コロナ禍で少人数学級への移行は可能か~文部科学省はずっと提案し続けている!②~小1の35人学級実現と、小2の35人学級のための教員の加配措置の実現まで~

先生と大勢の子ども 少人数学級
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はじめに

前回の記事「コロナ禍で少人数学級への移行は可能か~文部科学省はずっと提案し続けている!①~教育関係者・文科省・政府の現在の意向~」で書いたとおり、コロナ禍で、少人数学級の必要性が高まっている。

しかし、文部科学省は、長年にわたって、少人数学級の必要性を政府に訴えてきたのにも関わらず遅々として進まない実態がある。

果たして、今回は、本当に、少人数学級への移行の動きは加速するのか。

私の記事で検証してみたい。

前回の記事で、少人数学級の推進に対して、教育関係者、文科省、政府の意向が、2020年7月現在どうなっているのかについて、説明した。

今回の記事では、小学校1年生に35人学級が導入されるまでの経緯と、その後の小2の35人学級のための、教員の加配措置に至る経緯について説明したい。

結論を先に言うと、

  • 平成3年に全ての学年で教員の基礎定数配置による40人学級が実現された。
  • そこから、更に、20年かかって、平成23年にようやく小学校1年生で、教員の基礎定数配置による35人学級が実現した。
  • そして、更にその後、調査を重ね、平成24年に、小学校2年生で、教員の基礎定数改善によらない、加配定数措置という形での35人学級が実現した。

となる。

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この記事を読んでほしい人

  • 現職の教員
  • 教育関係者
  • 保護者の方
  • 教育問題に興味がある人
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この記事を読むと分かること

  • 少人数学級がどのようにして進められてきたのかの経緯(小1の35人学級実現と小2の35人学級のための教員加配措置の実現まで)
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小学校1年生の35人学級実現までの経緯

40人学級の完全実施まで

学級編成の標準は、昭和33年に制定された義務教育標準法公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)によって定められている。

日本の公立小中学校では、昭和33年まで、50人学級が標準であった。法律で40人学級が制定されてから段階的に移行が行われ、平成3年に40人学級が完全に実施された。かかった年月は、実に33年である。

そして、40人学級が完全実施されるようになってから、実に20年もの間、小学1年の35人学級への移行は行われなかった。

小学1年生の35人学級実施まで

以下は、平成16年度に少人数指導と少人数学級を実施した小中学校へ、文科省が行ったアンケート結果である。

少人数指導と少人数学級の評価
「少人数指導と少人数学級の評価」(平成17年/文部科学省)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)

結果をまとめると、

  • 少人数指導と少人数学級の2つを比較すると、児童・生徒の学力面で大きな差は見られないが、生活面では、少人数学級の方が問題行動が減少するなど、よい傾向
  • 多くの学校が、少人数学級の方が少人数指導よりも効果的だと考えている

ということが分かる。

そして、平成22年には、文部科学省は、少人数学級の実現に向けて、「今後の学級編成及び教職員定数の改善に関する教育関係団体ヒアリング」を行った。

こちらも、少人数学級の有効性や必要性を訴える内容になっている。



少人数教育の実現今後の学級編成および教職員定数の改善に関する教育関係者ヒヤリング
「今後の学級編成及び教職員定数の改善に関する養育関係団体ヒアリング」より(平成22年/文部科学省)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)

そして、このような長年にわたる文部科学省の研究や調査が実を結び、平成23年に、「改正義務標準法」(「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員の標準に関する法律及び地方教育財政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」)

義務標準法等の一部を改正する
法律等関係資料①

が制定された。

これにより、ようやく小学校1年生で、教員の基礎定数配置による35人学級が施行された。

附則として、

政府が第2学年から第6学年まで及び中学校に係る学級編成の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする

と定められた。

また、財務省・文科省確認事項として、

今後の少人数学級の推進や個別の課題に対応するための教職員定数について、効果検証を行いつつ、学校教育の状況や国・地方の財政状況等を勘案し、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うことその他の方策を引き続き検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じる。

ことも定められた。

改正義務標準法説明
「子どもと正面から向き合うための新たな教職員定数改善計画案」(平成25年/文部科学省)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)
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小学2年生で35人学級を実施するための、教職員の加配が行われるまで

さらに、他の学年へも少人数学級を波及させるべく、国立教育政策研究所が、翌年の平成24年に、「学級規模の及ぼす教育的調査」の結果を発表した。(以下参照)


学級規模の及ぼす教育効果に関する研究1
「学級規模の及ぼす教育的調査」(平成24年/国立教育制作研究所)/文部科学省ホームページより一部抜粋

学級規模の及ぼす教育効果に関する研究2
「学級規模の及ぼす教育的調査」(平成24年/国立教育施策研究所)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)

この調査の結果は、30人以下の少人数学級と、30人以上の学級に在籍する、小学校4年生のときの学力が同じぐらいの、二人の児童の成績の変化を比べている。

それによると、

30人を下回る学級編成を継続的に実施した学校の児童の方が、30人を超える学級編成を継続的に実施した学校の児童よりも、小学校6年生の時点での学力が、国語・算数ともに高くなる

という結果になっている。

平成23年の「改正義務標準法」の施行やこれらの調査の結果を受けて、平成24年度には、小学校2年生でも、35人学級を実施することができた。しかし、その予算は、教員の基礎定数改善ではなく、少人数学級のために加配教職員を定数配置する措置によって捻出されたものである。

初等中等教育の充実平成24年度予算のポイント
「平成24年度予算のポイント」(平成24年/文部科学省)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)
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まとめ

平成3年に全ての学年で教員の基礎定数配置による40人学級が実現された。

そこから、更に、20年かかって、平成23年にようやく小学校1年生で、教員の基礎定数配置による35人学級が実現した。

文部科学省は、少人数学級の効果を検証して調査結果を国に提出するなどして、話し合いがなされてきたのだが、ここまでに20年の歳月を必要としたのだ。

そして、更にその後、調査を重ね、平成24年に、小学校2年生で、教員の基礎定数改善によらない、加配定数措置という形での35人学級が実現した。

次回「コロナ禍で少人数学級への移行は可能か~文部科学省はずっと提案し続けている!③~小2の35人学級のための教員の加配措置の実現から平成25年度予算成立まで~」以降、この後、令和2年現在までの少人数学級に対する文部科学省の取り組みについて、数回に分けて述べていく。

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