はじめに
前回の記事「小学校担任教師の校務分掌の仕事について元教師の私が経験を交えて紹介します/教務関係」では、小学校担任教師が担う校務分掌の仕事のうち、「教務」関係についてお伝えしました。今回は、児童の学習や指導に直接関係のない、「校務」関係について詳しくお伝えします。
管理職、教務主任、業務士、事務職員、養護教諭、栄養教諭、調理師の仕事は除外しています。
校務関係
校務主任
担任をもっていない先生がすることが理想ですが、学校によっては、担任をもつ教師がしています。
書類の管理
- 学校に届く書類を収受し、収受簿に記録
- 必要があればコピーして各担当の職員に配布
- 書類を綴じるファイルを分類ごとに作成
- 年度終わりに、ファイルの保管年数に応じて廃棄や移動
職員名簿の作成
- 職員名簿の作成
職員用名札づくり
- 職員の携帯用の名札を作成
- 職員の出退勤状況表示用の名札の作成
- 職員用靴箱やロッカーの名札作成
鍵の管理
- 職員用の机の鍵やロッカーの鍵、門の鍵、教室の鍵などの管理
消防施設の管理
- 消防施設の管理の補助
施設・備品の管理
- 教室の机や椅子、本棚、教卓などの管理
- 学校内施設の管理の補助
- 学校内備品の管理・整備
職員親睦会
- 職員親睦会の運営の補助
PTA
- 管理職に混じって、学校運営やPTA活動に参加
児童数の把握、掲示
- 児童の在籍数を職員室内のボードへ記入、児童数の集計表の作成
校内安全点検
- 点検簿を作成し、毎月各担当職員に渡し、点検箇所の点検を以来
- 結果を取りまとめて、管理職や業務士に報告
出席簿
- 月末に各担任の作成した出席簿の記載漏れや間違いを点検
学校会計
データ送受信
- 児童の通帳から学年の通帳への振り込み依頼のデータを金融機関へ送信
- 児童通帳から学年の通帳への振り込みができたかの結果を金融機関からデータ受信
- 引き落としの合計金額と引き落としできなかった児童のデータを各学年に配布
会計簿
- 学級会計簿、学年会計簿の作成の仕方を提示
- 引き落としできなかった児童、現金徴収児童への徴収方法を提示
- 領収書の作成の仕方を提示
- 学級会計簿、学年会計簿の記入漏れや、間違い、添付書類などを点検
- 年度末に、学校の児童・職員関係の集金や支払いに関して集計し、報告書を作成
給食
食数
- 学級ごとの食数、学校全体の食数を調べて役所や業者、調理所に連絡
- 行事で給食をカットする場合や簡易給食になる場合も連絡
アレルギー
- 年度初めに、アレルギーのある保護者との面談
- 牛乳を飲まない児童や、弁当を持参する児童、献立によっては、除去食を実施する児童の把握
- 毎月献立表で、アレルギーのある児童が食べられない献立を保護者に確認してもらい、調理所に除去食を依頼
給食会計
- 給食費学級会計簿の作成方法の提示
- 牛乳不飲児童、弁当持参児童の把握
- 給食費学級会計簿の点検
- 職員の給食費の徴収
- 給食費未納児童の把握
- 学年の給食費を学校全体の給食会計の通帳に入金
- 学校全体の給食費を集計し、集計表を作成
- 長期欠席や転出などで返金が必要な児童への返金
- 給食費を取りまとめるセンターへの給食費の支払い
- 学校全体の給食会計簿の作成
- 準要保護児童・要保護児童の給食費の支払い
- 年度末に給食費の収支を表にまとめ、報告
プールの管理
- 投入する薬品の発注・管理
- 毎日薬品を投入する
- 濾過器の管理
- 水量の管理
- プール清掃
理科室の薬品管理
- 薬品の使用料、残量の管理
その他各教科・領域担当者で備品管理
- 年に1度、備品点検
- 必要な備品や消耗品を調べ希望を出し、発注
- 修理の必要があれば、修理を依頼
- 廃棄する物があれば、廃棄を依頼
花壇の管理
- 学年花壇の割り振り
- 土や肥料などの発注
飼育小屋の管理
- 飼育している生き物へのえさやり
- 飼育小屋の掃除
- えさや必要な物品の注文
拾得物
- 学校内の落とし物の保管・掲示・処分
- 現金などの場合は、警察へ届け出
児童用女子トイレの汚物回収
- 高学年の女の先生がすることが多い
職員室のお茶代集金
- コーヒーや紅茶を飲む人から現金で徴収
運動場の管理
- 土ぼこり防止のための定期的な消石灰散布
- 砂場の整備
福利厚生会
- 福利厚生会主催の行事への応募の呼び掛けと参加の取りまとめ
校長会・組合・各種団体からの出版物、募金、応募
たくさんあるので、細かく担当が分かれていることも多いです。
- 児童への呼びかけと申し込み及び集金の取りまとめ、支払い
教科書
- 各学年の冊数を調べて、データ入力により注文
- 届いたら、各学年に配布
教師用教科書
- 必要冊数を調べて注文
- 各クラスに配布
- 年度替わりに、集めて有無を確認し、次の担任に渡す
転出入
転入
- 転入者の手続き、連絡事項、必要書類渡し
- 各担当職員へ連絡
- 記録簿に記入
- 指導要録などの書類の前籍校からの受理と管理
転出
- 転出者の手続き、連絡事項、必要書類作成と渡し
- 各担当者へ連絡
- 記録簿に記入
- 指導要録など転出関係書類を転出先の学校へ送付
要保護(教育扶助)
- 申請書を児童へ配布
- 提出された申請書の記入漏れや書き間違いをチェック
- 申請書を役所へ送付
- 毎月の教育扶助児童名簿の受理と確認、保護者、関係職員への連絡
- 毎学期ごとの要保護児童の給食費、教材費、校外学習活動費の集計
- 役所への請求とお金の受け取り
- 関係機関への支払いを担当職員に依頼
- 要保護児童へのお知らせを配布
準要保護
- 申請書を児童へ配布
- 提出された申請書の記入漏れや書き間違いをチェック
- 申請書を教育委員会へ送付
- 毎月の要保護・準要保護児童名簿の受理と確認、保護者、関係職員への連絡
- 準要保護児童の給食費、校外学習活動費、修学旅行費を教育委員会へ請求
- 教育委員会からのお金の受け取り
- 関係機関への支払いを毎月担当職員に依頼
- 準要保護児童へのお知らせを配布
特別支援教育就学奨励費
- 申請書を児童へ配布
- 提出された申請書の記入漏れや書き間違いをチェック
- 申請書を教育委員会へ送付
- 受給児童名簿の受理と確認、保護者・関係職員への連絡
- 該当児童の給食費、校外学習活動費、修学旅行費の補助額等を教育委員会へ請求し、保護者に渡す
私が33年間小中学校に勤務している間に、改善されてきた業務
- 給食費や教材費の集金方法が現金ではなく、金融機関へのデータ入力・送信による口座引き落としになったこと
- 教科書の発注がパソコンへのデータ入力になったこと
- 図書室の図書の管理がバーコードになったこと
- 給食費会計簿や学級会計簿がパソコン入力で作れるようになったこと
- 準要保護や要保護の申請に必要な添付書類を学校が集めなくてもよくなったこと
上から4つまでは、パソコンを使用して仕事を処理するようになったということです。
慣れない作業で、ベテラン教員にとっては、逆に、手作業より時間がかかる場合もあります。
まとめ
自治体や学校により、大きく異なる点もあると思いますが、私の経験の範囲で書きました。
ご覧いただいて分かるとおり、教員でなくてもいい仕事ばかりです。
規模の大きい学校なら、職員が1つずつ分担すればよいのですが、小規模の学校では一人の職員が何個も掛け持ちで仕事をすることになります。
特に会計関係の仕事は、間違えが許されず、本当に神経を使い、精神的な負担が大きいです。
是非、これらの校務関係の仕事は、教員以外で行えるように、国は、財源を使って、必要な人員を確保してほしいです。
次回は、「小学校教師がやめられない理由を、元教師の私が経験を交えて説明します。」で、小学校教師の仕事のよさをお伝えします。
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