学校における働き方改革は可能か④~平成18年度「教員勤務実態調査」/平成19年3月「今後の教員給与の在り方について(答申)」~

学校の職員と子供たち 学校における働き方改革
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はじめに

前回の記事「学校における働き方改革は可能か③~教職員に掛かる人件費の削減~」で、平成18年6月2日施行・公布の「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」により、教員給与の見直しが行われることになったことに触れました。

今回は、教員給与を見直すために、政府の指示で行った、平成18年教員勤務実態調査について書いていきます。

その後、平成18年教員勤務実態調査の結果を受けて発出された「今後の教員給与の在り方について(答申)」の内容について説明します。

「今後の教員給与の在り方について(答申)」では、教員の職務の見直し学校事務の軽減・効率化又は、事務体制の強化を図ることにより、教員の仕事量を減らすことを、掲げました。

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平成18年7月~12月「教員勤務実態調査」

政府の指示で、文部科学省は平成18年7月~12月にかけて、40年ぶりに、全国の公立小・中学校教員の労働時間を調査することとなりました。

平成19年3月にその調査結果が公表されました。

この調査の結果、小学校では、通常期の勤務日の平均残業時間がおよそ1時間30分から2時間中学校では、通常期の勤務日の平均残業時間がおよそ2時間10分から3時間と分かりました。

また、残業以外にも、持ち帰って仕事をする時間や内容、休日に仕事をする時間や内容も調査し、小・中学校の教員の過重な労働の実態を明らかにする結果となりました。

さらに、残業時間や休日の勤務時間は、その職種や任されている仕事などによって、教員間で大きな差があることも分かりました。


教員勤務実態調査報告書1
「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」(平成19年3月/国立大学法人 東京大学)/より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
教員勤務実態調査2
「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」(平成19年3月/国立大学法人 東京大学)/より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
教員勤務実態調査3
「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」(平成19年3月/国立大学法人 東京大学)/より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
教員勤務実態調査4
「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」(平成19年3月/国立大学法人 東京大学)/より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
教員勤務実態調査5
「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」(平成19年3月/国立大学法人 東京大学)/より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
教員勤務実態調査6
「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」(平成19年3月/国立大学法人 東京大学)/より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
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「今後の教員給与の在り方について」平成19年3月/中教審答申

平成18年度の教員勤務実態調査の結果を受け、中央教育審議会は、平成19年3月29日に、今後の教員給与の在り方について(答申)を発表しました。

それによると、

教員の職務について見直しを行い、それぞれの職に応じた役割分担の明確化を図るとともに、学校事務の軽減・効率化又は、事務体制の強化を図ることなどにより、教員が子供たちの指導により専念できるような環境を整備していくことが必要である。

と書かれています。また、

新たな職の設置も含めて学校の組織運営体制の見直しを図ることにより、学校運営の効率化を進めていくことも必要である。

ともあります。さらに、

教員という職業が魅力あるものとなり、教員に優秀な人材が確保されるよう、やりがいのある職務内容とし、その職務に合致した勤務形態とするとともに、教員の給与の一定程度の水準が安定的に確保され、安心して教育活動に取り組むことができるようにすることが必要である。

また、教員が適切に評価され、教員の士気が高まり、教育活動が活性化されていくためにも、それぞれの職務に応じてメリハリのある教員給与にしていくことが必要である。

と示されています。


今後の教員給与の在り方について
「今後の教員給与の在り方について」(平成19年3月29日中央教育審議会答申)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
今後の教員給与の在り方について
「今後の教員給与の在り方について」(平成19年3月29日中央教育審議会答申)より一部抜粋/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
今後の教員給与の在り方について
「今後の教員給与の在り方について」(平成19年3月29日中央教育審議会答申)より一部抜粋国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
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まとめ

平成18年度「教員勤務実態調査」では、小中学校教員の超過勤務の常態化と、教員の本来の業務ではない業務を、数多く担っている実態が明らかになりました。

しかし、だからといって、教員の給与をあげることは、できません。

なぜなら、平成18年に制定された「行政改革推進法」で、教員の給与を下げることが決まったからです。

そこで、文部科学省が考えた施策は、

教員の給料の削減の代償に、教員の仕事を減らす

ということでした。

そして、平成19年3月「今後の教員給与の在り方について(答申)」では、教員の職務の見直し学校事務の軽減・効率化又は、事務体制の強化を図ることにより、教員の仕事量を減らすことを、掲げました。

その上で、「義務教育等教員特別手当」は減額、「教職調整額」については、それぞれの職種により、金額を変えるようにしていこう、ということです。

次回「学校における働き方改革は可能か⑤~平成20年度概算要求~」は、平成20年度の概算要求が、教員の仕事量の軽減や、給与条件を維持したものとなったかについて、書いていきます。

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