- はじめに
- 平成30年度一般会計概算要求・要望額(平成29年9月6日)
- 平成30年度文部科学関係要求の概要
- 平成30年度文部科学省「新しい日本のための優先課題推進枠」要望一覧
- 平成30年度文部科学関係概算要求のポイント(平成29年8月30日)
- 平成30年度文部科学省概算要求(平成29年8月30日)
- 平成30年度概算要求 義務教育費国庫負担金
- 新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築(~平成38年度までの9ヶ年計画)
- 平成30年度概算要求 学校における業務の適正化
- 専門スタッフ・外部人材の拡充
- いじめ・不登校対応等の推進
- 切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実‥30億3,500万円(平成29年度26億6,200万円)
- 切れ目ない支援体制整備充実事業‥19億8,800万円(平成29年度14億5,200万円)
- 発達障害の可能性のある児童生徒に対する支援事業‥2億9,900万円(平成29年度2億8,000万円)
- 特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業‥1億9,000万円(平成29年度4,700万円)
- 学習指導要領等の改訂及び学習・指導方法の改善・充実‥1億2,800万円(平成29年度7,200万円)
- 学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業‥1億円(平成29年度8,500万円)
- 教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等普及促進プロジェクト‥1億5,200万円(平成29年度1億4,400万円)
- キャリア教育・職業教育の充実‥1億4,200万円(平成29年度2億1,300万円)
- 全国的な学力調査の実施…59億4,200万円(平成29年度52憶5,200万円)
- 初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成…225億6,600万円(平成29年度211憶9,300万円)
- 地域とともにある学校づくりの推進…4億8,700万円(平成29年度3億9,000万円)
- 学校を核とした地域力強化プラン…80億5,500万円(平成29年度69憶3,200万円)
- 要求の要旨
- 学校を核とした地域力強化プランの実施
- コミュニティ・スクール推進体制構築事業(前掲)
- 地域・学校協働活動推進事業…74億4,300万円(平成29年度64億3,500万円)
- 家庭教育支援基盤構築事業~家庭教育支援チーム強化促進プラン~(平成29年度名称「地域における家庭教育支援総合推進事業」)…1億1,100万円(平成29年度7,300万円)
- 健全育成のための体験活動推進事業‥9,900万円(平成29年度同)
- 地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥800万円(平成29年同)【再掲】
- 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業…1億1,100万円(平成29年度8,600万円)
- 地域と連携した学校保健推進事業…800万円(平成29年度同)
- 地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業‥廃止(再掲)
- 地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン~親子の学び・育ち応援プラン~…1億3,800万円(平成29年度8,800万円)
- 学校ICT環境整備加速化事業…8億1,700万円【新規】
- 次世代の教育情報化推進事業…1億7,500万円(平成29年度5,200万円)
- 情報モラル教育推進事業…5,300万円(平成29年度1,500万円)
- 教育用コンテンツ奨励事業…1,300万円(平成29年度1,700万円)
- ICTを活用した教育推進自治体応援事業…7,100万円(平成29年度1億7,100万円)
- 次世代学校支援モデル構築事業…1億3,800万円(平成29年度同)
- 情報通信技術を活用した教育振興事業…廃止
- 人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業…廃止
- 学校健康教育の推進…5億9,700万円(平成29年度5億2,700万円)
- 教育課程の充実…33億2,400万円(平成29年度30億2,400万円)
- 要旨
- 内容
- 学習指導指導要領等の改訂及び主体的・対話的で深い学びの推進…5億3,200万円(平成29年度5億8,900万円)
- 新学習指導要領移行措置に対応する算数・数学、理科の補助教材の作成・配布事業…1億5,800万円(新規)
- 次代を見据えた教育課程・指導方法等に関する先導的研究開発…7,300万円(平成29年度同)
- 高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための研究開発事業…1億3,900万円(平成29年度1億3,800万円)
- 理数教育の充実のための総合的な支援等…21億6,400万円(平成29年度19億9,600万円)
- 現代的課題に対応した教育の充実…9,400万円(平成29年度7,400万円)
- カリキュラム・マネジメントの在り方に関する研究…4,000万円(平成29年度同)
- 高等学校における総合的な学習の時間の抜本的改善・充実…1,100万円(平成29年度同)
- 「キャリア・パスポート(仮称)」普及・定着事業【再掲】…400万円(平成29年度同)
- 特別支援学校学習指導要領等の改訂【再掲】…7,900万円(平成29年度4,200万円)
- 幼稚園教育要領の普及・啓発【再掲】…3,000万円(平成29年度5,800万円)
- ※教育課程の充実の観点から「小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業」を実施‥9億6,500万円【再掲】
- 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2019年ラグビーW杯等に向けた準備
- スポーツ施策の総合的な推進~スポーツの成長産業化~
- スポーツ施策の総合的な推進~スポーツ参画人口の拡大、地域社会の活性化、障害者スポーツの推進~
- スポーツ施策の総合的な推進~学校体育・運動部活動の推進~
はじめに
学校の業務の負担につながった新しい文部科学省の事業はまだまだある
前回の記事「学校における働き方改革は可能か㉚~教員勤務実態調査速報値と働き方改革緊急提言と経済財政運営と改革の基本方針2017~」では、10年ぶりに全国的に行われて平成29年4月28日に発表された教員勤務実態調査の集計(速報値)の内容、平成29年8月29日に発表された中央教育審議会の「学校における働き方改革に係る緊急提言」などについて書きました。
この中で「学校における働き方改革に係る緊急提言」が中央教育審議会から発出されなければならないほど教師の担う業務が多いことについて書きました。
また、これほどまでに教師の業務が増えたのは、文部科学省の施策により、学校で実施する新しい事業が増えてきたことも大きな理由であることは、今までの私のこのシリーズの記事で書いてきました。
その中の一部で、今まであまり詳しく書いてこなかった事業がまだまだあります。
例えば、平成25年度から始まった、「中・高校生の社会参画に係る実践力育成のための調査研究~未来の主権者育成プログラム」、「学校における放射線に関する教育の支援」、平成26年度から始まった、「がん教育総合支援事業」、「学校給食における食物アレルギー対策推進事業」、「将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業」などです。
これらによって学校や教師が対応しなければならない業務や指導しなければならない学習内容が、ますます増えてきました。
「学校における働き方改革」を進めるための取組が、平成29年度に文部科学省により様々行われた
そして、平成29年4月28日に「平成28年度教員勤務実態調査 速報値」が発表され、その結果を受けて、6月9日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」に、「教員の長時間勤務状況を早急に是正、年内に緊急対策を取りまとめる」という内容が盛り込まれたことは前回の記事で書きました。
また、「教育委員会による学校の業務削減のための取組状況調査の結果(速報値)及び学校現場における業務改善に係る取組の徹底について(通知)」が、6月22日に出されたことにも触れました。
さらに、8月28日には、「学校における働き方改革に係る緊急提言」が文部科学省から発表されたことも説明済みです。
平成30年度概算要求で、文部科学省は「学校における働き方改革」を本格的に実行に移す
それらを踏まえ、平成30年度概算要求では、「統合型校務支援システムの導入促進事業」や「学校給食費徴収・管理業務の改善・充実事業」のための予算を初めて要求するほか、「スクール・サポート・スタッフの配置」事業を、「補習等のための指導員派遣事業」から独立させて、拡充することになります。
さらに、同じく「補習等のための指導員派遣事業」に含まれていた「部活動指導員配置促進事業」も、単独で予算を要求します。
そして、平成28年度に実施された「教育政策に関する実証研究」の結果、エビデンスを得て、「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し」を策定することになります。
平成32年度に小学校から順次実施される新学習指導要領による学校教育のために、増える事業はやっぱりある
そんな中でも、平成32年度に小学校から順次開始される新学習指導要領の内容の施行に向け、やはり、事業は増え、平成30年度概算要求で新たに「小学校プログラミング教育支援事業」、「キャリアパスポート(仮称)普及・定着事業」を要求することになります。
今回は、このように、本当に予定どおり進んで行くのか不安でいっぱいの「学校における働き方改革」に対する文部科学省の施策について、平成30年度概算要求の内容から、さらに詳しく迫っていきます。
また、「学校における働き方改革は可能か㉘~「『エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立』のために業務が増えます」平成29年度予算1~」でも書いた「政策評価の結果の概算要求への反映状況」が平成30年度概算要求では、どのように行われたのかも、記事の最後に見ていきます。
平成30年度一般会計概算要求・要望額(平成29年9月6日)
平成30年度一般会計要求・要望額が、平成29年度予算額と比較して、1割程度以上増加している所管は、外務省(約1割)、文部科学省(約1割)、農林水産省(約1.5割)、経済産業省(約1.6割)、国土交通省(約1.5割)、環境省(約3割)です。
平成29年度予算と比較して減少している所管は、財務省のみです。
平成30年度文部科学関係要求の概要
平成30年度文部科学関係要求の歳出予算の一般会計は、5兆8,380億円で、対前年度比較増減率は、+9.9%でした。(平成29年度は+9.5%)
平成30年度の文部科学省要求の歳出予算の復興特別会計は、369億円で、対前年度増減率は▲0.8%でした。(平成29年度▲34.3%)
平成30年度の文部科学関係要求の歳出予算のエネルギー対策特別会計は、1,371億円で、対前年度増減率は、+25.2%でした。(平成29年度は、+28.9%)
平成30年度文部科学省「新しい日本のための優先課題推進枠」要望一覧
平成30年度文部科学省「新しい日本のための優先課題推進枠」要望額は、8,390億7,600万円でした。
平成30年度文部科学省「新しい日本のための優先課題推進枠」要望一覧で、「学校における働き方改革」に関連する事業と要望額を以下に書き出します。
「学校における働き方改革」に関連する事業の要望額の合計は、167億3,300万円でした。
平成30年度文部科学関係概算要求のポイント(平成29年8月30日)
平成30年度概算要求文部科学関係概算要求のポイント
平成30年度文部科学関係予算として、5兆8,380億円要求・要望しました。
対前年度増減率は、+9.9%でした。
学ぶ意欲と能力のある全ての子供・若者・社会人が質の高い教育を受け、1人1人がその能力を最大限伸長できる社会の実現、世界で最もイノベーションに適した国への変革、スポーツ立国・文化芸術立国を目指す。
そのため、「人生100年時代」を見据え、「未来への先行投資」である教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化関連施策に取り組み、「人づくり」を強力に推進し、誰もが生きがいをもってその能力を十分に発揮できる「一億総活躍社会」の実現を図る。
平成30年度概算要求文教関係予算のポイント
平成30年度文教関係予算は、4兆4,265億円を要求・要望しました。
対前年度増減率は、+8.1%でした。
我が国が引き続き成長・発展を持続するためには、一人一人の能力や可能性を最大限引き出し、多様な個性を伸ばす「人づくり」が不可欠であり、誰もが生きがいを持ってその能力を存分に発揮できる「一億総活躍社会」の実現に向けた教育再生の取組を強力に推し進めることが必要。
そのため、以下のような「教育再生」を実現するための施策を推進。
社会を生き抜く力の養成
未来への飛躍を実現する人材の養成
学びのセーフティネットの構築
平成30年度概算要求スポーツ関係予算のポイント
平成30年度スポーツ関係予算の要求・要望額は401億円で、対前年度増減率は+20.0%でした。※上記の他、「部活動指導員配置促進事業」(15億円・新規)を要求しました。
全ての人がスポーツを「する」、「みる」、「ささえる」機会を確保するとともに、国民に誇りと喜び、夢と感動を与えるトップアスリートの育成・強化、スポーツを通じた地域や経済の活性化、国際貢献などを推進する。
これらの施策を通じて、国民の成熟した文化としてのスポーツを一層根付かせ、人々がスポーツの力で輝き、前向きで活力ある社会と絆の強い世界を創る。
平成30年度概算要求文化芸術関係予算のポイント
平成30年度文化芸術関係予算は、1,252億円を要求・要望しました。
対前年度増減率は、+20.0%でした。
文化庁が京都へ移転されたのを機に、「文化財活用のためのセンター機能の整備」(12億円)、「国際文化芸術発信拠点形成事業」(26億円)などの新規の事業が増えたことなどから、要求・要望予算額が大幅に増加しました。
文化・芸術基本法の施行及び京都への移転を機に、新・文化庁へ向けて機能を強化し、文化芸術により生み出される社会的・経済的な価値の文化芸術への継承、発展及び創造や、日本ブランド向上に向けた多彩な文化芸術の発信などを通じて、文化芸術立国の実現を目指す。
平成30年度概算要求科学技術関係予算のポイント
平成30年度科学技術関係予算は、1兆1,353億円で、対前年度増減率は、+18%でした。
平成30年度文部科学省概算要求(平成29年8月30日)
平成30年度概算要求 義務教育費国庫負担金
教職員定数の改善‥+3,415人(+73億円)
「教員の働き方改革」関連‥+3,200人
<学校の指導体制の充実>教員の負担軽減による教育の質の向上~持ち時間数の減等負担軽減とそれに伴う授業準備の充実~
- 小学校専科指導に必要な教員の充実‥+2,200人(平成29年度予算+165人、概算要求+330人)
- 中学校における生徒指導体制の強化に必要な教員の充実‥+500人(平成29年度予算+0人、概算要求+0人)
<学校の運営体制の強化>校長、副校長、教頭等の事務関係業務の軽減による学校の運営体制の強化
- 学校総務・財務業務の軽減のための共同学校事務体制の強化(事務職員)‥+400人(平成29年度予算:事務職員+50人、概算要求:「学校指導体制の基盤整備」として+300人)
- 主幹教諭の配置充実による学校マネジメント機能強化‥+100人(平成29年度予算+0人、概算要求:「学校指導体制の基盤整備」として+300人)
複雑化・困難化する教育課題への対応関連‥+715人【再掲含む】
平成29年の義務標準法改正に伴う基礎定数化関連の定数増‥385人(8億円)
教職員定数の自然減‥▲3,000人(▲65億円)
教員給与の見直し‥+3億円(H31.1~)
教職員の若返り等による給与減‥▲79億円
新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築(~平成38年度までの9ヶ年計画)
※厳しい財政状況を勘案し、真に必要性の高い事項に限定することにより、国民に追加的な財政負担を求めないように最大限努める。
教職員定数の改善‥+22,755人
「教員の働き方改革」‥+19,700人
<学校の指導体制の充実>教員の負担軽減による教育の質の向上~持ち時間数の減等負担軽減とそれに伴う授業準備の充実~
- 小学校専科指導に必要な教員の充実‥+6,635人
- 中学校における生徒指導体制の強化に必要な教員の充実‥+4,100人
<学校の運営体制の強化>校長、副校長、教頭等の事務関係業務の削減による学校の運営体制の強化
- 学校総務・財務業務の軽減のための共同学校事務体制強化(事務職員)‥+8,365人
- 主幹教諭の配置充実による学校マネジメント機能強化‥+600人
複雑化・困難化する教育課題への対応‥+7,155人
今後の教職員定数の見通し
「経済・財政再生計画」を踏まえ、少子化の進展、学校の規模適正化の動向、学校の課題に関する客観的データ、実証研究の進展、地方自治体の政策ニーズ等を踏まえた予算の裏付けのある教職員定数の中期見通しを策定
区分 | H30~H38 | うちH30 |
---|---|---|
定数改善(a) | 22,755 | 3,415 |
基礎化関連当然増(b) | 3,476 | 385 |
自然減(c) | ▲32,200 | ▲3,000 |
差し引き増減(a+b+c) | ▲5,969 | 800 |
平成30年度概算要求 学校における業務の適正化
学校現場における業務改善加速事業‥3億900万円(平成29年度2億2,800万円)
教員の長時間勤務を見直すことで、教員自らが意欲と能力を最大限発揮できる環境を整備し、ひいては学校教育の質を向上させるため、国・教育委員会(都道府県・市町村)・学校が有機的に連携し、一体的・総合的に業務改善を推進するため取組を実施する事業でした。
学校給食費徴収・管理業務の改善・充実【後掲】‥4,700万円(新規)
教職員の業務負担軽減等の観点から、学校給食費の徴収・管理業務について、学校から自治体への移管を促進するため、自治体による徴収・管理の課題の解決方法等の調査研究を行い、モデル事業での実践・成果等も踏まえ、学校給食費の徴収・管理業務に関するガイドラインを作成する事業に、新規で予算がつきました。
給食費関連の事業が1つの独立した事業として行われるのは初めてでした。
地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業‥1億1,100万円(平成29年度8,600万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
「スクールガード(学校安全ボランティア)」の活用等により、地域ぐるみで子供の安全を見守る体制を整備する事業です。平成29年度は1,538箇所分が予算措置されました。
「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」が「学校における業務の適正化」のための事業として予算要求されたのは、はじめてのことでした。
【関連施策】教育政策に関する実証研究‥5,700万円(平成29年度予算5,700万円、概算要求1億2,700万円)
文部科学省は、平成29年度「教育政策に関する実証研究」事業(教育政策の効果分析強化プラン、学びを通じた地域振興にかかる重点研究)に、5,700万円の予算を得て「教育政策タスクフォース」の運営を行う政策等を実行しました。
そして、「教員勤務実態調査(平成28年度)」を行い、平成29年4月28日に速報値を発表しました。
また、「教育委員会による学校の業務削減のための取組状況調査」を行い、平成29年6月22日に結果を発表しました。(「学校における働き方改革は可能か㉚」参照)
そして、それらの結果を基に、平成30年度概算要求で、「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通しを策定」として、「~平成38年度までの9ヶ年計画」の「今後の教職員定数の見通し」を提示しました。
それが、文部科学省として、「十分研究を行い、エビデンスを得て、今後必要な教職員定数を導き出した。」という姿勢の表れでした。
しかし、平成28年度「経済・財政再生計画 改革工程表(工程表編/平成27年12月24日/経済財政諮問会議)」の「ⅱエビデンスの提示(教職員定数の中期見通しの提示に向けた教育政策に関する実証研究)」の中で、「2017年度・2018年度(平成29年度・30年度)で、実証研究を計画的に実施。」という計画でした。
そこで、引き続き、「教育政策に関する実証研究」事業(教育改革の総合的推進に関する調査研究、学びを通じた地域振興にかかる重点研究)として、「Society5.0の実施に向けたアンケート調査・分析」、「調査研究の実施」等を行う費用を、平成29年度と同額の5,700万円要求しました
専門スタッフ・外部人材の拡充
多彩な人材の参画による学校の教育力向上‥51億円:11,100人(平成29年度46億円、概算要求54億円)
平成30年度の「多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業~」として、対前年度増減額+5億円の51億円を要求しました。
学力向上を目的とした学校教育活動支援‥8,600人(36億円)/当該分野に知見のある人材(退職教職員や教員志望の大学生など)
H29までメニューの一つとして実施していた中学校部活動支援については、別途、新規事業化されました。
児童生徒の学習サポート
学校生活適応への支援
進路指導・キャリア教育
その他(教員の指導力向上等)
スクール・サポート・スタッフの配置‥3,600人(15億円)【新規】/地域の人材(卒業生の保護者など)
学習プリント等の印刷などを教員に代わって行うサポートスタッフを配置し、教員の負担軽減を図ることで、教員がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備する事業でした。
教員の負担軽減を図るための事業として実施するものであり、各自治体において明確な成果目標を設定し、効果の検証を含めて実施するものに対し、補助を行う計画でした。
H29まで補習等のための指導員等派遣事業のメニューの一つとして実施していた教員業務支援について、教員の働き方改革に向け、個別メニュー化を図り、大幅に拡充しました。
スクールカウンセラーの配置拡充【後掲】
スクールソーシャルワーカーの配置拡充【後掲】
いじめ防止対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究【後掲】
特別支援教育専門家等の配置(切れ目ない支援体制整備充実事業の内数)【後掲】
部活動指導員配置促進事業‥7,100人/15億400万円(新規)
適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化を進めている教育委員会を対象に、部活動指導員の配置に係る経費の一部を補助することで、公立中学校における部活動指導体制の充実を推進し、部活動を担当する教員の支援を行うとともに、部活動の質的な向上を図る事業でした。
スポーツだけでなく、文化、科学等に関する部活動についても対象でした。
これまでは、補習等のための指導員等派遣事業のメニューの一つとして行われていましたが、単独の事業として予算を要求するのは初めてでした。
現状・課題
対応策
期待される効果
教員の働き方改革
部活動の質的な向上
補助金の概要
いじめ・不登校対応等の推進
要旨
いじめ対策・不登校支援総合推進事業‥72億100万円(平成29年度61億1,400万円)
外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等‥67億700万円(平成29年度59億1,000万円)
スクールカウンセラーの配置拡充‥48億600万円(平成29年度45億5,900万円)
スクールソーシャルワーカーの配置拡充…18億4,200万円(平成29年度予算12億5,800万円)
24時間子供SOSダイヤル
幅広い外部専門家を活用していじめ問題等の解決に向けて調整・支援する取組の促進等
いじめ対策・不登校支援等推進事業‥4億6,200万円(平成29年度1億7,900万円)
夜間中学における就学機会の提供推進‥7,900万円(平成29年度2,000万円)
平成28年12月に成立した教育機会確保法及び同法に基づく基本指針を踏まえ、
- 夜間中学の設置の促進
- 既存の夜間中学における教育機会の確保
- 夜間中学における多様な生徒の受け入れ拡大
などを図ることにより、夜間中学における就学の機会の提供を推進する事業です。
切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実‥30億3,500万円(平成29年度26億6,200万円)
切れ目ない支援体制整備充実事業‥19億8,800万円(平成29年度14億5,200万円)
平成28年度の障害者差別解消法の施行、発達障害者支援法の改正等を踏まえ、自治体の切れ目ない支援体制整備に向けた取組に対して経費の一部を補助する事業でした。
特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制整備
特別支援教育専門家等配置
発達障害の可能性のある児童生徒に対する支援事業‥2億9,900万円(平成29年度2億8,000万円)
発達障害に関する通級による指導担当教員等専門性充実事業等
小・中・高等学校等における発達障害を含む障害のある児童生徒等に対する特別支援教育の体制充実のための、通級による指導の担当教員に対する研修体制を構築し、必要な指導方法の調査研究等を行う事業でした。
17箇所分の予算を要求しました。
発達障害の可能性のある児童生徒の多様な特性に応じた合理的配慮研究事業【新規】‥10箇所
特別支援教育に関する教職員等の資質向上事業‥1億9,000万円(平成29年度4,700万円)
特別支援教育を担当する教員の専門性の向上を図るため、特別支援学校教諭免許状等取得に資する取組や特別支援学校教員等に対する専門的な研究を実施する事業でした。
学習指導要領等の改訂及び学習・指導方法の改善・充実‥1億2,800万円(平成29年度7,200万円)
学習指導要領の解説書や教科書等の作成、周知・徹底等を着実に実施するとともに、改訂の方向性を踏まえた特別支援学校における学習・指導方法の改善・充実を図るための実践研究を行う事業でした。
学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業‥1億円(平成29年度8,500万円)
教育委員会が主体となり、学校において、障害のある子供とない子供との交流及び共同学習の機会を設け、各教科やスポーツ、文化・芸術活動等を教育課程に位置付ける等、障害者理解の一層の推進を図るものでした。
平成29年度は26地域でしたが、平成30年度は30地域で行うための予算を要求しました。
教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等普及促進プロジェクト‥1億5,200万円(平成29年度1億4,400万円)
発達障害や視覚障害等のある児童生徒が十分な教育を受けられる環境を整備するため、教科書デジタルデータを活用した音声教材等に関する効率的な製作方法や高等学校等における拡大教科書等の普及促進、教材の活用に関するアセスメント等についての実践的な調査研究等を実施するプロジェクトでした。
キャリア教育・職業教育の充実‥1億4,200万円(平成29年度2億1,300万円)
将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業‥3,700万円(平成29年度3,200万円)
小学校における進路指導の在り方に関する調査研究【新規】
新学習指導要領において小学校段階からのキャリア教育(進路指導を含む)が明確に位置付けられるとともに、中学校の入学者選抜が広がりを見せるなどの状況を踏まえ、小学校での進路指導の在り方等について、4地域で調査研究を実施する事業でした。
「キャリア・パスポート(仮称)」普及・定着事業
児童生徒が自らの学習活動等の学びのプロセスを記述し振り返ることのできるポートフォリオ的な教材「キャリア・パスポート(仮称)」の導入に向け、その活用方法等についての調査研究を2地域で実施する内容でした。
小・中学校等における起業体験推進事業
児童生徒がチャレンジ精神や他者と協働しながら新しい価値を創造する力など、これからの時代に求められる資質・能力の育成を目指した起業体験活動を14地域で実施するための予算を要求しました。
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥800万円(平成29年度同)(学校を核とした地域力強化プランの一部)【生涯学習政策局に計上】
「キャリアプランニングスーパーバイザー」を15人、都道府県等に配置し、地元企業等と連携した職場体験やインターンシップ及び地元への愛着を深めるキャリア教育の推進等を通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する事業でした。
スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール‥1億9,700万円(平成29年度1億7,300万円)
高度な知識・技能を身に付けた専門的職業人を育成するため、専攻科を含めた5年一貫のカリキュラムの研究や大学・研究機関等との連携など先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定して調査研究を実施するとともに、専門高校の魅力発信に関する調査研究を行うための予算でした。
平成29年度の指定校数は26校でしたが、平成30年度概算要求では、新規指定10校を含む29校での実施を要求しました。
全国的な学力調査の実施…59億4,200万円(平成29年度52憶5,200万円)
要旨
内容
平成30年度調査の実施等……43憶2,300万円(平成29年度35憶1,700万円)
対象学年(小6、中3)の全児童生徒を対象に、国語、算数・数学、理科の悉皆調査を実施するとともに、平成31年度の中学校英語調査に向けた予備調査及び専門家による追加分析調査を実施するものでした。
本体調査
予備調査
専門家による追加分析
平成31年度調査の準備…16億1,900万円(平成29年度17億3,500万円)
平成31年度調査として、国語、算数・数学、英語を対象教科とした悉皆調査を実施するための準備を行うものでした。
初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成…225億6,600万円(平成29年度211憶9,300万円)
要旨
内容
我が国の伝統・文化教育の充実に係る調査研究…1,100万円(平成29年度同)
教育基本法や学習指導要領で重視されている伝統や文化等に関する教育の充実を図り、グローバル社会で活躍できる人材の育成に資するため、教材の作成や指導方法の開発等を行う事業でした。(委託先:3地域)
小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業等…9億6,500万円(平成29年度7億5,700万円)
小・中・高等学校を通じた英語教育の強化のため、新学習指導要領の全面実施に向けた新教材の整備、民間機関との連携による指導法等の開発や教員の指導力・専門性向上のための事業を行うものでした。
スーパーグローバルハイスクール…8億6,900万円(平成29年度同)
継続指定校123校の研究開発・実践を支援するとともに、事業の成果や課題を把握するための検証評価を行う。
また、平成28年度指定校(11校)に対する中間評価を実施するほか、産学官が連携しフォーラム(仮称)等を開催する。
在外教育施設教員派遣事業等及び海外子女教育の推進…199憶500万円(平成29年度191憶3,800万円)
帰国・外国人児童生徒等教育の推進…4億900万円(平成29年度2億6,000万円)
高校生の国際交流の促進…4億400万円(平成29年度1億5,200万円)
アジア高校生架け橋プロジェクト(仮称)【新規】
社会総がかりで行う高校生留学促進事業
地域とともにある学校づくりの推進…4億8,700万円(平成29年度3億9,000万円)
コミュニティ・スクール推進体制構築事業(平成29年度名称「コミュニティ・スクール導入等促進事業」)…1億7,800万円(平成29年度1億6,200万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
協働による地域とともにある学校づくりの推進【再掲】…2,800万円(平成29年度3,100万円):「学校現場における業務改善加速事業」(3億900万円)に計上
首長局との協働による新たな学校モデルの構築事業…廃止
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業…廃止
自律的・組織的な学校運営体制の構築【再掲】…2億8,100万円(平成29年度1億9,700万円):「学校現場における業務改善加速事業」(3億900万円)に計上
学校を核とした地域力強化プラン…80億5,500万円(平成29年度69憶3,200万円)
要求の要旨
学校を核とした地域力強化プランの実施
コミュニティ・スクール推進体制構築事業(前掲)
地域・学校協働活動推進事業…74億4,300万円(平成29年度64億3,500万円)
- 学びによるまちづくりと地域人材育成…6,000箇所(平成29年度4,000箇所)
- 放課後子供教室…20,000箇所(平成29年度17,750箇所)
- 地域住民等による学習支援(地域未来塾)…4,700箇所(平成29年度3,700箇所)/貧困対策(中学校におけるノー部活動デーの受皿としても活用)
- 外部人材の活用による教育活動…16,600箇所(平成29年度12,000箇所)/土曜日等の活用(教育課程として位置付けることも可、中学校におけるノー部活動デーの受皿としても活用)、「土曜学習応援団」※とも積極的に連携 ※「土曜学習応援団」=実社会での経験を活かした「出前授業」を行うことが可能な企業・団体。文部科学省の特設サイトにおいてプログラムの検索が可能。
これらを通じて社会全体の教育力の向上及び地域の活性化を図る。
特に、放課後児童クラブと一体型の放課後子供教室の取組を加速化し、平成31年度末までの目標達成を1年前倒しして実現することを目指す。(平成30年度20,000箇所のうち、半数を放課後児童クラブと一体化)
家庭教育支援基盤構築事業~家庭教育支援チーム強化促進プラン~(平成29年度名称「地域における家庭教育支援総合推進事業」)…1億1,100万円(平成29年度7,300万円)
家庭教育支援員等の養成、家庭教育支援チームの組織化及び学習機会の効果的な提供等の様々な取組に加え、家庭教育支援チーム等の組織化を促進することを目的とした取組を新たに推進するものでした。
家庭教育支援員の養成
家庭教育支援員の配置
家庭教育支援チームの組織化
家庭教育支援員などの地域人材を中心としたチームの組織化
学習機会の効果的な提供
就学時検診や保護者会、参観日など、多くの親が集まる機会を活用した学習機会の提供
親子参加型行事の実施
親子の自己肯定感、自立心などの社会を生き抜く力を養成するため、親子での参加型行事やボランティア活動、地域活動等のプログラムを展開
【プログラム例】…親子で清掃ボランティア
相談対応や情報提供
悩みを抱える保護者、仕事で忙しい保護者など、様々な家庭の状況に応じて、家庭教育支援チームによる情報提供や相談体制を実施
家庭教育支援活動の核となる家庭教育支援チーム等の強化を図る取組を拡充
健全育成のための体験活動推進事業‥9,900万円(平成29年度同)
農山漁村等における体験活動において、地域人材や地域資源を活用することにより、異世代間交流や都市農村交流を図り、地域の活性化につなげる事業でした。
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥800万円(平成29年同)【再掲】
「キャリアプランニングスーパーバイザー」を都道府県に配置(15人)し、地元企業等と連携した職場体験やインターンシップ及び地元への愛着を深めるキャリア教育の推進等を通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する事業のための予算を要求しました。
地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業…1億1,100万円(平成29年度8,600万円)
「スクールガード(学校安全ボランティア)」やスクールガード・リーダーの活用等により、地域ぐるみで子供の安全を見守る体制を整備する内容です。
地域と連携した学校保健推進事業…800万円(平成29年度同)
養護教諭の未配置校等に経験豊富な退職養護教諭をスクールヘルスリーダーとして派遣し、学校、家庭、地域の関係機関等の連携による効果的な学校保健活動の展開を図る事業でした。
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業‥廃止(再掲)
地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン~親子の学び・育ち応援プラン~…1億3,800万円(平成29年度8,800万円)
図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業…3,300万円(平成29年度3,700万円)
教育・福祉連携プラットフォームによる一体的な家庭支援モデル構築事業(訪問型家庭教育支援の実施)【平成29年度名称「先駆的家庭教育支援推進事業(訪問型家庭教育支援の実施)」】…4,400万円(平成29年度2,000万円)
学びを通じたステップアップ支援促進事業…5,000万円(平成29年度2,000万円)
趣旨
内容
学習相談
学習支援
普及活動
学校ICT環境整備加速化事業…8億1,700万円【新規】
統合型校務支援システムの導入促進…6億700万円/年
都道府県単位での統合型校務支援システムの協働調達・運用を促進するため、同システムの協働調達に係る初期導入経費や自治体間の調整経費を支援する予算を要求しました。
小規模校における遠隔授業システムの導入支援…2億900万円/年
児童生徒が減少し、集団の中で多様な意見に触れて学習する環境の維持が難しくなっている小規模校において、児童生徒の学びの質の向上を図るため、他校等と連携した遠隔授業システムの導入を支援する内容でした。
次世代の教育情報化推進事業…1億7,500万円(平成29年度5,200万円)
新学習指導要領の趣旨の実現に向けた情報教育及びICT活用の推進に関する調査研究(「情報教育の推進に関する調査研究」の拡充)…5,200万円
新学習指導要領の趣旨の実現に向けて、以下の事項について、推進校における実践研究を通じた優れた事例(GP)の創出と、指導手引書等の作成による全国の学校への普及〔21校(小中高)〕
小学校プログラミング教育支援推進事業…1億800万円【新規】
小学校プログラミング教育の円滑な実施に向けて、以下の事業等を実施
新学習指導要領に対応した高等学校情報科担当教員の指導力向上…1,500万円【新規】
情報モラル教育推進事業…5,300万円(平成29年度1,500万円)
携帯電話・スマートフォンやSNSが子供たちにも急速に普及し、それらの利用に伴う犯罪被害等も生じているなかで、児童生徒に情報モラルを身に付けさせることが一層重要となっていることから、指導資料の改善・充実や児童生徒向け啓発資料の作成・配布等により、新学習指導要領の下での情報モラル教育の充実を図る趣旨の事業でした。
情報モラル教育の推進に係る指導資料の改善…2,800万円【新規】
平成27年度に作成した指導資料(動画教材を含む。)について、新学習指導要領に対応した改訂を行うとともに、児童生徒を取り巻くインターネット環境の変化や、それらの利用に伴うトラブルや犯罪被害等の最新の状況・動向も踏まえて、内容の改善・充実を図る事業内容でした。
児童生徒向け啓発資料の作成・配布【拡充】(現:「スマートフォン対策を含む啓発資料の作成」)…1,800万円
情報モラル教育の推進に係るセミナー・フォーラムの開催(現:「情報モラル教育指導者セミナーの開催」、「情報モラル教育推進フォーラムの開催」)…600万円
教育用コンテンツ奨励事業…1,300万円(平成29年度1,700万円)
ICTを活用した教育推進自治体応援事業…7,100万円(平成29年度1億7,100万円)
次世代学校支援モデル構築事業…1億3,800万円(平成29年度同)
情報通信技術を活用した教育振興事業…廃止
人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業…廃止
学校健康教育の推進…5億9,700万円(平成29年度5億2,700万円)
要旨
児童生徒が生涯にわたって健康で安全に生活できるよう、がん教育をはじめとする学校保健、通学路の安全確保など学校安全、学校を核として家庭を巻き込んだ食育の推進等を図る要旨の事業でした。
内容
学校保健推進事業…1億2,000万円(平成29年度同)
がん教育総合支援事業…3,900万円(平成29年度3,200万円)
学校安全推進事業…2億8,500万円(平成29年度2億6,600万円)
学校安全総合支援事業…2億4,700万円【新規】
昨年までの「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」が廃止され、新たに「学校安全総合支援事業」を立ち上げました。
「各自治体内での国立・私立を含む学校間の連携を促進する取組を支援する」ことや、「キャリアステージに応じて教職員が身に付けておくべき資質・能力を明確化し、効果的な研修方策を開発する」という内容が新たに加わりました。
また、「被災地支援を通した体験型防災教育の推進」は、なくなりました。
学校給食・食育総合推進事業…1億9,200万円(平成30年度1億4,000万円)
つながる食育推進事業…6,100万円(平成29年度3,300万円)
学校給食費徴収・管理業務の改善・充実…4,700万円【新規】
教職員の業務負担削減の観点から、学校給食費の徴収・管理業務を学校から自治体への移管を促進するため、自治体による徴収・管理の課題の解決方法等の調査研究を行い、モデル事業での実践・成果等も踏まえ、学校給食費の徴収・管理業務に関するガイドラインを作成する事業の予算を要求しました。
教育課程の充実…33億2,400万円(平成29年度30億2,400万円)
要旨
これからの時代に求められる資質・能力を育成する観点から、学習指導要領の改訂を踏まえ、「社会に開かれた教育課程」を実現するため、教員の資質・能力向上方策とも連携しながら、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善、高校生の基礎学力定着に向けた取組、理数教育の充実、現代的な課題に対応するための取組などを推進し、初等中等教育の教育課程の充実を図る事業でした。
内容
学習指導指導要領等の改訂及び主体的・対話的で深い学びの推進…5億3,200万円(平成29年度5億8,900万円)
学習指導要領の改訂を踏まえ、「社会に開かれた教育課程」を実現するため、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善やカリキュラム・マネジメントの推進など新学習指導要領の周知・徹底を図る。
新学習指導要領移行措置に対応する算数・数学、理科の補助教材の作成・配布事業…1億5,800万円(新規)
新学習指導要領への移行期間中に、指導内容が追加される算数・数学、理科について、教科書に準拠した補助教材を作成し、児童生徒に配布する。
次代を見据えた教育課程・指導方法等に関する先導的研究開発…7,300万円(平成29年度同)
今後の教育課程の基準の改善等に資する実証的資料を得るため、現行の学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を認める研究開発学校を指定し、新しい教育課程、指導方法についての研究開発を実施する。
高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための研究開発事業…1億3,900万円(平成29年度1億3,800万円)
高等学校現場のPDCAサイクルの構築のため、実践研究校において、基礎学力の定着に向けた学習指導体制の検討や教材開発等とともに、これらの取組に資するよう試行調査を通じて生徒の学習成果や課題を把握する。
また、試行調査の結果も活用しつつテスト手法に関する研究開発を行うなど「高校生のための学びの基礎診断」の運用開始を見据えた取組を行う。
理数教育の充実のための総合的な支援等…21億6,400万円(平成29年度19億9,600万円)
理科教育振興法に基づき、観察・実験に係る理科設備の充実を図るとともに、理科の観察・実験の充実及び指導に注力できる指導体制を整備する。
現代的課題に対応した教育の充実…9,400万円(平成29年度7,400万円)
現代的な課題に対応した資質・能力を子供たちに育むため、環境教育、放射線教育、社会参画等に関する教育の充実に関する取組を実施する。【(参考:復興特別会計)放射線副読本の改訂・配布(2億3,300万円)】
カリキュラム・マネジメントの在り方に関する研究…4,000万円(平成29年度同)
小学校学習指導要領の改訂を踏まえた授業時間数増に伴う授業日数の見直し(長期休業期間や土曜日の活用等)や弾力的な時間割編成の在り方、教育効果を高めるための指導計画・教材等の在り方について実践的な研究を行い、その成果を普及し、各学校・地域の実情に応じたカリキュラム・マネジメントを支援する。
高等学校における総合的な学習の時間の抜本的改善・充実…1,100万円(平成29年度同)
次期学習指導要領における高等学校の「総合的な探求の時間」が各学校において円滑に行われるよう、育成すべき資質・能力を確実に身に付けるために必要な教材の開発などの調査研究を行い、学校における指導の抜本的改善・充実を図る。
「キャリア・パスポート(仮称)」普及・定着事業【再掲】…400万円(平成29年度同)
児童生徒が自らの学習活動等の学びのプロセスを記述し振り返ることのできるポートフォリオ的な教材「キャリア・パスポート(仮称)」の導入に向け、その活用方法等についての調査研究を実施する。
特別支援学校学習指導要領等の改訂【再掲】…7,900万円(平成29年度4,200万円)
学習指導要領の改訂や解説書の作成、周知・徹底等を着実に実施する。
幼稚園教育要領の普及・啓発【再掲】…3,000万円(平成29年度5,800万円)
新幼稚園教育要領について、各幼稚園が適切な教育課程を編成、実施する上での参考資料を作成するとともに、指導上の諸課題等に関して中央および都道府県において研究協議会を行う。
※教育課程の充実の観点から「小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業」を実施‥9億6,500万円【再掲】
小・中・高等学校を通じた英語教育の強化のため、新学習指導要領の全面実施に向けた新教材の整備、民間機関と連携による指導法等の開発や教員の指導力・専門性向上のための事業を行う。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2019年ラグビーW杯等に向けた準備
スポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラム【拡充】…12億3,600万円(平成29年度11億7,100万円)
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催国として、世界の国々との交流・協力関係を築きながら、スポーツの価値をさらに高めようとする国際的な取組に貢献するため、スポーツを通じた国際協力及び交流、国際スポーツ人材育成拠点の構築、国際的なアンチ・ドーピング推進体制の強化支援を柱とする「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムに取り組むとともに、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを日本全国へ波及させるための取組を実施する事業のための予算を要求しました。
スポーツ・アカデミー形成支援事業
オリンピック・パラリンピック・ムーブメントとスポーツ医科学研究の推進を図るため、国際的なスポーツ関係者の招聘、各国の中核的なスポーツ指導者の受け入れ・養成を進めるための国際的な中核拠点を、我が国の体育・スポーツ系大学群と各国の体育・スポーツ系大学間でのネットワークにより構築する。
戦略的二国間スポーツ国際貢献事業
官民連携協力によるスポーツの国際協力コンソーシアムを運営し、学校体育カリキュラムの策定支援などの各国の協力要請に迅速かつ的確に対応することで、途上国のスポーツ環境の整備に協力する。また、パラリンピック未参加国の選手の発掘・育成及び各国パラリンピック委員会に対する運営支援を行う。
国際アンチ・ドーピング強化支援事業
- アンチ・ドーピング活動が遅れている国へのドーピング防止教育・研修パッケージの導入・普及、人材育成支援、それらを支える研究開発、国際会議・シンポジウムの開催等を通じて、世界のスポーツにおけるドーピングの撲滅に貢献する。
- アジアのドーピング防止活動の発展を促進するため、「アジア・ドーピング防止基金」に対し、資金を拠出する。
オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業
オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを全国に波及させ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に資するため、オリンピック・パラリンピック教育を全国に展開する。また、事業実施に当たっては、先行して取組を行っている東京都や、東京2020大会組織委員会が行う教育プログラム(ようい、ドン!)との連携を密に行う。
2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業…5,100万円(平成29年度2,900万円)
事業目的
事業概要
スポーツ施策の総合的な推進~スポーツの成長産業化~
スポーツ産業の成長促進事業【拡充】…3億3,000万円(平成29年度1億3,000万円)
成長戦略に掲げるスポーツの成長産業化を実現するため、地域交流拠点としてのスタジアム・アリーナの実現や地域スポーツ振興の中心的役割を担う指導者の活用促進、スポーツ団体の経営力強化に向けた経営人材育成・活用の促進及びプロスポーツを含めた日本独自のスポーツコンテンツの海外展開の推進等を通じて、スポーツによる地域・経済の活性化を図る事業でした。
大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)創設事業【拡充】…2億5,000万円(平成29年度1億円)
大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)の創設に向けた検討や理念の普及を図るとともに、全学的体制でスポーツに取り組む大学における専門人材の配置や先進的モデル事業を拡充する内容でした。
スポーツ施策の総合的な推進~スポーツ参画人口の拡大、地域社会の活性化、障害者スポーツの推進~
スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト【拡充】…1億2,000万円(平成29年度9,000万円)
スポーツ人口拡大に向けて、ビジネスパーソン向け国民運動(運動・スポーツ習慣づくり)や年齢、性別、運動能力や興味に応じて誰もが生涯を通じて楽しめる新たなスポーツやプログラムの開発・普及に官民で連携して取り組む事業でした。
子供の運動習慣アップ支援事業【拡充】…3,000万円(平成29年度1,000万円)
幼児・児童に対して、運動プログラムを通じて楽しみながら多様な動きを身に付けることができる機会を提供することで、日常的に運動・スポーツを実施する習慣の獲得を支援したり、幼児・児童の保護者に、この年代に多様な運動をすることの重要性を啓発したりする事業内容でした。
スポーツによる地域活性化促進事業【拡充】…2億5,000万円(平成29年度8,000万円)
運動・スポーツ習慣化促進事業【拡充】
地方公共団体におけるスポーツを通じた健康増進に関する施策を持続可能な取組とするため、多くの住民が運動・スポーツに興味・関心を持ち、その活動の習慣化につながる取組を支援する事業の予算を要求しました。
スポーツによるまちづくり・地域活性化促進活動支援等事業【拡充】
地域スポーツコミッション※が行う合宿・キャンプ誘致や通季・通年型のスポーツアクティビティの取組を支援するとともに、スポーツツーリズム等が創出する経済効果・社会的効果や経営的に自立したスポーツ関連組織の取組・経営など今後の地域スポーツを担う組織づくり等のために必要な調査・研究を行う内容でした。
※地域スポーツコミッション=地方公共団体とスポーツ団体、観光産業などの民間企業が一体となり組織を形成、または協働して活動。スポーツツーリズムの推進、イベントの開催、大会や合宿・キャンプの誘致など、スポーツと地域資源を掛け合わせたまちづくり、地域活性化を主な活動の一つとしている。(その他細かい規定は、スポーツ庁ホームページに記載)
Specialプロジェクト2020…7,600万円(平成29年度同)
2020年東京大会のレガシーとして、共生社会を実現するため、2020年に全国の特別支援学校でスポーツ・文化・教育の全国的な祭典を開催するためのモデル事業や、特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり事業等を実施するための予算でした。
障害者スポーツ推進プロジェクト【新規】…6,000万円
各地域における課題に対応した障害者スポーツの振興体制の強化、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備等を図るとともに、障害者スポーツ団体の体制の強化を図り、他団体や民間企業等と連携した活動の充実につなげる事業のための予算を、新規で要求しました。
スポーツ施策の総合的な推進~学校体育・運動部活動の推進~
運動部活動改革プラン…1億2,000万円【新規】
要求要旨
平成29年度に作成する「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を踏まえた運動部活動に関する実践・調査研究を行い、各学校において持続可能な運動部活動が行われるよう、研究結果を周知・普及させるため、新しい事業として予算を要求しました。
要求内容
運動部活動の在り方に関するアドバイザリー会議の開催等
外部有識者による実践・調査研究の実施状況の把握及び実施結果の周知・普及
平成29年度作成のガイドラインを踏まえた運動部活動に関する実践・調査・実証研究
運動部活動のニーズの多様化等に対応するため、以下の課題に関する実践・調査研究を実施
教育委員会に委託:4課題×4地域
民間団体に委託:7団体
武道等指導充実・資質向上支援事業‥1億9,100万円(平成29年度1億9,000万円)
武道等の安全かつ円滑な実施のため、教員の指導力向上を図るとともに、中学校新学習指導要領に記載されている柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の9種目の指導ガイドラインの作成・改善や、指導者データベースの整備などを行う事業です。
平成29年度政策評価の結果の平成30年度文部科学省概算要求への反映
平成29年度に文部科学省が行った政策評価で、「学校における働き方改革」に関係する内容について、調べたことを書きます。
要求府省における政策評価の結果(文部科学省が行った政策評価の結果)
政策評価結果のポイント
児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、不登校児童生徒に特に効果があった学校の措置として、「スクールカウンセラー等が専門的に指導にあたった」と回答した学校が、学校内での指導工夫中、最も多く、また、「不登校指導児童生徒が相談、指導、治療を受けた機関等」としては、スクールカウンセラーが小中学校ともに最も多い状況であり、引き続き、スクールカウンセラー配置拡充が求められている。
政策評価の結果の平成30年度文部科学省予算要求への反映状況
予算要求への反映状況(文部科学省が、平成29年度の政策評価の結果をどのように平成30年度の予算要求額に反映したか)
スクールカウンセラー等の配置拡充は、一億総活躍プランにも掲げられている重要施策でもあり、引き続き取組を推進する必要があることから、所要の経費を要求した。
文部科学省による政策評価「いじめ・不登校支援等総合事業/施策名:豊かな心の育成/平成29年度の事業に係る行政事業レビューシート」の、平成30年度概算要求への反映
文部科学省行政事業レビュー推進チームは、「いじめ・不登校支援等総合事業」に対して、
当該事業は、概ね計画通りに予算執行されたものと考えられるが更なる事業の効率化を目指し、積算を再検証するなど、引き続きコスト削減に努めるべきである。
という所見を発表した。
そして、「所見を踏まえた改善点及び概算要求における反映状況」として、
業については、一部の取組みにおける地域数の精算を見直し、更なる効率化を行い、概算要求に▲3百万円反映した。
と、要求額を縮減したことが書いてあります。
政策評価の結果の反映状況まとめ
「学校における働き方改革は可能か㉘」で、平成28年度の政策評価結果を踏まえ、平成29年度予算の同じ政策名「豊かな心の育成」(うちスクールカウンセラー等派遣事業)、事項「豊かな心の育成に必要な経費」として、「1億2,400万円」を削減したことを述べました。
そして、平成29年度の政策評価の結果においても、「スクールカウンセラー等派遣事業」は、不登校児童生徒に特によい成果があったにも関わらず、「更なる事業の効率化」や「コスト削減」のため、平成30年度概算要求では、さらに、「300万円」を減額する結果となってしまいました。
減額方法は、平成30年度の概算要求の内容から、平成29年度同様、スクールカウンセラーを各小学校に1名ずつ配置するのではなく、各中学校に配置し、個々の課題に応じて弾力的に小学校に派遣する「小中連携型」の配置への移行を一層促進して経費の効率化を図ったことが分かります。
まとめ
平成30年度概算要求では、「学校における業務の適正化」という事項名で、「学校給食費徴収・管理業務の改善・充実」事業や「地域ぐるみの安全体制整備推進事業」の予算が要求されました。
また、それまでは「補習等のための指導員派遣事業」内に混在していた「学力向上を目的とした学校教育活動支援」、「スクール・サポート・スタッフの配置」、「部活動指導員配置促進事業」が、分離され、それぞれ別々に、人数を明示して予算を要求することになりました。
運動部活動については、平成29年度に作成する「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を踏まえた運動部活動に関する実践・調査研究を行うため、「運動部活動改革プラン」事業のための予算を要求しました。
その内容は、「ゆるスポ」、「合同部」、「地域・家庭によるスポーツ活動への移行」、「企業・クラブチーム等との連携」などの課題に関する実践・調査研究を実施するというものでした。
これらは、教員の負担を減らす方向で計画が進んでいました。
反面、「小学校プログラミング教育支援推進事業」で、地域の研修リーダーとなる教員等を対象としたセミナーを開始することを盛り込んだり、新学習指導要領に対応した「がん教育総合支援事業」を引き続き行うことを計画したりしました。
これらにより、新しい教育内容に対応した業務が増えたり、教員の学び直しが必要となったりして、教員の負担が増えることが予想されました。
一方、教職員定数については、平成28年度に実施された「教育政策に関する実証研究」の結果、エビデンスを得て、「予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し」を策定しました。
それは、「新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築(~平成38年度までの9ヶ年計画)」というもので、9年間で22,735人の教職員定数改善を行うものでした。
はたしてこの9ヶ年計画は採用されるのでしょうか。
次回は、”学校における働き方改革は可能か㉜~「これまで学校が担ってきた代表的な業務の在り方に関する考え方」と「政策評価」と「改革工程表2017」~”をお送りします。
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