- はじめに
- 平成28年度予算のポイント
- 平成28年度予算の特徴
- 平成28年度予算 歳出各分野における効率化等
- 平成28年度文部科学関係予算(案)のポイント
- 平成28年度文部科学関係予算(案)の概要
- 平成28年度文部科学省予算
- 平成28年度予算 義務教育費国庫負担金「時代の変化に対応した新しい教育や学校が抱える喫緊の課題等に対応する教職員指導体制の充実」‥+525人(+11億円)
- 平成28年度から平成36年度までの教職員定数改善予定数
- 多彩な人材の参画による学校の教育力向上
- チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進
- いじめ・不登校対策等の推進
- 特別支援教育の充実
- キャリア教育・職業教育の充実
- 全国的な学力調査の実施
- 初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成
- 新しい時代にふさわしい教育制度の柔軟化の推進
- 地域とともにある学校づくりの推進
- 学校を核とした地域力強化プラン
- 情報通信技術を活用した教育振興事業
- ICTを活用した教育推進自治体応援事業
- 人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業
- 学校健康教育の推進
- スポーツ庁設置によるスポーツ施策の総合的な推進(概算要求時名称:スポーツ参画促進プロジェクト)
- スポーツ関連産業振興策の推進
- 子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の推進(概算要求時の名称は、「子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の充実」)
- まとめ
はじめに
いつも私の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
前々回の記事「学校における働き方改革は可能か㉓~平成28年度概算要求~働き方関連事業の増えすぎで逆に学校の仕事が増える?」では、平成28年度文部科学省概算要求で、教職員定数改善は、加配定数の増として3,040人を要求するにとどまったことを書きました。
そして、スポーツ庁の設立や2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けての準備の本格開始などにより、スポーツ関連の事業が増え、要求予算が大幅に増えたことについても触れました。
また、前回の記事で書いたとおり、平成28年度予算編成の時期は、安倍政権が「一億総活躍社会」というテーマの下、「生産性革命」や「働き方改革」の重要性を前面に押し出した時期でした。
さらに、「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して~」も発表されました。
そんな中、「学校における働き方改革」の有効な手立てとして考えられた「チーム学校」や「地域との連携」の考え方の下、学校と地域等との連携による事業が増えてきました。
そして、新学習指導要領に対応すべく、小学校における英語教育、キャリア教育、情報教育等に関する事業も増えました。
今回、そのような様々な種類の事業の増加の中にあり、逆に学校の仕事が増える中、平成28年度予算がどのように成立していったかについて書いていきたいと思います。
平成28年度予算のポイント
経済再生と財政健全化の両立する予算
一億総活躍社会の実現に向けて、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に直結する、子育て支援や介護サービス等の充実を図るほか、教育費の負担軽減等を進める。また、地方創生の本格展開を図る。
持続可能な社会保障制度の確立に向けて、社会保障関係費の伸びを「経済・財政再生計画」の「目安」にそって抑制(+4,400億円)。診療報酬の適正化、改革工程表の策定などの改革を推進。
事前防災・減災対策の充実や老朽化対策など国土強靱化を推進。また、「攻めの農林水産業」に向けた施策を推進。
伊勢志摩サミットの議長国として、充実した外交予算により、「地球儀を俯瞰する外交」を推進。また、防衛予算を充実し、防衛力を着実に整備。
教育の質向上に向けた取組みや科学技術の基盤強化を推進。
復興ステージに応じた課題に対応し、復興を加速化。
財政健全化
一般歳出の伸びを「経済・財政再生計画」の「目安」に沿って抑制(+4,700億円)
国債発行額(34.4兆円)は前年度から▲2.4兆円の減額。公債依存費は35.6%とリーマン・ショック以前(平成20年度当初予算以来)の水準まで回復。
平成28年度予算フレーム
歳入の前年度からの増減額
歳出の前年度からの増減額
経済指標
平成28年度名目GDP成長率の見通しは、3.1%となっており、平成27年度の2.7%を上回る景気回復が見込まれました。
主要経費別内訳
「平成28年度主要経費別内訳」で、対平成27年度増減率を見ると、社会保障関係費が+1.4%、文教及び科学振興費が▲0.0%、地方交付税交付金等が▲1.6%、防衛関係費が+1.5%、公共事業関係費が+0.0%、経済協力費が、+1.9%、中小企業対策費が▲1.7%、エネルギー対策費が+3.6%(温対税増税を踏まえた省エネ・再エネ等予算の増+585億円)等となっています。
平成28年度予算の特徴
平成28年度予算の特徴①
外交・防衛
教育・科学技術
教育
科学技術
地方財政
平成28年度予算の特徴②(「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」関連予算)
平成28年度予算 歳出各分野における効率化等
歳出各分野における効率化等①(「経済・財政再生計画」の実現に向けた改革工程表の概要)
地方財政
教育
歳出各分野における効率化等③(教育、地方行政、行政事業レビュー)
教育
地方財政
平成28年度の社会保障の充実・安定化について
消費税率引上げによる増収分は、全て社会保障費の充実・安定化に向ける。
社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から、平成28年度の増収額8,2兆円については、
- まず、基礎年金国庫負担金の2分の1に3.1兆円を向け、
- 残額を満年度時の
- 「社会保障の充実」及び「消費税率の引上げに伴う社会保障4経費の増」と
- 「後代への負担のつけ回しの軽減」
の比率(概ね1:2)で按分した額をそれぞれに向ける。
平成28年度文部科学関係予算(案)のポイント
文部科学関係予算(案)のポイント
平成28年度文部科学関係概算要求額は、5兆8,552億円でしたが、予算額は、5兆3,216億円で、対前年度増減率は、△0.2%でした。
文教関係予算のポイント
平成28年度文教関係概算要求額は、4兆3,704億円でしたが、予算額は、4兆557億円で、対前年度増減率は、△0.2%でした。
スポーツ関係予算のポイント
平成28年度スポーツ関係概算要求額は、367億円でしたが、予算額は、324億円で、対前年度比+34億円でした。
文化芸術関係予算のポイント
「文化芸術立国」の実現に向けて、文化プログラムを推進するため地域の魅力ある文化芸術活動への支援を行うとともに、「日本遺産」などの文化遺産を活用した地域の活性化方策の重点支援など、文化により輝く地域と日本を目指す。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催とともに海外からの観光客のさらなる増加が見込まれることから、「観光立国」を目指した政策が進められるとともに、観光客向けの文化芸術や文化財の普及啓発事業が策定されたのだと思われます。
平成28年度文化芸術関係概算要求額は、1,192億円でしたが、予算額は、対前年度増減率+0.2%の、1,040億円となりました。
科学技術予算のポイント
平成28年度科学技術関係概算要求額は、1兆1,445億円でしたが、措置された予算額は9,620億円で、対前年度増減率は△0.6%でした。
平成28年度文部科学関係予算(案)の概要
平成28年度文部科学関係予算(案)歳出予算では、一般会計が、対前年度比較増減率0.2%減で5兆3,216億円、復興特別会計が対前年度比較増減率71.8%減の620億円、エネルギー対策特別会計(※)が対前年度比較増減率0.4%減の1,095億円でした。
平成28年度文部科学省予算
平成28年度予算 義務教育費国庫負担金「時代の変化に対応した新しい教育や学校が抱える喫緊の課題等に対応する教職員指導体制の充実」‥+525人(+11億円)
平成28年度義務教育費国庫負担金の教職員定数の改善数は、加配定数の増で、+525人でした。少子化等に伴う定数減が▲4,000人なので、合計すると、教職員定数は▲3,475人でした。
創造性を育む学校教育の推進‥190人(概算要求1,440人、平成27年度100人)
学校現場が抱える課題への対応‥235人(概算要求940人、平成27年度200人)
チーム学校の推進による学校の組織的な教育力の充実‥100人(概算要求660人、平成27年度230人)
少子化等に伴う定数減‥▲4,000人(▲85億円)
教職員の若返りによる給与減等‥▲170億円
人事院勧告に伴う給与改定‥+231億円
平成28年度から平成36年度までの教職員定数改善予定数
長期的な教職員定数改善計画や教職員定数改善予定数については、策定されませんでした。
多彩な人材の参画による学校の教育力向上
補習等のための指導員派遣事業
補習等のための指導員派遣事業に対しての概算要求額は、12,000人分でしたが、予算措置されたのは、11,500人分でした。平成27年度が10,000人分でしたので、1,150人分の増でした。
チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進
チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進の、「学校サポートチームの構築推進事業」や「業務改善アドバイザーの派遣」などに、1億2,500万円を要求したのに対し、9,900万円の予算が措置されました。
平成27年度は9,000万円の予算でした。
前年度比900万円の増でした。
いじめ・不登校対策等の推進
外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等
学校等支援
スクールカウンセラーの配置拡充
スクールソーシャルワーカーの配置拡充
24時間子供SOSダイヤル
いじめ等を含む子供のSOSを無料で受け止めるため、フリーダイヤル化して電話相談を行うための予算が措置されました。
自治体支援
幅広い外部専門家を活用していじめ問題の解決に向けて調整、支援する取組の促進等
すべて概算要求どおりに予算措置されました。
特別支援教育の充実
インクルーシブ教育システムの推進‥10億9,500万円(概算要求15億2,900万円:新規)
インクルーシブ教育システム推進事業費補助(新規)
インクルーシブ教育システム推進センターの設置(新規)
キャリア教育・職業教育の充実
将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業‥3,100万円(概算要求4,100万円、平成27年度4,000万円)
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥1,200万円(概算要求同、平成27年度同)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
「キャリアプランニングスーパーバイザー」を配置し、地域を担う人材育成・就労支援を促進することにより、地域の活性化につなげることを計画しました。‥7ブロック×3人(概算要求21人、平成27年度21人)
全国的な学力調査の実施
平成27年度は、理科の学力調査も行われたので予算額は58億8700万円でした。
平成28年度の「全国的な学力調査の実施」事業に対して措置された予算額は、平成28年度概算要求が57億4,200万円だったのに対し、52億5,900万円でした。
初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成
小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業
平成28年度の「小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業」に対する概算要求額は、12億9,300万円でしたが、予算措置された金額は、12億2,100万円でした。
平成27年度予算額は、7億1,000万円でしたので、大幅増でした。
新しい時代にふさわしい教育制度の柔軟化の推進
要旨
子供や社会の状況は大きく変化し、現行の学校教育制度が導入された当時と比べて児童生徒の発達の早期化が見られるほか、自己肯定感の低さ、小1プロブレムや中1ギャップなどの課題が指摘されている。
このような課題に早急に対応するため、フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業や中学校夜間学級の設置促進を平成27年度補正予算案に前倒しして実施するほか、引き続き小中一貫教育導入の推進を図るなど、実情に応じたきめ細やかな教育の充実を行う。
内容
小中一貫教育推進事業‥4,800万円(概算要求2億8,000万円、平成27年度3,900万円)
都道府県教育委員会の積極的な指導助言のもと、市町村教育委員会等の学校設置者が域内全域での小中一貫教育の導入に向けた先導的な取組を創出。
義務教育未修了者等の就学機会確保推進事業‥概算要求9,300万円、平成27年度1,000万円→「中学校夜間学級の設置促進事業」(委託費)/平成27年度補正予算で措置(2,000万円)
夜間中学の設置促進のため、既設置の夜間中学における課題や対応策に関する情報を整理・集約するとともに、未設置道県におけるニーズ調査や夜間中学整備に関する研究を実施。
フリースクール等で学ぶ子供への支援の在り方等に関する実証研究事業‥概算要求4億9,200万円、新規→「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」(委託費)/平成27年度補正予算で措置(6,400万円)
フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒の状況に応じた総合的な教育支援体制を構築するモデル事業(12都道府県)を通じて、不登校児童生徒が自信を持って学べる教育環境を整備。
地域とともにある学校づくりの推進
コミュニティ・スクール導入等促進事業(※「学校を核とした地域力向上事業」の一部)‥1億6,000万円(概算要求1億6,600万円、平成27年度1億5,700万円)
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業は、平成27年度予算額が1,300万円だったのに対し、平成28年度は、1,100万円を要求し、要求どおり予算措置されました。12市区町村での事業を支援するための予算でした。
首長部局等との協働による新たな学校モデルの構築事業※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部‥2,600万円(概算要求額同、平成27年度2,900万円)
学校を核とした地域力強化プラン
学校を核とした地域力強化プラン
「学校を核とした地域力強化プラン」への、概算要求額が91億3,700万円で、措置された予算額は、68億3,200万円、平成27年度予算額は66億8,400万円でした。
地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業
平成27年度予算額が12億6,100万円だったのに対して、平成28年度概算要求では15億6,000万円を要求し、成立した予算額は12,000校区で12億2,100万円でした。
地域人材の活用や学校等との連携による訪問型家庭教育支援事業(概算要求時の名称は「地域人材の活用や学校・福祉との連携によるアウトリーチ型教育支援事業」)
「地域人材の活用や学校等との連携による訪問型家庭教育支援事業」(新規)には、要求額が1億100万円だったのに対し、2,800万円の予算しか付きませんでした。
支援体制の構築のための予算は、都道府県で7ブロックを要求していたのに対して5箇所の措置がされました。
各地域における訪問型家庭教育支援は、市町村で6箇所の予算を要求していましたが、措置されたのは、2箇所分でした。
学校・家庭・地域の連携協力推進事業
「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」の平成28年度予算額は52億4,600万円でした。概算要求額は70億2,700万円、平成27年度予算額は50億7,900万円でした。
地域コーディネーターの配置(地域学校協働本部)‥15,000人
統括コーディネーターの配置‥250市町村
学校支援活動(学校支援地域本部)
学校支援活動(学校支援地域本部)は、平成27年度は5,000箇所でしたが、平成28年度は4,000箇所の予算を要求していました。
しかし、予算措置は平成27年度より2,000箇所少ない3,000箇所分でした。
学習支援が必要な中学生・高校生を対象とした学習支援~地域住民の協力を得た地域未来塾の充実~
「学習支援が必要な中学生・高校生を対象とした学習支援~地域住民の協力を得た地域未来塾の充実~」事業に対して平成28年度概算要求では、3,500中学校区と高校生の支援を要求しました。
そして、3,100箇所分が予算措置されました。
平成27年度は2,000中学校区分でした。
放課後子供教室~放課後子ども総合プランの推進~
平成28年度の「放課後子ども教室~放課後子ども総合プランの推進~」事業に対する予算は、15,500箇所分が要求され、要求分が措置されました。
平成27年度が14,000箇所分でしたので、1,500箇所増えました。
家庭教育支援
平成28年度は、家庭教育支援員の配置を1,000箇所分要求し、そのとおり予算措置されました。
平成27年度も1,000箇所でした。
スクールガードリーダーによる学校安全体制の整備等
平成28年度「スクールガードリーダーよる学校安全体制の整備等」の事業は、1,800箇所の予算を要求し、予算どおり承認されました。
平成27年度も1,800箇所の予算でした。
情報通信技術を活用した教育振興事業
「情報通信技術を活用した教育振興事業」に平成28年度は1億7,300万円を要求し、8,800万円の予算が付きました。
平成27年度の予算は1億700万円でしたので、1,900万円の減額となりました。
ICTを活用した教育推進自治体応援事業
「ICTを活用した教育推進自治体応援事業」に2億9,400万円を要求しましたが、予算措置されたのは、2億6,100万円でした。
平成27年度は2億4,500万円でしたので、1,600万円の増でした。
ICTを活用した学びの推進プロジェクト
指導力パワーアップコース
「指導力パワーアップコース」の地域数の記述はありませんでした。
平成27年度は8地域、平成28年度概算要求も8地域でした。
ICT活用実践コース
「ICT活用実践コース」の地域数の記述はありませんでした。
平成27年度は30地域、平成28年度概算要求は25地域でした。
ICT支援員の育成・確保
「ICT支援員の育成・確保」の人数に関する記述はありませんでした。
ICT活用教育アドバイザー派遣事業
「ICT 活用教育アドバイザー派遣事業」の地域数の記述はありませんでした。
平成27年度は30地域、平成28年度概算要求では60地域でした。
校内研修リーダー養成プロジェクト
校内研修リーダー養成プロジェクト事業は成立しませんでした。
調査研究
人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業
「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業」には、平成28年度概算要求では、1億4,200万円を要求し、1億3,600万円の予算措置がされました。
平成27年度予算額は1億4,200万円でしたので、600万円の減でした。
学校健康教育の推進
防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業
「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」には、平成28年度は2億2,500万円を要求し、要求額が満額措置されました。
平成27年度は2億100万円でしたので、2,400万円の増になりました。
スポーツ庁設置によるスポーツ施策の総合的な推進(概算要求時名称:スポーツ参画促進プロジェクト)
スポーツ医・科学等を活用した健康増進プロジェクト
「スポーツ医・科学等を活用した健康増進プロジェクト」は、新規の事業で、平成28年度予算は1,800万円で成立しました。
概算要求では8,800万円を要求していました。
概算要求より7,000万円の大幅減で成立しました。
スポーツによる地域活性化推進事業(拡充)
「スポーツによる地域活性化推進事業」の平成28年度予算は3億7,400万円でした。
概算要求額が5億3,500万円、平成27年度予算が3億600万円でしたので、6,800万円の増でした。
スポーツを通じた健康長寿社会等の創生
「スポーツを通じた健康長寿社会等の創生」の平成28年度予算は、3億3,200万円でした。
平成27年度予算が2億6,300万円、平成28年度概算要求額は示されていませんでした。
平成27年度より6,900万円減でした。
地域スポーツコミッションへの活動支援
「地域スポーツコミッションへの活動支援」の平成28年度予算は、4,200万円でした。
平成27年度も同額でした。
平成28年度概算要求額は示されていませんでした。
地域スポーツの新たなプラットフォーム形成支援事業
新規で予算を要求していた「地域スポーツの新たなプラットフォーム形成支援事業」は予算化されませんでした。
地域スポーツファンド形成促進事業
新規で予算を要求していた「地域スポーツファンド形成促進事業」は予算化されませんでした。
特別支援学校等を活用した障害児・者のスポーツ活動実践事業
「特別支援学校等を活用した障害児・者のスポーツ活動実践事業」は、新規で5,100万円を要求しましたが、予算化されたのは、1,800万円のみでした。
スポーツ人材育成事業
新規で5,800万円の予算を要求していた「スポーツ人材育成事業」は、成立しませんでした。
スポーツ環境整備事業(拡充)
「スポーツ環境整備事業」へは、10億円の予算措置がされました。
概算要求額も10億円で、 平成27年度予算は3,500万円でした。
学校・地域スポーツ人材派遣支援事業
「学校・地域スポーツ人材派遣支援事業」に新規で1億4,000万円要求しましたが、予算は措置されませんでした。
スポーツ関連産業振興策の推進
スポーツ新事業開拓に関する調査研究事業(新規)
「スポーツ新事業開拓に関する調査研究事業」は、概算要求にはなかった新規の事業です。
予算措置されたのは3,400万円でした。
背景
国内のスポーツ関連GDPは減少傾向であり、日本における新たなスポーツ産業の振興施策を打ち出すためには、国内外のスポーツ市場やスポーツ産業の現状把握を行い、スポーツに関連する新事業を開拓するための調査研究が必要である。
目的
事業概要
成果
産業界等との連携に向けた検討会議(新規)
自立的スポーツ活動の活性化に向けて、幅広い関係者から構成される有識者会議を設置・運営し、スポーツを支える人的・組織的な環境整備、スポーツと他分野の連携、スポーツ関連ビジネスの拡大を図るための検討会議を実施する事業でした。
概算要求時にはなかった事業で、新規で200万円の予算措置がされました。
子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の推進(概算要求時の名称は、「子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の充実」)
体育活動における課題対策推進事業(拡充)
「体育活動における課題対策推進事業」には、概算要求では3億3,100万円を要求しましたが、予算額は7,200万円のみでした。
それでも、平成27年度予算額は5,600万円でしたので、1,600万円の増でした。
運動部活動指導の工夫・改善支援事業
「運動部活動指導の工夫・改善支援事業」には、3億1,200万円を要求していました。
平成27年度予算は3億200万円でした。
平成28年度は、2億5,000万円の予算額でした。
武道等の円滑な実施の支援
武道等指導充実・資質向上支援事業
概算要求では、「武道等指導充実・資質向上支援事業」に2億1,800万円を要求し、成立した予算額は1億9,500万円でした。
平成27年度の予算額は同じく1億9,500万円でした。
中学校・高等学校スポーツ活動振興事業
平成27年度予算は、6,500万円で、平成28年度は6,600万円の予算額でした。
内訳は、全国中学校体育大会が、1,800万円、全国高等学校総合体育大会が、4,800万円でした。
まとめ
平成28年度の予算で、義務教育国庫負担金の教職員定数については、小学校の専科教育、貧困対策、特別支援教育など必要な教職員の加配定数を525人拡充する一方、少子化等により、教職員定数が4,000人削減されました。
平成27年7月27日に、「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して~」が発表された直後の予算折衝でした。
そして、「学校における働き方改革」の切り札として、「チーム学校」や「地域との連携」が考え出されました。
しかし、その割に教職員の定数の増加は525人とわずかです。
それも、法改正による基礎定数の増加ではなく、加配定数の増加で行われたものです。
少人数学級の施策はもちろん進みませんでした。
それだけでなく、少人数指導によるアクティブ・ラーニングの施策に対しても、たった50人教員加配数が増えただけでした。
その上、新学習指導要領への移行で新たに始まる英語教育やICT活用教育、キャリア教育などに関する事業が増えました。
また、地域との連携に関する事業が、学校を支援する目的でたくさん行われるようになりました。
それ自体はいいことですが、その事業に関する事務手続きや、関係機関との連絡等で、逆に教頭や事務職員などの仕事が増えるものもあります。
多くの人材が学校に関わるようになるのであれば、やはりその対応にあたる立場の人を新たに雇うことが必要だと思います。
そんな中、「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」が行われたのは、よいことだと思います。
フリースクールは、不登校児童生徒の居場所になったり、学習をサポートしてくれたりするところです。
それゆえ、不登校児童生徒はもちろん、公立の義務教育諸学校にとってもありがたいものだからです。
はたして、平成29年度以降、文部科学省の研究が身を結んでフリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援体制が整い、フリースクール等の設置数や、そこで学ぶ児童生徒数がどんどん増えることになるのでしょうか。
次回は、平成29年度予算の方向性を決めた平成28年6月2日閣議決定「骨太2016(経済財政運営と改革の基本方針2016)」について調べたことを、”学校における働き方改革は可能か㉖~「骨太の方針」の存在が、学校教育に予算をかけない国を作り出す?!「経済財政運営と改革の基本方針2016」~”の記事で書いていきます。
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