学校における働き方改革は可能か㉙~6年ぶりの基礎定数改善と武道指導の充実~平成29年度予算2~

学校の職員と子供たち PDCAサイクル
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  1. はじめに
  2. 平成29年度文部科学省予算(案)の概要
  3. 平成29年度文部科学省予算(案)のポイント
    1. 文部科学関係予算(案)のポイント
    2. 文教関係予算のポイント
    3. スポーツ関係予算のポイント
    4. 文化芸術関係予算のポイント
    5. 科学技術予算のポイント
  4. 平成29年度文部科学省予算
    1. 平成29年度予算 義務教育費国庫負担金「『次世代の学校』指導体制強化‥1兆5,248億円(▲22億円)
      1. 教職員定数の改善‥+868人・+19億円(概算要求+3,060人・+65億円)
        1. 加配定数の基礎定数化‥+473人
        2. 加配定数の改善‥+395人
      2. 教職員定数の自然減等‥▲4,150人(▲89億円)
      3. 部活動手当の改善増‥+3億円
      4. 部活動運営適正化による部活動手当の減‥▲3億円
      5. 教職員の若返り等による給与減‥▲88億円
      6. 人事院勧告の反映による給与改定‥+136億円
      7. 平成29年度~38年度の10年間で、加配定数(平成28年度約64,000人)の約3割を基礎定数化【義務標準法の改正】
      8. 【関連施策】教育政策に関する実証研究‥5,700万円(概算要求1億2,700万円、平成28年度4,600万円)
        1. 機関数
        2. 継続して実施する課題
        3. その他1つ程度課題を追加
    2. 多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業~‥45億8,600万円(概算要求53億7,100万円、平成28年度47億3,600万円)
    3. 学校現場における業務改善加速事業‥2億8,800万円(概算要求4億6,00万円、平成28年度1億2,500万円)
    4. いじめ対策・不登校支援等総合推進事業‥61億1,400万円(概算要求76億7,300万円、平成28年度57億1,500万円)
      1. 外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等‥59億1,000万円(概算要求70億700万円、平成28年度56億7,900万円)
        1. 学校等支援
          1. スクールカウンセラーの配置拡充
          2. スクールソーシャルワーカーの配置拡充
          3. 24時間子供SOSダイヤル
        2. 自治体支援
          1. 幅広い専門家を活用していじめ問題等の解決に向けて調整、支援する取組の促進等
      2. いじめ対策・不登校支援等推進事業‥1億7,900万円(概算要求6億2,100万円、平成28年度1,800万円)
    5. インクルーシブ教育システム推進事業‥14億5,200万円(概算要求18億100万円、平成28年度10億100万円)
        1. 特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制整備【新規】‥30地域(概算要求同)
        2. 特別支援専門家等配置
    6. キャリア教育・職業教育の充実‥2億1,300万円(概算要求3億4,700万円、平成28年度2億600万円)
      1. 将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業‥3,200万円(概算要求7,200万円、平成28年度3,100万円)
      2. 地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥800万円(概算要求2,600万円、平成28年度1,200万円)※学校を核とした地域力強化プランの一部)
      3. スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール‥1億7,300万円(概算要求2億2,500万円、平成28年度1億6,400万円)
    7. 全国的な学力調査の実施‥52億5,200万円(概算要求59億8,500万円、平成28年度52億5,900万円)
      1. 概要
      2. 全国的な学力調査の実施
    8. 小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業等‥14億3,900万円(概算要求15億1,600万円、平成28年度12億2,100万円)
    9. 地域とともにある学校づくりの推進‥3億9,300万円(概算要求7億円、平成28年度2億9,600万円)
      1. 協働による地域とともにある学校づくりの推進
        1. 首長局との協働による新たな学校モデルの構築事業
        2. コミュニティ・スクール導入等促進事業‥1億6,200万円(概算要求2億3,000万円、平成28年度1億6,000万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
        3. 地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業‥400万円(概算要求1,100万円、平成28年度1,100万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部
      2. 自立的、組織的な学校運営体制の構築
        1. 学校現場における業務改善加速事業(再掲)
    10. 学校を核とした地域力強化プラン‥69億3,200万円(概算要求82億4,700万円、平成28年度68億3,200万円)
      1. 学校を核とした地域力強化プラン
        1. 地域学校協働活動推進事業‥64億3,500万円(概算要求75億4,100万円、平成28年度62億9,500万円)
          1. 地域コーディネーター等の配置‥17,500人(概算要求/統括コーディネーター500人、地域コーディネーター20,000人、平成28年度/統括コーディネーター250市区町村、地域コーディネーター15,000人)
          2. 地域学校協働活動の振興
        2. 地域における家庭教育支援総合推進事業‥7,300万円(概算要求1億6,300万円、平成28年度7,300万円)
        3. 地域と連携した学校教育活動
          1. 健全育成のための体験活動推進事業‥9,900万円(平成28年度同)
          2. 地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業(再掲)
          3. 地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業(再掲)
          4. 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業‥8,600万円(平成28年度8,800万円)
          5. 地域と連携した学校保健推進事業‥800万円(平成28年度1,000万円)
    11. 地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン~親子の学び・育ち応援プラン~‥8,800万円(概算要求4億200万円、新規)
      1. 事業の要旨
      2. 図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業‥3,700万円(概算要求2億9,100万円、新規)
        1. 趣旨
        2. 活用現場
      3. 先駆的家庭教育支援推進事業(訪問型家庭教育支援の実施)‥2,000万円(概算要求4,700万円、新規)
        1. 趣旨
        2. 事業の目的
        3. 事業の概要
          1. 文部科学省
          2. 都道府県‥5か所(概算要求同)
          3. 市町村‥2か所(概算要求4か所)
      4. 学びを通じたステップアップ支援促進事業‥2,000万円(概算要求2,300万円、新規)4箇所
        1. 趣旨
        2. 概要
          1. 教育相談
          2. 学習支援
      5. 困難を抱える親子を対象とした自然体験活動推進事業
    12. 次世代の教育情報化推進事業‥5,200万円(概算要求3億円、新規)
      1. 事業の要旨
      2. 事業の内容
        1. 情報教育の推進に関する調査研究
        2. 次世代型ICT活用指導力向上等
    13. ICTを活用した教育推進自治体応援事業‥1億7,100万円(概算要求4億8,000万円、平成28年度2億6,100万円)
      1. 校務におけるICT活用促進事業【新規】
      2. ICT活用教育アドバイザー派遣事業
      3. 学校情報における情報セキュリティを確保したICT環境強化事業
      4. 調査研究
    14. 次世代学校支援モデル構築事業‥1億3,800万円(概算要求2億5,000万円、新規)
    15. 人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業‥6,800万円(概算要求1億1,400万円、平成28年度1億3,600万円)
    16. 学校健康教育の推進‥2億9,100万円(概算要求3億5,900万円、平成28年度2億5,700万円)
      1. 要旨
      2. 内容
        1. がんの教育総合支援事業‥3,200万円(概算要求3,500万円、平成28年度3,200万円)
        2. 防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業‥2億2,600万円(概算要求2億3,200万円、平成28年度2億2,500万円)、42地域
          1. 教育手法の開発
          2. 被災地支援を通した体験型防災教育の推進
          3. 学校の安全管理体制の充実
        3. つながる食育推進事業‥3,300万円(概算要求7,000万円、新規)、6箇所
          1. 現状
          2. 事業概要
          3. 効果検証・普及
    17. スポーツ施策の総合的な推進①~スポーツの成長産業化~
      1. スポーツ産業の成長促進事業‥1億3,000万円(概算要求4億円、新規)
        1. 背景・目的
        2. 事業内容
      2. 大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)創設事業‥1億円(概算要求4億円、新規)
        1. 日本版NCAAの組織の充実
        2. 大学スポーツ振興の推進
      3. スポーツ施策の総合的な推進②~スポーツ参画人口の拡大、地域社会の活性化、障害者スポーツの推進~
        1. スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト‥9,000万円(概算要求1億5,900万円、新規)
        2. スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業‥2,000万円(概算要求1億円、新規)
        3. 運動・スポーツ習慣化促進事業‥8,000万円(概算要求1億円、新規)
        4. Specialプロジェクト2020‥7,600万円(概算要求2億2,000万円、新規)
        5. スポーツ施設環境整備事業費補助金
    18. スポーツ施策の総合的な推進③~子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の推進~
      1. 運動部活動の在り方に関する調査研究事業‥1億円(概算要求2億2,000万円、新規)
        1. 運動部活動に関する実態調査
        2. 運動部活動に関するスポーツ医・科学的調査研究
        3. 民間活力による運動部活動支援体制の構築のための実践研究
        4. 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定
      2. 学校における体育・スポーツ資質向上等推進事業‥7,200万円(概算要求1億4,400万円、新規)
        1. 具体的な課題
        2. プログラム開発
        3. 取組例
      3. 武道等の円滑な実施の支援‥47億2,500万円(概算要求47億8,500万円、平成28年度47億2,900万円)
        1. 武道等指導充実・資質向上支援事業‥1億9,000万円(概算要求、平成28年度1億9,500万円)
          1. 教員の資質向上・指導力強化
          2. 特色ある武道指導の実践
          3. 支援体制の強化(拡充)
          4. 指導成果の検証
        2. 公立中学校武道場等の整備促進‥45億3,400万円(概算要求同、平成28年度同)
  5. まとめ

はじめに

平成29年度予算では、何と、「義務標準法の改正」により、教職員の基礎定数も加配定数も改善する形で、教職員定数の改善が行われることになりました。

具体的には、「加配定数の基礎定数化」として473人の増加、「加配定数の改善」として395人の増加に対し、教職員数の自然減等が4,150人ですので、合計すると教職員定数は、3,282人減になります。

前回の記事「学校における働き方改革は可能か㉘~「『エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立』のために業務が増えます」平成29年度予算1~」で、文部科学省は、平成28年度予算折衝において、財務省から「教職員定数の配置について確かなエビデンスに基づく要求を行うこと」と指摘されたことを書きました。

そして、それを受け、平成28年度に引き続き、平成29年度も「教育政策に関する実証研究」を行うことになったことにも触れました。

さらに、平成28年度予算で、財務省自ら「教職員定数の中期見通しの提示」を求めた背景には、少子化の影響や、「チーム学校」の考え方、学習指導要領の改訂による授業時数や指導内容の増加などで、将来の見通しを立てながら、教職員定数を改善せざるを得なくなった、という事情もあったことを説明しました。

実は、前回の記事では書きませんでしたが、「コロナ禍で少人数学級への移行は可能か⑤」で書いたように、平成29年度予算編成時には、財務省と文部科学省は、教員一人当たりの児童生徒数についても、考え方の相違から論争をしていました。

重要なことは、平成28年度に「少子化の進展、エビデンス等を踏まえた教職員定数の中期見通しの提示に向けた教育政策に関する実証研究」を行ったのに、平成29年度の予算編成では、財務省より、「教育政策に関してもエビデンスに基づくPDCAサイクルの確立が必要」と指摘されたことです。

特に、外国人生徒の日本語指導や通級指導、初任者指導の加配措置の効果の検証とスクールカウンセラーの効率的な活用のための配置の在り方について指摘を受けたのです。

しかし、そうとはいえ、前述したように、教職員定数の改善を行わざるを得ない状況下であったために、平成29年度予算での教職員定数に対する大幅な改善が行われることになったわけです。

それでは、平成29年度の文部科学省の予算(案)のうち、教職員定数の改善も含めた「学校における働き方改革」に関連する施策を中心に、詳しく見ていきましょう。 

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平成29年度文部科学省予算(案)の概要

歳出予算の一般会計は、5兆3,097億円で、対前年度比較増減額は▲86億円、対前年度比率▲0.2%でした。平成29年度概算要求額は5兆8,266億円でした。

歳出予算のエネルギー対策特別会計は、1,095億2,500万円で、対前年度比較増減額は▲2,300万円、対前年度比率▲0.02%でした。平成29年度概算要求額は、1,412億円でした。

歳出予算の復興特別会計は、別枠になりました。

平成29年度文部科学省予算(案)の概要
「平成29年度文部科学関係予算(案)主要事項(平成29年1月12日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
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平成29年度文部科学省予算(案)のポイント

文部科学関係予算(案)のポイント

平成29年度文部科学関係予算額は、5兆3、097億円で、対前年度増減額は▲86億円、増減率は▲0.2%でした。

平成28年度予算の対前年度増減率と同じでした。

文教関係予算のポイント

平成29年度文教関係予算額は、4兆238億円で、対前年度増減額▲96億円、対前年度増減率▲0.2%でした。対前年度増減率は、平成28年度予算と同じでした。

平成29年度文部科学関係予算のポイント対前年度比増減額 文教関係予算のポイント
「平成29年度文部科学省予算(案)のポイント(平成29年1月12日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

スポーツ関係予算のポイント

平成29年度のスポーツ関係予算額は334億円で、対前年度増減額は、+10億円でした。対前年度増減率は、3.2%でした。

平成28年度の対前年度増減率は11.7%でしたので、対前年度増減率は大幅減でした。

しかし、平成28年度第2次補正予算で、

  • ナショナルトレーニングセンターの拡充整備‥24億円
  • ハイパフォーマンスセンターの基盤整備‥11億円
  • 中学校武道場や公立社会体育施設の整備‥46億円

合計81億円が予算措置されました。

平成29年度スポーツ関係予算のポイント 対前年度増減額 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた準備 予算額 
「平成29年度文部科学省予算(案)のポイント(平成29年1月12日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

文化芸術関係予算のポイント

平成29年度の文化芸術関係予算額は、1,043億円で、対前年度増減額は3億円でした。そして、対前年度増減率は+0.3%でした。

平成28年度の対前年度増減率は+0.2%でした。

平成29年度 文化芸術関係予算のポイント 対前年度増減額 
「平成29年度文部科学省予算(案)のポイント(平成29年1月12日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

科学技術予算のポイント

平成29年度科学技術予算額は9,621億円で、対前年度増減額は+1億円でした。対前年度増減率は+0.01%でした。

平成28年度の対前年度増減率は▲0.6%でした。

スポーツや文化芸術に比べ、伸び率はよくないです。

平成29年度科学技術予算のポイント 対前年度増減額 
「平成29年度文部科学省予算(案)のポイント(平成29年1月12日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
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平成29年度文部科学省予算

平成29年度予算 義務教育費国庫負担金「『次世代の学校』指導体制強化‥1兆5,248億円(▲22億円)

教職員定数の改善‥+868人・+19億円(概算要求+3,060人・+65億円)

加配定数の基礎定数化‥+473人
  • 発達障害等の児童生徒への「通級による指導」の充実等‥+602人(対象児童生徒13人に1人の割合/現状1対16.5)(概算要求+890人)※基礎定数化による「政策減」(特別支援学級から通級指導への移行)‥▲150人
  • 外国人児童生徒等教育の充実(対象児童生徒18人に1人の割合/現状1対21.5)+47人(概算要求+190人)
  • ※上記2項目は、基礎定数化後も現在の加配の1割を措置(へき地や散在地域等への対応のため)
  • 初任者研修体制の充実(初任者研修対象者6人に1人の割合/現状1対7.1)‥+75人【概算要求時/教員の質の向上に向けた指導教諭の配置促進‥50人、新設】
  • 指導方法工夫改善加配の一部(約41,000人のうち約9,500人)を基礎定数化‥▲101人
加配定数の改善‥+395人
  • 小学校専科指導(外国語・理科・体育など)の充実‥+165人(概算要求+330人、平成28年度+140人)
  • 主体的・対話的で深い学びの充実(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)‥+10人(概算要求+250人、平成28年度+50人)
  • いじめ・不登校等への対応強化‥+25人(概算要求+400人、平成28年度+50人)
  • 貧困等に起因する学力課題の解消‥+50人(概算要求+400人、平成28年度+25人)
  • 統合校・小規模校への支援‥+75人(概算要求+150人、平成28年度+60人)
  • 「チーム学校」の実現に向けた次世代の学校指導体制の基盤整備(学校事務職員(+50人)、養護教諭(+10人)、栄養教諭等(+10人)‥+70人(概算要求+300人、平成28年度は、副校長・主幹教諭、学校事務職員、専門スタッフを除いて+150人)
  • この他、既存の研修等定数加配の枠内で「先導的実践加配制度」を創設(50人)

教職員定数の自然減等‥▲4,150人(▲89億円)

部活動手当の改善増‥+3億円

メリハリのある給与体系の推進や部活動指導に対する教員の負担の実態等を考慮し、休養日の設定など部活動運営の適正化に向けた取組を進めつつ、土日の部活動指導業務に係る手当を引き上げ(平成30年1月~(3,000円→3,600円)

部活動運営適正化による部活動手当の減‥▲3億円

教職員の若返り等による給与減‥▲88億円

人事院勧告の反映による給与改定‥+136億円

平成29年度~38年度の10年間で、加配定数(平成28年度約64,000人)の約3割を基礎定数化【義務標準法の改正】

  • 地方自治体による、教職員の安定的・計画的な採用・研修・配置に寄与。
  • 発達障害等の児童生徒への「通級による指導」や、日本語能力に課題のある児童生徒への指導、教員の「質」の向上に必要な研修体制を充実。
  • 加配定数の増(395人)により、小学校における専科指導等に必要な教職員定数を充実。

平成29年度概算要求で、「『次世代の学校』指導計画実現構想」という名称で予算を要求していたものです。

平成28年度予算で、「少子化の進展、エビデンス等を踏まえた教職員定数の中期見通しの提示に向けた教育政策に関する実証研究」事業が行われた結果を受け、この10年間の教職員定数の改善計画が実現しました。(「学校における働き方改革は可能か㉘」参照)

概算要求で文部科学省が提示した「『次世代の学校』指導計画実現構想」では、1年ごとにそれぞれの事業で何人の教職員定数の改善が必要か細かく算定していました。

しかし、成立した10ヵ年計画では、「加配定数(平成28年度約64,000人)の約3割を基礎定数化」という、大まかな数字で表しただけでした。

それには、まだ「中期見通しの提示に向けた教育政策に関する実証研究」が進行途中であることが関係するでしょう。

つまり、概算要求で文部科学省が策定した「今後の教職員定数の見通し(予算の裏付けのある教職員定数の中期見通し)」が、確かなエビデンスに基づいたものであるとは判断されなかったことの表れだと思います。

そのことについては、「学校における働き方改革は可能か㉘」で書いたとおり、

  • 「反映状況票」、「総括調査票」の結果から、加配措置の効果の検証について、財務省が「『エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立』が今後必要。」と判断したこと
  • 文部科学省の概算要求に対する財務省の建議で、加配定数と外部人材活用のあり方について、「エビデンスに基づき、費用対効果を最大化する最適な組み合わせを検証することが、それぞれを措置する前提なのではないか。」と述べたこと

から分かります。

平成29年度予算次世代の学校創生のための指導体制強化等 義務教育費国庫負担金 加配定数 基礎定数 義務標準法の改正 教職員定数の改善 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
次世代の学校指導体制強化のための教職員定数の充実 義務教育費国庫負担金 10年間で段階的に実施 基礎定数化 部活動手当
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

【関連施策】教育政策に関する実証研究‥5,700万円(概算要求1億2,700万円、平成28年度4,600万円)

平成29年度も、「少子化の進展や学校の諸課題に関する実証研究等を踏まえた教職員定数の中期見通しの策定に向けた教育政策に関する実証研究」事業が行われ、「エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立」を目指すことになりました。

有識者や意欲ある自治体の協力を得つつ、時代の変化に対応した新しい教育への取組、いじめ・不登校、子供の貧困等の学校の課題に関する状況や、それらの課題に対応するための指導体制の在り方など、教育政策の効果を評価する実証研究を実施。

機関数

3機関→4機関

継続して実施する課題
  • 高い成果を上げている地域・学校の取組み・教育環境の分析
  • 教員実態調査(教職の労働負荷に対する研究を含む。)
  • ICTを活用した業務改善についての調査

この他、国立教育政策研究所予算において

  • 学級規模等の影響・効果(学力、非認知能力等)
  • 加配教員・専門スタッフ配置の効果分析

に関する実証研究を実施。

その他1つ程度課題を追加
教育政策に関する実証研究 衛生29年度予算額 エビデンスを活用した政策立案  
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

多彩な人材の参画による学校の教育力向上~補習等のための指導員等派遣事業~‥45億8,600万円(概算要求53億7,100万円、平成28年度47億3,600万円)

退職教職員や教員志望の大学生など多彩な人材をサポートスタッフとして学校に配置する事業です。概算要求では、13,000人分を要求し、11,100人分が予算措置されました。平成28年度は、11,500人分でした。

【具体例
  • 補充学習、発展的な学習への対応
  • 小学校における英語指導対応
  • 教材開発・作成などの補助
  • 臨時教員等経験の浅い教員に対する指導・助言
  • 体験活動の実施・計画時における指導・助言
  • 中学校における部活動指導支援
  • 高等学校等における進路選択への支援、キャリア教育支援
  • 教員の授業準備や配布物等準備作業、連絡調整等の業務の補助
教職員給与の改善 部活動指導業務手当の改善 教育政策に関する実証研究 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

学校現場における業務改善加速事業‥2億8,800万円(概算要求4億6,00万円、平成28年度1億2,500万円)

  • 業務改善加速のための実践研究‥20地域(概算要求42地域)
  • 業務改善アドバイザーの派遣‥20名程度
  • 長時間労働是正に向けた普及・啓発    等
学校現場における業務改善加速事業 実践研究 業務改善アドバイザー 長時間勤務是正に向けた普及・啓発 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

いじめ対策・不登校支援等総合推進事業‥61億1,400万円(概算要求76億7,300万円、平成28年度57億1,500万円)

外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等‥59億1,000万円(概算要求70億700万円、平成28年度56億7,900万円)

学校等支援
スクールカウンセラーの配置拡充
  • 全公立中学校に対するスクールカウンセラーの配置に加え、生徒指導上、大きな課題を抱える公立中学校等においてスクールカウンセラーによる週5日相談体制を実施し、常時生徒が相談でき、教職員との連携が強化できる体制を構築‥200校(概算要求同))
  • 公立小学校の通常配置に加え、小中連携配置の拡充による公立小・中学校の相談体制の連携促進‥3,200校(概算要求4,600校、平成28年度2,500校)
  • 貧困・虐待対策のための重点加配‥1,000校(概算要求/貧困対策1,800校+虐待対策400校、平成28年度/貧困対策1,000校、虐待対策なし)
  • 教育支援センター(適応指導教室)の機能強化等、不登校支援のための配置‥250箇所(概算要求1,147箇所、平成28年度250箇所)
  • 連絡協議会の開催等を通じた質向上の取組の支援
  • 支援が必要な学校に弾力的に派遣できるよう、地域の実情に応じ、教育委員会への配置方式も推進
目標

平成31年度までに、スクールカウンセラーを全公立小中学校(27,500校)に配置

     H29:26,000校(H28:25,500校)

スクールソーシャルワーカーの配置拡充
  • スクールソーシャルワーカーの配置の増‥5,047人(概算要求同、平成28年度3,047人)
  • 小中学校のための配置‥5,000人(概算要求同、平成28年度3,000人)
  • 高等学校のための配置‥47人(概算要求同、平成28年度同)
  • 貧困・虐待対策のための重点配置‥1,000人(概算要求/貧困対策1,800人+虐待対策400人、平成28年度/貧困対策1,000人、虐待対策なし)
  • スーパーバイザーの配置‥47人(概算要求同、平成28年度同)
  • 連絡協議会の開催・研修を通じた質向上の取組の支援
目標

平成31年度までに、スクールソーシャルワーカーを全ての中学校区(約1万人)に配置

    H29:5,000人(H28:3,000人)

24時間子供SOSダイヤル
自治体支援
幅広い専門家を活用していじめ問題等の解決に向けて調整、支援する取組の促進等
  • 第三者的立場から調整・解決する取組‥100地域(概算要求134地域、平成28年度134地域)
  • 外部専門家を活用して学校を支援する取組‥100地域(概算要求134地域、平成28年度134地域)
  • インターネットを通じたいじめ問題等に対応するための学校ネットパトロール等への支援‥10地域(概算要求10地域、平成28年度10地域)
  • 重大事態等発生時の指導助言体制の強化(現状調査や現地支援を行うための職員を派遣)

いじめ対策・不登校支援等推進事業‥1億7,900万円(概算要求6億2,100万円、平成28年度1,800万円)

  • 自殺予防、貧困などに対する効果的な取組に関する調査研究
  • 脳科学・精神医学・心理学等に関する研究と学校教育の連携による調査研究
  • いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究【新規】
  • スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究【新規】(概算要求では、「モデル事業」)
  • 学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究【新規】(概算要求の「不登校児童生徒へのきめ細かな支援体制の整備に向けた実践研究」、「不登校児童生徒を受け入れている民間団体の自主的な取組の促進に関する調査研究」の内容を統括)
いじめ・不登校対策の推進 予算額 要旨 いじめ対策・不登校支援等総合推進事業 予算額 外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等 すくーるカウンセラー
「平成29年度予算(案)主要事項(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
スクールソーシャルワーカーの配置拡充 スーパーバイザー 24時間子供SOSダイヤル 学校ネットパトロール 重大事態等発生時の指導助言体制の強化
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
いじめ・不登校支援等推進事業 予算額 自殺防止・貧困 脳科学・精神医学・心理学 スクールロイヤー 学校以外の場における教育機会の確保
中学校夜間学級の配置促進等推進事業 
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

インクルーシブ教育システム推進事業‥14億5,200万円(概算要求18億100万円、平成28年度10億100万円)

平成28年4月1日の障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)の施行、平成28年8月1日施行の発達障害者支援法の改正(発達障害者支援法の一部を改正する法律)等を踏まえ、自治体のインクルーシブ教育システムの推進に向けた取組に対しての経費の一部を補助する事業でした。

特別な支援を必要とする子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制整備【新規】‥30地域(概算要求同)

特別な支援を必要とする子供について、就学前から卒業後にわたる切れ目ない支援体制の整備を促すため教育部局と福祉・保健・医療・労働等の部局が連携し一貫した支援体制を構築する地域を支援する。

特別支援専門家等配置
  • 医療的ケアのための看護師‥1,200人(概算要求同、平成28年度1.000人)
  • 就労支援コーディネーター‥74人(概算要求同、新規)
  • 発達障害支援アドバイザー‥74人(概算要求同、新規)  等
生涯を理由とする差別の解消の推進に関する法律 障害者差別解消法 障害者基本法 基本限度区 差別の禁止
 
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 概要」より一部抜粋/掲載元/内閣府ホームページ
発達生涯者支援法の改正内容の概要  目的・基本理念 定義 国民・事業種等
「平成29年度版障害者白書(概要)/第2編障害者支援の充実に向けた動き/発達障害者支援法の改正(発達障害者支援法の一部を改正する法律(平成28年8月1日施行))内容の概要1資料(厚生労働省)」より一部抜粋/掲載元/内閣府ホームページ
発達障害者支援法の改正内容の概要 期に及び地方公共団体 
「平成29年度版障害者白書(概要)/第2編障害者支援の充実に向けた動き/発達障害者支援法の改正(発達障害者支援法の一部を改正する法律(平成28年8月1日施行))内容の概要1資料(厚生労働省)」より一部抜粋/掲載元/内閣府ホームページ
切れ目内支援体制構築に向けた特別支援教育の充実 要旨 予算額 インクルーシブ教育システム推進事業 医療的ケアのための 発達障害支援アドバイザー 看護師 就労支援コーディネーター 
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

キャリア教育・職業教育の充実‥2億1,300万円(概算要求3億4,700万円、平成28年度2億600万円)

将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業‥3,200万円(概算要求7,200万円、平成28年度3,100万円)

  • キャリアパスポート(仮称)普及・定着事業【新規】‥児童生徒が自らの学習活動等の学びのプロセスを記述し振り返ることのできるポートフォリオ的な教材「キャリア・パスポート(仮称)」の導入に向け、その活用方法等についての調査研究を実施する。
  • 小・中学校等における起業体験推進事業‥チャレンジ精神や他者と共同しながら新しい価値を創造する力など、これからの時代に求められる資質・能力の育成を目指した起業体験活動を実施する。(7ブロック×2地域)
  • キャリア教育推進連携シンポジウムの開催等

地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業‥800万円(概算要求2,600万円、平成28年度1,200万円)※学校を核とした地域力強化プランの一部)

「キャリアプランニングスーパーバイザー」を都道府県等に配置し、地元企業等と連携した職場体験やインターンシップ及び地元への愛着を深めるキャリア教育の推進等を通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する。‥15人(概算要求49人、平成28年度21人)

スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール‥1億7,300万円(概算要求2億2,500万円、平成28年度1億6,400万円)

キャリア教育・職業教育の充実 予算額 要旨 キャリア・パスポート普及・啓発事業 小・中学校等における企業体験推進事業 キャリアプランニングスーパーバイザー 
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
将来の在り方・生き方を考えられる若者を育むキャリア教育推進事業 事業目的 予算額 取組内容 キャリアパスポート 
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

全国的な学力調査の実施‥52億5,200万円(概算要求59億8,500万円、平成28年度52億5,900万円)

概要

義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、国・教育委員会における教育施策の課題を検証し、その改善に役立て、さらに、そのような取組を通じた教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立するため、全国的な学力調査を実施するものでした。

全国的な学力調査の実施

  • 平成29年度調査として、小6、中3を対象に、国語、算数・数学の悉皆調査と、抽出による保護者に対する調査を行う。
  • 平成30年度調査として、国語、算数・数学、理科を対象教科とした悉皆調査を実施するための準備を行う。
  • 中学校における英語の「聞くこと」、「話すこと」、「書くこと」を測るための予備調査(抽出方式)を実施するための準備を行う。
全国的な学力調査の実施 予算額 概要
「平成29年度文部科学関係予算(案)主要事項(平成29年1月12日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

初等中等教育予算事項別表 平成29年度予算 前年度予算 義務教育費国庫負担金 
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
初等中等教育予算事項別表 平成29年度予算 前年度予算 いじめ・不登校支援等推進事業 
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業等‥14億3,900万円(概算要求15億1,600万円、平成28年度12億2,100万円)

  • 小学校の新たな外国語教育における新教材の開発・整備(小学校中学年・高学年用)
  • 外部試験団体と連携した英語力調査事業中学生1万5千人+高校生1万人(概算要求中学生5万人+高校生4.5万人、平成28年度中学生5万人)
  • 小学校英語教科化に向けた専門性向上のための講習の開発・実施‥37機関(概算要求1機関+47県市、平成28年度47県市)
  • 外国語教育強化地域拠点事業英語25件+英語以外の外国語3件(概算要求英語25件+多言語6件、平成28年度25地域)
  • 補習等のための指導員等派遣事業(専門性の高い非常勤講師、英語が堪能な外部人材の配置)【再掲】
  • 全国的な学力調査の実施(平成30年度に実施する予備調査(抽出方式)のための準備を行う。)【再掲】
初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成 予算額 小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業等 帰国・外国人児童生徒等教育の推進 
「平成29年度予算(案)主要事項参考資料1(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
初等中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成 予算額 比較増減額 小・中/高等学校を通じた英語教育強化事業 
「平成29年度文部科学関係予算(案)主要事項(平成29年1月12日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
事項別表 予算額 前年度予算額 比較増減額 初等・中等教育段階におけるグローバルな視点に立って活躍する人材の育成 
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

地域とともにある学校づくりの推進‥3億9,300万円(概算要求7億円、平成28年度2億9,600万円)

協働による地域とともにある学校づくりの推進

首長局との協働による新たな学校モデルの構築事業
コミュニティ・スクール導入等促進事業‥1億6,200万円(概算要求2億3,000万円、平成28年度1億6,000万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部

学校と地域住民・保護者が力を合わせて学校の運営に取り組む「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度」)について、運営の充実や未導入地域での体制づくりへの支援等により、一層の拡大・充実を図ることで、地域とともにある学校づくりを推進する事業でした。

  • コミュニティ・スクール導入を目指す地域における組織や運営体制づくり‥460市区町村(概算要求400市区町村、平成28年度390市区町村)
  • コミュニティ・スクールの運営の充実‥290市区町村(概算要求同、平成28年度150市区町村)※CSディレクターは150市区町村(平成28年度同)
  • 学校運営協議会委員や教職員等を対象とした研修への支援‥114自治体(概算要求120市区町村、平成28年度112箇所)
コミュニティスクール導入促進事業
「平成29年度予算(案)主要事項4(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業‥400万円(概算要求1,100万円、平成28年度1,100万円)※「学校を核とした地域力強化プラン」の一部

学校を核とした地域の魅力を創造する取組として、地域が提案する創意工夫ある独自で多様な取組を支援する事業を4自治体で行うための予算が措置されました。

自立的、組織的な学校運営体制の構築

学校現場における業務改善加速事業(再掲)
地域とともにある学校づくりの推進 予算額 要旨 学校現場における業務改善加速事業 コミュニティ。スクール導入等促進事業 地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業  
「平成29年度予算(案)主要事項4(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
事項別表 地域と共にある学校づくりの推進 
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成28年1月12日文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
平成30年度概算要求明細表 地域とともにある学校づくり推進事業  自律的・組織的な学校運営体制の構築 首長部局との協働による新たな学校モデルの構築事業 
平成30年度概算要求明細表p421(平成29年9月19日/文部科学省)/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学びを通じた地域づくりと学校・家庭・地域の連携協働 地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン 図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業 先駆的家庭教育支援推進事業 訪問型家庭教育家庭教育支援の充実 学校を核とした地域力強化プラン 地域とともにある学校づくりの推進 
「平成29年度文部科学関係予算(案)主要事項(平成29年1月12日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

学校を核とした地域力強化プラン‥69億3,200万円(概算要求82億4,700万円、平成28年度68億3,200万円)

学校を核とした地域力強化プラン

地域学校協働活動推進事業‥64億3,500万円(概算要求75億4,100万円、平成28年度62億9,500万円)
地域コーディネーター等の配置‥17,500人(概算要求/統括コーディネーター500人、地域コーディネーター20,000人、平成28年度/統括コーディネーター250市区町村、地域コーディネーター15,000人)
地域学校協働活動の振興
  • 地域学校協働活動‥4,000箇所(概算要求5,000箇所、平成28年度3,000箇所)
  • 放課後子供教室‥17,750箇所(概算要求17,750箇所、平成28年度15,500箇所)
  • 地域未来塾による学習支援‥3,700箇所(概算要求4、100箇所、平成28年度3,100箇所)
  • 外部人材を活用した土曜日の教育支援活動‥12,000箇所(概算要求15,000箇所、平成28年度12,000校区)
地域学校協働活動推進事業 地域コーディネーター 地域学校協働本部 地域学校協働活動 外部人材を活用した土曜日の教育支援活動 地域未来塾 放課後子供教室 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
放課後子供教室 小1の壁 放課後児童クラブ 地域コーディネーター 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学習支援が必要な中学生・高校生を対象とした学習支援 地域住民の協力を得た地域未来塾の充実 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
地域における家庭教育支援総合推進事業‥7,300万円(概算要求1億6,300万円、平成28年度7,300万円)

地域人材の養成を通じて家庭教育支援チームの組織化、家庭教育支援員の配置等を行い、身近な地域における保護者への学習機会の提供や親子参加型行事の実施、相談対応等の支援活動を実施することで、家庭教育支援を総合的に推進する事業に、1000箇所分の予算措置がされました。

地域における家庭教育支援同号推進事業 家庭教育支援員 家庭教育支援チーム 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
地域と連携した学校教育活動
健全育成のための体験活動推進事業‥9,900万円(平成28年度同)
  • 小学校、中学校、高等学校等における取組‥322校
  • 学校教育における農山漁村体験活動の導入のための取組‥134地域
  • 適応指導教室等における体験活動の取組‥134地域
地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業(再掲)
地域提案型の学校を核とした地域魅力化事業(再掲)
地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業‥8,600万円(平成28年度8,800万円)

「スクールガード(学校安全ボランティア)」の活用等により、地域ぐるみで子供の安全を見守る体制を整備する事業の予算を1,538箇所分確保することができました。

地域と連携した学校保健推進事業‥800万円(平成28年度1,000万円)

養護教諭の未配置校に対し、経験豊富な退職養護教諭をスクールヘルスリーダーとして派遣し、学校、家庭、地域の関係機関等の連携による効果的な学校保健活動の展開を図るため、53箇所分の予算措置がされました。

学校を核とした地域力強化プラン 地域と連携した学校保健推進事業 スクールヘルスリーダー  
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
地域と学校の連携・協働に向けた改革 学校を核とした地域力強化プラン  コミュニティ・スクール導入等促進事業 
「平成29年度文部科学関係予算(案)主要事項(平成29年1月12日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン~親子の学び・育ち応援プラン~‥8,800万円(概算要求4億200万円、新規)

事業の要旨

家族構成の変化、厳しい労働環境、地域・経済格差の進行等により困難を抱える親子が増加しているが、こうした家庭では、親の学習、読書等の経験が十分ではない状況も見られ、結果的に子供の教育機会に影響している状況が見られる。

このような子供の教育機会の格差は、学力等の格差を生み、将来的な経済格差の要因となるなど世代間にわたる貧困の連鎖を生む要因となることから、教育格差解消に向けた取組を促進することが喫緊の課題となっている。

このため、地域の多様な教育資源を効果的に活用し、困難を抱えている親子の状況等に応じたきめ細かなアプローチを行う多様で特色のある取組モデルを構築するとともに、地域発の教育格差解消の取組を全国に普及することにより、困難を抱える親子が共に学び・育つことを応援し、家庭環境に関わらず全ての者が活躍できる一億総活躍社会の実現の促進を図る。

図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業‥3,700万円(概算要求2億9,100万円、新規)

趣旨

子供の貧困問題等の困難地域等において読書格差の解消を図るため、多様な場において困難を抱える親子の読書活動を確保するとともに、図書館が地域課題解決に積極的に取り組むこととなるようその機能強化を図ることが必要である、とされています。

このため、困難地域等において図書館資源を活用した読書格差の解消に向けた活動が推進されるよう、困難を抱える親子等を対象としたブックリストや指導法等の作成等を通じて読書機会の充実を図ることがこの事業の趣旨でした。

活用現場
  • 困難を抱える親子等を支援する教育・福祉機関、施設、関係団体等
  • 学校図書館、SSW等の学校の教職員          など
図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業 ブックリストの作成 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

先駆的家庭教育支援推進事業(訪問型家庭教育支援の実施)‥2,000万円(概算要求4,700万円、新規)

趣旨

ひとり親家庭や経済的問題により家庭生活に余裕がなくなっている家庭が増加している。

また、地域のつながりの希薄化などによって、子育て家庭は、子育てについて悩みや不安を抱えて孤立しがちな状況にある。

訪問型家庭教育支援は、こうした家庭に対する効果的な支援手法としてニーズが高い一方、地域人材の不足や家庭教育支援員のスキル不足及び支援ノウハウの不足といった多くの課題がある。

事業の目的

様々な課題を抱えた家庭に対する類型別の効果的な支援モデルの開発を国の主導によりパイロット的に行う。

貧困、不登校等の支援が必要な家庭の類型ごとにメニューを検討して構築するとともに、保護者を学びの場や地域とのつながりの場につなぎ、保護者の教育力を高めることを重視する。

事業の概要
文部科学省
  • 事業の選定・評価
  • 実施に対する助言
  • 取組の全国展開に向けた検討
都道府県‥5か所(概算要求同)

支援体制の構築

  • 事業全体に係る総合調整、評価・助言
  • 訪問型家庭教育支援員の養成
市町村‥2か所(概算要求4か所)

各家庭における訪問型家庭教育支援の実施

  1. 訪問による相談対応や情報提供訪問型家庭教育支援チーム(臨床心理士、カウンセラー、教員OB、SSW、民生・児童委員、社会福祉士)
  2. 学習・居場所への参加促進
  3. 関係機関とのネットワーク形成‥子育て支援団体、学校、公民館、教育委員会、保健・福祉行政、児童相談所、児童館、保健所・保健センター
  4. 活動拠点の構築
先駆的家庭教育支援推進事業 訪問型家庭教育支援の実施 背景 事業の目的 事業の概要 訪問型家庭教育支援チーム 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

学びを通じたステップアップ支援促進事業‥2,000万円(概算要求2,300万円、新規)4箇所

趣旨

高校中退者等は、就職やキャリアアップにおいて不利な立場にあり、高卒資格が必要であると認識している者が多い一方で、高校中退者を対象とした学び直しのための支援体制が十分でない、という現状がありました。

そこで、国において、高校中退者を対象に、高等学校卒業程度の学力を見に付けさせるための学習相談及び学習支援のモデルとなる地方公共団体の取組について、実践研究を行うとともに、その研究成果の全国展開を図る、という趣旨で行われた事業でした。

概要
教育相談

教育委員会事務局OBや退職教員等によって、下記のような学習に関する相談・助言を行いました。

本人のみでなく、保護者を含めた相談も可能としました。

  • 学びに応じた教科書や副教材の紹介
  • 高卒認定試験の紹介
  • 教育機関や修学のための経済的支援の紹介
学習支援

ICT機材をはじめ、教科書センター等の協力を得て、教科書や副教材の閲覧・貸出も可能としました。

  • 図書館、公民館等の地域の生涯学習施設を活用し、学習者に対して学習の場を提供しました。
  • 退職教員、学生等のボランティア、NPO等の協力を得て、学習者の自習を支援しました。
学びを通じたステップアップ支援促進事業 現状・背景 趣旨 概要 学習相談・学習支援 高校中退者 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

困難を抱える親子を対象とした自然体験活動推進事業

「困難を抱える親子を対象とした自然体験活動推進事業」に、2,800万円を要求しましたが、予算措置されませんでした。

地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン 親子の学び・育ち応援プラン 事業の要旨 予算額 事業の内容 
平成29年度予算(案)の説明1(平成28年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

次世代の教育情報化推進事業‥5,200万円(概算要求3億円、新規)

事業の要旨

次期学習指導要領を見据え、教科横断的な情報活用能力の育成に係るカリキュラム・マネジメントの在り方等の実践的な研究を実する事業でした。

また、ICTを活用したアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善等、次期学習指導要領下での教員のICTを活用した指導力向上を推進するものでした。

概算要求では、「官民コンソーシアムを設立し、優れた教育コンテンツの開発・共有等を推進」とありましたが、その内容は削除され、予算も大幅に減額されました。

事業の内容

情報教育の推進に関する調査研究

推進校を指定し、教科横断的な情報活用能力の育成にかかるカリキュラム・マネジメントの在り方や、それに基づく指導方法・教材の利活用等(プログラミングや情報セキュリティに関する学習を含む)について実践的な研究を実施するものでした。

小・中・高等学校14校分の予算措置がされました。

次世代型ICT活用指導力向上等

ICTを活用したアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善等、次期学習指導要領下での教員のICTを活用した指導力向上を推進するものでした。

  • 都道府県等教育委員会と連携を図りながら教員養成大学においてICT活用に関する指導者養成研修を実施する。
  • 次期学習指導要領における新たな学びに対応するため、教育コンテンツに関する調査研究を実施する。
次世代の教育情報化推進事業 予算額 情報教育の推進に関する調査研究 次世代型ICT活用指導力向上等 カリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング 
平成29年度予算(案)の説明2(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
次世代の教育情報化推進事業 予算額 事業概要 
平成29年度予算(案)の説明2(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

ICTを活用した教育推進自治体応援事業‥1億7,100万円(概算要求4億8,000万円、平成28年度2億6,100万円)

「ICTを活用した教育推進自治体応援事業」への予算額は、概算要求額から大幅に削られ、事業の数も減らされました。

校務におけるICT活用促進事業【新規】

  • 統合型校務支援システムの対象となる業務の明確化
  • 校務に関する文書等の電子化・標準化
  • 統合型校務支援システムの共同調達・運用の促進

ICT活用教育アドバイザー派遣事業

文部科学省にICT活用教育アドバイザリーボードを設置して、ICT環境の整備を図ろうとする自治体のニーズに応じてアドバイザーを派遣し、ICTを活用した教育の推進計画やICT機器整備計画(機器購入の調達手法も含む)の策定や校務支援の在り方についての留意事項等の助言を行う事業でした。

概算要求では、平成28年度予算での45地域の倍となる90地域へアドバイザーを派遣する予算を要求しましたが、措置されたのは46地域分でした。

学校情報における情報セキュリティを確保したICT環境強化事業

要求した「学校情報における情報セキュリティを確保したICT環境強化事業」への予算は措置されませんでした。

調査研究

教員のICT活用をサポートするICT支援員の育成や、情報活用能力調査の今後の在り方に関する調査研究を実施する内容でした。

ICTを活用した教育自治体応援事業 予算額 事業の要旨 事業の内容 校務におけるICT活用促進事業 統合型校務支援システム ICT活用アドバイザー派遣事業 ICT活用アドバイザリーボード 
平成29年度予算(案)の説明2(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
ICTを活用した教育自治体応援事業 現状 事業概要 
平成29年度予算(案)の説明2(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

次世代学校支援モデル構築事業‥1億3,800万円(概算要求2億5,000万円、新規)

「次世代学校支援モデル構築事業」は、総務省と連携し、全国5地域、各地域3校で実証研究を行う事業でした。

  • 学校現場のニーズに即した活用方策
  • 個々の児童生徒の学びの活動をデータ化し、活用できる仕組みを構築する際の学習個人情報等を含む記録データの取り扱い
  • 情報セキュリティを確保することを前提としたシステム要件や認証の在り方等のシステム設計上の技術的考え方
次世代学校支援モデル構築事業  予算額 事業の要旨 事業の内容  
平成29年度予算(案)の説明2(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
次世代学校得支援モデル構築事業 事業の概要 統合型校務支援システム 主な課題 児童生徒自身の振り返り 
平成29年度予算(案)の説明2(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業‥6,800万円(概算要求1億1,400万円、平成28年度1億3,600万円)

情報通信技術を活用した学びの推進 平成29年度予算額 
平成29年度予算(案)主要事項参考資料1(平成29年度1月12日)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
平成29年度予算 生涯学習政策局 事項別表 
「平成29年度予算(案)の説明1(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

学校健康教育の推進‥2億9,100万円(概算要求3億5,900万円、平成28年度2億5,700万円)

要旨

児童生徒が生涯にわたって健康で安全に生活ができるようがん教育、通学路の安全確保など学校における安全管理・安全教育、学校を核として家庭を巻き込んだ食育の推進を図るための事業でした。

内容

がんの教育総合支援事業‥3,200万円(概算要求3,500万円、平成28年度3,200万円)
背景
  • がん対策基本法に基づく第二期がん対策推進基本計画(H24 ~H28 )では、教育の重要性に鑑み、子供に対するがん教育の在り方を検討し、検討結果に基づく、教育活動を実施することが目標とされている。
  • 文部科学省では、平成29年度からの全国展開を目指し、平成26年度~28年度にモデル事業を実施するとともに、がん教育の在り方についての検討を進めてきたところ。
  • 今後は、モデル事業の成果と課題を踏まえた上で、その内容を全国に普及するとともに、より効果的ながん教育が実施されるよう、指導方法の充実が必要となる。
がん教育総合支援事業(平成26年度~)の成果の一例

モデル校における授業実施後、児童生徒のがんに対する知識や意識の向上

※平成27年度モデル校アンケートより

  • がんの学習は、健康な生活を送るために重要だ。(71.5%→87.5%)
  • 日頃から、健康な体づくりに取り組もうと思う。(54.2%→70.3%)
  • がん検診を受けられる年齢になったら、検診を受けようと思う。(54.4%→71.7%)

学校におけるがん教育の取組を推進するため、教員及び外部講師の質の向上や指導方法の充実に継続して取り組む必要があることから、教員や外部講師の資質向上を目的とした研修会を全国で実施すると共に、がん教育の指導方法の充実に積極的に取り組む地域や学校を支援する事業です。

要求どおり、10箇所分の予算が措置されました。

がんの教育総合支援事業 予算額 背景 成果及び課題 外部講師 教材 連携強化  
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業‥2億2,600万円(概算要求2億3,200万円、平成28年度2億2,500万円)、42地域
教育手法の開発
  • 地域の災害リスク(地震・原子力・火山・土砂災害等)に応じた、緊急地震速報等の各種情報ツールを活用した避難訓練の実施
  • 交通安全の意識や技能を高める教育手法の開発・推進
  • 防犯を含む生活上の安全に関する教育手法の開発・推進
  • 関係省庁(機関)が行う安全に関する取組と連携した教育手法の開発・推進
被災地支援を通した体験型防災教育の推進
  • 安全で安心な社会づくりに参画することの意識について、支援者となる視点から学ぶための防災教育の推進
  • 被災地の実情を見聞することを通した実践的教育活動の推進
学校の安全管理体制の充実
  • 通学路合同点検等、登下校時の安全を確保する体制・システムの構築
  • 学校外や夜間等、様々な場面・時間を想定した安全管理体制の充実
  • セ-フティプロモーションスクール等の先進事例を参考に地域の学校安全関係者(有資格者等)、関係機関及び団体との連携・協力
  • PDCAサイクルに基づく学校安全計画の評価と次年度計画への反映・実践
防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業 予算額 趣旨・事業イメージ 学校安全管理体制の充実 通学路合同点検セーフティプロノーションスクール 地域の学校安全関係者(有資格者)被災地支援を通した体験型防災教育の推進 学校安全マニュアル作成  
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
つながる食育推進事業‥3,300万円(概算要求7,000万円、新規)、6箇所
現状

これまで学校を中心とした多様な取組による成果が見られたものの、食を取り巻く環境が大きく変化する中、子供の食に関する課題を解決するには、学校における取組だけでは限界があり、家庭を巻き込んだ取組が必要である、という現状がありました。

第3次食育推進基本計画では、朝食欠食率の現状が4.4%であるのに対し、0%とするのが目標に設定されていました。

事業概要

子供の日常生活の基盤である家庭においても食育を推進していく必要があることから、栄養教諭と養護教諭等が連携した家庭へのアプローチや、体験活動を通した食への理解促進など、学校を核として家庭を巻き込んだ取組を推進することで、家庭における食への理解を深める、という内容でした。

効果検証・普及
  1. 朝食欠食率、肥満度、共食の回数、子供・保護者の意識変化等、子供の変化に係る共通指標を予め設定。
  2. 事業終了後に全国の取組の成果を検証
  3. 実効性のある取組みを全国へ普及
つながる食育推進事業 予算額 現状 事業概要 事業イメージ 効果検証・普及 朝食欠食率 栄養教諭と養護教諭等が連携 
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学校健康教育の推進 予算額 要旨 内容 
「平成29年度予算(案)主要事項2(平成28年1月17日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
学校健康教育の推進 予算額 比較増減額 概要
「平成29年度文部科学関係予算(案)主要事項(平成29年1月12日/文部科学省」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
初等中等教育事項別表 予算額 比較増減額 インクルーシブ教育システム キャリア教育 学校健康教育の推進 
「平成29年度予算(案)主要事項1(平成29年1月12日/文部科学省)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

スポーツ施策の総合的な推進①~スポーツの成長産業化~

スポーツ産業の成長促進事業‥1億3,000万円(概算要求4億円、新規)

背景・目的

スポーツの成長産業化の実現を図るため、官民が連携した協議会の開催や専門家の派遣等による収益性の高いスタジアム・アリーナの整備促進スポーツ団体等の経営人材育成、新たなスポーツビジネスの創出促進を通じて、スポーツが有するポテンシャルを最大限に発揮し、スポーツの自律的好循環を実現するとともに、スポーツ市場拡大を図る目的で始まった事業です。

事業内容
  • スタジアム・アリーナ改革推進事業
  • スポーツ経営人材・活用事業
  • スポーツ関連新事業創出支援事業
スポーツ産業の成長促進事業 予算額 背景・目的 事業内容 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)創設事業‥1億円(概算要求4億円、新規)

大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)の具体的な在り方について検討する産学官連携の協議会を開催するとともに、大学スポーツの活性化に全学的体制で取り組む大学において、専門人材の配置や先進的モデル事業を展開する事業でした。

日本版NCAAの組織の充実
大学スポーツ振興の推進

大学スポーツを全学的に推進する体制を整える大学に対して、「大学スポーツ・アドミニストレーター」の配置等のスポーツ活動を支援し、大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)の中核となる大学群の形成につなげる事業内容でした。

大学スポーツ・アドミニストレーターの配置

各大学において全学的にスポーツ分野の取組を一体的に行う部局を持つ大学に、大学スポーツのブランド力向上を担う大学スポーツ・アドミニストレーターを配置する。

企画立案、コーディネート、資金調達を担う。

  • 収益力の向上に向けた取組
  • 学生アスリートのキャリア形成支援
  • 大学スポーツを通じた地域貢献、地域活性化
  • スポーツ教育の推進‥小中高の体育活動や運動部活動を支援する学生の派遣やプログラムの開発等の支援体制の在り方の実践研究。
  • スポーツボランティアの普及啓発
大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)創設事業 大学スポーツ振興 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
スポーツ施策の総合的な推進 スポーツの成長産業化 事業内容 予算額 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

スポーツ施策の総合的な推進②~スポーツ参画人口の拡大、地域社会の活性化、障害者スポーツの推進~

スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト‥9,000万円(概算要求1億5,900万円、新規)
スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業‥2,000万円(概算要求1億円、新規)
運動・スポーツ習慣化促進事業‥8,000万円(概算要求1億円、新規)
運動・スポーツ習慣化促進事業 予算額 事業趣旨・目的 事業内容 実施イメージ 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
Specialプロジェクト2020‥7,600万円(概算要求2億2,000万円、新規)

2020年東京大会のレガシーとして共生社会を実現するため、2020年に全国の特別支援学校でスポーツ・文化・教育の全国的な祭典を開催するためのモデル事業や、特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり事業等を実施するものでした。

Specialプロジェクト2020 生涯の有無に関わらず、すべての人が笑顔になる祭典 趣旨等 事業内容 実施体制 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
スポーツ施設環境整備事業費補助金

24億円を要求しましたが、予算措置されませんでした。

しかし、前述したように、平成28年度第2次補正予算で、

  • 中学校武道場や公立社会体育施設の整備‥46億円

が予算措置されました。

スポーツ参画人口の拡大、地域社会の活性化、障害者スポーツの推進 事業内容 予算額 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

スポーツ施策の総合的な推進③~子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の推進~

運動部活動の在り方に関する調査研究事業‥1億円(概算要求2億2,000万円、新規)

運動部活動に関する実態調査

中学校・高等学校の教員、生徒、保護者、外部指導者等を対象とした運動部活動に関する総合的な実態調査を実施するものです。

運動部活動に関するスポーツ医・科学的調査研究

スポーツ医・科学の観点を取り入れた、生徒の発達段階や学校生活への影響を考慮した練習時間や休養日の設定に関する調査研究を実施する内容です。

民間活力による運動部活動支援体制の構築のための実践研究

民間活力による新たな運動部活動の仕組みを構築するための課題を探り出し、その解決策について実践研究を行うものでした。

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定

運動部活動における休養日の設定等や、地域のスポーツ指導者等の活用に際しての留意事項等について明確にした運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定することとしました。

運動部活動の在り方に関する調査研究事業 予算額 概要 背景 事業 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

学校における体育・スポーツ資質向上等推進事業‥7,200万円(概算要求1億4,400万円、新規)

具体的な課題
  • 1つの観点に偏った指導が見られること。
  • 課題解決する学習が不十分であること。
  • 運動やスポーツが「嫌い・やや嫌い」と答える中学校女子生徒が、約2割見られること。
  • 体力水準が依然として低い状況が見られること。
  • 新たな健康課題に対応した教育が必要であること。
プログラム開発

取組を実践研究することによって成果と課題を整理し、また、それらの諸課題を解決するプログラムを開発することで、全国的な普及を促進することを目指しました。

取組例
  • 知識を活用した小学校体育授業の充実
  • 思考力・判断力・表現力の育成を目指した中学校・高等学校の保健体育授業の充実
  • 通級児童・生徒ともに活動する体育授業の充実
学校における体育・スポーツ資質向上等推進事業 要求の背景や必要性 具体的な課題 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP

武道等の円滑な実施の支援‥47億2,500万円(概算要求47億8,500万円、平成28年度47億2,900万円)

武道等指導充実・資質向上支援事業‥1億9,000万円(概算要求、平成28年度1億9,500万円)
教員の資質向上・指導力強化

武道等や課題が見られる領域の指導を担う教員の資質向上を図る。

  • 体育教員質向上プログラム開発・実践
  • 優れた外部指導者との連携した指導体制整備
  • 優れた指導力を有する体育指導員派遣
  • 指導力向上のための研修の実施
  • 大学と連携した課題研究
  • 域内合同体育研究会実施
特色ある武道指導の実践

中学校武道の指導の充実を図る。

  • 地域や学校の実態に応じた特徴的な取組を実践研究
  • 実践研究の成果と課題の整理
  • 全国的な普及及び次期学習指導要領に向けた実践
支援体制の強化(拡充)

関係団体との連携による支援体制の強化のための取組

  • 多様な武道等の指導を支援する取組‥指導法のガイドライン作成、人材バンク等の作成
  • 指導資料作成等
  • 地域の指導者の指導力向上
  • 教育委員会・学校との連携
指導成果の検証

中学校保健体育において武道等を必修化したことによる成果と課題の検証を踏まえた課題解決のための指導法等

  • 大学、教育委員会、学校の連携・協力による調査研究
武道等指導充実・資質向上支援事業 予算額 これまでの取組 課題 内容 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
公立中学校武道場等の整備促進‥45億3,400万円(概算要求同、平成28年度同)
子供の体力の向上、学校体育・運動部活動の推進 事業内容 予算額 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
平成29年度スポーツ庁予算(案)事項別表 予算額 比較増減額 
「平成29年度予算(案)主要事項(平成29年1月12日/スポーツ庁)」より一部抜粋/掲載元/国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP
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まとめ

平成29年度予算では、平成23年度以来6年ぶりに義務標準法の一部改正による教職員定数の改善が行われました。

「通級指導」、「外国人児童生徒等への日本語指導」、「初任者指導」、「指導方法工夫改善加配の一部」の4種類の加配定数が基礎定数化されました。

そして、「小学校専科指導」、「貧困等に起因する学力課題の解消」などの加配定数に対しても教職員数の改善が行われました。

さらに、平成29年度~38年度の10年間で、加配定数の約3割を基礎定数化する計画が予算案に表記されました。

ただし、1年ごとの細かい教職員改善数までは、明確にされませんでした。

これは、平成28年度の「教育政策に関する実証研究」だけでは、財務省が求めた「確かなエビデンスに基づいた教職員定数の中期見通しの提示」ができなかったことの表れです。

そして、平成28年度「経済・財政再生計画 改革工程表」の計画どおりに、平成29年度、平成30年度の2年間で実証研究をさらに進めることになりました。「学校における働き方改革は可能か㉘」参照)

その他の事業については、「次世代の教育情報化推進事業」、「次世代学校支援モデル構築事業」の2つがICT関連の新規の事業として予算措置されたました。

さらに、学校が子供を通し、家庭に対しても食育を行う「つながる食育推進事業」が、新規で始まりました。

その他、「武道等の円滑な実施の支援」事業に47億2,500万円の予算がつきました。

前々回の記事でも武道教育に対する政府の思惑について触れましたが、2021年度から全面実施される中学校学習指導要領改訂で、武道指導の内容が充実されることになりました。

従前どおり、「柔道」、「剣道」及び「相撲」の中から選択して履修する方法に加え、以前から示されている「なぎなた」に加えて、「空手道、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道」についても履修させることができることになりました。

そこで、教員の資質向上・指導力強化、支援体制の強化などの予算が措置されたものでした。

それだけではなく、「公立中学校武道場の整備促進」として、公立中学校武道場新改築事業に対して45億2,400万円が国庫補助されるなど、武道の普及に対しての政府の力の入れようが見て取れます。

そして、「運動部活動の在り方に関する調査研究事業」が新規で予算措置され、「民間活力による運動部活動支援体制の構築のための実践研究」が始まり、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定」も予算化されました。

新たな事業がいくつか増えて教員の負担は例年どおりに増しましたが、運動部活動においては、教員の負担を減らす方向へと着実に歩みを進めたことは、喜ばしいことでした。

次回、「学校における働き方改革は可能か㉚~教員勤務実態調査速報値と働き方改革緊急提言と経済財政運営と改革の基本方針2017~」では「教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)について」、「経済財政運営と改革の基本方針2017」、「未来投資戦略2017」、「平成30年度概算要求までの文部科学省の働き方改革に関する施策」の順番に書いていきます。

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