地方公務員法改正案施行で60歳以降の勤務条件はどう変わるのか⑥~特例定年はどう変わるのか~

頑張る高齢者 定年延長
スポンサーリンク
  1. はじめに
  2. 国家公務員法改正前(令和5年4月1日以前)の「国家公務員の定年制度等の概要」(「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会第一回/平成19年9月7日/資料8」より一部抜粋)の特例定年に関する記述
    1. 「定年退職」(国公法第81条の2、人事院規則11-8第2条~第5条)より「特例定年」
      1. 定年年齢の例外としての「特例定年」と適用される職種
        1. 定年年齢
        2. 例外①
        3. 例外②
          1. 特殊な官職等の例
        4. 例外③
  3. 国家公務員法改正法施行後も特例定年が措置される職種と特例定年から除外される職種、段階的な引上げ期間中の定年と完成形の定年
    1. 特例定年とは?(地方公務員法第二十八条の六第三項/令和3年6月4日改正後)
    2. 国家公務員法改正法施行後に特例定年(定年の特例)が適用される職種は?
      1. 国家公務員法の「定年による退職」と「定年の特例」(国家公務員法第八十一条の六/令和3年6月4日一部改定)の改正
      2. 70歳の特例定年が措置される予定の職員(定年引上げに伴う条例例及び規則例等の整備の概要についてⅠ「定年、勤務延長関係」1〈参考〉/令和3年12月28日/総行公第154号・総行給第81号通知)より
      3. 国家公務員の特例定年の改正で、特例定年から除外される職種
        1. 段階的な引上げ期間中の定年と完成形の定年(資料にないものの補足)
  4. まとめ

はじめに

令和3年6月4日に国会で可決された「国家公務員法等改正案」と「地方公務員法改正案」が令和5年4月1日に施行されます。

現行の国家公務員法で特例定年が適用されている職種のうち、改正後も特例定年が適用されるのは、70歳の特例定年が措置される予定の職員のみということになるようです。

地方公務員法改正案施行で60歳以降の勤務条件はどう変わるのか③~定年による退職の特例とは?~」、「地方公務員法改正案施行で60歳以降の勤務条件はどう変わるのか⑤~定年による退職の特例が実際適用される場面は?~」では、この改定で、「定年による退職の特例」がどのように変わるのか、そして、実際にこの制度が適用されるのはどのような場面かについて書きました。

今回は、同じく、今回の改定で制度の内容が変更になる「特例定年」について述べます。

国家公務員と地方公務員の定年年齢が段階的に引上げられ、令和13年4月1日に定年年齢が65歳に到達し、完成形となるまで、この「特例定年」も段階的に引上げられます。

「特例定年」がどのように引上げられるのか、そして、令和13年4月1日の定年年齢引上げ完成後も「特定定年」が適用される職種はどの職種で、何歳となるのか、調べたことをお伝えします。

スポンサーリンク

国家公務員法改正前(令和5年4月1日以前)の「国家公務員の定年制度等の概要」(「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会第一回/平成19年9月7日/資料8」より一部抜粋)の特例定年に関する記述

「定年退職」(国公法第81条の2、人事院規則11-8第2条~第5条)より「特例定年」

定年年齢の例外としての「特例定年」と適用される職種

定年年齢

原則として60歳

例外①
  1. 法律に別段の定めのある場合
  • 検察庁法…検事総長65歳、検察官63歳
例外②
  1. 原則の定年年齢とは異なる年齢(特例定年)を定める場合(国公法第81条の2第2項第1号から第3号)
  • 病院・療養所・診療所等の医師、歯科医師…65歳
  • 守衛、用務員等…63歳
  • 特殊な官職等(人事院規則11-8第4条)…61歳~65歳
特殊な官職等の例
  • 事務次官、外局の長、財務官、内閣法制次長、警視総監等…62歳
  • 在外公館に勤務する職員、皇宮警察学校教育主事、海技試験官等…63歳
  • 迎賓館長、宮内庁次長、金融庁長官、国税不服審査所長、国立看護大学校の校長、教授、准教授、講師及び看護学部長、社会保険庁の医療専門官、高等海難審判庁長官、海難審判庁審判官及び海難審判庁理事官、研究所等の長で人事院が定めるもの(科学警察研究所長、消防大学消防研究センター所長、国立がんセンター総長、国立保健医療科学院長等)…65歳
例外③
  1. 定年制度が適用されない職員
  • 法律により任期を定めて任用される職員
  • 非常勤職員
国家公務員の定年制度等の概要 特例定年
「公務員の高齢期の雇用問題に関する研究会第一回/平成19年9月7日/資料8」より一部抜粋
スポンサーリンク

国家公務員法改正法施行後も特例定年が措置される職種と特例定年から除外される職種、段階的な引上げ期間中の定年と完成形の定年

特例定年とは?(地方公務員法第二十八条の六第三項/令和3年6月4日改正後)

地方公務員法改正後の第二十八条の六第三項にも、「特例定年」についての記載があります。

前項の場合においては、地方公共団体における当該職員に関しその職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより国の職員につき定められている定年を基準として定めることが実情に即さないと認められるときは、当該職員の定年については、条例で別の定めをすることができる。この場合においては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。

地方公務員法(令和3年6月4日改正後)第二十八条の六第3項

国家公務員法改正法施行後に特例定年(定年の特例)が適用される職種は?

国家公務員法の「定年による退職」と「定年の特例」(国家公務員法第八十一条の六/令和3年6月4日一部改定)の改正

  1. 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以降における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(次条第一項及び第二項ただし書において「定年退職日」という。)に退職する。
  2. 前項の定年は、年齢六十五年とする。ただし、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十五年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める医師及び歯科医師その他の職員として人事院規則で定める職員の定年は、六十五年を超え七十年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢とする。
  3. 第二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

70歳の特例定年が措置される予定の職員(定年引上げに伴う条例例及び規則例等の整備の概要についてⅠ「定年、勤務延長関係」1〈参考〉/令和3年12月28日/総行公第154号・総行給第81号通知)より

国においては、国家公務員法等の一部を改正する法律(令和3年法律第61号。以下「国家公務員法等改正法」という。)第1条による改正後の国家公務員法(以下「新国家公務員法」という。)第81条6第2項ただし書の規定に基づき70歳の特例定年が措置される予定の職員として、以下に掲げる施設等に勤務し、医療業務に従事する医師及び歯科医師(地方厚生局、地方厚生支局及び国の行政機関の内部部局(これに相当するものを含む。)に置かれた医療業務を担当する部署にあっては、人事院が定める医師又は歯科医師に限る。)がある。

  • 刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院
  • 入国者収容所又は地方出入国在留管理局
  • 国立ハンセン病療養所
  • 地方厚生局又は地方更生支局
  • 国の行政機関の内部部局(これに相当するものを含む。)に置かれた医療業務を担当する部署

国家公務員の特例定年の改正で、特例定年から除外される職種

下の図にあるように、現行は「特例定年」で、62歳が定年年齢と設定されている「事務次官、外局の長、財務官、内閣法制次長、警視総監等」の方、63歳が定年年齢と設定されている「守衛・用務員等」、「在外公館に勤務する職員、皇宮警察学校教育主事、海技試験官等」の方は、「特例定年」が適用されなくなり段階的に定年年齢が引き上がり、令和13年度からは一般の公務員の方と同様に、定年が65歳となりますので、注意が必要です。

同様に、「離島で勤務する一部の医師等を除く一般の医師等」、「迎賓館長、宮内庁次長、金融庁長官、国税不服審査所長、国立看護大学校の校長、教授、准教授、講師及び看護学部長、社会保険庁の医療専門官、高等海難審判庁長官、海難審判庁審判官及び海難審判庁理事官、研究所等の長で人事院が定めるもの(科学警察研究所長、消防大学消防研究センター所長、国立がんセンター総長、国立保健医療科学院長等)」は、現行では「特例定年」として扱われ、既に定年年齢が65歳に設定されてきましたが、令和13年度からも定年は65歳のままで、それ以降は一般の公務員の方と同様の扱いとなります。

段階的な引上げ期間中の定年と完成形の定年(資料にないものの補足)
原則現行特例定年(事務次官、外局の長、
財務官、内閣法制次長、警視総監等
現行60歳62歳
令和5年4月~令和7年3月61歳62歳
令和7年4月~令和9年3月62歳62歳
令和9年4月~令和11年3月63歳63歳
令和11年4月~令和13年3月64歳64歳
令和13年4月~【完成形】65歳65歳
地方公務員の定年の引上げについて 特例定年
地方公務員の定年の引上げについて(地方公務員法の一部を改正する法律について/地方公務員の定年引上げ関係/令和3年6月25日/総務省公務員部)」より一部抜粋
定年引上げに伴う条例例及び規則例等の整備の概要について 特例定年
定年引上げに伴う条例例及び規則例等の整備の概要について(令和3年12月28日 総行公第154号総行給第81号 通知)」より一部抜粋
スポンサーリンク

まとめ

現行の国家公務員法で特例定年が適用されている職種のうち、改正後も特例定年が適用されるのは、70歳の特例定年が措置される予定の職員のみということになるようです。

それは、刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院、入国者収容所又は地方出入国在留管理局、国立ハンセン病療養所、地方厚生局又は地方更生支局、国の行政機関の内部部局(これに相当するものを含む。)に置かれた医療業務を担当する部署に勤務し、医療業務に従事する医師及び歯科医師(地方厚生局、地方厚生支局及び国の行政機関の内部部局(これに相当するものを含む。)に置かれた医療業務を担当する部署にあっては、人事院が定める医師又は歯科医師に限る。)になります。

現行の特例定年が適用されていたそれ以外の国家公務員の方は、段階的に定年年齢が引上げられ、令和13年4月1日からは、全て65歳が定年年齢となるようです。

地方公務員の場合は、各自治体が条例で定年年齢を定めるのですが、国家公務員の例にならって制定されますので、特定年齢が適用される職種はごく一部の方に限られそうですね。

次回は、”地方公務員法改正案施行で60歳以降の勤務条件はどう変わるのか⑦~「再任用に関する国の意向」~”をお届けします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました