はじめに
前回の「学校における働き方改革は可能か⑧~平成21年度予算~」では、平成21年度文部科学省予算で、教職調整額については、またも見直しを見送られたことを書きました。
今回はまず、教職調整額の見直しがどうして進まないのかを過去の検討会議で話し合われた内容からお伝えします。
次に、平成21年8月30日の第45回衆議院議員総選挙で、民主党が学校教育に関してどのような「マニフェスト」(政権公約)を掲げたのかについて書きます。
学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等について
教職調整額を時間外手当として支給したり、職務内容により、調整額を見直したりする場合の問題点と必要な措置
教職調整額は、平成21年度予算編成のために初等中等教育部会で行われた「学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議」で、話し合われました。
ヒアリングでは、各教職員組合からも聴き取りがあり、「超勤実態と支給額が合っていない。」「教員の多忙化解消のためには、教員の定数増こそが必要で有効。」等の意見が出されました。
しかしながら、繰り返し話し合いを行っても、結論には至らず、「教員の自発性や創造性に基づく勤務とそれに対する給与上の評価」「管理職が適切に勤務時間管理を行える体制づくり」「部活動指導の取り扱い」「持ち帰り業務の取り扱い」「残業時間の縮減」等が、今後の課題として残りました。
平成22年度に向けては、引き続き「学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会」で、話し合いが行われました。
自民党政権の「経済財政改革の基本方針2009」
世界同時不況下の自民党政権の「平成22年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」
平成20年9月にアメリカで米証券4位のリーマン・ブラザーズが経営破綻したのをきっかけに起こった世界同時不況(いわゆるリーマンショック)の影響で、日本経済も急減速し、平成20年10~12月期、平成21年1~3月期と、2四半期続けて年率換算で前期比2桁減となりました。
そんな中、自民党政権の「財務制度等審議会」が、平成21年6月3日、「平成22年度予算編成の基本的考え方について」を発表しました。
そしてこれを基に、平成21年6月23日に、「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」が閣議決定されました。
さらに、平成21年7月1日「平成22年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」が閣議了解されました。
行政改革の推進と無駄排除の徹底が強調されました。
平成21年9月新政権誕生
3党連立政権合意書
平成21年8月30日の第45回衆議院議員総選挙で、民主党が圧勝し、9月9日には、民主党・社会民主党・国民新党の「3党連立政権合意書」が取り交わされ、3党連立政権内閣として新政権が誕生しました。
そして、3党間で、「連立政権樹立に当たっての政策合意」に至ったことを確認しました。
民主党マニフェスト
民主党マニフェストの中で、教育政策としては、「公立高校の実質無償化(私立高校生にも相当額助)」、「少人数学級の推進」、「地域密着型のスポーツ拠点づくり」などがありました。
まとめ
今回は、まず、教職調整額等の見直しには、学校の組織運営の在り方や教員の業務内容のとらえ方を変える必要があること、そのためにすぐには結論を出すことができないことについて述べました。
次に、平成20年から21年は、世界同時不況があり、平成22年度予算編成もその影響を受けたものとなったことを書きました。
さらに、平成22年度予算編成は、自民党から、民主党等三党連立政権への交代の最中に行われたことで、途中で方針が変更になるという、例年の予算編成とは大きく違う形となったこともお伝えしました。
そして、選挙時に掲げた民主党マニフェストにも触れました。
マニフェストの中には、少人数学級の推進も含まれていました。
次回「学校における働き方改革は可能か⑪~三党連立政権下でのマニフェストに沿った事業仕分け(平成22年度概算要求)~」では、そんな大きな変革の中で、文部科学省の平成22年度概算要求がどんな形で提出されたのかについて、書きます。
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