- 支援金分所得割額 244万円×2.29%=55,876円
- 支援金分均等割額 12,900円×2名=25,800円
- 介護分所得割額 244万円×1.98%=48,312円
- 介護分均等割額 15,600円×2名=31,200円
40歳~64歳の人を含む世帯で収入なし、年金受給なしの場合(夫婦2人とも無職)※退職後3年目を想定
家族構成と所得の設定
- 夫 63歳 所得0円
- 妻 58歳 所得0円
保険料(基礎(医療)分保険料+支援金分保険料+介護分保険料)
年間保険料合計=79,800円+25,800円+31,200円=13万6,800円
※減額制度(7割減額)(※後述)を利用すると、136,800円×0.3=41,040円
- 基礎(医療)分均等割額 39,900円×2名=79,800円
- 支援金分均等割額 12,900円×2名=25,800円
- 介護分均等割額 15,600円×2名=31,200円
40歳~64歳の人で給与収入の場合①(高収入)※退職後1年目を想定
家族構成と所得の設定
- 55歳 独身 給与所得640万円
旧ただし書き所得額
- 640万円ー住民税基礎控除額33万円=507万円
保険料(基礎(医療)分保険料+支援金分保険料+介護分保険料)
年間保険料合計=361,998+39,900+116,103+12,900+100,386+15,600=64万6,977円
- 基礎(医療)分所得割額 507万円×7.14%=36万1,998円
- 基礎(医療)分均等割額 39,900円×1名=39,990円
- 支援金分所得割額 507万円×2.29%=11万6,103円
- 支援金分均等割額 12,900円×1名=12,900円
- 介護分所得割額 507万円×1.98%=10万386円
- 介護分均等割額 15,600円×1名=15,600円
40歳~64歳の人で給与収入の人の場合②(低収入)※退職後2年目を想定
家族構成と所得の設定
- 55歳 独身 給与所得130万円
旧ただし書き所得額
- 130万円ー住民税基礎控除額33万円=97万円
保険料(基礎(医療)分保険料+支援金分保険料+介護分保険料)
年間保険料合計=69,258+39,900+22,213+12,900+19,206+15,600=17万6,077円
- 基礎(医療)分所得割額 97万円×7.14%=69,258円
- 基礎(医療)分均等割額 39,900円×1名=39,900円
- 支援金分所得割額 97万円×2.29%=22,213円
- 支援金分均等割額 12,900円×1名=12,900円
- 介護分所得割額 97万円×1.98%=19,206円
- 介護分均等割額 15,600円×1名=15,600円
※国民健康保険料の減額制度があります
世帯の所得が一定基準以下の場合、国民健康保険の均等割額が減額になる制度があります。
減額割合は7割・5割・2割のいずれかで、下記の減額基準表に該当する世帯は自動的に減額になります。
この減額の適用は、税の申告内容に基づき判定されます。
世帯主、国保加入者および旧国保加入者(※1)のうち1人でも税の申告をしていない人がいる場合は、減額の対象となりません。
国民健康保険料の減額判定は、該当年度の賦課期日(4月1日)、新規加入世帯の適用開始日(資格取得日)、国民健康保険加入世帯の世帯主変更日に行われます。
減額基準表(令和2年度)
均等割額の減額割合 | 世帯主と国保加入者(※2)全員の平成31年度および令和元年度中の総所得金額(※3)の合計 |
---|---|
7割減額 | 33万円以下 |
5割減額 | 33万円+28.5万円×国保加入者(※2)数 以下 |
2割減額 | 33万円+52万円×国保加入者(※2)数 以下 |
- ※1 旧国保加入者とは、後期高齢者医療制度に加入するために国民健康保険を脱退してからも引き続き国保加入者と同じ世帯にいる人です。
- ※2 国保加入者には旧国保加入者も含みます。国保加入者数には国保に加入していない世帯主は含みません。
- ※3 減額基準表に使用する所得は国民健康保険料の算定に使用する旧ただし書き所得とは異なります。下記の点に注意して下さい。
- 国保に加入していない世帯主の所得も含みます。
- 住民税基礎控除(33万円)は控除しません。
- 65歳以上の人(昭和30年1月1日以前生まれ)で公的年金所得がある場合、公的年金所得から15万円が控除されます
教員の退職後の健康保険(医療保険)②「公立学校共済組合の任意継続組合員制度」の概要
公立学校共済組合の任意継続組合員は最長2年間、退職後20日以内に掛金を入金
退職日の前日までに引き続き1年以上組合員だった人が、任意継続組合員になることを申し出ることにより、退職後2年間、在職中とほぼ同様の短期給付を受け、一部の福祉事業を利用することができる制度です。
任意継続組合員になるためには、退職した日から20日以内に申し出て、掛金を納入することが必要です。
任意継続掛金の算出方法
任意継続組合員の標準報酬月額×掛金率=任意継続掛金(円位未満切捨て)
任意継続組合員の標準報酬月額は以下のうち、いずれか低い額となります。
- 退職時の標準報酬月額
- 公立学校共済組合の全組合員の前年度9月30日における平均標準報酬月額(令和2年度:41万円)
掛金率(令和2年4月現在)
公立学校共済組合の任意継続組合員の掛金の計算例
令和2年度末に55歳で退職したAさん(退職時の標準報酬月額が50万円)の場合
令和2年度の9月30日の公立学校共済組合の全組合員の平均標準報酬月額が、41万円。
Aさんの場合、「退職時の標準報酬月額」の、50万円より、「公立学校共済組合の全組合員の前年度9月30日の平均標準報酬月額」の41万円の方が低いので、Aさんの標準報酬月額は、41万円になります。
Aさんは40歳以上で、介護保険第2号被保険者である組合員ですから、掛金率は、1,000分の99.18。
計算すると、41万円×1,000分の99.18=40,664円
標準報酬月額とは?
厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。
現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれています。
報酬月額は、通勤手当等を含めた報酬に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物支給の額も含めて決定されます。
また、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時改定)。
定時決定の算定月以降に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定。)
任意継続組合員は在職中とほぼ同様の短期給付を受けられる
任意継続組合員となると、在職中の組合員とほぼ同様の短期給付をうけることができます。
ただし、休業手当金、育児休業手当金、介護休業手当金は給付されません。
また、任意継続組合員の資格を取得した後に新たに発生する傷病手当金、出産手当金は、給付されません。
任意継続組合員とその被扶養者は、附加給付制度が適用される
任意継続組合員とその被扶養者は、共済組合の附加給付制度が適用され、1ヶ月1診療機関での窓口負担額が25,000円を超える場合、一部払戻があります。
公的年金制度の概要
公的年金制度の構成は3階建て
公的年金制度は、国民年金(1階部分)と厚生年金保険(2階部分)によって構成されています。
また、公的年金制度を補完するものとして、企業年金等の制度(3階部分)があります。
基礎年金の種類は3種類
被用者年金制度の一元化で「共済年金制度」は「厚生年金制度」に統合された
平成27年9月以前は、被用者年金制度は、会社員が加入する「厚生年金保険制度」と公務員等が加入する「共済年金制度」に大別されていました。
平成27年10月に、年金制度の安定性を高めるとともに公平な仕組みを確保するために、共済年金制度が厚生年金制度に統合されました。
このことを「被用者年金制度の一元化」といい、平成27年10月以降は、公的年金制度は、国民年金と厚生年金保険の2制度となりました。
なお、平成27年9月30日時点で共済年金の受給権が発生している人については、その権利が消滅するまでは、共済年金が支給されます。
国民年金制度とは?
国民年金の被保険者の分類と保険料の納付方法
60歳以下の第1号被保険者は、無職でも年金の保険料を納める必要がある!
対象者
農業等に従事する、学生、フリーター、無職の人など。
保険料の納付方法
納付書による納付や口座振替など、自分で納めます。(納められないときは、免除や納付猶予の仕組みがあります。)
第2号被保険者は、国民年金の保険料を払わなくてよい!
対象者
厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する者であれば、自動的に国民年金にも加入します。(ただし、65歳以上で老齢年金を受ける人を除きます。)
保険料の納付方法
国民健康保険料は厚生年金保険料に含まれますので、厚生年金をかける人は自動的に国民年金にも加入することになります。
厚生・共済各制度が国民年金制度に基礎年金拠出金を交付します。
第3号被保険者は、年金の保険料を支払う必要がない!
対象者
第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人をいいます。
ただし、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は第3号被保険者とはならず、第1号被保険者となります。
保険料の納付方法
国民年金保険料は配偶者が加入する年金制度が一括負担します。
組合員が退職したときの国民年金(基礎年金)の取扱い
退職後は、60歳に達するまで国民年金へ加入することが義務付けられています。
特に、60歳未満の被扶養配偶者は注意して下さい。
再就職しない、または再就職しても厚生年金の被保険者とならない場合(共済組合任意継続組合員に加入または、国民健康保険に加入する場合)
60歳以上の組合員
- 第2号被保険者でなくなる。(基礎年金の被保険者でなくなる。)
60歳未満の組合員
- 第1号被保険者になり、自分で保険料を納める必要がある。
- 居住地の市区町村役場で第2号被保険者から第1号被保険者への変更手続きをする。
60歳未満の被扶養配偶者
- 第1号被保険者になり、被扶養配偶者が自分で保険料を納める必要がある。
- 居住地の市区町村役場で、第3号被保険者から第1号被保険者への変更手続きをする。
被保険者が再就職し、厚生年金保険の被保険者になる場合
組合員
- 再就職先で、第2号被保険者となる。
- 保険者が替わるため、再就職先で手続きを行う。
60歳未満の被扶養配偶者
- 第3号被保険者となる。
- 保険者が替わるため、再就職先で国民年金第3号被保険者の届出の手続きを行う。
- 保険料は自分で納める必要はない。
国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者の保険料はいくら?
国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者(※後述)の1ヶ月当たりの保険料は16,540円です。(令和2年度)。
付加保険料(月400円)を払うと、年金額を増やせる
定額保険料のほかに月額400円の付加保険料を追加して納付することにより、将来の老齢基礎年金の額を増額できる制度があります。
年金請求待機者(60歳から65歳未満)とは?
日本の年金制度は、国籍を問わず日本国内に住所を所有する20歳から60歳未満のすべての人が加入し、国民年金保険料を20歳から60歳になるまでの40年間納める制度です。
年金の受け取り(受給)開始の年齢は原則65歳からのため、60歳から65歳未満の人は、「受給年齢に達していない人(年金請求待機者)」となります。
60歳から65歳までの人は「国民年金の任意加入(高齢任意加入)」で受け取る年金額を増やせる
60歳から65歳の5年間、年金額を満額に近づけたい人や受給資格期間が足りない人が保険料を納めることができる制度です。
国民年金は20歳から60歳になるまでの40年間の加入が義務づけられていますが、未加入や未納の期間があると老齢基礎年金の受給額が減額されます。
また、納付済期間等の合計が10年に満たないと年金は全くもらえません。
このような場合に、本人の申し出により、60歳から65歳未満の間に、保険料を納めることで65歳から受け取れる老齢基礎年金を増やすことができます。
さらに受給額を増やすために「付加年金」の保険料(前述)を納付することもできます。
また、かつてサラリーマン世帯の専業主婦(1986年3月以前の期間)や学生(1991年3月以前の期間)で、国民年金に加入しなかった「カラ期間」のある人も年金額を増やせます。
ただし、満額より増やすことはできません。
厚生年金保険について
被保険者
厚生年金制度は、被用者のための制度で、報酬に比例した年金を支給します。
厚生年金保険の被保険者(加入者)は、勤務の形態により、次の4通りの種別に区分されます。
実施機関
被保険者の種別ごとに実施機関が置かれ、各実施機関において年金記録の管理や厚生年金の決定および支給を行います。
一般厚生年金被保険者(第1号厚生年金被保険者)
対象者
民間会社員
実施機関
日本年金機構
国共済厚生年金被保険者(第2号厚生年金被保険者)
対象者
国家公務員(国家公務員共済組合の組合員)
実施機関
国家公務員共済組合他
地共済厚生年金被保険者(第3号厚生年金被保険者)
対象者
地方公務員(地方公務員共済組合の組合員他)
実施機関
地方公務員共済組合(公立学校共済組合)他
私学共済厚生年金被保険者(第4号厚生年金被保険者)
対象者
私立学校の教職員(私立学校教職員共済の加入者)
実施機関
日本私立学校振興・共済事業団
公立学校共済組合の組合員であった期間と厚生年金
公立学校共済組合の組合員であった期間(平成27年10月前の組合員期間、過去に加入した他の地方公務員共済組合および国家公務員共済組合の期間を含みます。)は、国民年金の「第2号被保険者」および厚生年金の「地共済厚生年金被保険者」であった期間です。
この期間に基づく厚生年金は公立学校共済組合で決定および支給します。
公立学校共済組合から支給する年金
公立学校共済組合から年金受給者に支給する年金給付には、主として「厚生年金保険給付」と「年金払い退職給付」があります。
それぞれに「老齢」「障害」「遺族」の3種類の事由による給付があります。
退職等年金給付(年金払い退職給付)は、地方公務員の退職給付の一部として支給する年金です。
厚生年金保険給付(2階部分)
年金払い退職給付(3階部分)
経過的職域加算額
被用者年金一元化前の共済年金に職域年金相当部分の額が加算されていたことの経過措置として、平成27年9月までの組合員期間に基づく共済年金(経過的職域加算額)を支給します。
※平成27年9月30日以前に受給権が発生した共済年金についても、公立学校共済組合が支給します。
退職した教職員はどの健康保険(医療保険)に入るのか
教職員が退職後再就職する場合(令和元年度/愛知県の場合)の健康保険(医療保険)は?
退職(再任用フルタイムを含む)をすると、公立学校共済組合の資格も喪失になり、退職の翌日からいずれかの健康保険(医療保険)制度に加入することになります。
再任用(教職員または教育関係施設職員として引き続き任用される制度)される場合
フルタイム勤務の場合の健康保険(医療保険)は?
勤務形態
38時間45分勤務
健康保険(医療保険)
公立学校共済組合(組合員番号変更に伴い新たに組合員証等を交付)
教育職員互助会
加入
雇用保険
加入
短時間勤務(20時間以上の勤務/週)の場合の健康保険(医療保険)は?
健康保険(医療保険)
全国健康保険協会(協会けんぽ)
教育職員互助会
退会(退職教職員互助会の退職会員へ移行)
雇用保険
加入
短時間勤務(20時間未満の勤務/週)の場合の健康保険(医療保険)は?
健康保険(医療保険)
再任用先に確認
※公立学校共済組合の任意継続組合員制度又は国民健康保険制度への加入となりますが、勤務形態(非常勤講師等を掛け持ちする等)によっては協会けんぽに加入する場合があります。詳しくは再任用先の所属所で確認して下さい。
教育職員互助会
退会(退職教職員互助会の退職会員へ移行)
雇用保険
非加入
民間会社等に再就職する場合
健康保険(医療保険)制度がある場合
再就職先の健康保険(医療保険)制度に加入
健康保険(医療保険)制度がない場合
下記のいずれかを選んで下さい。
- 公立学校共済組合の任意継続組合員になる。(加入期間は2年間。終了後は国民健康保険等に加入)
- 国民健康保険に加入する。
- 家族が加入する健康保険(医療保険)制度の被扶養者になる(年収130万円(満60歳以上の公的年金受給者等は180万円)未満の人)
教員が退職後再就職しない場合の健康保険(医療保険)は?
下記のいずれかを選んで下さい。
- 公立学校共済組合の任意継続組合員になる。(加入期間は2年間。終了後は国民健康保険等に加入)
- 国民健康保険に加入する。
- 家族が加入する健康保険(医療保険)制度の被扶養者になる。(年収130万円(60歳以上の公的年金受給者等は180万円)未満の人)
定年後の雇用保険制度について
雇用保険制度の概要
雇用保険は政府が管掌する強制保険制度です。
(労働者を雇用する事業は、原則として強制的に適用されます。)
雇用保険は、
- 労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に、生活及び雇用の安定並びに就職の促進のための失業等給付及び育児休業給付を支給
- 失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るための二事業を実施
する、雇用に関する総合的機能を有する制度です。
定年後の雇用保険 加入資格
公務員は、普通は、雇用保険には加入しません。
(ですから、定年退職後や早期退職後、失業手当は基本的に出ません。)
しかし、定年後に再任用職員となった場合や民間企業に再就職した場合には、次の1.2.のとおり、その雇用形態、雇用期間に応じて雇用保険に加入し、保険料を負担することになります。
※以下は国家公務員の例ですので、正確な情報は、各都道府県の共済組合にお尋ね下さい。
- フルタイム勤務で再就職した場合…正規の従業員と週所定労働時間が同じである場合は、雇用期間に関係なく再就職した日から被保険者になります。
- 短時間勤務の場合…短時間勤務の場合には、31日以上引き続いて雇用される見込みがあり、所定労働時間が週20時間以上の場合に被保険者となります。※雇用契約の内容(雇用契約の更新の有無等)により31日以上の継続性があると判断した場合は雇用の当初から、また、雇用期間が30日など雇用契約の内容から31日未満であることが明らかな場合には被保険者にはなりませんが、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から被保険者になります。
定年後の雇用保険料率は?
平成31年4月1日からの雇用保険の保険料率は一般の事業で1,000分の9であり、被保険者の負担率は1,000分の3とされています。
農林水産・清酒製造業は、1,000分の11であり、被保険者の負担率は4、建設業は1,000分の12であり、被保険者の負担率は1,000分の4です。
定年後の雇用保険 受給資格
雇用期間が終了し離職した場合には、原則として離職前の2年間に賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある雇用保険に加入していた月が12月以上あり、失業しているときに、雇用保険の受給資格を満たすこととなります。
そして、求職手続きを行った場合に、賃金日額の45~80%の額の90日分(一般的に再任用期間満了の場合で、再任用期間が10年未満)を求職者給付として基本手当を受給することができます。
なお、倒産・解雇等により離職を余儀なくされた者等には、受給資格要件等を緩和する等の特例が設けられています。
雇用保険受給の際の公的年金の支給停止
雇用保険から基本手当を受けるときは、65歳に達するまでに支給される老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金又は繰上げ支給の老齢厚生年金)の支給が停止されますので注意が必要です。
介護保険制度について
介護保険の被保険者
介護保険の被保険者は、65歳以上の人(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられます。
第1号被保険者は、原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
また、第2号被保険者は、加齢に伴う疾病(特定疾病※)が原因で要介護(要支援)認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
介護保険の第1号被保険者
対象者
受給要件
保険料の徴収方法
介護保険の第2号被保険者
対象
受給要件
保険料の徴収方法
※特定疾病とは
介護保険の保険者と財政
介護保険の保険者とは、市町村と特別区(広域連合を設置している場合は広域連合)になります。
介護保険者は、介護サービスの9割(8割)を給付するとともに、第1号被保険者の保険料を徴収し、介護保険財政を運営しています。
財源は公費5割、保険料5割(現在、第1号保険料22%、第2号保険料28%)とされています。
第2号被保険者の介護保険料
被用者保険(医療保険)に加入している人の第2号保険料
被用者保険(医療保険)に加入する第2号被保険者が負担する介護保険料は、健康保険(医療保険)の保険料と一体的に徴収されます。
なお、介護保険料は医療保険料と同様に、原則、被保険者と事業主で1/2ずつ負担します。
国民健康保険に加入している人の第2号保険料
国民健康保険に加入している人の第2号被保険者が負担する介護保険料については、国民健康保険の保険料と一体的に徴収されます。
第1号被保険者の保険料(令和2年度新潟県長岡市の例)
市町村民税が「非課税」か、「課税」か、同じ世帯に市町村民税が課税の人がいるかどうか、合計所得金額はいくらかによって、65歳以上の第1号被保険者の介護保険料が決まります。
介護保険料の金額は、以下の表を参考にしてください。
教員が退職後再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合の健康保険(医療保険)の選び方~おすすめ度ランキング~
以下の国民健康保険の保険料の計算は、東京都練馬区の例です。
また、保険料の算出に使用した給与額や年齢、家族構成はあくまで一例です。
これらの基礎データが異なると、結果は大きく変わります。
ご了承ください。
教員が退職後再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合の健康保険(医療保険)の選び方まとめ(家族の扶養に入らない場合)
「国民健康保険に加入」と「公立学校共済組合任意継続」と、「公立学校共済組合任意継続→国民健康保険に加入」の2年間の保険料の差
夫婦2人同時退職(60歳と55歳、子どもなし)、退職後無職の場合の2年間の保険料
独身(55歳)、退職後無職の場合の2年間の保険料
2年間分の保険料は「公立学校共済組合任意継続→国民健康保険加入」は公立学校共済組合任意継続よりも大幅に安い!
60歳と55歳の夫婦2人(子どもなし)同時退職で退職後無職の場合も、55歳独身で退職後無職の場合も2年間分の保険料は、「公立学校共済組合の任意継続→国民健康保険加入」が、一番安く、次に「国民健康保険の2年間継続」が安いことが分かりました。
そして、「公立学校の任意継続→国民健康保険加入」と、一番保険料が高い「公立学校共済組合の任意継続2年間」の差は、何と、夫婦2人同時退職の場合は56万8,796円、独身の場合は31万5,923円にもなります。
医療費が毎月多くかかるのが見込まれるのなら、公立学校共済組合の任意継続組合員になるのがおすすめ
もし病気療養中などで、今後毎月25,000円以上の医療費を支払うことが見込まれるのなら、公立学校共済組合の任意継続には、その超えた分を還付してくれる「附加給付」という制度がありますので、公立学校共済組合の任意継続をおすすめします。
もっとお得情報!
公立学校共済組合の任意継続の保険料支払いの前納割引を利用する!(公立学校共済組合愛知支部の場合)
年度分の保険料を一括納入することにより、納入月を含む翌月以降の保険料の額が割引されます。
この場合、保険料の年額は、「月額保険料×前納割引率」になります。
【令和元年度の前納割引率と年額保険料の例:愛知支部】
- 平成31年3月中までに保険料一括納入…11.7485020(4万1,000円×11.7485020≒48万1,689円)※保険料毎月納入(49万2,000円)より、1万311円お得!
- 平成31年4月中に保険料一括納入…11.7869636(4万1,000円×11.7869636≒48万3,266円)※保険料毎月納入(49万2,000円)より、8,734円お得!
まとめ
今回は、教員退職後の健康保険(医療保険)制度は、どこに入ればよいのかについてと、退職後の生活に関連する年金などの制度について説明しました。
その結果、
家族の退職後、再就職しない、または再就職先に健康保険(医療保険)制度がない場合は、
家族が加入する健康保険(医療保険)制度(被用者保険)の被扶養者になる。
と、退職者本人は保険料を支払う必要がないため、何といっても一番のおすすめ方法であることをお伝えしました。
そして、家族が加入する健康保険(医療保険)の被扶養者になることができない場合は、「公立学校共済組合の任意継続」か、「国民健康保険に加入」のどちらかになります。
その場合、「60歳と55歳で退職し、子どもなし、無職の元教員夫婦」と「55歳で退職した独身、無職の元教員」を例にして、それぞれ「公立学校共済組合の任意継続」と「東京都練馬区の国民健康保険」に2年間で支払う保険料の合計金額を比較した結果、どちらの例でも、
「2年間公立学校共済組合の任意継続に加入する」よりも、「2年間国民健康保険に加入する」方が保険料は安くなる。
という、意外な結論が出ました。
そして、もっとお得な裏技は、同じ健康保険を2年間継続するのではなく、
1年目に「公立学校共済組合の任意継続」、2年目に「国民健康保険に加入」と、1年ごとに健康保険を切り替えるのが、最もお得
であることが分かりました。
しかし、お住まいの市区町村ごとに、公立学校共済組合の手続き方法や計算式は大きく違いますし、収入や年齢・家族構成によっても計算結果は異なります。
正確な情報については、各市町村の国民健康保険のホームページや、公立学校共済組合の各支部のホームページなどを参考に、ご自身の条件に合わせて計算して比較されることを強くおすすめします。
そして、このように、老後の生活に密接に関わる公的な制度のことを詳しく知ることで、少しでも無駄な出費を減らしたいですね。
これまで休む暇もなく忙しく働いてきた教員だからこそ、せめて教員退職後、特に定年退職後は、できるだけお金の心配をせず、のんびりと生活したいものです。
次回は、退職金はどの金融機関に預けるのがよいのかについて、「いつ退職するのがお得か?公立学校教員の退職(定年前早期退職・定年退職等)の種類と手続きの仕方④~退職金の運用は信託銀行がお得~」でお話します。
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