- はじめに
- ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)
- 学校現場における業務の適正化に向けて(平成28年6月17日通知/次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース)
- 教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果について(通知/平成28年7月27日)
- 次世代の学校指導体制の在り方について(最終まとめ/平成28年7月29日/次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース)
- 平成29年度概算要求に当たっての基本的な方針について(平成28年8月2日閣議了解)の骨子
- 平成29年度一般会計概算要求・要望額等(平成28年9月6日)
- 平成29年度文部科学関係要求の概要
- 平成29年度文部科学省概算要求「新しい日本のための優先課題推進枠」
- 平成29年度文部科学省概算要求
- 平成29年度概算要求 義務教育費国庫負担金「『次世代の学校』指導体制実現構想」
- 「次世代の学校」指導体制実現構想(平成29年~38年度までの10ヶ年計画)
- 多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業‥54億円(対平成28年度要求増減比+6億円)平成28年度予算額‥41億円
- 学校現場における業務改善加速事業(平成28年度名称「チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進事業」)‥4億6,000万円(平成28年度予算1億円)
- いじめ・不登校対策等の推進
- 特別支援教育の充実
- キャリア教育・職業教育の充実‥3億4,700万円(平成28年度予算2億700万円)
- 全国的な学力調査の実施‥59億8,500万円(平成28年度予算52億5,900万円)
- 初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成‥236億9800万円(平成28年度予算215億2,100万円)
- 地域とともにある学校づくりの推進‥7億円(平成28年度予算2億9,600万円)
- 学校を核とした地域力強化プラン‥82億4,700万円(平成28年度予算68億3,200万円)
- 地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン~親子の学び・育ち応援プラン~‥4億200万円(新規)
- 次世代の教育情報化推進事業‥3億円(新規)
- ICTを活用した教育推進自治体応援事業‥4億8,000万円(平成28年度2億6,100万円)
- 次世代学校支援モデル構築事業‥2億5,000万円(新規)
- 人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業‥1億1,400万円(平成28年度予算1億3,600万円)
- 学校健康教育の推進
- スポーツ立国の実現を目指したスポーツの振興‥402億3,500万円(平成28年度予算323億6,000万円)
はじめに
前回の記事”学校における働き方改革は可能か㉖~「骨太の方針」の存在が、学校教育に予算をかけない国を作り出す?!「経済財政運営と改革の基本方針2016」~”では、「骨太の方針」の由来、経緯、策定する意味等についての説明や「骨太の方針(経済・財政運営と改革の基本方針2016)」の内容等について詳しく書きました。
今回は、平成29年度の文部科学省の概算要求の内容と、それに関連する政策の中から、「学校における働き方改革」に関係する施策にポイントを絞って説明します。
平成18年に行われた教員の勤務実態調査と、政府の「行革推進法」、教員の残業代が支払われない代わりに4%の調整額を支払う給特法をめぐる議論が、学校における働き方改革が始まったきっかけとなったことを、以前の記事で説明しました。(「学校における働き方改革は可能か㉔」を参照してください。)
その後、10年間にわたり、教員の勤務時間外労働時間削減のため、「学校における働き方改革」に関連する事業が、文部科学省の施策に少しずつ取り入れられてきたのですが、これといった決定打はないままでした。
社会全体としても、少子高齢化の中で労働力を確保する必要性から、平成22年に「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ」の中で、「働き方改革」が提唱されました。
加えて、「過労死」がたびたび社会問題になったこともあり、政府は、長時間労働是正に向けて様々な政策を行ってきました。
しかしながら、「教員の業務削減」を唱えながらも、公立学校の教員の勤務時間外労働時間は増え続けました。
理由としては、
- 教科数が増え、それに伴い授業時数が増え、教材研究や成績処理にかかる時間も増えたこと
- キャリア教育、安全教育、地域との連携等、学校が関わる事業数が年々増えてきたこと
- 支援が必要な児童生徒や外国人児童生徒などの多様な児童生徒が増えたこと
- 校長が勤務時間外の勤務を命令できる職務内容は、職員会議や修学旅行などに限られているため、普段、教員は自主的に残業をしていることになってしまっているので、長時間労働に対して、校長の責任が問われなかったこと
- 平成23年度に小学校1年生で35人の少人数学級が実現したが、それ以降は少人数学級化が進まなかったこと
- 「チーム学校」を唱えながらも、加配教員、支援員や事務職員等の人員が、十分には配置されてこなかったこと
- 学校や教員の業務削減が文部科学省の思惑どおりには進まなかったこと
- 勤務時間外に教員をどれだけ働かせても、国や自治体には、一般企業のように、残業代を支払う義務がないこと
- 教員の時間外勤務時間の上限が設定されていなかったこと
- 教員の職務内容の規定がなかったこと
- 教員自身、勤務時間を守る事に対して意識が低いこと
などがあげられます。
そして、ついに、平成27年には、文部科学省から「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して~」が、発表されました。(「学校における働き方改革は可能か㉔」を参照してください。)
続いて平成28年には、「学校現場における業務の適正化に向けて」という通知が出されたり、平成27年度に行った「教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査」の結果が出されたりしました。
このような中、「学校における働き方改革」は、進んだのでしょうか。
平成29年度予算の概算要求で、文部科学省が政府に要求した予算や施策の内容等から、「学校におけるの働き方改革」に対する政府や文部科学省の考えを探っていこうと思います。
ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)
「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太2016)」と「日本再興戦略2016」が、平成28年6月2日に閣議決定されました。
その内容については、前回の記事で詳しく説明しました。
前回の記事では触れなかったのですが、同じ日に「ニッポン一億総活躍プラン」も閣議決定されました。
この「ニッポン一億総活躍プラン」について少し説明します。
「ニッポン一億総活躍プラン」が作られた理由
「ニッポン一億総活躍プラン」が作られた理由は、あらゆる場で誰もが活躍できる、全員参加型の社会を目指すためです。
「ニッポン一億総活躍プラン」とは
「ニッポン一億総活躍プラン」とは、日本の経済成長を妨げる少子高齢化の問題に真正面から取り組むものです。
「ニッポン一億総活躍プラン」によってつくろうとしたもの
日本経済に更なる好循環を形成するため、これまでの三本の矢の経済政策を一層強化するとともに、広い意味での経済政策として、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが経済を強くする、そのような新たな経済社会システムづくりへの挑戦として、「ニッポン一億総活躍プラン」を立案、実行しました。
学校現場における業務の適正化に向けて(平成28年6月17日通知/次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース)
平成28年6月13日に、「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」会議によって、「学校現場における業務の適正化に向けて」という報告書が発表され、6月17日には、各都道府県教育委員会と各指定都市教育委員会宛てに通知されました。
検討の背景等
改善方策
教員の担うべき業務に専念できる環境を確保する
- 学校や教員の業務の見直しを推進し、教員が担うべき業務に専念できる環境整備を推進。
- 業務改善と学校指導体制の整備を、両輪として一体的に推進。
業務改善
教員の行う業務の明確化
- 事務職員の職務内容の見直し
- 業務アシスタント(仮称)の検討
- 民間ノウハウの活用の促進
給食費等徴収管理業務からの解放
統合型校務支援システムの整備
学校指導体制の整備
部活動の負担を大胆に軽減する
- 生徒の多様な体験の充実、健全な成長の促進の観点からも、部活動の適正化等が必要。
休養日の明確な設定等を通じた運営の適正化を推進
長時間労働という働き方を改善する
- 業務改善を断行するためには、働き方そのものの価値観の転換が必要
- 国、教育委員会、学校のパッケージの取組(明確な目標設定と、適切なフォローアップ・支援)により、実効性を確保
長時間という働き方を見直し、心身ともに健康を維持できる職場づくり
国・教育委員会の支援体制を強化する
- 省内に「学校環境改善対策室」(仮称)を設置、業務改善アドバイザーを配置し自治体等に派遣
教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果について(通知/平成28年7月27日)
平成28年7月27日、「教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の結果について」が通知されました。
これは、平成27年7月27日に出された、「学校現場における業務改善の一層の推進について」の通知を受け、平成27年度に各教育委員会で、学校現場における業務改善の推進に向けて行った取組みの内容について、文部科学省がまとめたものでした。
都道府県教育委員会47、政令指定都市20、市区町村(政令市を除く)教育委員会1,715から調査の回答結果を得て、比較しています。
教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査の内容と結果の例
教員と事務職員等との役割分担など組織としての学校づくりに「取り組んでいる」と選択した場合の取組内容について(複数回答あり)
- 事務職員の役割の見直し、標準職務の明確化の実施‥政令市45.0%、都道府県29.8%、市区町村26.9%
- 授業等において教員を支援する専門スタッフの配置の推進‥政令市80.0%、都道府県44.7%、市区町村34.9%
- ICT支援員導入の推進‥政令市50.0%、市区町村22.7%、都道府県19.1%
「業務の精選に係る具体的方針、目標を明確化した」を選択した場合の業務精選対象について(複数回答あり)」
- 成績一覧表・通知表の作成、指導要録の作成‥政令市50.0%、都道府県27.7%、市区町村19.7%
- 週案・指導案の作成‥政令市20.0%、都道府県17.0%、市区町村9.6%
- 部活動に関する業務(関係機関への申請・登録、大会申込み、引率業務などを含む。)‥政令市30.0%、都道府県17.0%、市区町村4.0%
- 給食費の集金、支払、未納者への対応‥政令市50.0%、市区町村14.3%、都道府県4.3%
業務改善のための方針等の策定・フォローアップの状況
- 所轄の学校における、業務改善方針等の策定‥都道府県68.1%、政令市55.0%、市区町村7.0%
次世代の学校指導体制の在り方について(最終まとめ/平成28年7月29日/次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース)
平成28年7月29日に、「次世代の学校指導体制の在り方について(最終まとめ)」が、「次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース」会議から発表されました。
現在の学校指導体制
更なる対応が必要な課題
次世代の学校
学校指導体制の改善・充実
「次世代の学校」指導体制実現構想(中期見通し)(仮称)に盛り込むべき事項
学習指導要領改訂による「社会に開かれた教育課程」の実現
小学校専科指導(外国語・理科・体育など)の充実
高学年を中心に、外国語等の教科で専科指導を行うため、専科担当教員や、中学校教員など、教科の専門性の高い教員の定数を充実。
主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の充実
「主体的・対話的で深い学び」を充実させるため、アクティブ・ラーニングの研究等に必要な教員定数を充実。また、自治体や学校現場の判断により、学年段階や授業内容等を踏まえ、ティーム・ティーチングや少人数指導を実施するために必要な定数を確保。
多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育
発達障害等を対象とする「通級指導」の充実:基礎定数化
発達障害や言語障害などの児童生徒に対し、通常学級に在籍しつつ、取出し等による特別の指導を行うために必要な教員を配置。
外国人児童生徒等教育の充実:基礎定数化
日本語能力に応じた指導が必要な児童生徒(2割は日本国籍)に対し、取出し等による日本語指導・教科指導を行うために必要な教員を配置。
貧困等に起因する学力課題の解消
貧困等に起因する学力課題がある学校に対し、放課後の学習相談や、取出し等による補充学習、家庭学習のサポートなど、きめ細かい支援を行う教員を集中的に配置。
いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化
いじめ・不登校等の未然防止・早期対応に向け、学級担任など一部の教職員のみが抱え込むのではなく、組織的な指導体制を構築。
「次世代の学校・地域創生」プランの推進
教員の質の向上に向けた指導教諭の配置促進
若手教員の人数が多い又は割合が高い学校に指導教諭を配置し、校内研修体制を充実。
「チーム学校」の実現に向けた、学校事務の協働実施体制の構築
学校業務の改善、教育の情報化推進のため、学校事務職員の体制を強化。
提案型「先導的実践加配制度」の創設
全国的な教育水準の維持向上の観点から、各自治体の提案による先導的な実践研究と連動した加配措置を実施。客観的根拠に基づく効果の多面的な評価を推進し、成果を全国に還元。
土日の部活動手当の引き上げ
「学校現場における業務の適正化について(報告」)も踏まえ、休養日の設定など部活動の適正化に向けた取組を進めつつ、土日の部活動手当を引き上げ。
平成29年度概算要求に当たっての基本的な方針について(平成28年8月2日閣議了解)の骨子
- 「基本方針2016」を踏まえ、引き続き、「基本方針2015」で示された「経済・財政再生計画」の枠組みの下、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組む。
- 歳出全般にわたり、安倍内閣のこれまでの歳出改革の取組を強化。
- 予算の中身を大胆に重点化。
- 予算の重点化を進めるために、「ニッポン一億総活躍プラン」、「基本方針2016」及び「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)等を踏まえた諸課題について、「新しい日本のための優先課題推進枠」を設け、各省は上記要望基礎額の100分の30の範囲内で要望。
平成29年度一般会計概算要求・要望額等(平成28年9月6日)
平成29年度一般会計概算要求・要望額が、平成28年度予算額と比較して、約1割程度以上増加している所管は、文部科学省(約1割)、農林水産省(約1割)、経済産業省(約2割)、国土交通省(約1.5割)、環境省(約3割)です。
平成28年度と比較して、減少している所管は、財務省(約1割)です。
平成29年度文部科学関係要求の概要
平成29年度の文部科学関係要求の歳出予算は、一般会計が、5兆8,266億円で、対前年度比較増減率+9.5%でした。(平成28年度は、+9.8%。)
平成28年度の文部科学関係要求の歳出予算の復興特別会計は、408億円で、対前年度比較増減率▲34.3%でした。(平成28年度は、▲70.4%。)
平成29年度の文部科学関係要求の歳出予算のエネルギー対策特別会計は、1,412億円で、対前年度増減率は、+28.9%でした。(平成28年度は、+29.3%)
平成29年度文部科学省概算要求「新しい日本のための優先課題推進枠」
平成29年度文部科学省は、「新しい日本のための優先課題推進枠」に、8,265億円を要求しました。
平成28年度の要求額は、8,403億円でした。
教育再生の実行
平成29年度は、「新しい日本のための優先課題推進枠」の「教育再生の実行」に、5,457億円を要求しました。
平成28年度の要求額は、5,487億円でした。
「社会を生き抜く力の養成」では、認定こども園等の施設整備のために、新たに114億円を要求しました。
また、「学校を核とした地域力強化プラン」には、平成28年度は16億円を要求したのに対して平成29年度は、要求額が55億円に増えました。
科学技術イノベーションの推進
平成29年度は、「科学技術イノベーションの推進」に2,462億円を要求しました。
平成28年度の要求額は、2,603億円でした。
スポーツ・文化芸術の振興
平成28年度「スポーツ・文化芸術の振興」の要求額は、287億円でしたが、平成29年度は、392億円に増えました。
3分野の中で唯一の増額でした。
「スポーツ立国の実現」の項に、「スポーツ環境整備の推進」の24億円と「中学校武道場の整備」の45億円が新たに加わりました。
平成29年度文部科学省概算要求
平成29年度概算要求 義務教育費国庫負担金「『次世代の学校』指導体制実現構想」
教職員定数の改善(3,060人・+65億円)
学習指導要領改訂による「社会に開かれた教育課程」の実現‥580人(平成28年度190人)
多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育‥2,030人(平成28年度235人)
「次世代の学校・地域」創生プランの推進‥450人(平成28年度100人)
教員給与の改善(+3億円)
部活動指導手当の改善 3,000円→3,600円(平成30年1月~) 等
メリハリのある給与体系の推進や部活動指導に対する教員の負担の実態等を考慮し、休養日の設定など部活動の適正化に向けた取組を進めつつ、土日の部活動指導業務に係る手当を引き上げ。
教職員定数の自然減‥▲3,100人・▲67億円
教職員の若返り等による給与減‥▲87億円
「次世代の学校」指導体制実現構想(平成29年~38年度までの10ヶ年計画)
「社会に開かれた教育課程」を実現し、複雑・困難化する教育課題に対応する「次世代の学校」の創生に必要不可欠な教職員の配置充実を図るため、「『次世代の学校』指導体制実現構想」という名称で、平成29年度から28年度までの10ヶ年計画で、教職員定数を29,760人改善する計画が立てられました。
特に、「一億総活躍社会」の実現に向けて、「通級による指導」や、外国人児童生徒等への特別な指導に必要な教員について、対象児童生徒数に応じた基礎定数による措置へ転換し、指導体制を安定的に確保することが強調されました。そして、そのために、義務標準法の改正を行う、ということも明言されました。
教職員定数の改善(H38年度までの改善予定数)‥29,760人
学習指導要領改訂による「社会に開かれた教育課程」の実現
- 小学校専科指導(外国語・理科・体育など)の充実‥1,260人
- 主体的・対話的で深い学びの充実(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)‥6,900人
多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育
- 発達障害等の児童生徒への「通級による指導」の充実【基礎定数化】‥8,900人
- 外国人児童生徒等教育の充実【基礎定数化】‥1,900人
- 貧困等に起因する学力課題の解消‥1,000人
- いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化‥1,850人
- 統合校・小規模校への支援‥1,000人
1.2.は、基礎定数化(対象児童生徒数に応じた算定)により、安定的・計画的な教員採用・配置を促進。
「次世代の学校・地域」創生プランの推進
- 教員の質の向上に向けた指導教諭の配置促進‥200人
- 「チーム学校」の実現に向けた次世代の学校指導体制の整備(学校事務職員、養護教諭、栄養教諭等)‥6,450人
- 提案型「先導的実践加配制度」の創設(全国的な教育課題の解決に寄与する先導的な教育政策の実証研究を促進)‥300人
今後の教職員定数の見通し(H29~H38)
「『次世代の学校』指導体制実現構想」と併せて、平成29年度から38年度の「今後の教職員定数の見通し」も発表されました。
この教職員定数の見通しが発表された理由は、「経済・財政再生計画」を踏まえ、少子化の進展、学校の規模適正化の動向、学校の課題に関する客観的データ、実証研究の進展、地方自治体の政策ニーズ等を踏まえた予算の裏付けのある教職員定数の中期見通しを策定するために必要だったからです。
そして、厳しい財政状況を勘案し、真に必要性の高い事項に限定することにより、国民に追加的な財政負担を求めないように最大限努めるためでした。
多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業‥54億円(対平成28年度要求増減比+6億円)平成28年度予算額‥41億円
多彩な人材(退職教職員、教員志望の大学生など)がサポートスタッフとして学校の教育活動に参画する取組を支援する事業です。
児童生徒の学習サポート
進路指導・キャリア教育
学校生活適応への支援
その他(教員業務支援、教員の指導力向上等)
学校現場における業務改善加速事業(平成28年度名称「チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進事業」)‥4億6,000万円(平成28年度予算1億円)
教員の担うべき業務に専念できる環境を確保し、長時間労働という働き方を改善することで、子供と向き合う時間を確保するため、国・教育委員会(都道府県・市町村)・学校が有機的に連携し、一体的・総合的に業務改善を推進する取組を実施する事業です。
いじめ・不登校対策等の推進
「いじめ対策・不登校支援推進事業」への要求額の大幅な増加が目立ちました。
外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等
学校等支援
スクールカウンセラーの配置促進
スクールソーシャルワーカーの配置促進
24時間子供SOSダイヤル
自治体支援
幅広い外部専門家を活用していじめ問題等の解決に向けて調整、支援する取組の促進等
いじめ対策・不登校支援等推進事業‥6億2,100万円(平成28年度予算1,800万)
特別支援教育の充実
インクルーシブ教育支援システム推進事業‥18億100万円(平成28年度予算10億100万円)
障害者権利条約※1の批准、改正障害者基本法※2の趣旨、平成28年4月からの障害者差別解消法※3の施行、発達障害者支援法の改正※4等を踏まえ、自治体のインクルーシブ教育システムの推進に向けた取組に対して経費の一部を補助する事業です。
特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制整備【新規】‥30地域
特別な支援を必要とする子供について、就学前から卒業後にわたる切れ目のない支援体制整備を促すために教育部局と福祉・保健・医療・労働等の部局が連携し一貫した支援体制を構築する地域を支援する。
特別支援教育専門家等配置
キャリア教育・職業教育の充実‥3億4,700万円(平成28年度予算2億700万円)
「キャリア教育・職業教育の充実」事業は、「ニッポン一億総活躍プラン」や、「教育再生実行会議」の提言等を踏まえ、小学校からの企業体験や中学校の職場体験活動、高校におけるインターンシップ等のキャリア教育を推進するとともに、農林水産高校等の専門高校(専攻科を含む)においては、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するとともに、中学生や保護者等の理解・関心を高めるための方策について調査研究を行う事業でした。
将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業‥7,200万円(平成28年度予算3,100万円)
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥2,600万円(平成28年度予算1,200万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
「キャリアプランニングスーパーバイザー」を配置し、地元への愛着を深めるキャリア教育の推進や地域若者サポートステーション等と連携した高校中退者等への就労等支援を通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する事業です。
平成28年度は、「キャリアプランニングスーパーバイザー」の配置は、21人でしたが、平成29年度は47人を要求しました。
全国的な学力調査の実施‥59億8,500万円(平成28年度予算52億5,900万円)
平成29年度調査の実施等‥39億9,300万円(平成28年度39億9,600万円)
平成29年度の「全国的な学力調査の実施等」は、対象学年(小6、中3)の全児童生徒を対象に、国語、算数・数学の悉皆調査と抽出による保護者に対する調査を行うものでした。
平成30年度調査の準備‥19億9,200万円(平成28年度予算12億6,300万円)
平成30年度調査として、国語、算数・数学、理科を対象教科とした悉皆調査を実施するための準備を行うための予算を要求しました。
併せて、中学校における英語の「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」、「書くこと」を測るための予備調査(抽出方式)を実施するための準備を行うための予算も要求しました。
悉皆方式による調査は、平成31年度から3年に一度程度実施することも要求に盛り込みました。
初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成‥236億9800万円(平成28年度予算215億2,100万円)
グローバル人材育成については、第二次教育振興基本計画等を踏まえ、日本人としてのアイデンティティや、日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付け、様々な分野で活躍できる人材の育成が重要です。
このため、我が国の伝統・文化についての理解を深める取組を実施し、また、小・中・高等学校を通じた英語教育改革の推進、帰国・外国人児童生徒等への教育支援の推進、在外教育施設の教育環境の改善等の取組の充実を図ることを目的に、「初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成」事業の予算を要求しました。
小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業‥15億1,600万円(平成28年度予算7億4,100万円)
小・中・高等学校を通じた英語教育の強化のため、学習指導要領改訂等に向けた新教材(①児童用冊子、②教室用デジタル教材、③教師用指導書等)の開発・整備、先進的な取組の支援や教員の指導力・専門性向上のための事業、生徒の英語力調査などの取組を実施する事業です。
地域とともにある学校づくりの推進‥7億円(平成28年度予算2億9,600万円)
コミュニティ・スクール導入等促進事業※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部‥2億3,000万円(平成28年度予算1億6,000万円)
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部‥1,100万円(平成28年度予算同)
これまでの事業では実現できなかったような地域提案による創意工夫ある多様な取組を支援し、学校を核とした地域の魅力を創造する取組の実現を図るという事業のため、平成28年度と同額の予算を要求しました。
首長局との協働による新たな学校モデルの構築事業‥2,600万円(平成28年度予算同)
地域コミュニティの衰退や子供の問題行動等、学校・地域の差し迫った社会的・地域的な課題に対し、首長部局や関係機関等との共同体制を確立し、課題解決に向けて取り組む新たな学校モデルを構築・発信するための予算として、2,600万円を要求しました。平成28年度の予算は、2,600万円でした。
学校を核とした地域力強化プラン‥82億4,700万円(平成28年度予算68億3,200万円)
学校を核とした地域力強化プランの実施
地域学校協働活動推進事業(平成28年度名称「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」※「家庭教育支援員の配置」は、「地域における家庭教育支援総合推進事業」へ移管)‥75億4,100万円(平成28年度予算62億9,500万円)
近年、子供を取り巻く環境が大きく変化しており、未来を担う子供たちの成長を支えるには、地域と学校が連携・協働し、社会総がかりで教育を行うことが必要です。
「地域学校協働活動推進事業」は、平成27年12月の中教審答申「地域と学校の連携・協働」や、平成28年1月の「次世代の学校・地域」創生プランに基づき、幅広い地域住民や企業・団体等の参画により、子供たちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」を推進するため、地域と学校をつなぐコーディネーターの配置や機能強化により、基盤となる、「地域学校協働本部」の整備を推進するとともに、学びによるまちづくりや地域人材育成、放課後子供教室、地域住民等による学習支援(地域未来塾)、外部人材の活用による土曜授業の取組を通じて、社会全体の教育力の向上及び地域の活性化を図る事業です。
学習支援が必要な中学生・高校生を対象とした学習支援~地域住民の強力を得た地域未来塾の充実~※「地域学校協働活動推進事業」の一部で実施‥5億3,500万円:4,000中学校区+高校生支援(平成28年度予算2億6,900万円:3,000中学校区+高校生支援)
放課後子供教室~放課後子ども総合プランの推進~※「地域学校協働活動推進事業」の一部で実施‥17,750箇所(平成28年度15,500箇所)
地域における家庭教育支援総合推進事業(拡充)‥1億6,300万円(平成28年度7,300万円)
社会経済の変化に伴い、家庭教育が一層困難になっていることを踏まえ、全ての親が安心して家庭教育を行えるよう、地域人材の養成を通じて家庭教育支援チームの組織化、家庭教育支援員の配置等を行い、身近な地域における保護者への学習機会の提供や親子参加型行事の実施、相談対応等の支援活動を実施する事業です。
地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業
「スクールガード(学校安全ボランティア)」やスクールガード・リーダーの活用等により、地域ぐるみで子供の安全を見守る体制を整備する事業です。
地域と連携した学校保健推進事業
養護教諭の未配置校等に経験豊富な退職養護教諭をスクールヘルスリーダーとして派遣し、学校、家庭、地域の連携による学校保健活動の展開を図る事業です。
地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン~親子の学び・育ち応援プラン~‥4億200万円(新規)
先駆的家庭教育支援推進事業(訪問型家庭教育支援の実施)(平成28年度「地域人材の活用や学校・福祉との連携によるアウトリーチ型家庭教育支援事業」から、事業の目的を変更し、【新規】として実施)‥4,700万円
問題を抱え孤立した家庭に対する効果的な支援手法としてニーズが高い訪問型家庭教育支援の実施を推進するため、保護者を学びの場や地域とのつながりの場につなぎ、保護者の教育力を高めることを重視しつつ、貧困、不登校等の様々な課題を抱えた家庭に対する類型別の効果的な支援モデルを開発する事業です。
都道府県5か所、市町村4か所での実施に対して、予算を要求しました。
図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業‥2億9,100万円【新規】
趣旨
誰もが利用可能で身近な図書館の資源を活用し、本の専門職員である司書が中心となって学校や社会福祉部局等の関係行政機関と連携を図り、生涯を通じて必要な言語力・コミュニケーション力等の学びの拠点としての機能を図書館が担うことにより、読書格差の負の連鎖を断ち切り、自主的・主体的に学ぶ児童等の育成、読書を通じた親子のコミュニケーションの充実等を図る、という趣旨の事業です。
概要
困難地域等における読書格差解消の取組みを推進するため、図書館資源を活用した読書・学習機会提供(読書推進アウトリーチ活動、図書館における学習支援の実施等)に関する意欲的な企画を公募・実施(全国50か所)することにより、子供の貧困問題等の地域課題解決等の推進を図る。
次世代の教育情報化推進事業‥3億円(新規)
要求の要旨
「次世代の教育情報化推進事業」は、次期学習指導要領を見据え、教科横断的な情報活用能力の育成に係るカリキュラム・マネジメントの在り方等の実践的な研究を実施するとともに、ICTを効果的に活用した指導方法の開発のための実践的な研究を実施するものです。
また、次期学習指導要領における新たな学びに対応するため、官民コンソーシアムを設立し、優れた教育コンテンツの開発・共有等を推進するとともに、次期学習指導要領下での教員のICT活用や情報教育指導力向上を図るための事業です。
要求の内容
情報教育及びICT活用の推進に関する教科研究
次世代型教育用コンテンツ等の開発
次世代型ICT活用・情報教育指導力向上
ICTを活用したアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善等、次期学習指導要領下での教員のICT活用や情報教育指導力向上を推進する事業です。
ICTを活用した教育推進自治体応援事業‥4億8,000万円(平成28年度2億6,100万円)
校務におけるICT 活用促進事業
統合型校務支援システムの対象となる業務の範囲の明確化
校務に関する文書等の電子化・標準化
統合型校務支援システムの共同調達・運用の促進
学校情報における情報セキュリティを確保したICT環境強化事業
教職員の情報セキュリティに関する意識向上を目的とした情報セキュリティ研修を実施(8地域)するとともに、教育委員会の情報システム担当者等に対する安心・安全な学校ICT環境整備の普及・啓発に資する取組等を全国で展開することにより、学校の情報セキュリティ対策を強化しながら、無線LANをはじめとするICT環境の全国整備を促進する(8か所)事業でした。
ICT活用教育アドバイザー派遣事業
文部科学省にICT活用教育アドバイザリーボードを設置して、ICT環境の整備を図ろうとする自治体のニーズに応じてアドバイザーを派遣し、ICTを活用した教育の推進計画やICT機器整備計画(機器購入の調達手法を含む)の策定や校務支援のあり方についての留意事項等の助言を行う事業に対して予算を要求しました。(45地域→90地域)
調査研究
教員のICT活用をサポートするICT支援員の育成や、地域の活性化に資するICT教育の推進に関する調査研究等を実施する事業です。
次世代学校支援モデル構築事業‥2億5,000万円(新規)
要求の要旨
学校において普及が進んでいる統合型校務支援システム※を、出席管理等の単なる帳票の電子化にとどめず、これらの校務の情報を学習記録データ(学習履歴や学習成果等の授業・学習の記録)等と有効につなげ、学びを可視化することを通じ、教員による学習指導や生徒指導等の質の向上や学級・学校運営の改善等に資することを目指し、そのための学校における活用の在り方、個人情報としての学習記録データの管理の在り方、学習記録のデータ化の方法、システム用件(情報セキュリティ対策を含む)等についての実証研究を行う事業のために、新規で予算を要求しました。
要求の内容
総務省と連携しつつ、各地域・学校において、校務系のシステムと授業・学習系システムを連携し、学習記録データ等の可視化・共有・分析等を通じ、「児童生徒自身の振り返り」、「学級・教科担任の個に応じたきめ細やかな指導の実現」、「学校全体の運営改善」等に活用することにより、学校教育の質の向上を図るための実証研究を通じて、以下の点を中心に整理を行う、という内容でした。
学校のニーズに即した活用方策‥文部科学省が整理
どのような学習記録データ等を可視化・共有・分析した場合に、学習指導や学級・学校運営の質の向上等に活用可能かといった活用モデルの整理
個々の児童生徒の学びの活動をデータ化し、活用できる仕組みを構築する際の学習個人情報等を含む記録データ等の取扱い‥文部科学省が整理
児童生徒のテスト結果や作品等をサーバに保存し共有・分析する際の個人情報等の考え方の整理
情報セキュリティを確保することを前提としたシステム要件や認証の在り方等のシステム設計上の技術的考え方‥総務省が整理
児童生徒の成績等の個人情報をセキュアな環境で取り扱いつつ、学習指導等において有効に活用するためのデータ整理・保存やデータ連携、認証の在り方等の技術的課題の整理
人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業‥1億1,400万円(平成28年度予算1億3,600万円)
学校教育におけるICTを活用した実証研究
取組
学校統廃合の困難な小規模学校に対して、ICTを活用して他の学校と結び、児童生徒同士の学び合い体験を通じた学習活動の充実などを図るための実証研究を行うものでした。
成果
主要5教科を含めて、年間を通してICTを活用した合同学習等の指導方法の開発や、効果の検証を行い、その成果を全国に普及することとしました。
社会教育におけるICTを活用した実証研究
取組
ICTの特長を生かして社会教育の維持向上と地域コミュニティの活性化を図るため、遠隔地間における講座や研修を行うなど、ICTを活用した社会教育の実証研究を行う、という内容でした。
成果
遠隔による講座や人材養成を通じて、地域課題の解決を図る社会教育プログラムの開発を行い、広く全国に普及することとしました。
遠隔学習等活用事例に関する調査研究
遠隔学習を導入・実践するに当たり、参考となる初歩的な方法(遠隔学習に関する事前準備や指導方法、及びICT機器の特長を生かした活用方法など)について、実証研究の中間成果のとりまとめ報告会を開催し普及することとしました。
さらに、この実証研究の実効性を高めるため、実証内容について検証を実施し、事業内容の改善を図ることも、計画されました。
学校健康教育の推進
防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業‥2億3,200万円(平成28年度2億2,500万円)
スポーツ立国の実現を目指したスポーツの振興‥402億3,500万円(平成28年度予算323億6,000万円)
スポーツ施策の総合的な推進~スポーツの成長産業化~
スポーツ産業の成長促進事業(新規)‥4億円
スタジアム・アリーナ改革推進事業
スポーツ産業インフラであるスタジアム・アリーナ改革を推進するために、平成28年度に策定するガイドラインを踏まえ、官民連携協議会の開催や専門家の派遣等による多機能型・複合施設の先進事例の形成支援等を行い、収益性の高いスタジアム・アリーナの準備を進める事業です。【民間団体に委託】
スポーツ経営人材育成・活用事業
スポーツ団体組織運営の各となる経営人材の養成や他業界からの参入促進(マッチング)、スポーツビジネスに関するカンファレンスの開催や市場動向調査等を通じて、スポーツ経営人材の育成・活用プラットフォームを構築し、スポーツ団体の経営改革を図るものです。【民間団体に委託】
スポーツ関連新事業創出支援事業
海外市場をターゲットにした取組や地域におけるスポーツチームの活性化などを通じた新しいスポーツビジネスを創出する事業です。このため、国や自治体、金融、大学、競技団体等が連携した市場動向調査・市場開拓支援等を実施し、スポーツが有するコンテンツやリソースを活用して周辺産業との融合等を促すことを事業内容に盛り込みました。【民間団体に委託】
~スポーツ人口の拡大、地域社会の活性化、障害者スポーツの推進~
スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト【新規】‥1億5,900万円
ビジネスパーソン向け国民運動(運動・スポーツ習慣づくり)や年齢、性別、運動能力といった違いを感じずに誰もが生涯を通じて楽しめる新たなスポーツの開発・普及に官民で連携して取り組むことにより、スポーツ人口の拡大を図る内容です。
スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業【新規】‥1億円
スポーツによる地域活性化・スポーツGDP拡大を推進するため、スポーツ庁が関連産業界と連携・共同し「スポーツツーリズム」を新しいレジャースタイルとして活性化・定着化させるためのプロモーション活動を展開することにより、広く一般の需要を喚起するとともに、地域自治体・産業界等の活動を活発化させる事業の予算を新規で要求しました。【民間団体に委託】
運動・スポーツ習慣化促進事業【新規】‥1億円
地方自治体におけるスポーツを通じた健康増進に関する施策を持続可能な取り組みとするため、域内の体制整備及び運動・スポーツへの興味・関心を持ち、習慣化につながる取組みを支援するものです。【地方自治体へに補助】
スポーツ施設環境整備事業費補助金【拡充】‥24億円(平成28年度予算‥18億6,100万円)
子供のスポーツ機会の充実やライフステージに応じたスポーツ活動等の地域住民のスポーツに親しむ場として、また、災害時には避難所として活用されるスポーツ施設の整備を推進し、スポーツ環境の整備促進をはかる事業です。【都道府県・市区町村教育委員会へ補助:補助率1/3】
Specialプロジェクト2020【新規】‥2億2,000万円
2020年東京大会のレガシーとして特別支援学校を地域の共生社会の拠点とするため、2020年に全国の特別支援学校でスポーツのみならず文化・教育活動も含めた全国的な祭典を開催するためのモデル事業等を実施するものでした。【都道府県・民間団体へ委託】
~子供の体力向上、学校体育・運動部活動の推進~
運動部活動の在り方に関する調査研究事業【新規】‥2億2,000万円
運動部活動に関する総合的な実態調査及びスポーツ医科学の観点を取り入れた適切な練習時間等に関する調査研究を行うとともに、民間活力による新たな運動部活動の仕組みを構築するための実践研究を行うという事業でした。【都道府県・市区町村教育委員会、民間団体へ委託】
学校おける体育・スポーツ資質向上等推進事業【新規】‥1億4,400万円
体育・保健体育の授業において、運動が苦手な児童生徒や障害等により特別な配慮を要する児童生徒への指導が不十分であることなどの諸課題に対応した実践研究を行い、全国的な普及を促進するものでした。【都道府県・市区町村教育委員会、大学等へ委託】
武道等の円滑な実施の支援‥47億8,500万円(平成28年度47億2,900万円)
武道等指導充実・資質向上支援事業【拡充】‥2億5,000万円(平成28年度1億9,500万円)
武道等の安全かつ円滑な実施のため、教員の指導力向上を図るとともに、これまでの柔道、剣道に加え、新たに弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた及び銃剣道の指導ガイドラインの作成や指導者データベースの整備などを行うための予算を要求しました。
公立中学校武道場の整備促進‥45億3,400万円(平成28年度同)
中学校における保健体育科の「武道」を安全かつ円滑に実施するため、公立中学校武道場新改築事業に対する国庫補助を行い、整備促進を図る事業です。【都道府県・市区町村教育委員会へ補助】
まとめ
「学校における働き方改革は可能か㉕」で、平成27年度補正予算で「新しい時代にふさわしい教育制度の柔軟化の推進」事業の中の、「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」に予算措置がされたことを書きました。
平成29年度概算要求では、「いじめ・不登校対策等の推進」事業は、要求額が大幅に増え、「フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業」は、名称を変えてその中に継承されました。
「不登校児童生徒へのきめ細かな支援体制の整備に向けた実践研究【新規】」や、「不登校児童生徒を受け入れている民間団体の自主的な取組の促進に関する調査研究【新規】」がそれに当たります。
一方、スポーツ分野では、平成27年のスポーツ庁の設立に伴い、スポーツ関係の施策が増え、内容も「スポーツの産業化」関連のものが増えてきました。
「スポーツ経営人材育成・活用事業」や、「スポーツ関連新事業創出支援事業」、「スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業」や、「スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト」などです。
政府が「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太2016)」で述べたように、「新たな有望成長市場の創出」や「地方創生」を狙ってるのです。
そして、それは運動部活動にも関係してきて、平成29年度概算要求では、「民間活力による新たな運動部活動の仕組み構築の実践研究」という事業を加える構想が持ち上がりました。
運動部活動については、平成28年の文部科学省の報告「学校現場における業務の適正化に向けて」にあったように、教師の働き方改革の方策の柱の1つとなっていました。
ですから、民間に運動部活動の業務を委託する、という考え方は、まっとうな考え方だと思います。
平行して、「運動部活動の在り方に関する調査研究事業」として、休養日の設定や、ガイドラインの策定、中体連等の大会規定の見直し、部活動指導員の制度化・配置促進などを行うことが示されたことも大きな進歩でした。
しかし、やっと運動部活動の業務が削減されようとしているのに、学校に新たな業務を課す取組が他の事業の内容に登場しています。
それは、これまで剣道と柔道だけだった中学校の武道等指導支援に、新たに弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の指導に対しての支援を行う構想が出てきたことです。
こちらは、日本の文化をブランド化して、「クールジャパン戦略」、「スポーツ立国」、「観光立国」、「文化芸術立国」を進める政府が、訪日外国人旅行客にアピールできるものを増やそうとする考えの表れだと思います。(※「学校における働き方改革は可能か㉖」を参考にして下さい。)
このように、せっかく学校関連の業務を削減しようとしても、毎年新たな事業が出てくるのが、文部科学省の施策です。
単純に今までの事業を削ってなくす、ということはせず、少しずつ内容を変えたり、入れ替えたりして、今までの事業を継続させつつ、新たな事業を入れていく、という進め方であることが、私のこのサイトを継続して読んでくださっている方には、お分かりになると思います。
政府は「行政事業レビュー」を行って無駄を削り、行政改革を行っていますが、文部科学省の事業内容を見る限り、名前を変え、内容を入れ替えて継続させているものがほとんどです。
もちろん、重要な事業、必要な事業は、何とかして継続させた方がよいのは当然です。
しかし、「学校を核とした〇〇」とか、「学校と連携した△△」と、教育や社会福祉、生涯学習等に関連する事業を何かと学校に結びつけようとする結果、学校の業務が増えてきた経緯があります。
例えば食育、安全教育、家庭教育、貧困対策、地方創生などです。
以前の記事でも言ったように、「チーム学校」の考えに従って、学校を支援する人員が増えるのはいいのですが、今いる管理職や教員が調整したり、関わったりしなくてもよいやり方にしないと、逆に学校の負担を増やすことになります。
新しく学校に関わる事業を増やし、学校に関わる人員を増やすなら、それを担当する職員も各学校に増やしてもらいたいと思います。
平成28年度予算では、「チーム学校の実現に向けた業務改善等の推進事業」の予算が9,000万円措置され、平成29年度概算要求では、「学校現場における業務改善加速事業」という事業のための予算を、大幅増の4億6,000万円要求しました。
そして、通級指導のための教員と日本語指導のための教員を基礎定数化によって増やすことを盛り込んだ10ヶ年計画を要求しました。
「働き方改革」をいよいよ本格的に進めようとする文部科学省の意欲がうかがわれます。
次回は、”学校における働き方改革は可能か㉘~「『エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立』のために業務が増えます」平成29年度予算1~”の記事で、平成29年度文部科学省の予算がどのように成立したのかを調べることにより、「学校における働き方改革」の進展について考えていきます。
コメント